はじめまして、高知大学 “あかうし研” です!
私たちは、毎日の世話を通して土佐あかうしと接しながら、日夜研究をおこなっている高知大学農林海洋科学部の家畜飼養管理学研究室 (あかうし研) のメンバーです。
今回は、研究成果である“柚子だっこ”を全国に広め、絶滅の危機にある土佐あかうしの増頭と高知県の畜産振興に貢献したい!という思いを込めて、プロジェクトを立ち上げさせていただきました。
プロジェクトメンバーは、この3人です!
左から岩本侑希子 (修士1年)、松川和嗣 (教員)、岩佐茜 (学部4年)。通称ゆずチーム☆
“土佐あかうし”という牛をご存じですか?
全国的に和牛として知られているのは、黒い毛色で霜降りがたっぷりの黒毛和種と呼ばれる品種ですが、実は、高知県には長年大事に可愛がられてきた褐毛和種高知系、通称“土佐あかうし”と呼ばれる独特の和牛がいます。
土佐あかうしの特長は?
暑さや病気に強く、放牧に適しているといった特長があり、肉質では皮下脂肪が薄く、霜降りが適度に入りヘルシーである、赤肉部分に旨味があり咽喉ごしの風味がよいといった評価を得ています。これらのことより土佐あかうしは、地球温暖化に対応でき、自給飼料の利用に適しており、昨今の消費者の健康志向による多様なニーズにこたえることのできる安心安全な国産牛肉である点で、今後の日本の農業および食品として必要不可欠なものであると考えられます。しかしその飼養頭数は減少し、現在約1,800頭しか飼養されていません。
土佐あかうしの大幅な減少の原因には、高知県内の肉牛飼育農家の減少、および生産農家の黒毛和種への移行が考えられます。現在の牛肉市場での和牛肉の価格は、骨格筋内に脂肪が大理石状に入る脂肪交雑 (いわゆる霜降り) に大きく依存しており、遺伝的に霜降りが入りやすい形質を持つ黒毛和種が日本の和牛総頭数の約98% (158万頭) を占めるに至っています(土佐あかうしは、残念ながら僅か0.1%です・・)。
こちらはメス牛です。 優しそうな顔をしてますね。
こちらはオス牛です。目の周りのアイシャドウが特徴的ですよね。
毛色が濃く、体格もメス牛よりも大きくて、とても雄らしいです。
こちらは子牛です。かわいいですよね。ちょっと足がよごれていますが…(笑)
毎日、高知大学の放牧場で仲間の子牛たちと元気に走り回っています。
土佐あかうしが愛されるのはなんと言ってもその可愛らしさ!赤褐色の毛色をしており、鼻やしっぽ、ひづめが黒いのが特徴です。目の周りの毛も黒く、アイシャドウのようになっているのも土佐あかうしの特徴ですよ。
こちらは、土佐あかうしの飼養頭数の推移です。
(平成27年度 高知県畜産振興課 報告書より)
年々、頭数が減少し、平成27年は1,728頭しかいません。
こちらは、肉牛飼養農家戸数の推移です。
(平成27年度 高知県畜産振興課 報告書より)
そこで、土佐あかうしの絶滅を防ぎ、生産農家さんに貢献したいと取り組んだことが、高知県特産の“柚子”を用いた土佐あかうしの高付加価値化です
高知県は、柚子の生産が日本一で、ジュースやポン酢、化粧品など様々な製品があります。一方、果汁を搾った後の果皮などが大量の廃棄物となり、年間5,900tもの廃棄物が出ています(平成27年度 高知県より)。しかし、この果皮にはビタミンCやポリフェノールなどの機能性物質がたっぷりあって、捨てるのはもったいない!
そこで、私たちは、「柚子果皮を牛の飼料に加えることで土佐あかうしの高付加価値化ができないか」と考え、研究してきました。
高知県が全国1位の生産量を誇る柚子。健康食品として注目されジュースなどに加工されますが、果汁として利用されるのは柚子の約半分です。残りの果皮などの残渣が問題となっています。
こちらが、牛たちが食べやすいように細かく加工した柚子果皮になります。良い香りがしますが柚子だけだと牛は苦くて苦手なので、他の餌とよく混ぜます。
柚子果皮を混ぜた餌を土佐あかうしにあげているところです。
そして、誕生したのが“柚子だっこ”です!
柚子を食べるとどんどん体重が増え、その牛肉からは柚子の爽やかな香りが、と期待しましたが・・・そのような結果にはならずにがっかりしました。
しかし!研究を進めていくと様々な効果が認められました。例えば、健康に良いとされる不飽和脂肪酸が増えることで、さらに脂の口溶けがよく、ジューシーなお肉となりました。また柚子を与えると、土佐あかうし自身の体調が良くなることも分かりました。元々暑さに強い土佐あかうしですが、ここ最近の酷暑では夏バテをしてしまいます。しかし、特に夏場に柚子を与えると、夏バテ知らずで体重も増えてくれるという嬉しい効果が認められました。
今回のチャレンジでは、この“柚子だっこ”の普及広報活動を行い、高知大学で取り組んだ研究成果を全国の皆様に広く知っていただくことを目的としています。
そして、土佐あかうし生産農家の収入増加や後継者不足の改善、飼養頭数の増加を促すことにつなげたいと思っています。
土佐あかうし生産の振興のためには、正のサイクルが必要です
私たちが考える正のサイクルとは、「土佐あかうしの価値が認められる→生産農家の収入増加→新規就農者の増加→土佐あかうしの頭数増加→さらに土佐あかうしの価値が認められる」です。
現在の牛肉の主な評価は、霜降りに代表される「格付け」や、輸入牛肉に求められる価格の「安さ」などです。
一方、私たちが開発を目指しているブランド牛”柚子だっこ”は、環境に優しく (食品廃棄物の利用)、牛自身が健康になり (柚子のもつ抗酸化作用など)、さらに食べて頂く人の健康にも良い牛肉 (飽和脂肪酸の減少、不飽和脂肪酸の増加など)で、これまで我が国ではあまり評価されてこなかった「エシカル (倫理的、道徳的)」な牛肉といえます。
今回のチャレンジによって”柚子だっこ”が広く認知されることで、生産者や産地が“牛飼い”に夢や希望を持ち、若者の参入が増え、土佐あかうしが増えることに少しでも貢献することが私たちの一番の望みです。
資金の使い道
●広報活動における物品費
1) アグリビジネス創出フェア
試食用牛肉費:56,000円
試食用雑費:10,000円
2) "まるごと柚子だっこ"イベント【2月頃開催予定】
イベント用牛肉費:60,000円
イベント用雑費:30,000円
●広報グッズ製作費、返礼品費:229,000円
●送料:15,000円
●クラウドファンディング事業者手数料:100,000円
実際に、来て・見て、“柚子だっこ”を食べてもらいたい!!
今回のクラウドファンディングの資金の一部を使い、
皆様に”柚子だっこ”を味わってもらう。
さらに、研究報告等を行い、”柚子だっこ”について知ってもらう。
そんな、“まるごと柚子だっこ”イベントの開催を現在計画中です!
日時:2017年2月18日(予定) / 10:00-13:00 (予定)
場所:高知大学物部キャンパス
内容:柚子だっこについての研究報告会、柚子だっこが飼育されている畜舎の見学、飼育体験、ブラッシング体験、柚子だっこを味わう食味会といった構成で開催する予定です。おひとり様あたり250g程度の柚子だっこ牛肉をご用意いたします。
支援者の方を優先してご招待する予定です。
詳細はレポートにて報告いたします。