金沢で出会った地元有力者の方の元邸宅。「数寄屋造(すきやづくり)」の一戸建てで、文化的にも価値の高い建築物です。長期間活用されないまま眠っていて、ひょんなきっかけで私が住むことに。この地を、日本建築を伝える数寄屋ギャラリーとして活用すべく、修繕と調査をしています。ご支援、どうぞよろしくお願いします。

プロジェクト本文

はじめに・ご挨拶

初めまして、長岡志織といいます。私は石川県小松市の出身で、ここ数年はオーストラリアに住んでいました。仕事の関係で帰国し、大好きな金沢に住むことになりました。

今回クラウドファンディングでプロジェクトを立ち上げたきっかけは、実はこの「家」です。単刀直入に言うと、この家を、代表的な日本建築の一つである数寄屋造の素晴らしさを伝える「数寄屋ギャラリー」として修繕し、世界にその魅力を発信したい というのが今回のゴールです。

はい、もっともなご質問です。

勤務先の社長に「せっかく引っ越すなら面白い家に住みたいんですが、どっかないですかね?」と何の気なしに聞いたことが、今回のプロジェクトの全ての始まりでした。ちょっと長いんですがここから自分語りさせてください。

「面白い家」というキーワードを聞いて、しばらく考えた社長。
「ああ、ちょうどいいとこあるよ!」とめちゃくちゃライトに言われ、話はトントン拍子で進みました。
場所は金沢市の中心部、彦三町とのこと。

Googleマップで調べたら、海の幸と北陸の恵みを堪能できる「近江町市場」や地元のデパートとして親しまれる「名鉄エムザ」から徒歩4分、コンビニ・駐車場まで徒歩2分という超好立地。観光の拠点としても、暮らしの拠点としても文句のつけようがありません。



大家さんにも事情を説明してくれて、無事私の帰国後の寝床は確保できました。

【エピソード1】お屋敷との出会い

そしていよいよ、入居日。現地に到着した私は、マジでびびりました。

もう一度言います。

じゅうろくえるでぃーけー、です。

探検してみると、1階はリビングや客間、中庭があり、ゲストルームとして利用されていた気配。2階が居住スペースで5部屋の個室があります。


めちゃくちゃ焦って、社長に電話したところこんな回答でした。



築40年ほどですが、地元の有力者の方がお住まいになっていた邸宅とのこと……。
まさに「お屋敷」です。

そんなおうちをカジュアルに手配してくれちゃう社長も社長ですが、私は何よりもこのおうちにすごく興味を持ち、入居を決意しました。

【エピソード2】なんかここ、普通の家じゃない

実際に生活を始めると、暮らしていくなかでいろんなものを見つけました。

まずは玄関。というか、玄関の外?

天井が木の皮で編まれていて、窓の格子がわりの柵は一本一本竹で作られています。
使われている柱はもちろん、木をそのまま使っています。

ほかにも、不思議な天井はそこかしこに。

素人目にも、丁寧なつくりだということがよくわかるおうち。そして、徹底的に天然素材にこだわっているから?なのか、なんというか息がしやすいのです。(オーストラリアでは長期間の山火事がヤバくて、街中も家の中も常に煙たかったというのもありますが…)


それだけじゃなく、建具とかも、いちいち凝ってるんですよ……。

こんな家を建てた方は、それはそれはお金持ちなのだなと、違う世界を垣間見ているような不思議な気分で毎日を過ごしていました。

【エピソード3】工務店のオジサンに衝撃の話を聞く

そして、ある日事態は動き始めます。

地元の工務店(?)から、エアコンの修理のために一人のオジサンが訪れました。

修理が終わってなんとなく世間話をする私。するとなんとこのオジサン、この家を以前から知っているというのです。そして衝撃の発言が。


オジサンによると、ここは地元でも有名な建築家の方が手がけた物件。(現在はお亡くなりになっているとのこと)
安土桃山時代から伝わる伝統的な「数寄屋造(すきやづくり)という建築手法を用いて作られており、文化的にも高い価値があるというのです。

オジサン:「まぁ〜飲食店としても使えないし、ちゃんと借りたら家賃もそこそこするだろうしなぁ。アンタも困ってるみたいだけど、結構修繕も必要な場所あるよなぁ。
でもここは、建築関係者ならみんな見に来て損はないところだと思うよ。
本当は行政がなんか動けるといいのかもしれんけど、私物だし無理やろうなぁ」


私:「……(やっぱここ、普通の家じゃないよね…)。」

【エピソード4】止まらない好奇心と数寄屋造の専門家オジサン

オジサンとの世間話以来、私はこの家への好奇心が止まらなくなりました。

いつもいろんな家を回っているオジサンみたいな人があそこまで褒めるなんて、本当はこの家、どれだけの価値があるんだろう?

