▼はじめに

はじめまして。慶応大学2年の今村秀一朗と申します。私は築城計画の立案者であり、琴辻城の棟梁として現場で指揮をとっている者です。

 元来、私は“ものづくり”が大好きで、大学生になったら“皆が驚くようなモノ”をつくりたいと考えていました。ちょうど、私の祖父が群馬県藤岡市に山林地を所有していることが判明したので、ここに高校同期と城を築こうと思い立ち、計画を立てました。昨年の夏に数名の仲間と作業を開始し、次第に人が人を呼び、最終的には10ヶ月で126名の仲間が手伝いに来てくれました。


▼そもそも“琴辻城”とは?

自分の手で城を築きたい…こんな夢、きっと誰でも一度は抱いたことがあるでしょう。そんな“こどもっぽい”夢を、大学生になって本気で実現しようとしているのが『琴辻城築城計画』です。主に東京学芸大学附属高校の現役生と卒業生が中心となって設計、建築、運営しています。本丸の広さはおよそ300坪。ここに4-5つの棟を築く予定であり、その最初のひとつ『囲炉裏の間』が今年6月に完成したばかりです。



“築城”ですので、外見はもちろん、細部に至るまで“日本の城”風に仕上げる必要があります。そこで、先の「囲炉裏の間」建築では、日本古来の建築工法である『軸組木造工法』を採用。“のみ”を使って角材を加工し、これを“組み合わせて”建築します。埼玉の作業場において角材を加工し、完成した部材を群馬に運搬し、現地で組み立てました。



 「囲炉裏の間」は、棟中央に最大8人が囲める囲炉裏を設けています。琴辻城から車で5分ほどのところに澄んだ渓流があり、ここでは鮎が釣れるので、鮎釣シーズンには囲炉裏で鮎の塩焼きを調理することもできます。都会では滅多に体験できない囲炉裏を囲んでの宴会は、盛り上がること間違いなしです。すでに、城を利用した同窓会、交流会が企画されています



先の「囲炉裏の間」の落成により、本計画の実績が目に見える形で示されました。これを受け、ぜひ築城に加勢したい!という人が次々と名乗り出ています。これまでは東京学芸大附属高校の関係者が中心でしたが、ついにその枠を超え、より多様な面々が琴辻城本丸に集まろうとしています。そして、この頼もしい仲間たちとともに、次に手がけるのが「物見櫓」建築です。

 「物見櫓」は、本丸全貌を見下ろせる樹木に建築予定です。天守閣を持たない琴辻城にとって、「物見櫓」は城の象徴となるでしょう。現在、東大、芸大、美大の建築学生らの協力のもと、細かい設計を行なっています。「物見櫓」建築では、高所作業が行われるため、安全帯を使用するなど、安全面において厳重に注意した上で、「囲炉裏の間」以上の完成度を目指します。



▼築城計画で実現したいこと

『築城計画』の名で活動をしている以上、本計画の終着点は“城の落成”です。しかし、本計画の最大の特徴は、運営が“学生主体”であり、彼らの多くが初対面である点です。私自身、協力者126名中47名が作業場で「はじめまして」でした。すなわち、琴辻城本丸が“学生の出会い・交流の場”として機能しているわけです。言い換えれば、我々は築城という活動を通じ、『城』と『若者のコミュニティ』を同時に築いており、私はむしろ後者にこそ、本計画の意義はあると考えています。



築城に関わる学生は、高い知識と志を持っています。例えば、先の協力者126名中109名が大学生であり、東大(20人)、慶大(19)、一橋大(6)、早大(5)、東京理科大(4)、京大(3)、東工大(3)…といったように、多様な大学で高度な知識を習得している者たちです。そんな彼らが、各々の専攻で得た知見を作業場で共有し、議論を交わすという場面がありました。あるいは、大学受験を見据える高校生が、先輩から各々の大学の文化や裏事情を聞くという場面もありました。ある人物が発した「琴辻築城がなければ一生関わることがないような人に出会えた」という言葉は、まさに私が目指す築城の姿そのものでした。

 築城に関っている者は、いずれ各分野でこの国を牽引していくでしょう。「琴辻城関係者だけで一つの国家が作れてしまうのではないか」と誰かが言っていましたが、全くその通りだと思います。霞ヶ関で働く者、司法試験と格闘中の者、世界最先端の研究をする者、起業した者、教育者、芸大美大生、12名の医大生…全く異なる分野の彼らが“築城”の旗印のもとに集結し、ここで接点を持つということは、直接的ではないにせよ、いずれ社会に貢献できるはずです。この社会を動かしているのは、たった一人の支配者でも、一つの大企業でもなく、「人と人との繋がり」だと私は思います。琴辻城は、まだ規模は小さいながらも、人と人を結びつける大役を担える存在だと確信しています。すなわち、琴辻城は「創り続けること」にこそ大義があります。築城を続ける限り、そこには自然と人が集まってくるのです。



先に述べたとおり、本計画は「学生主体」が最大の特徴であり、琴辻城は彼らの丈夫な足腰に支えられています。しかし、「学生主体」であるがゆえに、資金力においては貧弱そのものです。「囲炉裏の間」建築では、私の貯金とアルバイトで何とか持ちこたえましたが、もはやそれも底をつきました。現在、ますます仲間が集まって『これからが築城の正念場!』という時に、資金不足を理由に計画を断念するというのは残念でなりません。故に、ここに皆さまの資金を募っている次第です。



▼資金の使い道

 手数料、税金を差し引いた全額が築城予算に計上され、全て琴辻築城諸費用にのみ使用されます。「囲炉裏の間」建築では、材料費に約120万円、ガソリン・レンタカー代に25万円以上かかっています。さらに「物見櫓」建築では高所作業が行われるため、安全帯などの装備も購入する必要があります。資金の使い道等は全て琴辻城公式ウェブサイトhttps://www.kototsuji-castle.comで詳しく報告していく予定です。ここで、1点ご理解頂きたいことがあります。今回のクラウドファンディングで目標金額に達しなくても「物見櫓」建築は行います。しかし、集まった金額次第で設計変更がある可能性があります。特に、1枚目に写真は現時点での完成予想図であり、外装もが大きく変わる可能性もあります。ただし、『城に馴染む和製ツリーハウス(=物見櫓)を築く』という基本方針は変わることはありません。ご支援くださる方は、その点ご理解の上、よろしくお願いいたします。
 なお、「物見櫓」の完成は令和2年の秋頃を見込んでいます。ただし、我々は“学生身分”ですので、あくまで学業優先であります。よって、学業の進捗状況次第で完成時期が遅れる場合もあります。ご了承ください。


▼リターンについて

 本活動は、特定の個人の利益を追求するものではなく、支援者の方から頂いた大切な資金は、1円でも多く築城に役立てたいと思っており、リターンは質素なものになっています。故に、私たちの活動趣旨を理解し、情熱を感じ取り、応援してくださる方のみ、どうかご支援よろしくお願い致します。





  • 2019/09/20 21:18

    高校生大学生がつくる城、琴辻城。その計画の第一弾で落成した「囲炉裏の間」の完成度が、日に日に高まってきています。第40次琴辻調査隊では大学生10名が参加。彼らのほとんどが初対面でしたが、作業後の囲炉裏を囲んだ夕食会では、大いに盛り上がりました。

  • 2019/09/16 23:16

    琴辻調査隊も気づけば38回目。本日の作業は6人体制でしたが、うち4人は初対面でした。築城全体の参加者は140名を突破。作業のあとに、枯枝を燃やしてキャンプファイヤーをしました。久しぶりに「写ルンです」を使ってみたら、とても風情ある写真が撮れました。

  • 2019/08/12 17:28

    東京大学本郷キャンパスにて、「物見櫓」の設計会議を行いました。物見櫓そのものの構造はもちろん、いかに生樹に負担をかけずに建築するかについて議論しました。

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