プロジェクトをお読み頂き、ありがとうございます。
私、東郷と申します。
幼いころに一緒に暮らしていた祖母が和裁士(着物を作るお仕事)だったこともあり、
1枚の布が着物に縫い上げられていく様子に感動し、毎日着物を見ていました。
そのせいか、幼い頃から職人と呼ばれる人たちが好きで、伝統工芸品が大好きです。
そんな私が、小松原窯に出会ったのは6歳の頃。
今の当主である朴先生とは30年のお付き合いとなります。
この日も、いつものように窯元にお邪魔して雑談していたのですが。
現在の15代目である朴先生には14代目のお兄さんがいらっしゃいました。
しかし、平成17年7月24日、突然の水難事故でお亡くなりになりました。
先代はとても優しく柔らかい方でした。作品もその人柄が出ているものが多かった印象があります。
このような経緯があり、こういうときこそクラウドファンディングで皆様のお力をお借りできないか。
と、このプロジェクトを立ち上げました。
小松原窯と朴平意
九州は伊万里焼や有田焼、唐津焼、波佐見焼、薩摩焼など、全国でも有名な焼き物の産地です。私の住む宮崎県にも沢山の窯元があります。
「朝日日本歴史人物事典」によると、慶長3(1598)年、薩摩の武将である島津義弘(のちの第17代当主)が豊臣秀吉の命を受け出兵した文禄・慶長の役で、朝鮮から連れてこられた陶工の一人に朴平意という方がいらっしゃいました。
朴平意は、翌年、薩摩焼最初の窯を半円筒形単室傾斜窯(蛇窯)という朝鮮半島の形式で築き、その後、串木野から苗代川に移り元屋敷窯を築きます。
朴平意・貞用父子は、薩摩で初めて白陶土を発見し、それまでの朝鮮半島の雑器風の「黒薩摩」しかなかった苗代川で、薩摩焼の高級陶器「白薩摩」が作られるようになりました。
現在の朴平意はその直系15代目となります。
朴家は250年鹿児島の地で歴史を築いた後、領主・島津久本の招きで現在の宮崎県都城市に小松原に開窯。島津家の御庭焼として作陶に励みました。
戦火によって一度は窯が途絶えていましたが、昭和46年に現在の地である宮崎市で再開されました。
15代目朴先生は、高麗茶碗が最も活躍する分野で、今年の10月には『茶陶百椀展』という茶器だけの個展を開催されます。
先生の師には先代の他、東京工業大学学長、国立大学協会 会長、人事官等を歴任した、加藤六美先生がおられます。
加藤先生の師には河井寛次郎先生がいらっしゃいます。
先代から引き継ぐ400年の伝統と、独自の師を持つ朴先生の完成が混ざり合い、これまでとはまた違った作品を生み出しています。
ただ、その中で作られなくなったものもあります。
それが今回復活させたい窯の中にもいくつかありました。
先代のお兄さんは、日用品も沢山作っておりました。
その中の1つが「急須」です。
今はもう作られることなく、ギャラリーにも残っていないためもう見ることはできないと思っていました。
今後も作られることはないと思います。
間違いなく、本当の最後の急須となります。
もう1つは「植木鉢」です。
この窯の中の植木鉢はお兄さんが生前に発注を受けたものでしたが、納品されることはなく、そのままになったものだそうです。
どちらも先代のものだとはっきり分かる優しいデザインです。
窯の中の作品を見た瞬間、まだ小さかった自分の記憶が蘇り、先代の優しい笑顔が浮かびました。
最後になりましたが、こちらが、今回復活させたい登り窯です。
資金の使いみち
登り窯を再稼働させるため、煙突等の修理費用に使わせて頂きます。(約60万円)
その他、クラウドファンディングの手数料20%を加味し、80万円を目標としました。
今回のリターンは登り窯を修復しなければ、お送りできない作品のため、
目標金額に達成しなかった場合は、プロジェクトを中止するAll or Nothingとなります。
ご了承の上、ご支援宜しくお願い致します。
リターンに関して
リターンは、お亡くなりになられた14代目の作品と15代目朴平意先生の作品と2種類ございます。
今回のプロジェクトが達成した際には登り窯を修復し、先代の最後の作品を完成させることが目的ですが、十数年以上も前のものである為、きちんと焼き上がる保証がございません。
また、焼成する前の状態ですので、焼き上がりの色やサイズが明確にお答えできません。
先代の作品となるリターンには、本プロジェクトに賛同頂けた方のみご支援頂ければ幸いです。
また、十年以上前に作陶した作品となる為、焼き上がりがうまくいかない可能性もございます。
その場合、ご支援金相応の別の商品をご郵送させて頂きたく思います。
こちらの点もご理解、ご了承頂いた上、ご支援をお願い致します。
15代目朴平意先生の作品はリターンの写真と同等のものをお送り致しますが、こちらも1点1点、手作業で作成している為、窯の温度や時間によって色合いが変化致します。
その為、若干写真と色や模様が異なる場合もございますので、ご了承ください。
最後に
弟にあたる朴先生とお話をし、この作品を世に出してあげたいと伝えたところ、
兄貴もそれが喜ぶだろうと、快く今回のクラウドファンディングを受けてくださいました。
本当は、最後の作品をずっと近くに置いていたいのかもしれません。
でも、兄弟であり同じ陶芸家であるからこそ、最後まで完成させてあげたい気持ちもあるのだと思います。
みなさまの温かいご支援で、平成17年7月24日から眠ったままの14代目の作品に命を吹き込んでください。
心より宜しくお願い申し上げます。