情報過密で均一化された現代社会において、私たちのルーツや心を見つめ直し後世に繋ぎたいとの思いで写真集を出版します!作品は「日本の面影」の著書・小泉八雲も愛した島根県出雲地方で湿板写真家のエバレット・ブラウン氏が撮影。日本の島の根っこに現在も残る『面影』を通して豊かさについて考えるきっかけにしたい。

プロジェクト本文

「面影」に宿る日本人の心を伝えたい

情報やものに溢れ、あらゆるものが急速に変化し続けている現代。私たちの生活はたしかに豊かで快適になったかも知れません。しかし世界の幸福度調査で、世界一豊かとも言われる先進国の日本より、はるかに生活水準が低く貧しいであろう発展途上の国々が上位にランクインするのを見る度に、私たちは大切な何かを置き去りにしてしまったのではないかと感じるのです。

大切な何か・・・。それは、情報過密の中で見えにくくなっている私たちのルーツ(根)のようだと思い当たる方はいないでしょうか。自分の生き方、ひいては私たち日本人がはるか昔から繋いできた暮らしを見つめ直すこと。そこにきっと、幸せのヒントがある気がするのです。それを写真集で表現することが出来たら・・・。

それがこの写真集出版プロジェクトのはじまりでした。


湿板写真家エバレット・ブラウン氏

エバレット・ブラウン(Everette Kennedy Brown)さんは、全国を旅しながら、日本の深層文化を探求し続けている湿版写真家です。幕末に来航したペリー提督の随行写真家の末裔で、湿板光画と呼ばれる幕末の黒船時代と同じ技法で写真を撮り続けています。


エバレット・ブラウンさん


神秘的な自然風景、古寺や神社に佇む気配、先祖の生業・記憶を受け継ぐ人々の姿。

「幕末の視点で、日本人が忘れていったものを追っている」と語るエバレットさんの写真には、明治以来、急速に姿を変えていく日本の面影が映し出されます。

「見る瞑想」とも称されるエバレットさんの作品は、まさに幕末時代を思い起こさせるような風合いで、日常の見慣れた風景であるのにそうでないような、見た事のない風景なのに懐かしいような神秘的性を感じさせます。それきっと私たちのDNAに刻まれた記憶に訴えかけるからなのかも知れません。


一畑薬師の境内にある八万四千仏


湿板光画の魅力

エバレットさんが用いる湿板光画という技法では、フィルムではなく薬品を塗ったガラス版に画を造影させます。最大の特徴は、写真の肝心な部分を「自然に委ねる」ことです。ガラスに塗られた溶剤は、気温や湿度によって毎回その条件が変わり、一枚たりとも同じ仕上がりにはなりません。


大きな湿板写真機で撮影に挑むエバレットさん


エバレットさんは、真鍮製のレンズ(明治元年製造!)が取り付けられた木製の大型カメラで撮影を行います。撮影のあいだ、ブレを防ぐためにモデルはしばらく呼吸をとめなくてはなりません。ガラスに像が写し出される、そのわずかな時間のうちにモチーフの内面が湧き立ち、彼らの深い精神性、身体感覚が作品に映り込むのだそうです。


ネガを透かして作品の出来具合を確認


このように、世界的にも珍しい方法と道具を駆使して撮影された彼の作品は、モチーフをあるがままに切り取るのではなく、モチーフの持つ “Spirit” を我々の心に届けてくれます。


なぜ島根なのか

島根県は様々な時代の歴史が幾重にも折り重なった土地で、彩り豊かな文化が現代に脈々と受けつがれています。

古代の遺跡の数々、美しい田園風景、地域に根付いた祭礼行事、暮らしの中に生きる信仰心などが今なお残っており、エバレットさんは現代社会で埋もれゆく「日本文化の源流」、土地と人々を結ぶ「記憶の面影」が、ここ島根で感じられるといいます。


田んぼのそばに佇む石灯ろう。


「魂と魂が出会う場所、祖先と自分が出会う場所、現在と過去が出会う場所だった。(中略)この感覚を、僕は湿版光画の作品を通して表現しようとしている。というか、呼び覚まそうとしている。なぜならその感覚はなくなったのではなく、現代のさまざまな雑音のなかで、ただ聞こえなくなっているだけだと信じているからだ」

(『黒船時代の技法で撮る失われゆく日本』小学館 より)


10年に一度松江で開催される日本三大船神事のひとつ、ホーランエンヤ

この写真集では、石見神楽やホーランエンヤなどや伝統工芸や祭事、古くから受け継がれている文化や風習、人の面影を感じる自然風景、漁師や農家の営みを象徴するモノ・コト・ヒトなど、作品約50点を掲載する予定です。


小泉八雲と開かれた精神  ≪オープン・マインド≫

「日本の面影」といえば、著書『知られぬ日本の面影』で知られる小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)。八雲は自らの五感を通して捉えた「日本の面影」を、文学を通して世界中の人々に伝えました。

松江を「神々の国の首都」と称え、松江の人たちから
『へるんさん』の愛称で親しまれる小泉八雲

また、民俗学者でもあった八雲は明治日本の民衆の暮らしや生業にもまなざしを向け、あらゆる分野の伝承文化を記録するなど、ジャーナリスト、芸術家という視点で、「失われつつある日本」を書き残しました。

八雲と同じ「 開かれた精神(オープン・マインド) 」を根幹にもつエバレットさんは八雲と共通の視点を据えて、古きよき日本の面影を世界に発信し続けています。

折しも2019年はラフカディオ・ハーン渡米150年記念、松江市とニューオーリンズの友好都市提携25周年となる記念の年。10月にはニューオーリンズのヒストリック・ニューオーリンズ・コレクションで、エバレットさんの写真展「日本の面影:オープンライフを求めて―湿版写真に見るラフカディオ・ハーンの足跡」が開催されます。

ニューオーリンズの写真展だけで終えるのが惜しい、ぜひ撮影地となった島根の皆さんに、また、日本の多くの人々にエバレットさんの写真を届けたいという思いは本プロジェクトの出発点でもありました。

ご支援いただいた費用は、写真集の制作だけではなく、島根県内での写真展やエバレットさんの講演会の開催にも充てたいと考えています。


写真集を通して、現代に伝えたいこと

「情報や知識は場所を平均化していくけれど、むしろ『面影』は逆に、その場所を特別にしてくれる。写真を通して、『面影』に触れることで、自分の生まれ育った土地に誇りと愛着を持ち、人間性をも特別にしていくことができる」とブラウン氏は語ります。「ジャーナリズムでは描き切れないものを、湿版写真で伝えたい。」と。

あらゆる価値観が揺らぐ現代社会で、私たちはもう一度それぞれのルーツ(根)を見直し、自分の生き方を見つめ直すことが必要とされているのではないでしょうか。


宍道湖面に点在する「門」


作品の向こうのモチーフに深く、静かに思いをめぐらすことで、情報過密で窮屈になった心身の静寂をも取り戻してほしいのです。

そのきっかけとなるような写真集の出版を私たちは目指します。

ご支援のほど、何卒よろしくお願いします。


エバレット・ブラウン氏よりメッセージ

学生時代に小泉八雲の大作『日本の面影』を読みました。日本をあまり知らなかった僕は、とても衝撃を受けました。アイルランドやドイツのおとぎ話が好きだった子供の頃、ページをめくるたびに日本人の精神性の深さに感動しました。振りかえってみると、松江にインスパイアされた小泉八雲の作品は、僕が日本に来る大きなきっかけとなったのでしょう。

あの頃から『日本の面影』に書かれた日本の繊細な美しい世界を写真で表現したいと思っていました。2016年頃より、地元の方々とのご縁ができ、松江や奥出雲などの場所を案内してもらいました。そして、作品を作りはじめました。

撮影機材を積んで京都から島根に何度となく撮影に来られました。

普通の写真の撮り方に色々な不満があり、一風変わっている写真を制作しています。撮影の現場で、携帯用の暗室テントを設置し、中で湿っているガラスのネガを作ります。これが日本の陰翳礼讃の世界を表現するには一番良いと感じているからです。

この古典的な写真の技法は「湿板光画」と呼ばれ、幕末のころによく使われました。手間暇がかかる作業で、ネガ一枚を作るのに20分を要します。露出機は使えないし、一日、わずか数点の作品が出来れば嬉しいのです。 一枚、一枚の出来上がったネガは焼き物の窯変のように不思議な模様があり、また、いつの時代の情景なのか時代交錯するのが魅力的です。

これからも島根県で『日本の面影』の作品を作り続けたいと思っています。ぜひ、ご支援、ご協力を頂けると幸甚です 。そして、この作品群を写真集として出版し、かつて僕が小泉八雲に感化されたように、日本を知らない若者にもインスパイア出来たら素晴らしいでしょう。


