プロジェクトオーナーの宇理須(うりす)です。

たくさんの方からご支援をいただき、ネクストゴールの800万円も達成できました。お支えいただいている皆さんに心から感謝いたします。

現在、プロトタイプが完成して、実証実験を実施しております。製品化には乗り越えなければならない壁があり、その壁を超えるための研究がどうしても必要となります。

また資金不足で人材を確保できず、現在、私と研究員の2名だけで研究を進めております。今後、質の高い研究を進めるにはもう2名の研究員を招き入れて研究開発できるのが理想です。また本年度中には現在研究をさせていただいている生理学研究所を出ていかないといけません。現在、場所を探しているのです状況です。特殊な装置が多いので移転をすると何百万円という引っ越し費用がかかってしまいます。持続可能な研究環境をつくるにはどうしても資金が必要となります。そこで次の目標を1000万円に設定してプロジェクトを進めていきたいと思います。

一日でも早い製品実用化に向けて必死に実験を進めております。引き続き本プロジェクトへのご支援、ご周知のサポートをいただけると幸いです。

▼はじめに

はじめまして。株式会社ナノルスの宇理須(うりす)恒雄と申します。この度は私の研究に興味を持っていただき誠にありがとうございます。私は2018年にも「ALS発症のメカニズムを解明する、細胞活動の解析装置」の試作プロジェクトを実施いたしました。おかげさまで227名もの方から335万円をご支援いただき、2020年末には装置のプロトタイプを完成させることができそうです。ご支援いただいた方、ご協力いただいた方、その節は本当にありがとうございました。

しかし「さぁ、次は実用化だ」というときに新たな課題に直面いたしました。10年間いただいていた国からの資金援助が2020年3月31日で終了。名古屋大学で研究をつづけることが資金的に困難な状況となったため、現在新たな研究所を建設しているところです。

前回のプロジェクトを実施した際、多くのALSの患者の方、家族の方から研究への期待の声もたくさんいただきました。その声になんとか応えたい、ここで諦めるわけにはいかないと、2020年2月5日にベンチャー企業『ナノルス』を立ち上げました。

とはいえ私はこれまで研究ひとすじ。会社経営に関しては素人ですので、共同代表として仏壇職人であり経営者でもある都築数明氏を迎えました。都築氏は「ウルトラマン」シリーズのヒーローや怪獣の木魚や漬物石をプロデュースしたり、大物芸能人とのコラボレーションなども実現する敏腕経営者。経営は彼にまかせながら、私は研究に専念したいと考えています。度重なるお願いで誠に恐縮ですが、神経難病制圧のためにお力添えをお願いいたします。

はじめましての方のために、あらためて装置の必要性や私が開発するに至った経緯をご説明するとともに、なぜ再びクラウドファンディングをするのかをお話できればと思います。前回同様、やや専門的な話になり恐縮ですが、ご一読いただけますと幸いです。

<プロフィール Profile>

宇理須 恒雄   Tsuneo Urisu

1973年東京大学理学系大学院化学科修了・理学博士。日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所研究員。1983年日本電信電話(株)LSI研究所研究員・グループリーダー。1992年自然科学研究機構分子科学研究所教授。2011年名古屋大学革新ナノバイオデバイス研究センター特任教授。2015年名古屋大学グリーンモビリティ連携研究センター客員教授。2016年名古屋大学未来社会創造機構客員教授。2020年2月株式会社ナノルス設立。

※研究分野、実績、特許などの詳細は文末に記載しております。

▼なぜ、私がこの研究をするに至ったか

幼い頃から興味を持つとトコトンのめり込む性質だった私は、22歳のときに研究者を志しました。以来、約50年。研究者生活を振り返ると、量子力学、相対性理論、レーザーの開発、光検出器の開発、表面科学の基礎研究、さらには病気(神経変性疾患)の研究と、多くの研究者がある特定の分野を追究するなかで、思いもかけず非常に広範な学問分野を渡り歩いてまいりました。

転機となったのは2011年。親しくしていた方がALSに罹患。その原因解明と治療法開発の研究を懇願されたことを機に、私はこの研究を開始いたしました。しかし、残念ながら、その方は成果をご報告するまえに亡くなられてしまいました。彼の遺志を実現するためにも、このプロジェクトを成功させ、装置の開発、そして発症原因の解明を急ぎたいと思います。ご遺族の方々にもお会いしましたが、その深い悲しみに触れ、こんな思いをする方を一人でも減らしたいと研究への想いを強くしました。

