地域住民に寄り添い、出生証明書の取得を引き続きサポートしたい!

私たちは2018年から2年間、ケソン市パヤタス地区で出生証明書の取得支援を実施してきました。その結果として20人の子どもが出生証明書を取得し、学校へ入学することができました。一方でパヤタス地区には、推定で3,100人の子どもたちが出生証明書が未取得(※)であると言われております。1人でも多くの子どもたちが出生証明書を取得できるよう、2020年度も引き続き本支援事業を実施します!
(※2018年ケソン市市役所の推計より)

識字教室の卒業式で学用品を手にする子どもたち

私たちが活動するパヤタス地域について

私たちが活動しているケソン市パヤタス地区は、メトロマニラ首都圏の北東部に位置しており、ゴミの投棄場である巨大なゴミ山(2017年に閉鎖)が存在していることで有名な地域です。ごみ拾いの仕事を求めて地方から多くの貧困層が流入したこの地区では、フィリピンの平均収入の3分の1に満たない、1日約400円以下で生活をしている貧困世帯が過半数を占めています(=フィリピン統計局 2015年時)。学校へ通うことができていない子どもも多く、中には「出生証明書がない」ために学校へ入学することができない子どもたちもいます。

大量のゴミが集められているパヤタスのジャンクショップ

これまでの活動について 〜保護者への支援〜

「このままでは多くの子どもたちが出生証明書がないまま育ってしまう」そんな危機感から、出生証明書の取得支援を2018年から開始しました。具体的な活動の1つは保護者(主にお母さん)への出生証明書取得支援です。出生証明書を取得できていない子どもの保護者の中には文字の読み書きが苦手な方もいらっしゃいます。また実際に取得に必要な情報も知りません。そんな保護者の方に寄り添い、必要書類の作成サポートをしてきました。しかし保護者に対して出生証明書の取得を促すことは非常に困難を伴うものでした。多くの保護者の方が必要な書類を作成を後回しにしてしまったため、予想以上に時間がかかってしまいました。

なぜ子どもの出生証明書の取得を後回しにしてしまうのか…?

子どもがこれまで出生証明書を取得できなかった背景には、保護者の過去が深く関係しています。私たちが調査をした結果、出生証明書を取得できていない子どもの保護者のほとんどが、同じように出生証明書を持取得していませんでした。彼らの多くは田舎の貧困家庭に生まれ、ほとんど教育を受けられることなく小さい頃から働いていました。彼らが経験してきた仕事は農家の手伝い、ハウスメイド、露店商などの非正規雇用です。教育も受けられず、正規の仕事で社会保障も受けられずに生きてきたために出生証明書の必要性や重要性を十分に認識ができていません。

また生活に余裕がないことも、大きな原因の1つです。保護者の方の多くは貧困の日々をなんとか生き抜くために、毎日毎日仕事をしています。ゴミの分別作業を1日中して200ペソほどの収入を得ているお母さん、チキンの販売員の仕事を1日中して200ペソほどの収入を得ているお母さん。その日得た収入でその日や明日の生活費を賄っている人たちにとって、出生証明書を取得するための時間を捻出することは私たちの想像以上に難しいことです。

ゴミの分別作業で生計を立てている家庭。1日得られる収入はおよそ400円ほどである。

それでも出生証明書を子どもたちに取得をして欲しい…!

このような背景を持っている保護者の方に、出生証明書の取得に必要な書類を揃えてもらうことは私たちにとっても大きなチャレンジでした。たった一文字の修正を何週間もできない保護者の方もいらっしゃいました。それでも私たちがこの活動を続けて来れたのは「子どもたちに出生証明書を届けたい!」という想いを持っているからでした。


保護者の皆さんに届いた想い

活動の結果、本年度もようやく出生証明書の取得まであと1歩のところまでたどり着いています。必要書類を11月にようやく揃えることができ、出生証明書発行部局であるフィリピン統計局に申請を提出してきました。あとは発行されるのを待つのみです!!

フィリピン統計局に書類を提出してきた帰り道

保護者の方にも見えてきた変化

「パヤタスの子どもたちに出生証明書を届けたい!」という想いから始まったこの活動ですが、保護者にも良い変化をもたらすことがこれまでの活動で分かってきました。5人の子どもを持つプリンセスさんについて紹介をさせて頂きます。プリンセスさんは5人の子どもと旦那さんと暮らしています。プリンセスさんは普段洗濯婦として、旦那さんは建設作業員の仕事をして生計を立てています。4番目の子どもであるPちゃんは自宅で出産をしたため、出生証明の取得の手続きができておりませんでした。2019年度に私たちがPちゃんの出生証明書の取得を支援し、Pちゃんは現在学校へ通うことができています。

プリンセスさん自身も地方の貧しい家庭出身で子どもの頃にほとんど教育は受けられていませんでした。日々楽しそうに学校へ通うPちゃんの姿を見て今は「私も一度教育を受け直したい」と強く語ってくれています。この事業が子どもだけではなく、その親への影響の与える活動だということを実感しました。私たちはこれからも、出生証明書取得支援を続けていきたいと思います。

I新しい夢に向かって歩みだしたプリンセスさんと子どもたち

来年度も、地域住民へ伴走をしながら取得を支援していきます!

1つ1つの家庭に丁寧に伴走支援をする必要がある出生証明書取得の支援は、労力も時間も非常にかかります。しかし子どもの基本的な権利である「出生証明書」を届けるため、また保護者の方たちをエンパワメントするためにこの活動は継続的に実施をしていきます。

来年度はこれまでの活動に加えて、伴走支援をより効率的に実施ができるように「出生証明書取得ガイド」の作成にも挑戦をします。出生証明書取得のプロセスは非常に複雑で、対象家庭はそれぞれの状況に応じて異なる種類の書類を取得・作成する必要があります。その複雑さが出生証明書の取得を後回しにしてしまう大きな要因の1つであると私たちは考えています。またその複雑さゆえに、現状は一部の限られたスタッフしか伴走支援をすることができません。

過去2年間、私たちは地域を歩き回り、市役所やその他の所轄省庁へ何度も赴き、何度も何度も書類のやり直しをしながらなんとか出生証明書の取得をしてきました。私たちには過去の活動で培った経験とノウハウがあります。そのノウハウを活用して出生証明書取得に関するガイドを作成し、スタッフ・対象家庭に周知をすることで、より多くの家庭に出生証明書の支援を届けられるようにしていきたいと考えています!

支援金の使途について

今回ご支援いただた寄付金は、以下の用途に活用をさせて頂きます。
・出生証明書取得支援に係るフィリピン人スタッフ人件費:約25万円
・出生証明書取得ガイドの作成、印刷費用:約15万円
・子どもたちへのの学用品の購入費用:約3万円
・子どもたちへの識字教室の開催費用 :約7万円

子どもへの識字教室の様子最後に

昨年度・一昨年度と同様に、自分たちで取得することが難しい家庭への個別支援(取得支援と識字教室)は来年度も引き続き実施予定です。それに加えて出生証明書の重要性や取得方法を広く啓発できるガイドを作成することで、より多くの子どもたちが出生証明書を取得できるようになると信じています。是非皆さんと一緒に、フィリピンの貧困地域のより多くの子どもたちに出生証明書を届けたいと思っています。ご支援どうぞ、宜しくお願い致します!

※ソルト・パヤタスでは子どもの権利を尊重して、子どもの個人が特定できないように顔にぼかし加工を施しております。不自然に思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、画像の不正使用・悪用から子どもたちを守るための措置ですので、ご理解頂けますと幸いです。

※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

※「個人が非営利の特定の法人に対し、事業に関連する寄附をした場合には、 所得税(国税)の計算において、寄附金控除(所得控除)又は税額控除のいずれかを選択して確定申告を行うことにより、所得税の控除を受けられることがあります。税制上の優遇措置がこのプロジェクトにあるかどうか、また優遇措置の試算の詳細は当団体にお問い合わせください。

※「寄附金控除」「税額控除」をお受けいただくためには、確定申告の際に、当団体が発行した「領収証」の提出が必要となります。領収証は年に一度、確定申告時期にお送りしています。すぐに領収証が必要な方はご連絡ください。

※領収証はGoodMorning又はCAMPFIREではなく当団体が発行・郵送いたします。

  • 2020/02/13 21:00

    シリーズでお伝えしている、受益者の子どもと家族のストーリー。今回は15歳になる男の子「Jくん」とその家族です。Jくんも昨年、ソルトが実施する識字教室に通っていた一人です。彼は現在15歳ですが、学年は小学5年生。出生証明書を持っていなかったために入学が遅れてしまったそうです。4兄弟の中でJくんの...

  • 2020/02/13 20:00

    シリーズでお伝えしている、受益者の子どもと家族のストーリー。今回は6歳になる女の子「Cちゃん」とその家族です。Cちゃんは現在小学1年生の6歳で、昨年から学校に通い始めました。勉強は好きなようで、インタビュー最中も楽しそうに、難しそうな宇宙学の本をめくりながら答えてくれました。Cちゃんは昨年の支...

  • 2020/02/13 18:58

    シリーズでお伝えしている、受益者の子どもと家族のストーリー。今回は8歳になる女の子「Jちゃん」です。昨年識字教室に参加してくれたJちゃん。今現在8歳で昨年から小学校に通い始めました。基本的にシャイなタイプでインタビュー中も恥ずかしそうにハニカミながら彼女のお姉さんと一緒にインタビューに応じてく...

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください