岩手の山奥にある昔は栄華を誇った温泉宿場町の中で、今でもポツリと経営を営んでいる小料理屋さんがあります。



そこの小料理屋さんで出す「味噌漬け」はとても絶品で、野菜の持つ本来の旨味と食感、そして味噌の持つ甘さと塩加減が絶妙であるとても貴重な漬物です。


ところが、そのあまりにも美味しい味噌漬けを食べて慣れ親しんでいた私が、東京に出てきてまず最初に思ったことは「東京の漬物はマズイ」という事です。



なぜ、東京の漬物はこんなにも美味しくないのか?



もちろん、東京でも漬物を作っている人がいるとは思います。

そういう方々には本当に申し訳ないのですが、いかんせん私は「伝説の味噌漬け」に慣れ親しんでいるものですから、その違和感はどうしても拭えないのです。


そんな折、私は岩手の小料理屋の女将さんに、


「なぜ味噌漬けを作らないの?」


と聞いてみたら、女将さんは次のようにと答えていました。


「味噌漬けって言うのは、本当に割に合わないのよ。」

「味噌漬けはね、手間暇をかけた割に、高い値段で売れないの。」

「だからいくら美味しくても、売り物には出来ないのよ。」


何という皮肉な商品なのだろうか、味噌漬けは。


昔の人達は、東北の厳しい冬をこすための保存食として「味噌漬け」という手段を選んだだけで、元々本来はそれを販売するという目的では作っていないんですよね。

もし、販売をするとなると、労力・時間をかけて出来上がったものをコスト計算していったいいくらで売るのか、途方もない高値で販売をしないと割に合わない商品になってしまいます。


女将さんは高齢であり、跡継ぎもいないので、このお店と共に「味噌漬け」も止めてしまうという決断に達しています。

私はとても残念で仕方がありませんでした。

私は、女将さんに言いました。


「私が販売するから、女将さん味噌漬け作り続けてよ。」

「これからも、女将さんの味噌漬けを食べながらお酒を飲みに来るからさ。」


でも、女将さんは、


「…もう、そこまでの体力もないから、ごめんね。」


寂しそうに返事をしていたことを今でも覚えています。




その女将さんが作った「味噌漬け」をべたことのある、お店の常連さんは次のように話しています。

「これがあれば、ご飯が何杯でもいける!おかずいらずだな!」

「塩加減と、旨味。酒のアテとしては最高だよ!」



と絶賛していたんです。

今回この味噌漬けの味を再現するプロジェクトがあることを、お店の常連さん達に伝えると

皆さん口を揃えたように、同じことを言っていました。


「そりゃスゴイ!これが無くなったらどうしようってくらい思ってたからな!出来たら教えてくれよ!

「いつかは食べられなくなる日が来るのかと思っていたけど、味を継いでくれるのは嬉しい!

「応援するよ!頑張って作ってね!


そうなんです。

皆さん顔をほころばせながら、本当に喜んでくれました。



応援してくれる皆さんのためにも、なんとかこの味噌漬けを残すことは出来ないか。

いろいろと手段を模索している最中に、農家から大手スーパーに野菜を卸して出荷のお手伝いをしている私の友人達から、こんな憂いが聞こえてきました。



「同じ土壌で、同じ条件で野菜を作っているのに、味も全く変わらないのに、規格をちょっと外れただけでゴミになってしまう野菜たちがいるんだよね。」


「もったいないけど、仕方ないんだよね。めちゃくちゃ美味しいのに。」



ここで私は閃きました。



友人たちを通して、農家の皆さんにその野菜を譲ってくれないか話をしてもらえないかお願いをしてみました。

手間と時間がどうしてもかかる味噌漬けなら、せめて野菜のコストを下げられれば「伝説の味噌漬け」を作れるんじゃないのか。

関東圏の人たちに、あの美味しい味噌漬けを食べてもらうことができるんじゃないのかと感じたのです。


さっそくプロジェクトを立ち上げて、農家の皆さんに直談判したところ、快く野菜を譲ってくれる許可を頂けました!

これで、女将さんの味噌漬けが作れるかもしれない

私は心が踊りました。

女将さんもきっと喜んでくれるに違いない。



でも、ちょっと待てよ…。



なんで、関東ではそもそも味噌漬けを作らないんだろうか?

私が考えるよりももっと前に、誰か始めていてもおかしくないはずだ…?