ALSの原因解明の研究には、私の50年の研究経験がすべて役立っており、なにか運命のようなものを感じます。この研究をするために、これまでの広範な分野での研究があったように思うのです。また、さまざまな分野の第一人者や権威と呼ばれる多くの方々との出会いにも恵まれています。この出会いとご協力に感謝し、研究室のメンバーとともに全力で現在の課題に取り組む所存です。


▼10万人に1人が発症する「ALS」

「バケツに入った氷水を頭からかぶるか、寄付するか」。2014年、そんなルールでアメリカ合衆国で始まった運動をご存知の方も多いのではないでしょうか。そう。「アイス・バケツ・チャレンジ」ですね。各界の著名人や政治家が頭から氷水をかぶる動画をSNSを通じて投稿したことで他国へも広がり、世界中で社会現象となった運動です。その運動の目的こそ、ALSの認知向上や研究のための寄付を募ることでした。

あらためてご説明すると、ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis /筋萎縮性側索硬化症)とは、脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える「運動ニューロン(運動神経細胞)」が侵される、難病のひとつに指定されている病気です。発症すると全身の筋力が低下し、歩くことも話すこともままならなくなり、呼吸に必要な神経も障害され、発症から3〜5年で自力での呼吸が困難となるため、人工呼吸器による補助が必要となります。しかし、知覚神経や自律神経は侵されないため、五感や記憶、知性を司る神経は正常のまま。つまり、意識や感覚がはっきりしているにも関わらず、顔にとまった虫を手ではらうこともできなければ、大切な人を抱きしめることもできないのです。10万人に1人が発症すると言われ、現在、日本には約8300人前後、世界には約12万人の患者さんがいますが、いまだ治療法は見つかっていません。

▼発症のメカニズム解明に必要な2つのもの

なぜ、ALSの治療方法が見つからないのか。端的に言えば、現時点ではまだ原因がわからないからです。先ほど、ALSは「脳や末梢神経からの命令を筋肉に伝える「運動ニューロン(運動神経細胞)が侵される」病気だと申し上げました。なんだ、原因がわかっているじゃないかと思われるかもしれませんが「なぜ運動ニューロンが侵されるのか」、そのメカニズムがまだ解明されていないのです。解明するために必要なものは2つ。ひとつは、生きた患部のサンプルです。実際の患者さんから採取するわけにはいきませんが、これはiPS細胞の登場によって解決されつつあります。では、発症の解明に必要なもうひとつのものとは何か。それこそ、今回のプロジェクトで実用化を目指す「細胞の解析装置」なのです。

▼「複数」の細胞を「同時」にとらえる装置が不可欠

細胞を単体で解析する装置は、すでにあります。しかし、脳とは無数かつ多種類な神経細胞ネットワークでできている、非常に複雑なもの。ALSをはじめ神経系の難病というのは、その複雑なネットワーク上に遺伝子の変異など発症の原因と、情報を伝達するスイッチの破損などの結果が網目(あみめ)上に分布しており、さらに、その分布は個人個人で異なるため、発症のメカニズムを解明するためには、複数の細胞を同時に解析する必要があるのです。

私たちは研究の結果、解析に必要な下記3つを実現できる技術を発見いたしました。

◎多点で捉えること/細胞の活動(イオンチャンネルの特性・チャンネル電流)を10点以上で同時計測が可能。部品の破損を見つけられる。

◎画像で捉えること/計測を行ったのと同じ細胞とその周辺の細胞について、染色などによる画像解析を行える。電流で観測できない部品の破損などを検出できる。

◎遺伝子解析ができること/計測を行ったのと同じ細胞について、細胞内の遺伝子の解析ができる。病気の原因の情報を得られる。

これらの技術を用いて解析装置を世界で初めてつくろうというのが、前回のプロジェクトでした。

(技術の詳細はホームページ:http://urisu-group.jp/index.htmlを参照ください。/For details of the technology, please visit our website: http: //urisu-group.jp/index.html)

2020年度内にプロトタイプ完成へ

2006年から2011年からALS発症解明の研究に着手。2018年には解析装置のプロトタイプをつくるためのクラウドファンディングを実施し、おかげさまで227名もの方から335万円を超える資金をご支援いただきました。2020年度内には装置のプロトタイプを完成させることができそうです。今後は実証実験を重ね、2022年により精度の高い実用機を完成させ、販売を開始する予定です。

▼資金をクラウドファンディングで集める理由

しかし、冒頭でもお伝えしましたが「さぁ、次は実用化だ」というときにまた資金面の課題に直面いたしました。10年間、国立の研究機関(CREST/国立研究開発法人 科学技術振興機構 )からいただいていた資金援助が2020年3月31日で終了することから、名古屋大学で研究をつづけることが資金的に困難な状況となってしまいました。

しかし、前回のプロジェクトを実施した際、多くのALSの患者の方、家族の方から研究への期待の声をたくさんいただいたこともあり、諦めるわけにはいきません。その声になんとか応えたいと早速2020年2月5日に共同代表である都築と共にベンチャー企業『ナノルス』を立ち上げました。 

神経機能の解析装置を実用化するために、新たな課題も見つかりました。その課題解決に向けてさらなる資金が必要となります。度重なるお願いで恐縮ですが、ぜひまた皆さまの力をお貸しいただけないでしょうか。

大学や国からお金を工面できないのかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。当然のことと思います。ただ、国の補助金を申請するにも「若い研究者を支援する」という主旨の補助金が多く、73歳という年齢がネックになっているのです。

65歳になるまでは、自身でさまざまな助成金や補助金に応募し研究資金を集めてきましたが、それも今年度には底をついてしまいます。


▼応援者メッセージ

このプロジェクトについて研究者仲間や友人、知人に話したところ、多くの方が賛同くださっています。ここでは代表して3名の方からいただいた応援のメッセージをご紹介します。

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この装置は人類の悲願です。

神原秀記博士

日立製作所フェロー、次世代DNAシークエンサー発明者。
2000年のクリントン大統領のヒトゲノム解読宣言に大きく貢献。

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この装置は神経難病の解決に
うまく利用してブレークスルーをもたらす。

井本敬二教授

生理学研究所長。脳の神経回路機能解析と疾患の関係を研究。


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この装置はALS患者に共通する
発症原因の特定に寄与する可能性がある。

野田昌晴教授

基礎生物学研究所教授。
Naチャンネルの発見者。
様々な脳のシステム的研究の世界的権威

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▼日本ALS協会第4代会長・長尾義明氏にもお会いしてきました

ALSの発症をきっかけに、困難を極めるなか絵を描きつづけておられる方がいます。徳島県在住で日本ALS協会の第4代会長を務められた長尾義明さんです。彼の描くこのアイリスの絵に感銘を受け、お時間を頂戴し徳島まで会いに行ってきました。 

製造業の社長を務められていた長尾さん。結婚して20年経った頃に発症され、その後28年間にわたって奥様の看病のもとで闘病生活をつづけておられます。 

長尾氏は、写真のように足で絵を描いておられるアーティストでもあります。1枚描きあげるのにおよそ100時間かかるそうで、600点の絵が掲載された画集(『難病ALSを生きる』エミールソフト開発刊)まで上梓されているので、気の遠くなるような作業です。

今回のプロジェクトについてお伝えしたところ、下記のようなお言葉を頂戴しました。

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プロトタイプ装置の設計図拝見しました。
一日でも早く実用化されることを
全てのALS患者が待ち望んでいます。
頑張って下さい。

長尾義明


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ALS協会の会長として、そしてALS患者のお一人として、大きな期待をお寄せいただいています。そのご期待にお応えするためにも、このプロジェクトを成功させたいと思います。

▼目標金額200万円の内訳

「ALS発症のメカニズムを解明する、細胞活動の解析装置」の実用化には莫大な金額がかかります。もちろん自己資金を投じ、65歳以上でも応募ができる基金の採択を目指し、寄付や物販などを通じて研究費は捻出いたします。その一助として皆さまの力をお借りしたいと考えております。

▼最後に

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。どうしても専門的な話になってしまうため、わかりづらいなと思われる点もあったのではないでしょうか。それでもこうしてお読みいただけたことを、心から御礼申し上げます。

ALSをはじめとする神経系の難病の解決は、人類にとっておよそ150年にわたる悲願。今回のプロジェクトの達成は、発症のメカニズムの解明に向け、そして治療や新薬の開発に向けて大きな一歩となるはずです。

ぜひ、あなたの力を貸してください。

▼リターン品について

■1,000円
・感謝状
・缶バッジ
 ※新たに設立した会社・ナノルスのロゴ・キャラクター入りの缶バッジです。

■3,000円
・感謝状
・缶バッジ
・トートバッグ
 ※新たに設立した会社・ナノルスのロゴ・キャラクター入りの缶バッジ・トートバッグです。

■5,000円
・感謝状
・缶バッジ
・Tシャツ
 ※新たに設立した会社・ナノルスのロゴ・キャラクター入りの缶バッジ・Tシャツです。

■10,000円
・感謝状
・エコバッグ
・Tシャツ
 ※新たに設立した会社・ナノルスのロゴ・キャラクター入りの缶バッジ・トートバッグ・Tシャツです。

■50,000円
・感謝状
・缶バッジ
・エコバッグ
・Tシャツ
 ※新たに設立した会社・ナノルスのロゴ・キャラクター入りの缶バッジ・トートバッグ・Tシャツです。
・研究所ツアー
 ※現在建設中の研究所にご招待いたします。

■150,000円
・感謝状
・缶バッジ
・エコバッグ
・Tシャツ
 ※新たに設立した会社・ナノルスのロゴ・キャラクター入りの缶バッジ・トートバッグ・Tシャツです。
・研究所ツアー
 ※現在建設中の研究所にご招待いたします。
・研究室の壁面にお名前を記載させていただきます。


▼スケジュール

4月 プロジェクト開始
6月 プロジェクト終了
7月 リターン送付開始(予定)

※上記はあくまでも予定のスケジュールです。研究の進捗状況により変更になる可能性があることをご了承ください。


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宇理須恒雄が渡り歩いた研究分野

分子構造学(1968-1973)、半導体レーザー開発(1973-1975)、光増幅器開発(1975-1977)、液晶テレビ開発(1977-1978)、高速光検出器開発(1978-1980)、光ヘテロダイン検出技術開発(1980-1981), フェムト秒光パルス発生技術開発(!981-1983)、シリコン半導体微細加工技術開発(1983-1992)、 シリコン半導体の表面科学(1992-2007)、アルツハイマー病の機構解明(2007-2010)、 ALSの原因解明のためのハイスループット診断装置の開発(2010- 現在)

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実績 詳細はホームページを参照ください。

1.「レーザー発振で、雑音のお陰で、非常に短い光パルスが安定に存在する」ことを証明(1983)。
2.真空紫外光による半導体の新しいナノ加工技術を発明(1988)
3.アルツハイマー病において、脳にアミロイド凝集体の形成機構を新たに解明 (2010)。
4.神経・精神難病の原因解明と創薬のための新解析装置を発明(2014)。

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◎国際特許(PCT出願)

1.「プレーナーパッチクランプ装置、該装置用電極部及び細胞イオンチャンネル電流計測方法」独立行政法人科学技術振興機構出願、PCT/JP2012/081556 発明者 宇理須恒雄、Wang Zhihong, 宇野秀隆、Obuliraju Senthil Kumar, 長岡靖崇

2. 「神経細胞ネットワークの形成およびその利用、並びに神経細胞播種デバイス」、独立行政法人科学技術振興機構出願、PCT/JP2013/057976, 発明者:宇理須恒雄、、ワンツーホン、長岡靖崇、西藤美穂

3. 「プレーナーパッチクランプ装置およびプレーナーパッチクランプシステム」独立行政法人科学技術振興機構出願、PCT/JP2014/072808, 発明者:宇理須恒雄、、ワンツーホン、宇野秀隆、長岡靖崇、 小林 啓

4.「細胞播種培養装置」 独立行政法人科学技術振興機構出願, PCT/JP2015/051905, 発明者:宇理須恒雄、ワンツーホン、宇野秀隆、長岡靖崇

◎国内特許
1.「マイクロバルブを有するマイクロ流路デバイス」、 特願2013-228299、 出願日2013年11月1日、 発明者 佐藤嗣紀、 宇理須恒雄、 宇野秀隆、 権利者 株式会社不二越、 国立大学法人名古屋大学

2.「細胞光応答制御用基板、細胞光応答制御装置、細胞光応答検出装置、細胞光応答制御方法および細胞光応答検出方法」 特願2009-079411,出願日2009年3月27日、発明者 宇理須恒雄、宇野秀隆、浅野豪文 権利者 大学共同利用機関法人自然科学研究機構、

3.「パッチクランプ素子用基板、平面基板型パッチクランプ素子および細胞イオンチャンネル活性測定方法」 特願2008-046145、出願日平成20年2月27日、発明者 宇理須恒雄、宇野秀隆、浅野豪文 権利者 大学共同利用機関法人自然科学研究機構

4.「細胞内容物の回収方法および回収装置」、特願2017-160962、 出願日:2017年8月24日、発明者: 高村禅、宇理須恒雄、石垣診祐、宇野秀隆、 権利者:名古屋大学、北陸先端科学技術大学院大学。

  • 2020/06/03 13:14

    現在、ALSなどの神経難病の解明装置の研究費として使用できる補助金を申請しています。無事に『 新あいち創造研究開発補助金(研究開発(トライアル))』に採択されましたのでご報告いたします。(19番目にあるNANORUSです)https://www.pref.aichi.jp/site/shin-...

  • 2020/04/26 22:54

    4月26日の東海愛知新聞の1面に本プロジェクトを取り上げていただきました。引き続きご支援よろしくお願いいたします。

  • 2020/04/21 23:56

    4月19日(日)に中日新聞社会面に本プロジェクトを取り上げていただきました。引き続きご支援をお願いいたします。

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