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☆プロジェクト開始23日目の5月21日、ぶじに目標金額を達成しました! これも皆さまのご支援のおかげです。深く感謝いたします。ストレッチゴールとして、以下の目標を追加することにします。

●+50万円:第2話(完成原稿18ページ)
●+100万:第3話(完成原稿18ページ)

各リターン品に加え、達成金額に応じて3,000円以上の支援者全員に上記完成原稿データ(PDF)をお届けすることにします。どうか、更なるご支援をお願いいたします!

加えて、「発送をともなうリターン品なしに支援をしたい」という声にお応えして、新たに5,000円のコースを新設しました。詳細は「■6 リターンについて」の項をご覧ください。

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■1 原稿を完成させて作品を世に問いたい

映画監督・作家の森達也さんが、現在、「死刑と弁護士」をテーマにしたマンガ原作(脚本)を執筆しています。マンガ作品の企画・制作・配信を行う電脳マヴォが、森さんの構想を作品化するためにプロデュースを引き受けました。マンガ家の伊原達矢さんに脚本のネーム化を依頼し、現在、物語の冒頭、第1話分44ページができています(これ以外にカラー扉が入り、完成時にはモノクロ44ページ+カラー1ページ=合計45ページになる予定です)。

ネームとは、本番用にコマを割って簡単な絵を入れたマンガ草稿のこと。すでに電脳マヴォから伊原さんにはネーム作成料をお支払いしていますが、これをペン入れして本番の原稿に仕上げるためには、さらなる原稿料が必要です。当然、森さんの原稿料も必要です。しっかりした企画として起ちあげるには、さまざまな費用が発生するのです。

そこで、この冒頭第1話を完成させるための資金を、クラウドファンディングで募集することにしました。プロジェクトが成功し原稿が完成したら、この作品を世に問います。今のところ出版の方法は未定。どのように世に出すかは、このクラウドファンディングの結果次第で決まります。

これを見て声をかけてくださる出版社が現れるかもしれません。また、多くの支援が集まる状況になれば、集まった資金を元に電脳マヴォ自身が自らの手で出版することもあり得ます。すべては皆さまの支援次第です。

なぜ私たちは最初から出版社に持ち込まないのでしょう? それは数年来の出版不況で業界全体が厳しく、こういうシリアスでデリケートなテーマの企画を外部の人間が持ち込んでも、企画が通りづらい事情があるからです。こうした状況の中、作品を支持してくれるファンが確実にいることをアピールできるクラウドファンディングは、私たちのような小さな会社が作品を世に出す有効な方法だと考えています。


■2 森達也さんは、なぜこの作品を描いたのか?

森達也さんは、オウム真理教事件に取材したドキュメンタリー『A』で一躍、注目を集めた映画監督です。オウム事件だけでなく、世間を震撼させた事件や人物に密着して映画を作り、また文筆家としても、事件・政治問題からオカルト、プロレスまで、幅広いテーマで著作を出しています。

森さんは小説も書きます。熱心なマンガファンでもあります。そして森さんには、死刑をテーマにした著作(エッセイ)が多数あります。オウム真理教の弁護士で、高名な死刑廃止論者の安田好弘弁護士とは友人で、シンポジウムにともに出席し、死刑についての発言を多く発表しています。

「死刑」は、表現者・森達也の中で、重要なテーマなのです。

しかし、どうしたわけか、文章でも映画でも、フィクションのテーマとしてこれを扱ったことはありませんでした。私、竹熊健太郎が森さんに「死刑をテーマにしたマンガの原作を書いてみませんか?」と持ちかけたのは、森さんが創作としてこのテーマを扱ったら、どういう物語ができるだろう? という読者としての興味からでした。

半年ほど経過して、森さんからプロットを見せられました。

「死刑に反対する人権派弁護士が、妻子を残酷に殺される。彼はどうするのか?」

まさに森達也そのものだ、と思いました。

死刑についての森さんの重要な著作に『「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい』(講談社文庫)という本があります。死刑反対の立場をとる森さんに対して、過去、無数に突きつけられた問いをタイトルにしたものです。こういう著作があるだけでも、森達也さんが一面的な意見で死刑を考えているのではないことが分かるでしょう。この本で森さんが考察したテーマを、創作として思考実験するというのがこの作品です。

作画を依頼したのはマンガ家・伊原達矢さん。伊原さんには長年構想を温めていたマンガ「トキ」をクラウドファンディングで完成させた経験があり、社会派テーマを十分に描けるベテランです。

第2話以降、執筆が続いている森さんのプロットは、驚くべき展開を見せています。それはぜひ作品としてお届けしたいと思っています。

■3 電脳マヴォがプロデュースを引き受けた理由

このマンガは死刑廃止を主張するものではありません。森さんの狙いは、賛否以前に「死刑とはいったい何なのか?」を考えることです。森さんは常に解答の出ない問いと格闘する作家です。森達也の作品を読む(観る)ことは、作者の格闘に、読者も参加することに他なりません。

森さん自身は死刑廃止の立場をとっていますが、私たちの国で廃止の声は圧倒的少数(2014年内閣府調査で9.7%)なのが現実です。ほとんどは死刑に積極的、ないし消極的賛成なのです。

しかし私たちは死刑について何を知っているのでしょうか? EU(欧州連合)に参加する国の条件は「死刑廃止」だそうです。世界ではなぜ、死刑を廃止する国が増えているのでしょうか?

いま必要なのは、死刑について知ること、考えることではないか。森さんはそのように考え、この作品を構想しました。

そうした森さんの思いに電脳マヴォは賛同します。その上で、この難しいテーマを世に問うなら、クラウドファンディングによって読者の支持を可視化する以外に方法はないと考えました。これが私たちがプロデュースを引き受けた理由です。

■4 ネームの一部を紹介

ある男の死刑執行から、この物語は始まる。

同じ時刻、テレビスタジオでは死刑廃止と存置(存続)派に分かれた討論会が行われていた。死刑廃止派の主人公・片桐恭一郎は人権派弁護士。50歳。
46歳の妻と、8歳の娘がいる。過去、一家三人惨殺事件をはじめ有名な凶悪事件を数多く弁護しているので、「犯罪者の肩を持つ弁護士」とも呼ばれている。

片桐はどんな凶悪な犯人に対しても、死刑だけは絶対に反対である。駆け出し時代に担当した一家惨殺事件の死刑囚と深く関わった経験から、その考えに至った。片桐は、犯人の悔悟を確信していたが、犯人を救うことができなかった。この経験が、片桐の深いトラウマになっている。

片桐は死刑廃止の市民団体のリーダー的存在であり、マスコミに積極的に出て、死刑廃止運動に尽力している。しかし日本は官民全体に懲罰主義が根強く、分は悪い。TV討論会でもネットでも、罵声を浴びせられることが常態である。
そんなある日、片桐の妻と娘が殺された。惨殺である。まるで片桐をあざ笑うかのように。
ほどなく犯人が逮捕された。

片桐にマスコミが殺到する。マイクを向けられた片桐は、何を言うのか……?

扉を除く冒頭44ページを下記で公開しています。ぜひご覧ください。
森達也原作「死刑」マンガ 第1話ネーム / 森達也 × 伊原達矢[電脳マヴォ]


■5 資金の使い道

集まった資金は森さん、伊原さんへの原稿料と、電脳マヴォの編集費に充て、これにより第1話45ページのマンガ原稿を完成させます。

■6 リターンについて

なるべく多くの皆さんに応援していただくため、リターン品は1,000円〜500,000円と幅広く設定しました。法人様に限定した法人プランもあります。どうか無理のない範囲で、ぜひ応援をお願いします!

(2019年5月22日追記:〈 〉内は「発送をともなうリターン品なしに支援をしたい」というご要望に応えて、新たに追加したものです)

●1,000円…森達也、伊原達矢の直筆お礼メッセージ(PDF)
●3,000円…1,000円+原稿完成データ/第1回シナリオ(PDF)
●〈5,000円…1,000円+原稿完成データ/第1回シナリオ(PDF)〉(*)
●10,000円…3,000円+サイン入り森達也著作4冊セット(**)+ネーム原稿/打ち合わせメール集(PDF)+スペシャルサンクス掲示
●25,000円:10,000円+森達也監督作品DVD『A』サイン入り(限定15名)
●30,000円:25,000円+複製原画お好みの1ページ分を額装(限定25名)
●40,000円:25,000円+森達也・伊原達矢イラスト付きサイン色紙(限定15名)
●50,000円:25,000円+支援者限定イベント招待(限定10名)
●80,000円:50,000円+森達也・伊原達矢・電脳マヴォとの「食事会・飲み会」(限定1名)
●100,000円A:50,000円+モノクロ生原稿4ページ(限定11名)
●100,000円B:50,000円+カラー扉生原稿1ページ(限定1名)
●500,000円:スペシャルサンクス掲示+伊原達矢と電脳マヴォが12ページの広告マンガを描きます(法人限定1社)

(*)5,000円……リターン品は3000円コースと同内容となりますが、お気持ちで上乗せご支援いただける場合はこちらをお選びください。
(**) 森達也著作4冊セット……『死刑 (角川文庫)』『世界を信じるためのメソッド』『東京番外地 (新潮文庫)』『神様ってなに (河出文庫)』の4冊をセットにしたものです。すべてサイン入り。

※スペシャルサンクスの記載名、各種お宛名のご希望が確認できなかった場合、CAMPFIREのアカウント名にて記載させていただきます。

■7 今後のスケジュール

●2019年8月末日までに第1話を完成。
●2019年7月17日19:00〜21:00:CAMPFIREセミナールームにて支援者限定イベントを開催
●リターン品の発送:2019年10月末日までに完了(ただし500,000円コースのみ2019年12月末日)


■8 作者紹介

森達也

森達也写真

出発点はTVドキュメンタリーのディレクター。今やTVでは放映されることがない「小人プロレス」に取材した『ミゼットプロレス伝説』(1992年)が映像ドキュメンタリーのデビュー作。オウム真理教事件では『A』(1998年)『A2』(2001年)において広報部長荒木浩氏(現Aleph)に密着取材、「オウムの内側から世間を撮る」独特の映像がセンセーションを巻き起こした。2016年にはゴーストライター事件で世間を騒がせた音楽家・佐村河内守氏に取材した映画『FAKE』で物議をかもす。オウム真理教事件を文字によって描いた『A3』(第33回講談社ノンフィクション賞受賞)を全文無料で公開中。

伊原達矢
伊原達矢写真
マンガ家。村上もとか、魚戸おさむ、石川サブロウのアシスタントを経て、『SOUND OF SILENCE』にて第32回小学館新人コミック大賞青年部門を受賞、デビューを果たす。イタリアのマンガ学校で非常勤講師も勤める。技法書多数。2015年、漫画 on WEB主催のネーム大賞で戦前戦後を生きた助産婦を主人公にした『トキ』が準入選、クラウドファンディングによって作品完成に至った。現在イタリアEuromanga Edizioniにて『Le Custodi dello Spirito』連載中。日本語オリジナル版『潮騒の巫女』を漫画 on WEBで連載中。電子書籍『イル・マンガ・ミリオーネ』をnoteAmazon等電子書店にて配信中。

電脳マヴォ
竹熊健太郎イラストⓒ 羽生生純電脳マヴォ:2012年、『サルまん』の竹熊健太郎が有望な新人作家を発掘し、世に出すことを目的に創刊したWEBマンガ雑誌。
電脳マヴォ合同会社:電脳マヴォをマネタイズする目的で設立された会社。新作マンガの企画、新人作品のネット配信と出版プロデュースを行っている。


■9 作者達からのご挨拶

森達也
いまだに漫画は大好きだ。いろいろ読んでいる。そして死刑という重苦しいテーマを、漫画という手法でどのように展開できるのか、作者でありながら読者のような高揚もある。とにかくトライする。映画とはまた違う漫画の魅力を、読者と共に自分も堪能したい。
伊原達矢
数年前、東京拘置所の刑場がマスコミ公開されたことがありました。「死刑」というものを絵空事でしか捉えていなかった僕にとって、その映像はとてもショッキングなものでした。
この部屋の中で死刑囚が確実に命を落としている、それは絵空事ではなく、僕らの日常と地続きの場所で起きている現実なのだと。
「死刑制度」についてはなかなか情報開示されないので語り合うことが難しいです。僕も森監督のシナリオを読んで初めて知ったことが多いです。
漫画という形で数多くの方々に読んでいただくことで「死刑制度」についてのより深い理解と議論ができればと思います。
竹熊健太郎
森達也さんとの出会いからこの作品が始まりました。森さんは長年ドキュメンタリーのジャンルで仕事をされていましたが、「これからはフィクションの仕事もしていきたい」というので、「では死刑をテーマにしてマンガの原作を書きませんか」と言ったところ、即座に「やりましょう!」と答えてくださったのです。森さんの最初のマンガ原作に関わることができて光栄です。

  • 2019/10/31 22:48

    みなさん、こんにちは。事務局の小形です。本日、以下のリターン品(データ)の送信しました。これでリターン品の発送は完了です。▼3,000円コース以上・完成原稿PDFタイトル仮題.pdf(PDF書類 - 33.4 MB)・死刑シナリオ.pdf(PDF書類 - 899 KB)▼10,000円コース以...

  • 2019/10/28 17:54

    本日、下記のリターン品を発送しました。・サイン入り森達也著作4冊セット・森達也監督作品DVD『A』サイン入り・複製原画お好みの1ページ分を額装10,000円コースの方はネコポス便、25,000円/80,000円コースの方は宅急便コンパクト、30,000円コースの方は宅急便での発送になります。ネ...

  • 2019/10/26 10:00

    おひさしぶりです。事務局の小形です。前回のご報告から、だいぶ時間がたってしまって申し訳ありません。ここまでの活動をまとめてご報告させていただきます。7月17日:支援者限定イベントを開催しました。東京渋谷のCAMPFIREセミナールームにおいて、原作の森達也さん、作画の伊原達矢さん、そして支援者...

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