そして、あるとき、友人のツテで出会ってしまったのです。

話してみるとこの数寄屋造オジサンもこのお屋敷に興味があるということで、後日、来てもらいました。



訪問時間、およそ1時間。

結論からいうと、オジサン大興奮。

数寄屋造トークが止まりません。


終始興奮しているオジサンの話をまとめると、こんなかんじ。


ひ、ひええええええ……(穴開けるなって超言われた)


なんとなくわかってはいたけど、そうかぁ。。。


参考までに、写真に解説をつけます。。。。

玄関。天井には勾配がついており、玄関外側の軒先との連帯感を感じさせます。引き戸はすべて特注。土間には**という石材が用いられており、壁は聚楽(じゅらく)。暗くなりがちな玄関を開放的に見せるために窓がしつらえられています。柱の下には自然石の沓石(ふみいし)が使われていて、これは数寄屋造の伝統的な技法だそうです。

客間。内壁は聚楽。書院・床の間・違い棚を施した床脇の3点セットは基本的な書院造に忠実に作られたものとのこと。「建具が凝っているので、金沢の彫金師が関わっていそう。詳しく調べてみると面白いかも」と数寄屋おじさんは教えてくれました。


リビング。床には「古代杉」という建材が用いられており、天井は竹。どちらも伝統的な技法で作られています。窓に見えるのは雪見障子。雪の日など、下部だけを持ち上げて外の景色を楽しむことができます。

現在の「坪庭」の様子。コの字型に囲まれた中に枯山水に基づいた質素なレイアウトでまとめられています。。実はここは2階。下は倉庫です。まだまだ整備が必要なので、頑張ります。屋根が見えにくいのですが、銅葺き(どうぶき)という加工が施されていて、経年とともに侘び寂びが深まっていくことを考えられているそうです。


2階の天井。竹などの自然素材をふんだんに用いたつくり。室内にいるのに自然のなかにいるような心地よさを感じます。


中庭に続く土間は、扉を開けるとまるで深いひさしの中にいるような感覚を味わえます。これは数寄屋造の伝統的な技法で、「内部に静寂をもたらす」ことをコンセプトにつくられているのだとか。
この天井も、外の屋根との繋がりを感じさせる、数寄屋造ならではの技法です。

照明ひとつ取っても、こだわりを感じます。どんな彫金師さんの作品なのか、ちゃんと調べたい……。


二階に上がると、月見窓が幻想的な雰囲気を醸し出しています。



坪庭を臨む、1階・囲炉裏付きの和室です。


主賓用のゲストルームとして使用されていたお部屋。床の間と和式のクローゼット、専用のお手洗いと洗面台があります。柱は全て柾目。絞り丸太と呼ばれる材料だけで一本100万を越し、天井は木目を揃えた「中杢(なかもく)」という仕立てです。ほかにも、畳の縁を細くしたり……日本建築の技が詰まっているお部屋です。


2階の居住スペースです。日当たりがよくて気持ちいいのですが、外の木枠が壊れているので修繕が必要です。


2階と1階をつなぐ階段です。手すりは、天然木のカーブを活かしてつくられた特注品!


柱などで使われている材料の多くが、すでに流通していない希少なものであることも判明。そして、最後に数寄屋造オジサンはボソッと言いました。


* * *

そうして立ち上げたのが今回のプロジェクトです。

このプロジェクトで実現したいこと

みなさまもご存知のとおり、家というのは「使わなければ死んでいく」ものです。
数寄屋造の建築物は、京都を中心に日本各地に点在していますが、そのほとんどが、一般人が訪れるには敷居が高い茶室や個人宅。海外だとパリ市の国立ギメ東洋美術館に2001年に建てられた茶室「虚白」が有名で、アート・建築関係者が数多く訪れる場所になっているようです。

ギメ東洋美術館敷地内の茶室「虚白」。(『数寄屋師の世界 -日本建築の技と美』淡交社より)

このお屋敷は、住む人にも訪れる人にも、あるいは環境にも優しい設計がされていると、住んでいる私自身が感じます。今まで考えたこともありませんでしたが、伝統技法を用いてつくられた建築物には、長時間滞在することで、よりその建物の良さや息づかいのような特徴が見えてくると思います。

だからこそ、このお屋敷を、

と考えています。

また、一つ一つの先人の工夫がどう生かされ、どんな意味や効果を持っているのか、しっかりと調べた上で解説をつくり、国内外問わずたくさんの方に共有したいです。


例えば金沢には、通称「忍者寺」と呼ばれるお寺、妙立寺があります。NINJAのコンセプトがウケて、毎日多くの観光客が国内外から足を運びますが、もちろん忍者に会えるわけではありません。武者隠しのある本堂、数多くの隠し階段、切腹の間、落とし穴などの、独特な建築様式を見にいくわけです。
このお屋敷が観光名所になるかと言われれば自信を持って首を縦に振ることはできませんが、建築関係者の方々や未来を担う建築家志望の若者に訪れてもらうには十分な場所にできるのではないかと思います。



うれしい! うれしいです! 今、あなたの心の声が聞こえてきました……!



私一人のチカラでできることは本当にささやか。でも、今回のクラウドファンディングで資金が集まれば、修繕を加速させ、日本の数寄屋造建築に興味を持つ方々に向けてたくさんの情報発信ができると考えています。


大家さんは応援してくれていますが、今のところ調査や修繕の手配などは私が行っています。このプロジェクトについて、新しく出会った人に話すたびに可能性が見えてきて、やりたいことが増えるのですが、いかんせんお金も人手も足りません…!

このプロジェクトを通じて、このお屋敷の素晴らしさや日本建築の面白さを皆さんに伝えつつ、広い視点で言えば、この場所を訪れた人が、日本や金沢の魅力を再発見してくれたら嬉しいです。


今回のクラウドファンディングでみなさまからいただいたご支援は、主に修繕が必要な箇所の工事費用に充てさせていただきます。

・全部屋のハウスクリーニング費用
・修繕箇所の工事費用(庭の整備、柵などの修理・修繕。かなりあります…)

・空調等の設備費用
・建築様式についての追加調査費用
・数寄屋造について説明するパンフレットの制作費用
・クラウドファンディングサービス利用手数料


リターンのご紹介

今回のプロジェクトでご支援をいただいた方には、長時間滞在していただけるコースを作りました。16LDKのお屋敷ですので、2階の居室スペースに鍵をつけ、簡易的なベッドなどを置いてお泊まりいただけるよう用意します。金額によって、貸切をしていただくことも可能です。
目的はこのお屋敷の良さを知っていただくことですが、単純に金沢旅行の宿泊先としてご利用いただいても構いません。通常、数寄屋造の建築物は、茶室や高級料亭など、長期滞在できない場合が多いと思います。
長時間滞在するからこそ気づく日本建築の良さを、ぜひじっくりと味わってください!

※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


【3000円】お気持ち支援コース
・お礼のメール


  • 【5000円】お気持ち支援&半日体験コース
    ・お礼のメール
    ・平日日中(10:00-18:00)滞在権のご提供 ※事前予約制


  • 【10000円】ウィークディ個室72時間滞在コース
    ・お礼のメール
    ・プロカメラマンによる、お屋敷の写真素材セット(加工自由)
    ・【平日72時間滞在】泊まれちゃう権利のご提供(月〜木曜2泊3日分)
    貸切ではなく、個室のご提供です。2階の居住スペースに鍵付きの個室&ベッドを用意し、お迎えします。
    同一期間内に他の部屋に他のサポーター様が宿泊する可能性があります。


  • 【30000円】いつでも個室72時間滞在コース
    ・お礼のメール
    ・プロカメラマンによる、お屋敷の写真素材セット(加工自由)
    ・【いつでも72時間滞在】泊まれちゃう権利のご提供(曜日問わず・2泊3日分)
    貸切ではなく、個室のご提供です。2階の居住スペースに鍵付きの個室&ベッドを用意し、お迎えします。
    同一期間内に他の部屋に他のサポーター様が宿泊する可能性があります。

  • 【50000円】 VIPルーム72時間滞在コース
    ・お礼のメール
    ・プロカメラマンによる、お屋敷の写真素材セット(加工自由)
    ・【VIPルームにいつでも72時間滞在】 泊まれちゃう権利のご提供(曜日問わず・2泊3日分)
    貸切ではなく、個室のご提供です。もともと来賓用に使われていた客間にお布団を敷いてお待ちしています。
    同一期間内に他の部屋に他のサポーター様が宿泊する可能性があります。


  • 【100000円】ウィークディ全棟貸切72時間滞在コース
    ・お礼のメール
    ・プロカメラマンによる、お屋敷の写真素材セット(加工自由)
    ・【平日72時間滞在】平日・月〜木曜2泊3日貸切宿泊権のご提供


  • 【150000円】 いつでも全棟貸切72時間滞在コース
    ・お礼のメール
    ・プロカメラマンによる、お屋敷の写真素材セット(加工自由)
    ・【いつでも72時間滞在】曜日問わず2泊3日の貸切宿泊権のご提供


  • 【250000円】 一週間全棟貸切コース
    ・お礼のメール
    ・プロカメラマンによる、お屋敷の写真素材セット(加工自由)
    ・【数寄屋造のおうちの「暮らし」を実感!】6泊7日分の貸切宿泊権・優先予約権のご提供


  • * * *

  • ★「お屋敷の写真素材セット」について
    ある程度修繕作業が完了したら、プロカメラマンさんを呼んで建物の撮影を行います。撮影完了後、写真データのダウンロードURLをメールにてお送りします。(2020年5月中の予定)
    枚数は30枚以上を予定しています。

★予約可能期間について
5000円〜250000円のリターンをご利用の方は、2020年6月1日〜2021年5月31日の期間中にご予約をお願いします。


★ご予約について
・第一・第二希望まで2日程の予約希望をご連絡ください。

・10000円〜50000円の「個室72時間滞在コース」をご利用の方:1部屋4名様までご宿泊いただけます。共用スペースは他のゲストも使う可能性があります。お部屋は和室・洋室どちらかとなります。リクエストにはできるだけお応えできるように配慮します。
(1名で宿泊しても、4名で宿泊しても料金は変わりません。ただし、洋室の場合、一部屋あたりのベッド数は2~3台です。それ以上は各部屋にお布団を追加で敷いてのご利用となりますのでご了承ください。)

・100000円〜250000円の「全棟貸切滞在コース」ご利用の方:一棟貸切となり、1階・2階合わせて6部屋の個室およびキッチン、お風呂などの共用スペースをご利用いただけます。(私が管理人として1階の隅の部屋にいますが、プライバシーは守ります)人数は15名程度までのご利用をお勧めいたしますが、それ以上でもご利用可能です。詳細はお問い合わせください。

・このリターンはあくまでも数寄屋造建築の良さを知っていただくことを目的に宿泊体験をご提供するものですので、通常のホテルや旅館などのサービスはありません。フェイスタオルなど、最低限のアメニティは用意する予定です。
ご希望の場合はお風呂・キッチンなどを無料でご利用いただけます。近くに温泉やスーパー、飲食店もたくさんあるので、ご希望に応じてご紹介します!

★予約方法について
トラブルや紛失を防ぐため、宿泊チケットなどの郵送はいたしません。
予約方法については後日メールにてお送りさせていただきます。


最後に

単なる「サポーター(パトロン)」という役割を超え、みなさまにこの物件を生き返らせる「仲間」「共同オーナー」として喜んでいただけるような運用をしていけたらと考えています。

プロジェクト終了のあかつきには、ぜひリターンをご活用いただき大切な方々と思い出づくりにいらしていただけたら嬉しいです。

ご支援・ご協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします・・・!


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