こんにちは。株式会社クイージの石崎です。
 私は、ジビエ肉(野生鳥獣肉)の卸売事業とイノシシ肉の生産事業を生業にしています。

 数年前までは、都心部のレストラン様にシカやイノシシの肉を卸すことが主でしたが、最近では個人のお客様から「ジビエ肉を食べたい」というお問い合わせをいただくことも多くなってきました。

「ジビエが好きでたまにレストランで食べている」
「食べたことがなくって興味があるんだけど、ちょっと二の足を踏んでしまう」

 いろいろなお声を聞く中で、一番多い質問は、
 『イノシシの肉って、どんな味なんですか?』
 です。

 牛肉や鶏肉とは少し違う。同じジビエでも鹿肉とは違う。そして似てはいるけど豚肉とも何かが違う〈イノシシ肉〉なのですが……。

 実は、このイノシシ肉の味についての質問──イノシシ肉はどんな味なのか?と聞かれたとき──に対して、どう回答すれば良いのか、食べたことがない人でも美味しそう・食べてみたいと興味をもってもらえるような伝え方を、私はまだ持っていません。
 そして、たぶん私を含めて他の誰も、イノシシの味を端的にあらわす表現をもっていないのだと思います。



 メディア等でも多く取り上げられたおかげで、野生の鹿や猪は「厄介者」として捕獲されていることをご存知の方も多いかと思います。しかし、その約9割が、ただただ処分されている事実をご存知の方……となるとグッと数が少なくなるのではないでしょうか。

 島根県邑智郡美郷町では、そんな「イノシシ」を地域の資源として活用しよう!と、地域が一丸となって「イノシシ」にまつわる事業に精を出しています。おおち山くじら生産者組合として約10年、それを引き継いだ株式会社おおち山くじらを設立して1年半。都合11年以上にわたって「イノシシ肉」と向き合い、イノシシ肉の生産、流通、加工品製造に携わってきた私たちですが、実は未だに「イノシシ肉の味をどういう風に伝えれば良いのか」について、言うべき言葉を定められていません。

「野趣味あふれる味」「野生の力強い風味」「豚に近いが、よりスッキリとしたお肉」

 個人的な経験を元に、個人的なオススメをすることはよくありますが、一般的に得心いく形では、イノシシそのものの味を表現できていないと感じています。


わたしたちは、古くから巷で愛されてきた日本の食材──イノシシ肉──が、一部の人の嗜好品や珍味扱いされるのではなく〈あたりまえに選択される食材のひとつ〉になる社会を目指しています。

イノシシ肉に興味をもってもらって、産地である地方に思いを馳せて。

「獣害」や「厄介者」としてイノシシ肉という食材を知るのではなく、「美味しい」という理由で知ってほしい。

そのために、この古くて新しい食材を紹介するための〈言葉〉を蓄積していかないといけないんです。



 ひとくちに「イノシシ肉の味」といっても、さまざまなパラメーターが関与し、評価を定めるのは難しいのかもしれません。肉質に関してだけでも、硬さ・柔らかさ、キメの細かさ、色味、脂のノリや多さ……キリがないばかりか、部位によって異なってきますし、それどころか「個体差」によっても大きく違ってきてしまいます。


 科学的な分析──成分・食味等々の分析──も必要ですが、私たちに今必要なのは「こんなお肉です!」と伝えられる言葉。もっといえば「みんなが食べた感想としてこんなことを言っている」ということなのだと考えています。


 上述したようにパラメータは多く、一筋縄では〈答え〉に到達できないかもしれません。でも、多くの人の声を何度も何度も集めて、リサーチと分析を繰り返すことで、『日本のイノシシ肉は○○である』と声高らかに宣言できるための根拠資料は作れると思っています。


── 言葉の力は偉大です。


 「あぁ、そうか。そういうお肉なんだ」という軸が言葉で定まるだけで、イノシシ肉にあった料理方法の開発や、食べるシーンの開発につながり、ひいては「ジビエの普及」にも繋がっていき、ただ捕獲されて捨てられる現状は少なくなっていくのではないでしょうか?