応援メッセージ

【小泉凡氏より】

『エバレットさんの視線は、島根にある日本の面影を見事に捉えています。現代を撮影しても、明治日本の面影がくっきり浮かび上がる湿板写真の数々。八雲が五感で感じた明治日本が甦ります。
私も法螺貝を手にもった姿で、八雲旧居にて撮影してもらいました。クラウドファンディング、応援しています!』

(島根県立大学短期大学部総合文化学科教授・小泉八雲記念館顧問、焼津小泉八雲記念館名誉館長。専門は小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の民俗学的研究やケルト口承文化研究など。小泉八雲の曾孫にあたる。)


【藤岡大拙氏より】

『新しい技術が、必ずしも良いとは限らない。黒と白から成る印影は、モチーフの「リアリティ」を強く感じることが出来る。

ブラウン氏の写真は、独特の深みが感じられて素晴らしい。ぜひクラウドファンディングに成功してもらい、多くの人にみてほしい。』

(歴史学者。NPO法人出雲学研究所理事長。荒神谷博物館長。松江歴史館館長。)


自己紹介

はじめまして。この度クラウドファンディングに挑戦する、プロジェクトチーム「島根の根」です。

メンバーは、湿版写真家のエバレット・ブラウンさんの作品・活動に共感し集まった、島根県松江市在住のデザイナー、編集者、書店の店主です。私たちは職業こそ違いますが、それぞれ本や人に関わり、人と人、人と地域をつなげる活動をしています。


島根の根プロジェクトメンバー(左から沖田・豊田・高橋)

縁あってそれぞれのタイミングでエバレットさんと出会い、自然な流れで集まった三人です。彼の作品の持つ力に心打たれ、一人でも多くの方に彼の湿板写真を見ていただきたく、写真集を製作するためのクラウドファンディングに挑戦します。その写真を通して私たちの住む島根、ひいては日本人の心を伝えたいと思っています。少人数のプロジェクトチームですので、参加メンバーも募集しています。

どうぞご支援のほどよろしくお願いいたします。




制作スケジュール

2019年

9月24日      クラウドファンディングスタート

10月         写真集製作スタート

10月5日      エバレットブラウン氏お話会(宍道町ふるさと森林公園)

10月6日      エバレットブラウン氏お話会(斐川荒神谷博物館)

10月1日~   ギャラリー展示 (小泉八雲記念館)~11/4まで

11月未定     ギャラリー展示@県内各所(予定)

11月29日     クラウドファンディング終了

2020年

1月〜2月    写真集完成、リターン発送

※スケジュールが万が一変更となる場合は、プロジェクト報告にてお知らせさせて頂きます。


資金の使い道(予定)

写真集製作費:138万円(初版限定上製本2000部)

リターン制作費:120万円

CAMPFIRE掲載手数料・決済手数料:42万円

--------------計300万円--------------

※内訳は変更することがございます。

※掲載写真はエバレット氏および撮影者の許可を得ております。


【写真集『Roots of Shimane-仮』出版プロジェクト】

島根の根 事務局:島根県松江市東長江町902−59

  • 2019/11/30 10:29

    昨夜を持ちまして、クラウドファンディングの受付を終了し、104名様から1,132,000円をご寄付頂きました。ご支援ならびに応援メッセージやシェア・拡散などでもご協力頂いたり、皆様からの応援に日々助けられていました。本当に本当にありがとうございました!!!!現在、製本方法や発行部数などを調整し...

  • 2019/11/24 23:32

    こんにちは!ご支援を頂きありがとうございます!エバレットさんの湿板撮影に何度も立会いをされたMitsutaka Kagiさんがエバレットさん紹介動画を作ってくださいました。湿板写真の技法やエバレットさんの略歴、小泉八雲の曾孫・小泉凡先生や職人さんなどモデルとなった方々とのお話など、鍵さんならで...

  • 2019/11/15 17:58

    公私ともに韓国との交流・情報発信を続けておられる、フリーアナウンサーのおがっちさんから、応援コメントをいただきました!ありがとうございます。「山『陰』という文字通りモノトーンと言われがちな風景でも、エバレットさんの写真に映った風景は「濃淡」があってすごく奥が深いです!単なるモノクロ写真ではなく...

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