30年間、里親として子ども達を見てきました。その思いの延長線上にあるのが、この【匠の学舎アカデミー】です。 

 

はじめまして。私は本プロジェクトの代表の白川勝です。 

私は、30年ほど前より里親をしてまいりました。

 

きっかけは、生まれて間もなく親の育児放棄により乳児施設に預けられ、その後は養護施設を転々としている子供達のことを知ったこと。

この子供達に少しでも家庭の味を、そして親の愛情をかけてやることができればと思ったのがはじまりです。

 

今までに30人余りの子供達を見てきました。

そしてその子供達のうち、建設業を志した子については、私の経営する建設会社で社員として育てています。

その思いの延長が、この【匠の学舎アカデミー】です。

 

建築業界と若者の明るい未来を切り開く【匠の学舎アカデミー】。

では、その学校について、ご説明します。

 

 

 

職人とは、努力が必ず“生きる道”に繋がっていく世界です。

さて、建築の職人ってどんなものか、皆さまはイメージできますか?

 

建物を作るには、土工、鉄筋工、型枠大工、トビ工、造作大工、軽天工、板金工、塗装工、左官工、木製建具工、家具工、クロス工など、専門的な技術や知識を持ったひとが必要です。

 

それはとても重要な仕事で、まさに【日本をつくる】仕事。

 

そういった仕事に憧れて、「学校へ行くよりも、建設業の職人になりたい」と志す子どもたちを育てるために平成28年に開校されたのが、【匠の学舎アカデミー】なのです。(現在生徒数9名。運営は、地元の建設会社である大企建設㈱の他、12社が協力して行っています。)

 

▼ホームページ

http://takumi-manabiya.com/

▼一般財団法人建設業振興基金でも採り上げられました。

http://www.yoi-kensetsu.com/kassei/casebook/h27fy/jirei/038.html 

 

 

【匠の学舎アカデミー】誕生のきっかけは、 「高校へは行かない、早く働きたい」という子ども達に、目的と猶予期間を与えたいと思ったこと。

【匠の学舎アカデミー】は、建築業界と若者の明るい未来を切り開くための職人学校。“きちんと技術を持った職人”を育てるための学校です。

 

でも、「高校へは行かない、早く働きたい」という道を選んで、ここへやってくる子ども達は、年齢でいえば、わずか15歳。
まだまだ社会に出るには早い年齢です。

それでも、義務教育を終えた子どもたちの場合、公的に支援する仕組みはないのが実情です。

 

だからこそ、【実際の建築現場】を体験しながら、高校卒業の資格を取り、社会に出るための“猶予期間”を持てるようにしてやりたい。

そして、その期間に様々な大人と出会うことで、“自分にとって信頼できる人”と出会えるようにしてやりたい。

結果、彼らが地元の建設会社へ就職するなどすれば、地方を盛り上げる若者の育成にもつながります。

 

また、希望すれば、高校卒業の資格を得るためのカリキュラムも。

この【匠の学舎アカデミー】は、5年制ですが、通信制高校(禅林学園高等学校)と提携しているため、希望すれば最初の3年間で高校卒業の資格も得ることができます。(ここまで仕組みの整った民間の学校は珍しいと自負しています)

そして、まず最初の1年間に様々な建築の専門業種を一通り体験したあと、2年目からは自分に合った専門業種を選んで学ぶこととなります。

 

身体で覚える職人の業を身に付ければ、いつの時代にも、社会から求められる人材として重用されます

「建設業の職人不足」は、今、全国的にも深刻な課題。

景気低迷した際にやめていく人が多く居たこと、それに加え次世代を担う若者を育てていなかったことが大きな原因となっていますが、行政や業界団体を中心とした取り組みも多く行われています。

  

 

とはいえ、「職人」と呼ばれる仕事なので、人材派遣や新人ではどうにも対応できないケースが多く、誰でも良いという訳ではありません。技術を持った方が必要なのです。


匠の学舎アカデミーで技術や知識を習得し、明日を背負ってたつ職人となってほしい。

 

大学卒業者の3年以内の離職率は30%を超えていると聞きますが、それは、目標・目的を持たずに進学した子供達が大半で、就職の段になり初めてそのことに気づき、失速してしまうからではないでしょうか。

 

勉強嫌いな子でも、目標を持って努力すれば一人前の職人になれます。

勉強がよくできるのも、運動が得意なのも、絵が上手なのも、工作が得意なのも・・・その子が持っている能力です。

 

「一人前の職人として、生きる道を自分で選ぶ。」とても素晴らしい生き方だと思います。

(その能力を伸ばし、一人前になるには、もちろん努力は必要ですが!)

 

 

 

 


 

今、抱えている課題は3つ。

(1)認知度が低く、職人を目指す生徒を集めるのが困難であること。

まず、時代の大きな流れの中で、職人というハードなイメージのある職業を選ぶ子どもが非常に少なくなりました。

また、学校の先生にとっては、教え子は宝物です。

しかしながら、【匠の学舎アカデミー】には、まだまだ実績がなく、中学校の先生や、保護者との信頼関係が築けるように様々な活動を行っていますが、残念ながら認知度が低いのが現状です。

 

現在、なんらかの事由で学校へ行きづらくなり、不登校をせざるを得なかった子供達がたくさんいます。

不登校になった要因は様々ですが、何れにしても早い時期に継続した支援の手を差し伸べる必要があります。

 

 

今、【匠の学舎アカデミー】の生徒の中には、どうしても学校に行けない不登校だった…という生徒が二人います。それが、なんとここでは1日も休まず頑張っています。

 

理由はそれぞれだとは思いますが、屈託のない彼らの素晴らしい笑顔を見ていると、もしかしたら、とても凄いことをやっているのではと思いますし、大変意義があったと感じています。二人の保護者からも、喜びのコメントもいただきました。(*末尾記載)

 


多くの不登校の子ども達の中には、職人になる適性を持った子がいることは確かです。【匠の学舎】が、彼らに人生の目標と目的、そして夢を与えることができればと考えています。

  

 (2)子ども達を受け入れてくれる実地研修先の企業の確保が、困難であること。

研修に行く子ども達は、実際に職人として“一人工(一人前の職人として日当をもらえる仕事ができること)”の働きができるわけではありません。

一方受入側からすれば、その子に教えるために職人の手を取られるわけなので、工期・予算遵守を前提に元請業者から各工程を請け負っている専門業者にとっては、生徒の受け入れについては、実は負担がとても大きいものがあります。

現在は、私の本業である建設会社の協力業者会の皆さんに受け入れを依頼していますが、生徒が増えると研修先として賄いきれないところもあり、今後は広く県内の建設会社にも、働きかけをしたいと考えています。

 

▼生徒や、賛同してくれる企業の有志と災害ボランティアにも行ってきました↓

 

 

3)運営資金の確保が困難であること。

生徒たちの中には、毎月の学費の支払いが困難な場合もあります。

また、中学卒業の年齢のため交通手段がなく、かといって学生でもないので、通学や実習現場へ行くための交通に使える【学割】はありません。

たとえ学費を満額徴収できたとしても、50,000円/月なので、現在の生徒数では人件費や車両費、経費を賄うには不足です。現在は、私の本業である建設会社の協力業者会で一部費用を負担していますが、まだまだ自立して運営のできる目処は立っていません。

 

 

生徒を受け入れてくれたり、運営費を補助してくれたりする多くの賛同者が、私たちには必要なのです。

 

今回のチャレンジを通じて、生徒の研修受け入れ先が増えたり、新しく職人を目指す子ども達にこの情報を届けることができればと思っています。

  

 

  

最後に――地方の未来に、こういった仕組みは必要です。

 

【匠の学舎アカデミー】へやってくる生徒の中には、どうしても学校に行けない不登校だったという子や、社会的な配慮やルールを教わる機会がないままに義務教育を終えてしまった子もいます。

中学卒業後、どこかの会社に就職してそれを学ぶことももちろんできるでしょうが、「雇用関係」である以上、甘えは通用しません。また、その職業が本当に自分に合ったものなのか分からないまま就職して、職を転々としてしまうこともありえます。

 

建設業は、人の命を守り、社会を形づくる器であるインフラを担う、いわば社会の基礎を担う職業です。

それを支える職人がいなくなるということはすなわち、インフラの維持そのものが危機に瀕するということでもあります。とりわけ、人口減少が進み建設単価の低い地方ではそれが顕著となるでしょう。

 

地方に残る若者を育成することは、地方経済の活性化にもつながります。また子ども達が目的や目標を持つということは、若年犯罪の予防にもつながります。

 

子ども達が自分の意思でもって未来を選択できるようになる1つの仕組みが、この【匠の学舎アカデミー】なのです。

 

経済は人です、絶対に継続したいと考えています。

 

そして、同じような取り組みが全国に広がっていけば良いと考えていますし、同じ悩みを抱えた事業主は、多くいるものと感じています。

継続と定着のために、応援をよろしくお願い申し上げます。

 

※皆さまよりご支援いただいた資金は、子ども達が学ぶ、工具類・機械の購入等に充てさせていただきます。

 


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保護者様からの声(Aくんの母親)

自信が湧き自己肯定に目覚めたように思えます。

父親との会話も増え、体力も付きたくましく。

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 わたしは今年(平成29年度)匠の学舎に入学した生徒のいち保護者です。

6年前わたしの家族は主人の仕事の関係から沖縄から香川に引っ越してきました。(子供が小学校4年生の時でした。)わが子は沖縄では周囲の人たちに愛され、のびのびと生活していました。

 こちらに移ってから、香川県のことばと沖縄県のことばの違い、生活の違いなどから、なかなか香川の生活に馴染めませんでした。それでも沖縄の生活の延長上子供はなんとか小学校4年、5年、6年と休まず登校でき、皆勤賞も頂きました。

 中学校に入学してから、体調不良を訴えるようになり学校を休みがちになりました。3年間で350日ほど欠席でしたので学校に行けない日がほとんどでした。中学校では香川と沖縄の生活の違いが顕著になり、耐えられないようになったようです。おとなしい性格から女生徒に話しかけられていましたが、そのことにも疲れたようです。また、中学校で人がいじめられているのを見るのが嫌いで、そのことも原因の1つであったようです。休みが増えるにつれ学校の勉強も遅れがちになりました。進路は公立高校を目指していましたが、欠席日数が多いため断念しました。