 この食材豊かな日本という国で、イノシシ肉もあたりまえに食材の一つとして食べられるようになってほしい。みなさんには、一緒にイノシシ肉について、「教えてあげる側」になってほしいと思っています。

 その第一歩として……ぜひ、今回のリサーチにご協力ください。

 日本の食文化に新しい〈あたりまえ〉を作りましょう。

 牡丹の花咲くこの季節に、皆様のお知恵を貸してください。




 今年の冬に捕獲したイノシシ肉の〈同じ部位〉を用意し、さらに、イノシシ肉の特徴がよく分かるレシピを同梱します。

 レシピは、野生鳥獣肉の普及啓発活動を行っている「NPO法人 伝統肉協会」の理事であり、私が最も信頼する料理人でもある『川口かずのり』シェフにご考案いただきました。

川口かずのりシェフ プロフィール
1974大阪府堺市生まれ。18歳でフランスに渡り、シェフへの道を歩みはじめる。フランス・ブルゴーニュ〈ル・ベナトン〉で修行後〈クラブNYX〉〈西麻布クリニャンクール〉で宮本雅彦氏に師事。現在は「現代青森料理とワインの店ボワ・ヴェール」オーナーシェフ。日々シェフとして腕をふるいながら多くのフードプロデュースも実施。NPO法人伝統肉協会では設立時から理事として、ジビエの普及啓発に尽力している。


 パトロンの皆様にはアンケートを用意しますので、レシピに従って調理して、食べてみた結果をご回答いただきます。

 アンケートは

1.調理をしてみてわかったこと
2.できあがった料理に関して
3.イノシシ肉の味を表現するキーワード

などについて、おおむね10分程度のアンケートです。


 「この機会にイノシシ肉をたくさん手に入れて、同梱されるレシピ以外の料理にもチャレンジしたい!」という方には、肉を多めにお送りするリターンをご用意しています。

 独自のレシピや食べ方のアイデアについても、ぜひお声を寄せていただきたいと思います。



 ◎ 募集期間:5月15日まで
2019年5月15日までをプロジェクトの募集期間とします。
募集期間完了後、順次、レシピとイノシシ肉をパトロンの皆様にお届けします。

 ◎アンケートの回収:6月30日まで
アンケートはWEB回答できるものをお知らせします。
6月いっぱいを回答期限とする予定です。

 ◎結果のまとめとパトロンの皆様へのシェア
7月中にはアンケート結果をまとめて、パトロンの皆様に公開したいと思います。



 「ジビエ」という言葉が一般的になってきており、多くの方が「聞いたことはある」「知ってる」時代になってきたと思っています。

 しかし、〈ちゃんと食べたことがある〉方……となるとぐんと数が減ってしまうのではないでしょうか。

 イノシシ肉を食べたことがない方も、いつも召し上がっている方も、この機会に〈イノシシ肉をあたりまえの食材にする〉ことにご協力ください。

 イノシシ肉の味が的確に表現されることで、イノシシ肉を食べるシーンが開発され、イノシシ肉を食べる機会が増えていく……。私たちの集合知で、もっとイノシシ肉を食べる文化を作っていきましょう。


あなたなら、イノシシ肉の味をどういうふうに説明しますか?

  • 2019/05/15 10:10

     イノシシの味の違いがわかるお料理とレシピの報告会、多数のご参加ありがとうございました。報告会と名付けたのですが、まだ『イノシシの味の違いがわかるレシピ』は確定できておりません。 今日でプロジェクトの募集最終日ですが、現段階での候補になっているお料理3つをご紹介します。 どの料理も、めちゃくち...

  • 2019/04/25 10:44

    味が的確に表現されることで、イノシシ肉を食べるシーンが開発され、イノシシ肉を食べる機会が増えます。「イノシシ肉って○○で美味しい!」の○○を明らかにすると、環境問題や食問題を解決する大きなきっかけとなり、美味しく食べることが問題解決に繋がります。 私たちの集合知で『食べる文化』を作りましょう!...

  • 2019/04/17 09:58

    このプロジェクトの目的は、イノシシ肉を普及させるための壁──イノシシ肉の味を表現する言葉──をみんなで見つけること。今回、イノシシ肉と一緒に皆さんにお届けする『イノシシ肉の味がよくわかるレシピ』の作成を依頼しているボワヴェールのオーナーシェフ川口さんに、レシピ作成の進捗状況とイノシシ肉の味につ...

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください