不安と空腹を満たす「モーニングとなりカフェ」
■まったく新しい支援のかたち
大阪府立西成高校において2012年より始まった「となりカフェ」。
となりカフェ/高校内居場所カフェは、高校の中に「居場所/サードプレイス」を設置し、そこで「文化の提供」と「ソーシャルワーク支援」を行なう、まったく新しい高校生支援のかたちです。
高校中退予防を目的とし、ひきこもり等に若者を陥らせないことで、少子高齢社会の我が国において最も重要な若者/ハイティーン支援を行なうことを目的としています。
現在、府内や神奈川県などで広がりつつある「高校内居場所カフェ」の元祖であるこの「となりカフェ」を、是非とも存続させたいと願っています。
■ドーナツトークと「となりカフェ」
大阪府立西成高校において2012年より始まった元祖「高校内居場所カフェ」である「となりカフェ」。この活動等を評価されて、officeドーナツトークは、「平成29年度 内閣府『子供と家族・若者応援団表彰、内閣特命担当大臣表彰』」を受賞しています。
「となりカフェ」は、2016年までは行政予算をもとに運営してきましたが、2017年は自主運営となりました。それを機会に活動内容を広げ、貧困等諸事情で朝食をとりにくい生徒を対象に「モーニングとなりカフェ」を2学期より自主事業で開催しました。
「モーニングとなりカフェ」は話題を呼び、また生徒さんの参加も予想以上にあり(15〜20名)、2018年度は1学期より年間を通して開催したいと考えています。
■このプロジェクトで実現したいこと
2017年2学期は、授業開始前の朝の時間をつかって「モーニング」メニューを生徒のみなさんに提供しました。近所の鶴見橋商店街のパン屋さんで焼きたてパンを購入し、挽きたてのコーヒー豆からおいしいコーヒーを入れる。音楽も、朝らしいさわやかな曲を流しました。
家庭の事情(保護者が不在・ネグレクト・ことばの暴力等)で生徒たちはなかなか朝食をとることができず、朝食があったとしても、それは幼いきょうだいたちを優先して自分は遠慮したりしています。
空腹に加えて、「孤独感」に苛まれる一晩を彼女ら彼らは過ごします。さまざまな不満と不安を抱えて登校し、直接教室に入る前に「となりカフェ」でわずかな時間を過ごす。その、となりカフェがもつ「サードプレイス」の力が、生徒たちを和ませるようです(「教室」は生徒たちにとっては、いわば職場、つまり「セカンドプレイス」です)。
貧困問題等があり、生徒たちが家庭内ではなかなか味わえないこうした「モーニング」や「カフェ」の雰囲気や文化を、是非とも1年中を通して毎週体験してほしいと思います。そして、高校生活をできるだけ長く過ごし、一人でも多くの生徒が卒業できるよう、となりカフェは応援したいと考えます。
学校の中での「サードプレイス」
毎週木曜日、朝7時前に、モーニングとなりカフェのスタッフは、大阪地下鉄四つ橋線花園駅を降り、モーニング用の食材を買い出します。
花園駅より徒歩20分の西成高校にて、モーニングの準備をします。ジャムトーストやチーズトースト、ゆで卵、コーヒー、牛乳、オレンジジュース、そしてボサノバやジャズと一いった音楽など、落ち着いた喫茶店の雰囲気を演出していきます。
7時40分頃に生徒は顔を出し始め、朝食をとっていない多くの生徒は、コーヒーやトーストをとりながら、昨夜から今朝にかけてのそれぞれの様子をスタッフに話します。
生徒同士、「おはよう」といった挨拶を交わしたり、教師や見学の大人なども、朝の独特の雰囲気の中で和やかに交流していきます。
そのすべての空間と時間が、どうやら生徒たちに「サードプレイス」としてのくつろぎを与え、「セカンドプレイス」である授業に向けて徐々に心身の準備をさせていくようです。
大阪府立西成高校におけるモーニング提供という画期的な取り組みが、貧困世帯の中でけなげに日々を過ごすハイティーンを支えていくようです。これを、2018年度の4月初めから展開していきたいと構想しています。
2017年は2学期からだったので、中退予備軍の1年生への取り組みが1学期に行なえませんでした。中退は1学期始め、1年生中心に起こる事象です。これを少しでも少なくするためには、1学期初めからの取り組みが必須と考えます。
全国のモデルに
2012年より「となりカフェ」は開設され、西成高校に定着していることはもちろん、テレビや新聞などにもとりあげられ、高校内居場所カフェの象徴として知られています。
高校内居場所カフェには、
1.「文化(音楽や軽食)」の提供による支援、
2.ソーシャルワーク(経済的虐待の発見等)による貧困支援
の2つの直接的意味があり、これらが中退予防につながります。
大阪のなかでも代表的な貧困問題を抱える西成区において、またその西成区における代表高校の西成高校において、高校内居場所カフェを中心とした支援を行なうことは、大阪での貧困支援の象徴になりえます。
またこの取組が、全国へのハイティーン支援のモデルにもなっています。
たとえば大阪府内だけでも10校程度の高校内居場所カフェが開始されており、神奈川県でも10校、ほかに北海道や静岡県で数校の居場所カフェが始まっています。
となりカフェはこれらの象徴であるとともに、「元祖居場所カフェ」として、モーニング提供を開始することは、他の居場所カフェにも良い影響を与えると想像できます。
そしてこのクラウドファンディングへの挑戦も、まだまだ予算的に不安定な他の居場所カフェに対して、「こういう予算確保方法もあるんですよ」といったモデルを提供することができると考えます。
また、行政予算に頼らない予算確保は、恒常的で自由な事業づくりにつながり、それは生徒へのより柔軟なサービスにつながってきます。
■「朝」の新しいかたち
上にも書いたように中退率が高いのは圧倒的に1年生なのですが、その原因として「孤独」や「目標の喪失」があげられます。
そしてそれらの感情や感覚は、圧倒的に「夜」に襲ってくるようです。
また貧困等の事情で親を頼ることができない生徒たちは、そうした孤独や不安を抱えたまま高校に朝たどりつき、セカンドプレイスである教室に入らざるをえないのです。
そんな暗い気持ちに光を差し込むのがサードプレイスであり、その具体的かたちとしてのモーニングとなりカフェのようです。
もちろん、お昼や放課後のとなりカフェも、生徒にとっては必要です。
けれども、朝のカフェ、朝のサードプレイスである「モーニングとなりカフェ」は何か独特な存在で生徒たちを和ませるようです。
こうした特別なサードプレイスが1年続けば、孤独と目標の喪失の不安から少しでも生徒たちは抜け出せる可能性があります。
2年目の「モーニングとなりカフェ」を是非とも1年間実施し、その効果をさらに発信することで、学校における「朝」の新しいかたちを提案したいと考えます。
● 支援金の使いみち
支援金目標額 700,000円
■内訳
材料費 120,000円
人件費 414,000円(専門資格スタッフ @¥1150×6h×2人×30回、交通費含)
スーパーバイズ 50,000円(交通費含)
小計 584,000円
事務手数料(×20%) 116.800円
■合計 700,800円
● 実行スケジュール
3月はじめ 2018年度「モーニングとなりカフェ」コンセプトづくり、毎月のスペシャルドリンクやイベント日程の決定
3月なかば 西成高校とつめの協議
3月末 4月からのスタート備え、美品準備
4月入学式+始業式 スタッフによる全校生徒への挨拶
4月2週目 モーニングとなりカフェ開始
以降、毎週木曜日の朝に「モーニングとなりカフェ」開催、お昼休みにはおにぎりを無料提供する「おにぎりとなりカフェ」も開催(コメは、おてらおやつクラブよりの寄付)
■毎月1度程度「イベント」を行なう(ex.7月七夕、12月クリスマス等)
■11月は、西成高校文化祭に出展(過去「マカロン」等を出店)
■毎回モーニング終了時に、西成高校担当教諭と振り返り会議
Facebookページ(「高校内居場所カフェ」「モーニングとなりカフェ」)において毎回活動報告
https://www.facebook.com/highschoolcafe.project/?ref=bookmarks
https://www.facebook.com/tonaricafe/
田中俊英代表理事による、Yahoo!ニュース個人において随時発信
https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20170915-00075804/
さいごに
階層社会になった日本社会において、次の社会構築の担い手となるハイティーンを幅広いかたちで応援するのは必須となっています。
また、貧困支援の象徴的あり方として、「高校内居場所カフェ」は、経済的下流階層の若者たちを高校中退させずに税と年金の担い手としていくための決め手のひとつだと考えます。
みなさま、どうぞよろしくお願いします。
応援コメントいただきました!
山田勝治(大阪府立西成高校校長)
学校に開いた、ナナメの扉!
校内居場所カフェ=となりカフェは高校生が社会の風を爽やかに受けてエネルギーを溜める場所です。教室、自宅では癒されない想いと時間を提供する大切な場所です。 モーニングとなりカフェは朝食支援の形態をとりながら、生徒の日々を支援するそんな取り組みです。学校としても強く推薦します!
石井正宏(特定非営利活動法人パノラマ代表理事/神奈川県立田奈高校「ぴっかりカフェ」ほか主催)
横浜からいつも気にして見ている
大阪のドーナツトークのチャレンジを横浜からいつも気にして見ている。新しい何かをドーナツがはじめるたびに「オマエもやらなくていいのか?」と、脳内で自問してしまう。 やるにしても、やらないにしても、その理由を明確にすることの連続が、ぼくの支援者としてのアイデンティティを形成させたと言っても過言ではない。 モーニングカフェについては、ぼくらは今のところやらないという選択をしている。でも、どうなるのかとても気になって横浜から見ている。 きっと、そんな目でドーナツの新しい取り組みを日本中の行政職員や支援者が見ている。 そのインパクトは事業の規模やクラウドファンディングの寄付額だけでは測れない、大きなインパクトがあるのだ。リスペクト!
▲写真、向かって右が山田氏、左が石井氏
● お問い合わせ先
【団体名】一般社団法人officeドーナツトーク
【代表者】田中俊英
【HP】https://officedonutstalk.jimdo.com
【facebook】https://www.facebook.com/office.donutstalk/
【Twitter】https://twitter.com/tanakatosihide?lang=ja(代表理事)
【Blog】Yahoo!ニュース個人(代表理事)https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/
【その他】https://www.facebook.com/tanakatosihide(代表理事個人Facebook)
http://toroo4ever.blogspot.jp(代表理事個人ブログ)