NASAによるMARS2020ミッションでは火星にてUAV,Mars helicopter(JPL開発)運用に関する実証実験が行われる予定です。これを受け、私達は今後発展するであろうこの分野において、無人ヘリを用いた火星探査の方法を開発し、また地球上での応用及び実証実験を行う研究をしています。

プロジェクト本文

<概要>

 2020年8月に、NASAによって火星探査にUAV(Mars helicopter)を用いる実験が行われます(MARS2020: https://mars.nasa.gov/mars2020/)。現在の火星探査はローバーによる狭い範囲を密に調査する探査や、人工衛星による広い範囲からのアバウトな探査が主流です。火星の全容をつかむには、人工衛星よりも詳しく、ローバーよりも広範囲な探査の実施が必要と考えました。私たちがこれまでに参加した学会や調査では、火星で十分な飛行ができる機体はまだ開発段階だということがわかっています。しかし今後、十分に飛行できる機体が開発される可能性は高く、実現すれば火星の解明が大きく発展すると考えられています。これを受け、私たちは、今後発展すると見られるUAVによる火星探査において、機体自体の開発ではなく、UAVに様々な機器を搭載しサンプル採取や分析、大気観測を目指します。ここで必要とされる技術は、火星探査のみならず、地球上でも多くの需要があると考えており、山岳での運用や、鉱山、農業分野での活躍が期待できます。地球上での応用に関しても、今後実証実験を行なっていきます。

<これまでの活動・実績>

機体の開発

 この研究において、実験に必要な様々な機器を搭載するので市販品のドローンが使用できず、私たちは機体を1から開発しました。


機体フレームの設計


<機体データ>

全長:700mm

全備重量:990g

飛行時間:7分

搭載機器:GPS、IMU、磁気コンパス、気圧センサ

<開発の様子>

 火星を想定した環境や、地球上での過酷な環境に対応するために、できるだけ構造を簡単にし、実用的な機体にする必要があり、様々な機構を新規開発しました。

その一つが機体の制御を行う回転翼機構の簡略化です。可動部分に複合材料を使用することで、極限まで関節を省略し、信頼性と整備性を向上させました。

その他にも、飛行性能と実用性を考慮し、プロトタイプを完成させました。

その後、大型化、高出力化、制御装置などに改良を経て、実際に実験に使える機体を完成させることができました。

屋外飛行試験(地球での応用)

 概要でも述べたとおり、これらの技術は火星探査のみならず、地球上での需要も高く今後、活躍することが期待されます。そこで、基本的な機体の性能や実用性を確かめるために、屋外にて飛行試験を行いました。

実際に、小型カメラを機体にとりつけ、高度20m付近まで上昇させ操作性や制御装置が問題なく作動するかを確認しました。

 今後、山岳などより過酷な状況での試験を繰り返し、より実用的なものにしたいと考えています。

砂サンプル回収実験(火星での利用)

 まず私たちはサンプル採取機構に着目し、非接触でサンプル採取を行うことを目的とした機構を実際に機体に搭載し、火星の模擬土壌(参考:https://www.themartiangarden.com/)を用いて実証実験を行いました。

結果は、非接触でのサンプル採取では微小量できたが、回収量が足りないので、今後は接触型(タッチダウン)でのサンプル採取機構を開発しようと考えています。

今回しようしたサンプル採取機構

<情報収集>

 火星探査UAVについて調査するために、私たちはAIAA(アメリカ航空宇宙学会)主催の航空宇宙分野における国際学会「SciTech Forum 2020」及び、フランスで開かれた「 Paris Space Week 2020」に参加しました。また、日本では東北大学流体科学研究所主催の「第2回火星ヘリコプター研究会」に参加しました。これらの学会及びシンポジウムに参加し、現時点での火星探査UAVの研究は、基礎研究の段階にあり、固定翼型のUAVや、同軸反転ローター型のUAVといった探査機が考案されていることを知りました。しかし、その火星探査UAVの活用法は考案されておらず私たちはそこに着目するに至りました。

<今後の研究予定>

Visual-SLAMの実装 (2020年3月までに行う予定)

Visual-SLAMとは、搭載カメラの映像を用いて、移動体の自己位置推定と環境地図作成を同時に行う技術のことです。これにより探査地の環境地図を作成し、タッチダウン地点を把握します。

Go-proの実装 (2020年4月までに行う予定)

Go-proにより撮影された画像データをもとに3Dマップを作成します。

Visual-SLAM及びGo-proの実証試験(2020年6月末までに行う予定)

実装し終えたVisual-SLAM及びGo-proを用いて機体をフィールドで飛ばすを試験します。そこで得られたデータをもとに3Dマッピングや自己位置推定を行い、試行錯誤を繰り返す予定です。

タッチダウンによる砂サンプル採取機構の開発・製作(2020年8月末までに行う予定)

UAVによりタッチダウンを行うことで砂サンプル採取を目指します。新しい機構を開発し、3Dプリンターで製作する予定であり、さらにサンプル採取機構そのものにサンプル解析を行うセンサーを取り付けることでデータも取る予定です。具体的には、光線を用いたセンサー類、分光器を考えております。

ガスサンプル採取機構の開発・製作(2020年9月末までに行う予定)

ガスサンプルを回収する機構を開発、製作しその場でガスセンサなどを用いた解析を行わせます。

実証実験

*試験場所は今現在での予定です

試験場所① 筑波大学

試験場所② 筑波山

試験場所③ 千葉県の国土交通省から認定を受けたラジコン飛行場

<資金の使い道>

・新機体の製作

 Flight Controller

 部品の造形

 ブレードなど

 計5万円

・搭載機器

 Intel RealSence Tracking Camera T265 

 Raspberry Pi 3 B+

 Go-Pro

 その他センサー類(SHT31 湿度センサーなど)

 計8万円

・実験材料

 The Martian Garden提供の火星模擬土壌(MMS-2)

 各種機器

 計3万円

・実証実験費用

 試験場利用費など

 計4万円

合計20万円

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

  • 2020/03/28 15:00

    共同研究者と共に作成した進捗報告です。https://note.com/s1811172/n/n17259d67a313僕の研究報告ですhttps://note.com/danishaerospace/n/nd90e0a726e65

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