●400年間、一子相伝の技法を受け継ぐ「高取焼宗家」とは

 高取焼宗家は、初代高取八山が慶長5年(1600年)に、福岡県直方市鷹取山麓にて窯を築いて以来、黒田藩に茶器を納める御用窯として、十三代に渡り、一子相伝の技法を受け継いでまいりました。

 

 初代八山が直方、飯塚と窯を移した後、寛文5年(1665年)に二代目八蔵貞明が東峰村小石原鼓の地に窯を開き、以後、400年間、東峰村にて作陶に励んでまいりました。

 

 高取焼宗家の作陶の技法は、陶土の採取から焼き上げまで、全ての工程を自ら行うところに大きな特徴があります。

 

 たとえば、山から採取した陶土や長石は、窯の側を流れる清流に設置した「唐臼」により、水力を使って細かく砕き、それを水槽で濾して粘土を作ります。

 陶器に掛ける釉薬は、自らが耕した水田からとれた稲を焼き、その灰から抽出します。

 最後の工程、窯焼は、穴窯や登り窯に焼物を詰め、山から取ってきた薪を使って焼成します。

 

 高取焼宗家は、13代、約400年に渡って、東峰村の自然に抱かれながら、その恵みを最大限に活かす事で、作陶を続けてまいったのです。

 

 

 在りし日の唐臼

 

 唐臼は、山から採取した陶土や長石を、水力を使って細かく砕きます。細かく砕かれた陶土や長石は、粘土の材料となります。作陶の一番最初の工程をになう、当家にとっては大変重要な設備です。


 作陶に励む十三代 高取 八山

 

 登り窯焚きの様子



●恵みを与えてくれた自然の力が・・・

 高取焼宗家は、東峰村の自然の恵みをいただきながら、13代にわたって作陶を続けてまいりました。大きな恵みを与えてくれる東峰村の自然。しかし、その自然の力が時には・・・。

 

 7月5日の午後から降り始めた雨は、生まれて初めて体験する大雨でした。駐車場の前を流れる川はみるみる増水し、濁流はあっという間に駐車場と田畑を覆い尽くしました。また、窯の側を流れる沢もあっという間に増水し、濁流となって流れ下ります。

 豪雨は夜中まで降り続き、荒れ狂う自然の力に成す術もなく、一夜を過ごしました。

 

 夜が明けると、そこには想像も出来ない光景が広がっていました。

 

 

 家の前を流れる川にかかる橋には、おびただしい量の土砂と流木がたまり、

 


  駐車場はアスファルトがめくれ、大量の土砂が流入していました。

 

 

登り窯の側を流れる沢は、石垣が大きくえぐられていました。

 

 

登り窯の側を通る小道は土手が大きく崩れ、通れなくなってしまいました。

 

なんとか土砂を乗り越えて進んでいくと、そこにはショッキングな光景が広がっていました・・・。

 

●代々受け継いで来た唐臼・穴窯が被災!作陶がピンチに!

 

 小道に積もった土砂をなんとか乗り越えて、窯の敷地の奥まで進むと、作陶に欠かせない小ぶりな窯である「穴窯」が、裏の山の土砂崩れによって壊れていました。

 

 

 

 

 

 さらには・・・、唐臼までもが壊れていました。

 

 

 

2本ある唐臼の一本は、濁流の力で支点から折れていました。

丈夫な赤松の大木をくり抜いて作った唐臼を折ってしまう水の力に驚きました。

 

 

 もう一本の唐臼も、流されてはいませんが、支点がずれてしまったようで動きません。いつもは清水をたたえている唐臼には泥水がたまっており、その光景にガックリときてしまいました。

 

 大雨が降ったのは、7月5日の午後1時からわずか8時間だそうです。その間に、代々受け継いできた作陶に欠かせない設備に、大きな被害が出てしまいました。

 さらには、売り場・作陶場にも土砂が侵入し、一面泥だらけ。復旧に向けて、一体何から手を付ければいいのか。呆然としてしまいました。

 東峰村小石原鼓のご近所さんにも大きな被害が発生し、7月5日からの数週間は、落ち着かない、あわただしい日々を過ごさざるを得ませんでした。

 

●400年の伝統を受け継いでいくために、唐臼・穴窯の再建を!

 

 今回の豪雨で、高取焼宗家は陶器の生産設備に大きな被害を受けました。

 

 しかし、13代、400年の歴史の中では、このような事もあったのではないか。そして、先祖はそれを乗り越えて、高取焼の伝統を受け継いで来たのではないだろうか。

 

 多くのお客様からの励ましの声や、災害復旧ボランティアの方々から元気をいただき、少しずつ、そう思えるようになってまいりました。高取焼宗家は、東峰村の自然に抱かれて作陶を続けてまいりました。この地以外では、高取焼宗家は作陶をすることはできません。

 

 やはりこの地で、もう一度土を作り、ろくろを回し、窯を焚く。その営みを、私たちは続けていかなくてはならないのです。

 

 そのためには、唐臼と穴窯の再建が不可欠です。ぜひ皆様に、その再建プロジェクトへのお力を頂きたいのです。

 

 唐臼と穴窯の再建には、長い時間がかかります。特に、唐臼は大きな赤松の一本木を探すところから始めるため、2~3年ほどの時間がかかると想定しています。

 

 再建した唐臼で土を作り、それを穴窯で焼いて器を作るまでは、さらに1年ほどの時間がかかると思います。

 

 是非、皆様には、この「高取焼 400年の伝統を守る」という長い長い道のりにご参加いただき、共に再生・復興の道を歩んでいただきたいのです。

 

●支援金の使いみち

 

 皆様からのご支援は、

 

 1)唐臼の再設置

 2)穴窯の再建

 

 の費用の一部として活用させていただきます。

 

 息の長いプロジェクトとなりますので、ご支援いただきました皆様には、都度、レポートにて進ちょくをご報告させていただきます。

 

 ●実行スケジュール

 

 募集期間:2017年9月25日からの79日間

 

 実施期間:2018年初頭~2021年末までの3年間、あるいはそれ以上

 

 

● お問い合わせ先

 

  高取焼宗家 十三代 高取八山妻  七絵

 

  福岡県朝倉郡東峰村小石原鼓2511

  TEL 0946-74-2045

  FAX 0946-74-2855

 

 

  • 2020/01/07 09:11

    皆さま、ご無沙汰しています。 明けましておめでとうございます。   漸く、漸く、芳名板が出来上がりました。 最初は陶器のものでと計画してましたが、小石原は寒くて冬に凍結すると割れてしまいます。 せっかく作ったのに割れては何もならないので、杉の板に十三代が一つひとつ手書きさせていただき...

  • 2018/12/15 08:29

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