はじめに・ご挨拶

〈現音 Music of Our Time 2019〉

 “古典派”や“ロマン派”の作品が、それぞれ18世紀と19世紀の“今”の音楽であったのと同じように、私たちの時代には私たちの“今”があり、多くの作曲家たちによる新しい作品が日々生まれています。
 現代を生きる作曲家たちによって1930年に結成された日本現代音楽協会(現音)は、この春、特定非営利活動法人(NPO法人)となり、90周年を迎える今も尚、新たな音楽創造に挑戦し続けています。そして又、作曲と演奏のコンクールの開催、地域や学校との連携、国際交流活動等を通じて、より豊かな音楽文化の形成を積極的に推進しています。
 新たなスタートを切った「現音」のポリシーを詰め込んだ新しい音楽祭、それが〈現音 Music of Our Time〉です。
 「フォーラム・コンサート」では、“今”を生きる作曲家それぞれの⾃由な発想により生み出された新作、近作が一堂に会します。作曲家自身もホールに集い、正に聴衆と作曲家の交流の場としてのコンサートが具現されます。
 意欲的な新作も、演奏されなければ音楽として実現されません。音楽創造には、想像力に富んだ優れた演奏家の存在が不可欠です。「ペガサス・コンサート」は、現代音楽作品の演奏に意欲的な演奏家を支援するシリーズです。演奏家が自ら企画して出演するリサイタルを広く募った結果、今年度は32企画の応募の中から選ばれた3公演を開催します。
 又、ステージと客席の垣根を取り払い、演奏家、聴衆、そして作曲家、みんなが一つになる「音楽づくりワークショップ」は、誰もが音楽創造の現場に参加できる楽しいイベントです。
 コンクール企画は、今年は新進の作曲家のためのコンクールを、次年度は演奏家のためのコンクール(「現代音楽演奏コンクール“競楽”」)も併せて開催予定です。
 今を聴き、今をつくる〈現音 Music of Our Time 2019〉に、ぜひご参加ください。



リターンについて

<ご支援者全員へのお返し>

・フェスティバル期間内の公演のご招待状をお届けいたします
・当協会理事長(作曲家・近藤譲)よりお礼状をお届けいたします


<20,000円以上のご支援者への追加お返し>

・日本現代音楽協会、2020年度春の公演ご招待状
(関東・関西企画から任意選択可)
・日本現代音楽協会新年パーティーへご招待(2020年1月)


<11/28、11/29フォーラム・コンサートのご招待状をお選びいただいた場合>

以下の出品作曲家サイン付きの楽譜を差し上げます。(任意選択可)

11/28
倉内直子「曙光」 ハープ
浅野藤也「5つの前奏曲」ピアノ
橋本信「Vertical and Horizontal II」コントラバス・リコーダー/ケルティック・ハープ
北條直彦「混沌の後に II」ピアノ

11/29
くりもとようこ「数独64番」ピアノ
ロクリアン正岡「小編成吹奏楽曲セット“シュピール室内合奏団作曲編曲コンクール”」


<12/3、12/5、12/9ペガサス・コンサートのご招待状をお選びいただいた場合>

ご来場日の出演者のサイン付きプログラム冊子を差し上げます。

12/3 染田真実子(チェンバロ)
12/5 山田岳(エレクトリック・ギター)
12/9 佐藤淳一(サクソフォン)



Festival Schedule

<Forum Concert>
私たちの時代の作曲家の作品がホールに集う
11/28[木]/11/29[金]  東京オペラシティ・リサイタルホール

第1夜
11/28[木] 18:15開場 18:45開演

(1) 倉内直子/「曙光」ーハープ独奏のための(作曲2019年初演)
鈴木真希子(ハープ)

(2) 楠 知子/気候変動(作曲2019年一部初演)
楠知子(ピアノ)

(3) 河野敦朗/milli(作曲2019年初演)
相川麻里子(ヴァイオリン) 高木早苗(ピアノ)

(4) 浅野藤也/5つの前奏曲〜ピアノ独奏のための(作曲2019年初演)
大須賀かおり(ピアノ)

(5) 桃井千津子/Horse Sense(作曲2019年初演)
ウルグン(モリンホール) 井出德彦(ピアノ)

(6) 橋本 信/Vertical and Horizontal II(作曲2019年改訂初演)
高橋明日香(コントラバスリコーダー) 鈴木真希子(ケルティック・ハープ)

(7) 北條直彦/「混沌の後にⅡ」〜ピアノ独奏のための〜(作曲2019年初演)
松山元(ピアノ)

(8) 植野洋美/Cosmic Ray(作曲2019年初演)
新井貴盛(ヴァイオリン)

(9) 露木正登/クラリネット・ソナタ第1番(作曲2019年初演)
鈴木生子(クラリネット) 及川夕美(ピアノ)


 第2夜
11/29[金] 18:30開場 19:00開演

(1) 田口雅英/三味線弾き歌い(二奏者)の為の「女宮木 二:待つ女たちの幻影」(作曲2019年初演)
山本ゆきの・中井智弥(三味線)

(2) 梶 俊男/柴田千晶の俳句による歌曲(仮題)(作曲2019年初演)
薬師寺典子(ソプラノ)梶俊男(ピアノ)

(3) くりもとようこ/数独64番(作曲2019年初演)
栗本洋子(ピアノ)

(4) ロクリアン正岡/小編成吹奏楽曲セット「シュピール室内合奏団作曲編曲コンクール」(作曲2018年一部初演)
シュピール室内合奏団

(5) 木下大輔/現代の秋—ピアノ独奏のための—(作曲2019年初演)
小池ちとせ(ピアノ)

(6) 松岡貴史/AURA from the earth for guitar(作曲2003年)
土橋庸人(ギター)

(7) 田中範康/響きの残像(作曲2019年初演)
菊地秀夫(クラリネット) 甲斐史子(ヴァイオリン) 松本卓以(チェロ)

(8) 木下牧子/2台ピアノのための「PUZZLE」(作曲2017年改訂初演)
永野光太郎・大瀧拓哉(ピアノ)



<Pegasus Concert> Series Vol.I
未来へ羽ばたく演奏家の為のコンサート・シリーズ
12/3[火]/12/5[木]/12/9[月] 東京オペラシティ・リサイタルホール

①染田真実子(チェンバロ)
「たゆたう真珠」
12/3[火] 18:30開場 19:00開演

染田真実子 チェンバロが華々しく活躍したバロック時代には様々な調律法が存在していました。現在その頃の調律法は古典調律と呼ばれることが多いです。その時代の作品を演奏する上で古典調律を使い分けることによって作品の特徴を引き出し、より作品を味わい深いものにし輝かせます。 留学先のフランスではチェンバロの調律を頻繁にするようになり、その頃より関心を持っていた現代音楽において古典調律法を用いることへの興味も高まりました。 そして、ライブエレクトロニクスの授業を通し、チェンバロとエレクトロニクスの面白さとこの先に広がるチェンバロとの可能性の奥深さに強く惹かれるものがあり、今後も探求していきたい分野です。
今回は上下鍵盤を別の調律法で調整する作品や、ある音だけ高く調律したりと、調律から生み出される世界へアプローチをする作品たちが並びます。
 この調律法とエレクトロニクスをチェンバロと組み合わせ、現代に生きるチェンバロが生み出す新たな音の世界を作りたいと思います。
 今日大きな発展を見せるエレクトロニクスと、中世ルネサンス時代バロック時代に生み出された調律法が交わり、チェンバロとともにそこに生まれる ”音の空間” と ”時間・時代の交差” をタイトルの《たゆたう真珠》に込めました。(染田真実子)

(1) 金子仁美/歯車~ギリシャ民謡によるA(作曲2006年)
(2) 増本伎共子/日々の移ろい(作曲2018年)
(3) ジャン=パトリック・ブザングラン/S’enfuient les ombres(作曲2109年初演)
(4) 金子仁美/歯車~ギリシャ民謡によるB(作曲2006年)
(5) ジャイルズ・ファーナビー/Toy・Giles Farnaby’s Dream
(6) 向井 響/美少女革命:転生(作曲2019年初演)
(7) ジェルジュ・リゲティ/Passacaglia ungherese(作曲1978年)
(8) ジャン=アンリ・ダングルベール/Prelude en sol mineur(作曲1689年)
(9) 松宮圭太/ダングルベール讃(作曲2011年/改作2019年日本初演)

(1)-(6)平均律 (7)中全音律 (8)キルンベルガー調律
(9)中全音律・キルンベルガー調律  (6)(9)クラヴサン+エレクトロニクス

エレクトロニクス:島村幸宏


②山田岳(エレクトリック・ギター)
「独奏楽器としてのエレクトリック・ギターそしてその可能性をめぐって」
12/5[木] 18:30開場 19:00開演

山田岳 エレキギターという楽器は、おそらく現在世界中で最も演奏されている楽器といっても良いでしょう。楽器経験はなくとも、エレキギターという楽器を知らない、という人はおそらくいないと思います。 しかしその音響の特性から言えば、同じギターでもアコースティックのそれとは大きく違い、楽器本体からではなくピックアップを介してアンプから音を出すという発音原理や、数多のエフェクターによる変調の選択肢の膨大さなど、それまでの伝統的な音楽になかった語法を持つ極めて特殊な楽器と言えるでしょう。しかしながら、現代の先鋭をゆく作曲家たちはその特殊性にこそ新しい地平を見出し、様々に多様な作品を生み出しています。 今回紹介する作品たちは、モートン・フェルドマン、湯浅譲二各氏による1950年代エレキギター・ソロ黎明期の作品から、単旋律の多重録音による新しいモワレを生み出したスティーブ・ライヒ、松平頼暁氏の怒涛のエフェクター群を超絶に操る近年の傑作、ドイツの前衛をゆくフォルカー・ハイン、アンプリファイの構造を逆手に取った新しい発想の山本裕之氏、そして今回のコンサートのための川島素晴氏による書き下ろしの新作まで、どれもこれ以上なく個性的といえる作品を集めました。
 そこにあるのは作曲家たちの好奇心溢れる探求の成果であり、同時にこの新しい楽器の可能性への期待と喜びでもあります。
 皆さんの持つエレキギターのイメージをさらに大きく超えた、新しい音楽体験となることでしょう。ぜひお聴き逃しなく!(山田岳)

(1) モートン・フェルドマン/The possibility of new work for electric guitar(作曲1966年)
(2) スティーヴ・ライヒ/エレクトリック・カウンターポイント(作曲1987年)
(3) 湯浅譲二/死者の驕り エレクトリック・ギターのためのプロジェクション(作曲1968年)
(4) 松平頼曉/オスティナーティ(作曲2016年)
(5) 山本裕之/中継のエレキギター(作曲2015年)
(6) フォルカー・ハイン/なぜ、いま(作曲2011年日本初演)
(7) 川島素晴/新作(作曲2019年初演)


③佐藤淳一(サクソフォン)
「フランス・エレクトロニクス音楽の周辺」
12/9[月] 18:30開場 19:00開演

 今回のペガサス・コンサートにおけるリサイタルのテーマは「フランス・エレクトロニクス音楽の周辺」です。
 邦人作曲家として坂田直樹、田中カレン、酒井健治の三人を取り上げました。三人の作風の違いもさることながら、エレクトロニクスに対する解釈の違いや、同じIRCAMで学んだ三人が、邦人としてのアイデンティティをどの様にエレクトロニクスに落とし込んだかを聴いて頂きたいです。邦人以外の作曲家としてはフランス人のP.ジョドロフスキ、ギリシャ人のA .マルケアス、チュニジア出身のC.ロバを取り上げました。上記の邦人作曲家と同じく、それぞれの国のアイデンティティがエレクトロニクスを通じてどう表現されるのか、また彼らの作品から共通して聴こえるフランスらしさとは何であろうか。こういったフランス・エレクトロニクス音楽の「周辺」を多様に取り囲むことにより、そのコアを探求するのがこのリサイタルの一番の趣旨となります。エレクトロニクスの魅力が満載のコンサートですので、どうぞご皆様ご来場ください!(佐藤淳一)

(1) 坂田直樹/フィトリス I (作曲2015年)
(2) 田中カレン/ナイトバード(作曲1997年)
(3) 酒井健治/波と記憶の間に—サイドA(作曲2005-06年)
(4) クリスチャン・ロバ/クラウド(第17エチュード)(作曲2012年)
(5) アレクサンドロス・マルケアス/三つのウインク・リズム(作曲2006年)
(6) ピエール・ジョドロフスキ/サミュエル・ベケットの最後の夢(作曲2013年日本初演)

エレクトロニクス:有馬純寿

佐藤淳一


<Workshop>
参加者・演奏家・作曲家みんなで音楽をつくる
11/30[土] 東京音楽大学池袋キャンパスA地下100

現音・音楽づくりワークショップ Vol.6「“声”のさまざまな可能性にチャレンジ!」
11/30[土] 13:30開始(13:00受付開始)

ワークショップリーダー:低音デュオ(松平敬・橋本晋哉)
コーディネーター:佐藤昌弘(日本現代音楽協会 現代音楽教育プログラム研究部会)

みんなで描いた図形楽譜を、声といろいろな楽器で演奏してみよう
低音デュオ(松平敬/橋本晋哉)“音楽づくりワークショップ”とは、さまざまな「音」を用いて、リーダーと参加者がひとつになって、自由な発想で作品をつくりあげるワークショップです。今回はワークショップリーダーに声楽家・松平敬氏とテューバ奏者・橋本晋哉氏によるユニット「低音デュオ」を迎え“声”をテーマとした音楽づくりにチャレンジします!“声”には話す、歌うだけでなく、他にもさまざまな音の表現が可能です。そのために音符はあえて用いず、自由な発想で描いた図や記号をもとに、声といろいろな楽器を使った新しい音楽を、みんなで楽しみながらつくり、演奏する体験をします。



<Competition>
次代を担う作曲家の為のコンクール公開審査会
東京オペラシティ・リサイタルホール

新しさとは何か—第36回現音作曲新人賞本選会
12/18[水] 18:00開場 18:30開演

▼第一部
(1) モートン・フェルドマン/ショスロスの春(作曲1977年)
(2) ヘルムート・ラッヘンマン/プレッション(作曲1969年)

▼第二部 第36回現音作曲新人賞本選会
(3) 青柿将大/Cut here(作曲2019年)
(4) キム・ヨハン/in time / of times (presentation + representation) (作曲2019年)
(5) 柴山真太朗/Turning Tuning(作曲2019年)
(6) 中村匡寿/フランス組曲(作曲2018年)

【演奏】
多久潤一朗(フルート)(3) 菊地秀夫(クラリネット)(3)(4) 中川日出鷹(ファゴット)(6)
萩原顕彰(ホルン)(6) 村田厚生(トロンボーン)(4)
松岡麻衣子(1)(5)・甲斐史子(ヴァイオリン)(5)(6) 般若佳子(ヴィオラ)(5)(6)
山澤慧(チェロ)(2)-(5) 篠田昌伸(ピアノ)(1) 石川星太郎(3)-(6)

【審査員】渡辺俊哉(長)、福井とも子南聡



本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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