 そのような時に【匠の学舎】のオープンスクール(去年の9月に開催)のことを知り参加しました。その時、匠の学舎に入学したい、建築職人を目指したいと決意したようです。(元来ものづくりに興味を持っていたことも手伝ったのでしょう。)入学式では生徒代表宣誓を任され、何度も練習をし重責を果たせました。NHKが取材に来ていて、入学式がテレビで放映されました。インタビューに堂々と答えていたのが印象的でした。自信が湧き自己肯定に目覚めたように思えます。

 匠の学舎では職人育成のための知識、一般教養(パソコン、英会話、法律の基礎知識など)や高校卒業のために通信教育を受講しています。現場研修(実習)は5月から始まり、技術の習得に励んでいます。現場研修で得た職人育成協力助成金で授業料がほぼ賄えるシステムになっているのが有り難いです。現場研修は厳しいと思いますが、中学生の時とは違って休まずできているのが驚きです。以前はほとんど父親との会話はなかったのですが、最近自分から父親と話すようになってきました。自分に自信がついてきたのでしょう。食事も以前に比べしっかり食べるようになりました。現場研修で体力がつきたくましくなってきたようです。これからも休まず登校できることを願っております。入学してよかったとつくづく思っています。匠の学舎職員の方々これからもよろしくお願いいたします。

 

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保護者様からの声(Bくんの母親)

自分が頑張っている姿を恩師に報告に。

現場研修は大変だと思いますが、毎朝きちんと起き、張り切って出かけていきます。

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  わたしは今年(平成29年度)に入学した生徒の保護者です。わたしの子供は小学4年生の頃から欠席が目立つようになりました。原因は同級生からのいじめであったように覚えています。5年生でのクラスは学級崩壊になり、保護者か学校にでかけていました。特にわが子は何もしてはいないのによく注意されていたようです。先生が話をあまり聞いてくれないとも話していました。(きっと、担任の先生も疲れていたのではないかと思います。)そのこともあり、学校にだんだんと行きづらくなって引きこもりがちになりました。その後、学校は落ち着いたのですが、相変わらず私の子は登校できずにいました。(登校できるのは昼過ぎでした。)当然、勉強も遅れていきました。

 小学校を卒業し、中学校に入学しました。中学校ではほぼ三分の一ぐらい休んでいました。釣りが好きで学校を休んでは一人で釣りに出かけていました。(友達と一緒に出かけることもありました。)食事は食べたい時にと・・・あまり規則正しい生活ができていたとは思えません。

 今年、匠の学舎に入学しました。わが子が匠の学舎に入学するきっかけになったのは、M先生の建築職人を目指してはどうだろうかという勧めでした。中学校を卒業してからのことはあまり真剣に考えていなかったのですが、(中学校の技術・家庭科の授業で、ものづくり=子供のおもちゃづくりの熱心に取り組んだ経験から)建築職人を目指して頑張ってみようかなと意欲がわいてきたようです。4月6日に匠の学舎に入学してから一日も休まず現在、登校出来ています。現場研修はきっと大変だろうと思いますが、(入学試験、入学式の際、匠の学舎職員からのお話で伺っていました。)毎朝きちんと起き、毎日張り切って出かけていきます。中学生活とは違って、生活にリズムが出てきました。近頃は家族にやさしく接してくれます。また自分が頑張っている姿をM先生にひと目会って報告しようと思い出身中学校に出かけましたが、残念なことにちょうど不在であったようです。夏休みにまた会いに行こうと考えているようです。匠の学舎の良さはいくつかありますが、1つめは高校卒の資格が取れることです。2つめは匠の学舎の授業料が職人育成協力助成金で補えることです。3つ目は卒業後就職の斡旋をしてもらえるということです。職員の先生方は親身になって考えてくれます。本当に感謝しております。後はわが子が、今の気持ちを忘れずに頑張ってくれることだと思います。匠の学舎の先生方、今後ともよろしくお願いします。

 

  • 2018/03/01 08:20

    匠の学舎のクラウドファンディングにご支援、ご協力いただき、誠にありがとうございます。 皆様のおかげで、無事、開催期間を終えるとともに、目標金額を達成できたことを心より御礼申し上げます。

  • 2018/02/19 14:45

    「匠の学舎」RNCテレビ放映予定日時のご連絡をさせていただきます。   2月20日(火)の18:15~西日本放送の「ニュースエブリ」内の特集コーナーにて、   匠の学舎が特集されます。   ぜひご覧くださいませ。  

  • 2018/02/05 10:54

    FM香川の番組、「こけし・はやしの課外授業」の収録に行ってまいりました。   こけし師匠、林先生の軽快なトークに乗せられ、匠の学舎、白川理事長も想いを伝えられたと思います。   ラジオの放送は、2月17日(土)と2月24日(土) の18:30~です。   ぜひご視聴いただき、ご感想...