始めに

長野県伊那市の農業法人グリーンスタイルの佐藤です。福島出身のものですが、震災を契機に2011年に長野に移住しました。

現在、千曲川ワインアカデミーの6期生として、長野県東御市でワインの醸造とワインブドウの栽培を勉強しています。そしてこの度、「世界クラスのワインブドウを栽培する人材を1,000名輩出する」というビジョンのもと、ワインブドウ栽培の学校を仲間とともに立ち上げることにいたしました。

仲間には、ワイングローワー(ドメーヌ・コーセイの味村興成氏、佐藤農園の佐藤昭夫氏)、ヴィラディストワイナリー(小西超氏)、土壌・病害虫研究(永山宏一氏)、地域マーケティング(ONE・GLOCALの鎌田由美子氏(講演予定))、フードコンサルタント(白田典子氏(講演予定))といった、ワイン業界に関わる様々な途のプロに参画してもらっています。開校は2021年5月を目指しています。

現在60歳の私が農業に携わって今年で丸38年。これまで福島と長野でりんごや桃、そして生食およびワインブドウといった果樹を中心に栽培技術を磨き、過去にはベトナム農業省の依頼によりベトナムで3年間ブドウ栽培の技術指導にも携わりました。また、長野県農政部の果樹技術協力民間コーディネーターとして、2019年春まで活動しておりました。そのような長年の経験から、農業というものはただがむしゃらにやれば何とかできるというものではなく、確かな知識と経験に基づく教育があって、初めて持続的に成果を得られるものだという信念を持っています。

その私が、ワインブドウの栽培を教える学校を作ろう、と奮起するに至った背景には、私のふるさとである福島でのワインブドウ栽培のかなしい現状があります。

福島では、震災の「復興ワイン」として、2020年のオリンピック・イヤーにワインを出すということを決め、2014年からワインブドウ栽培とワイナリーの建設が始まりました。そこで私自身も一肌脱ごうと指導する立場に立ったのですが、その時愕然としたのは、関わった人々の技術や学びへの関心の低さでした。その後大きな成果のないまま、結局このプロジェクトは途中で中止されました。福島にはすでに12万本ものワインブドウが植えられているのに、栽培指導をしているのはワインブドウ畑に入ったことがない人たち。このままでは、5年後、10年後にはせっかく植えられたブドウの樹たちが次々と枯れていく可能性すらあるのです

栽培技術が未熟なワインブドウ


日本のワインブドウづくりの問題点

あらためて申し上げますが、農業で成果を上げるには、確かな知識と経験に基づく教育が必要です。しかし、現在日本にはワインブドウ栽培の実技を教える場がありません。私が通う千曲ワインアカデミーのように、ワインの醸造技術を教える優良な民間団体は増えてきました。しかし、いずれの団体も、ワインブドウ栽培の実技を中心に教えることまでは手が回っていません。

しかし、みなさん、ワインの出来は、ブドウの質で8割決まるのです。実力と経験のあるワイン醸造家ほど、自らブドウ栽培に力を入れているのがその証拠です。そもそもワインという飲み物は、水すら足さない、ブドウそのものから生まれる自然の産物なのです。ゆえに、いいブドウを育てる確かな技術が広がらない限り、日本が世界レベルのワインの生産地へと飛躍することは望めないのです。そして、ブドウの樹は1本、1本個性を持っています。そのポテンシャルを見極め、与えられた土地・テロワールで最高のレベルまで引き上げてあげるのが、我々栽培者の使命です。

私は福島での苦い経験をきかっけに、「世界クラスのワインブドウ産地の素地を築く」ことを、農業人生最後のチャレンジとして自分に課すことに決めました


持続可能なワインブドウ栽培、その学びの仕組み

いいワインブドウを持続可能なビジネスとして作る」には、以下の3点を確実に実行することが必要となります。

1. その土地の地質・気象条件にあったブドウ品種を選ぶ

2. 若木、成木、老木で栽培管理を変える

3. 収量と品質の適切なバランスを見つける

元気なワインブドウ


これらを座学のみで学ぶことは不可能なのは、みなさんの想像に難くないでしょう。実習においても、1年に1回しかすべてのサイクルを回せないため、10年でも10回、30年でも30回しか経験できないのです。ワインブドウは植えてから10年目にようやく最高の品質にたどりつけると言われることを考えれば、ワインブドウ栽培に関しては長期的に学び改善し続けることの重要性もご理解いただけるかと思います。

これらを踏まえ、私の構想する学校では、以下を教育のコンセプトの柱とすることを考えています。

 ・徹底した現場主義 : 民間のプロの栽培家から学ぶ。 座学3割、現場7割

 ・植え付けから剪定まで : ブドウワインのライフサイクルのすべてを学ぶ

 ・学びを繰り返す : 2年を1クールとして、栽培管理の実技サイクルを2度経験する

 ・学びのコミュニティを作る : 互いの技術と経験を継続してシェアできる仲間を作る

 ・経験、年齢不問 : 誰でも、いつからでもできる!必要なのは高い向上心

2018年 当時 ワインブドウの指導の様子

将来的には、卒業生のみなさんが各地域での栽培リーダーとなり、良質なワインブドウの輪を日本中に広げてもらうことが「日本を世界レベルのワイン産地」に導く最短の道だと信じています。まだ誰も実現したことのないことですが、何年もかけて挑戦するに値するビジョンであることを疑っていません。学校の設立地については、学びに適した圃場、学ぶ方々が通いやすい立地なども考慮し、現在適地を検討中です。

山間部を開墾したブドウ園地


集めた資金の使い方

みなさまからいただいた大切なお金の使い方ですが、おもに以下の初期の立ち上げ費用に充てさせていただきたいと思っています。

・社団法人の設立資金

・初期の運営経費

・初期の講師料、教材開発費

・圃場の賃借料

1年目は30名の受講生(会員)を募集し、立ち上げ以降は受講料(会費)と協賛者のみなさまの出資で賄えるよう、財務計画を作成しています。


おわりに

ワインは、文化です。文化というものは一朝一夕に根付くものではありません。

「日本から世界レベルのワインを」という想い、「世界クラスのワインブドウを栽培する人材を1,000名輩出する」というビジョンにご賛同いただけるみなさまからのあたたかいご支援、ご協力を何卒よろしくお願い致します。みなさまのご期待の沿えるよう、誠心誠意しっかりと前進してまいります。


スケジュール

10月10日 クラウドファンディング開始

11月30日 クラウドファンディング終了

2021年1月 受講生(会員)募集

2021年5月 開校

2021年6月 リターン配送


酒販の免許

酒類販売免許の条件緩和通知書 伊那法1-9


酒類販売管理研修受講証


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