調べてみると、関東で味噌漬けを作るにはとてつもない大きな「壁」があることがわかったのです。



その壁とは、「気温が暑い場所では、味噌が腐る」



だから、気温が高い関東圏では味噌漬けを作ることが出来ないんです。

例えば、業務用の大きな倉庫を借りて、温度を一定に保ちながら味噌漬けを作ろうとすると、コスト面から考えた場合とんでもない莫大な金額になることがわかりました。


…だから、東京ではぬか漬けとか、古漬けのような、酸味のある漬物しか作れないんだ。

…やっぱり、女将さんの味噌漬けは東北の山奥でしか食べられないのか。

…それも、あとどれくらい食べることができるのか。あの味噌漬けが食べられなくなる日がくるのか。




私は、味噌漬けプロジェクトを諦めかけていました。

もうこの計画は無理だ。終わりだな。




そう考えていた時に、信じられないことが起きました。

とある縁から、私のプロジェクトに賛同してくれる方と知り合うことが出来て、「倉庫の一角を貸すから、そこでやってみたらどうだ。」と言ってくれたのです。

「あまり大きい場所は無理だけど、そういう話ならなんとかしてあげたい。」

「それでいいなら倉庫を使っても良いよ。」



信じられませんでした。

そうなんです。味噌漬けを作れる場所が、見つかったのです。



私のプロジェクトに賛同する方も徐々に増えてきて、現在では14~5人ほどの人数になりました。

これなら「伝説の味噌漬け」を本当に作ることができるかもしれない。

私はこの状況になった「人々の縁」に感激して、心が震えました。



今ここに

岩手の山奥にある小料理屋の女将さん直伝の

味噌漬けのレシピを元に

関東の生産農家さんの協力を得て

「伝説の味噌漬け」を復活させる

そのプロジェクト発足を宣言します



ーーー 資金の使い道・実施スケジュール ーーー

クラウドファンディングによって得た資金は、味噌漬けの樽や味噌などの必要な材料購入費、並びに保管倉庫の運営費に使用いたします。


実施スケジュールは8月下旬より材料・道具などを取り揃え、9月上旬より付け方開始となります。


季節ごとの野菜が入荷され次第、順次作業開始となります。


手順としては

塩漬け1回味噌の付替え3回、合計4回の付け替えが必要のため

早くとも第一次生産の受け渡しが来年2月以降になります。


出荷については、高額リターンのパトロン様を優先させていただきますのでご了承ください。

順次生産が完了次第、発送させていただきます。


今後も味噌漬けは継続して生産して行きます。

全てのリターンに優先購入券をつけていますので、今後ネットにて販売する場合にも優先して味噌漬けを購入する事が可能となります。



ーーー リターンのご紹介 ーーー

今回のプロジェクトのリターンについては5万円から、3千円まで各種取り揃えております。

専用ページにてご確認ください。



ーーー 最後に ーーー

時代が「平成」から「令和」に変わり、「昭和」世代の先輩方は明治・大正の世代的な、年老いた印象を持たれるかもしれません。

かく言う私も「昭和」世代です。


時代が移り変わっても、変わらないものもある。

失くしちゃいけない物がある。


そうした大切なものは、「後を継ぐ者」がいないことには繋げることが出来ません。

おじいちゃんが、おばあちゃんが、始めたことを孫の世代で実現させる…と言うようなダイナミックな話ではありませんが、繋げるとはそういう事です。

例えば、自分がおじいちゃんや、おばあちゃんになった時に、孫やひ孫が後を継いでくれていたとしたら、コレほど嬉しいことはないでしょう。

それは、畑の耕し方だったり、編み物や裁縫技術だったり、料理かもしれません。

それは些細なことでも、その瞬間はきっと自分のことを思い浮かべてくれているはずです。


失われてしまうかもしれない味噌漬けを残すことで、その味は決して失われることはありません。

この話を女将さんにした時に涙を流しながら喜んでくれました。

「あなたの味は、ずっと残せるんだよ。」

「これからも色んな人に女将さんの味を楽しんでもらえるんだよ。」


きっと、こういった事は人それぞれにあることなのでしょうが、私の場合は「味噌漬け」だっただけです。

私一人では実現できません。

ほんの少しでも構いません。

ぜひあなたの力を私に貸してください。

よろしくお願い致します。

幻の味噌漬けプロジェクト」実行チーム


本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください