◆はじめに

「あの日、津波で遠くへ流されてもおかしくなかった。でも私は流されなかった。

屋根の下敷きで潰されてもおかしくなかった。でも私は潰されなかった。

潰されなくても、全壊の家と一緒に解体される予定だった。

でも自衛隊の重機が私を救い出してくれた。

救い出されても、野ざらしのまま朽ちてもおかしくなかった。

でも、偶然通りかかった一人の音楽家が私を見つけてくれた。

見つけてくれても、修理不可能とみんなが諦めてもおかしくなかった。

でも、百三十数人目に私を直してくれる人がついに現れた。

そして、再び私は音を奏でられるようになった。

再び私を奏でる手が戻ってきてくれた。

みんな、みんな、ありがとう、ありがとう!

私は傷だらけだけど、この傷と一緒に、七ヶ浜の物語と一緒に、

これからもずっと、みんなの心に残る音を、奏で続けていきたいのです。」


◆ごあいさつ/このプロジェクトで実現したいこと

初めまして、宮城県で音楽講師をしております櫻井由美と申します。私が高校生のときから愛用してきたグランドピアノ、「ローラ」がもし人間の言葉を話せたなら、きっとこう言って皆さんに感謝することでしょう。本当に奇跡の偶然が重なって今の姿になった彼女は、まさに「奏でる震災遺構」ともいえる貴重な存在だと思っています。


「ローラ」という名は、修復時に敢えて残されたボディの傷跡を見て、私のピアノ教室卒業生が西城秀樹さんのヒット曲「傷だらけのローラ」にちなんで命名してくれたものです。私はこれまで、このピアノの奇跡の復活ストーリーを多くの方に知っていただき、その姿を見て、その傷に触れ、甦った音色を聞いてほしい、そしてそれを通じて、宮城県七ヶ浜町という、他と比べてあまり報道されてこなかった小さな被災地の存在を知ってほしいと考え、様々な活動を行ってきました。3年前から開催してきた「ローラちゃん音楽祭」もそのひとつです。


しかし、東日本大震災から10年を前にいま、その継続が危ぶまれる事態に直面しています。そこで是非みなさんの力を貸していただけないかと願い、クラウドファンディングに初挑戦することにしました。


ご支援を仰ぎたい具体的な内容は、以下の通りです。何卒よろしくお願いいたします。

  • 1.このピアノが築いてくれたご縁を地域振興に生かす「ローラちゃん音楽祭」
     継続のための費用 → 
  •   2017年の第1回から補助なしで開催してきましたが、今年のコロナ禍で会場の人数制限が必要となり、次回の開催費用が倍増してしまいました。

  • 2.ローラピアノを現在の保管場所から安住の地へ移動するための費用 → 
  •  これまで町のご厚意で保管していただいている場所からの移動が必要となりました。
  •  精密機械であるピアノの移動には専門業者の手配が必須であり、多額の費用がかかってしまいます。


◆プロジェクトの背景/いきさつ
美しい海の町がガレキの山に

宮城県七ヶ浜町は日本三景松島湾の南側の半島に位置し、三方を海に囲まれた美しい海の町です。その海が恐ろしい津波に姿を変えたあの日。町の面積の3分の1が浸水し、沿岸部はガレキで埋め尽くされ、人口約2万人の町で犠牲者は約100名にのぼりました。が、他の被災地と比べると七ヶ浜が報道されることは少なく、初期は相対的に支援も集まりにくい状況だったと感じます。

そんな七ヶ浜も、大震災から9年の時を経て少しずつ活気を取り戻しつつあります。海の駅はじめ商業施設や宿泊施設などが完成し、海水浴場も再開しました。そして私の実家があった場所は、今では真新しい防潮堤となっています。


私は町の南部の菖蒲田浜という地区に生まれ、毎日目の前の海を眺めて育ちました。ローラは高校進学時に父が買ってくれたグランドピアノで、実家の2階に置いてありました。大震災の当時、私は既に実家を出ていましたが、この部屋でピアノ教室を開くなど定期的に通っていたのです。


そしてあの日が来ました。2日後に見に行くと、実家の1階部分は潰れて数十メートル流されていましたが、ピアノ用に補強した床のおかげで2階は残り、ピアノは潮をかぶりながらもなんとか原型をとどめていました。しかし、そのときはどうする当てもなく、思い出に鍵盤1本くらいとって置ければいい、あとは家と一緒に壊してガレキとして処分するしかない、と思っていたのです。


奇跡の偶然と多くの善意に助けられて

そこから先は奇跡の連続でした。自衛隊による家の取り壊しが始まった際、重機オペレータの方がピアノをつかみ潰さず、文字通り「つまみ出して」くれたのです。とはいえ保管しておく場所はなく、ガレキの前にそのまま放置するしかありません。そのときたまたま七ヶ浜町を訪れていたのが、精力的に被災地訪問をされていた日本のレゲエシンガーMetis(メティス)さんでした。偶然にもピアノの前を通りかかり、なんとかしたいと修復を発案してくださったのです。

そして彼女とスタッフは、全国のピアノ工房に電話して修復できるところを探してくれました。断られること130件以上。もうダメかというとき、ついに神奈川県横浜市のクラビアハウスという工房(ピアノドクター松木一高さん)が手を挙げてくれたのです。松木さんは、ボディの傷はあえて残しながら音源部分はドイツから最高級の部品を取り寄せ、半年かけてみごと修復してくださいました。

そして11月、ピアノは故郷の七ヶ浜に戻ってくることになったのですが、実家はもうなくなっているし、当時の私の住まいにもグランドピアノを置くスペースはありません。このときも方々に相談した結果、町のご厚意で生涯学習センターに保管していただけることになったのでした。

復活したローラの奏でる音を聞いて、震災を忘れないで

その後、傷だらけの姿から「ローラ」と命名されたこのピアノは、“命の恩人”メティスさんのライブをはじめ、複数のアーティストとの「共演」を果たし、その様子は新聞やテレビでも報道されました。また、私のピアノ教室の発表会などでもローラを使ってきました。が、それでも甦った音色を披露できる機会はそう頻繁にはありません。もっと多くの人に聴いてほしい、またピアノだけでなく他の楽器やダンスなども交えて音楽で地域を元気にしたいと考えた私は、2017年9月に「第1回ローラちゃん音楽祭」を開催したのです。

メティスさんや松木さんはじめ、多くの方々の協力のもと、すべて手作りの音楽祭でした。会場はローラの保管場所である生涯学習センターの研修室。出演は私の生徒さんだけでなく、地元の子供たちや有志が自由に発表できる場とし、第2部はメティスさんのライブが中心という構成です。規模は小さいながらも県外からを含む多くの来場者に楽しんでいただき、2018年10月には第2回も開催。プロの出演があることで一定のチケット収入も確保し、なんとか赤字を出さずに運営してきました。

そして第3回を2020年3月に企画。こうして順調に回数を重ねて、一人でも多くの方にローラピアノの傷に触り、その音を聞いてもらうことで、震災の記憶の風化を防ぎ、教訓の伝承に貢献できると思っていたところ、コロナ禍が発生してしまいました。加えて、2021年3月をもって、10年間お預かりいただいた生涯学習センターからの移動を求められ、ローラの「安住の地」を探す必要に迫られたのです。

音楽祭を通じてローラピアノの使命を果たし続けたい

結局、今年3月の第3回ローラちゃん音楽祭はコロナにより中止せざるを得ませんでした。でも私たちはここで諦めたくはありません。震災10年の節目となる2021年3月にはぜひ、第4回ローラちゃん音楽祭を実行したいと考えています。

しかし、第1回、第2回と異なり、次回は感染防止対策のために大幅なコスト増が見込まれます。具体的には、出演者数の制限、控室を含むすべての会場の人数制限を行わなければならず、したがって、これまでの会場としてきた研修室よりも広い部屋へローラを移動したり、控室の数を増やしたりしなければなりません。一方でこれまで収益源としてきたチケット収入や出演者参加料は減少が予想されます。

私たちはそれでも、ローラちゃん音楽祭を継続する意義はあると信じています。

一方、ローラの新しい家探しはまたもや幸運に恵まれ、生涯学習センターからほど近い場所に適切な物件を借りることができました。しかし、彼女の「引越し」は普通の引越し会社には頼めません。精密機械であるグランドピアノは、いちど脚を取り外したり緩衝材で保護したりなど、ピアノ搬送専門の業者に移設してもらわなければならないのです。

無事「新居」に移ることができれば、そこでピアノ教室や練習会などの形で、今よりもっと多くの人にローラピアノに触れてもらうことが可能になる予定です。

音楽祭の継続とローラピアノの移転保管のため、どうか皆さんのお力をお貸しください。


◆資金の使い道/実施スケジュール
【支援金用途】

第4回ローラちゃん音楽祭 会場費             110,000円
プロ出演者 宿泊・交通費          125,000円
プロ出演者 出演料             100,000円
ピアノ移動費×2回(音楽祭時および移転時) 80,000円
スタッフ人件費               85,000円
昼食代         15,000円
印刷代・消耗品      35,000円
感染対策費・雑費     15,000円
クラウドファンディング手数料     支援金の14%

     



2020年11月1日~12月15日 クラウドファンディング実施

2021年3月上旬~中旬予定 第4回ローラちゃん音楽祭開催

2021年3月下旬 ローラピアノの移転予定

◆リターンのご紹介

第4回ローラちゃん音楽祭チケットのほか、ローラを救ってくれたレゲエシンガー、
メティスさんデザインの音楽祭オリジナルTシャツ、オリジナルグッズなどを予定しております。

◆最後に

 大災害の現場には多くの奇跡があります。ピアノが助かったこともそうですが、実は私自身も、東日本大震災の当日、仙台から実家の様子を見に七ヶ浜へ向かう途中で津波に呑み込まれていたかもしれなかったのです。しかし、何かが私に行くなと告げ、途中で引き返したのでした。

数々のご縁と善意に救われ、今の姿で存在するローラピアノは、だからこそ果たすべき役割があると思います。ぜひそれを継続できるよう、どうかご支援をよろしくお願いいたします。



このプロジェクトは、東日本大震災からの復興につながるクラウドファンディングをサポートする
「復興庁クラウドファンディング支援事業」の対象プロジェクトです。




  • 2020/11/25 23:30

    ローラの音色♪その①に続いてその②でございます。陽真里ちゃん(小3)の『バラード』長年一緒にミュージカルをやって来た大親友のお嬢ちゃんで、私が教えるようになって丸2年が過ぎました。『バラード』を説明するのはなかなか難しいので、曲をもとに自由にお話作ってみてと言ったら「泥棒のお話作った!」と!?...

  • 2020/11/25 22:41

    皆さま、こんばんは♪撮影した動画の投稿方法がわかりました(笑)今日午前中にレッスンだったサンリツ ミュージ館 泉の『わげすたづ』(若い人達の意)に聞いて教えてもらい解決!やっと投稿出来ます〜(^^;)『ローラ音色♪その①』は、今年初めてブルグミュラーコンクールに参加した海鈴(かいり)ちゃん(小...

  • 2020/11/23 21:32

    皆さま、こんばんは♪12/15のクラウドファンディング終了まで折返し地点を過ぎた所ですが、おかげ様で目標の88%まで到達しております!ゴールが見えてきました!(泣)そして昨日は、ローラに報告がてら?!、生徒さん達とローラに会ってきました♪と言うのも、今週末『ブルグミュラーコンクール東北ファイナ...

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