ごあいさつ
はじめまして、「長崎県庁跡地遺構を考える会」の片峰茂と申します。
私たち「長崎県庁跡地遺構を考える会」(以降「考える会」)は、学術界、宗教界、地元町内会などから50名の参加者を得て本年5月に発足し、長崎県庁跡地遺構の文化財としての価値を学術的に検証し、その意義を長崎市民はじめ多くの人々と共有し、遺跡の保存・活用を考え、長崎の発展に資するための活動を行っている任意団体です。
髙見三明(カトリック長崎大司教区大司教)、久留島浩(国立歴史民俗博物館長)、稲富裕和(長崎県考古学会長)、片峰茂(長崎大学名誉教授)の4名が共同代表として運営にあたっています。
シンポジウムを成功させ、長崎県庁跡地遺構調査の意味を共有し長崎の活性化につなげていきたい
価値観が多様化する現代社会にあって、地域が世界に光を放つためのキーワードは個性だと思います。その個性を形成する要素の中で最も重要なものの一つが、その地域特有の記憶です。
長崎には他にはない鮮烈な記憶があります。
そんな長崎の記憶が積み重なった県庁跡地では、先月から本格的な遺構発掘調査が始まっています。
発掘のプロセスを通して長崎の記憶を再整理、再構築し、市民県民が長崎の個性を共有し、新たな物語の創出を展望するための千載一遇のチャンスがめぐってきているのだと思います。
すでに故人となられた脚本家の市川森一さんは、十年以上まえに長崎県主催の県庁跡地活用懇話会に提言書を提出され、そのなかにこのように記されています。
「仮に将来県庁が移転し、そこが更地になった場合、最初に取り組まなければならないのは跡地の徹底的な発掘調査であろうかと思われます。
その結果、不明なことの多かった『長か岬』の幾重もの歴史の地層が浮き彫りとなり、長崎は埋もれていた世界的な資産をようやく手中に取り戻すことができるのであります。
願わくば、そのことが長崎の観光・文化の発展に寄与する輝かしい未来図となることを望むものであります」
いまこそ、私たちはこの市川さんの言葉を、かみしめる必要があるのではないでしょうか。
クラウドファンディングを通して、関心を持っていただける方と繋がりを持つことで、この想いや意味を共有し長崎の活性化につなげていきたいと思っております。
なぜ長崎県庁跡地なのか
旧長崎県庁跡地(長崎市江戸町)は、長崎のという都市の始まりの地であり、とてもたいせつな記憶が重層して埋まったかけがえのない場所です。
平成30年1月長崎県庁は新庁舎(長崎市尾上町)に移転しました。
それにともない旧庁舎の解体工事が開始され、そして今、その地はさら地となり、間もなく遺構発掘調査が開始されようとしています。
一方で、文化芸術ホールの建設を柱とする長崎県の「県庁舎跡地整備計画(案)」の議論も進行中です。
その昔、旧長崎県庁跡地は海に突き出た長い岬(「長か岬」)の突端に位置していました。
そこにポルトガル人が来航し、港を開いたのが450年前。
間もなく「岬の教会とその関連施設」が最初に造られ、日本におけるキリスト教伝道の中心となりました。
西洋の宗教と学問が伝えられ、天正遣欧使節もここから出発するなど、日本と西洋文化の出会いを象徴する場所でした。
切支丹禁制が布かれた江戸時代には「長崎奉行所西役所」が置かれ、その前の海を埋め立てて造成された出島もその管轄下になりました。
長崎奉行所は、一貫として日本外交の窓口としての機能を持ち、イギリス軍艦フェートン号事件や幕末のロシア外交使節プチャーチン来訪への対応など外交最前線で活動しました。
幕末には海軍伝習所、医学伝習所などが置かれ、日本の近代化の旗振り役を果たしました。
今、長崎には「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」「明治日本の産業革命遺産」の二つの世界遺産がありますが、いずれもその発端はこの場所にかつて存在した諸施設にあります。
長崎は西洋と東洋の文化を受容するなかで、二つの文化がある時は衝突することもありました。
しかし、それこそが異文化交流の重層的体験となって、今日の長崎文化を形成してきたわけです。
この土地には、そうした長崎の歴史と共に長崎人の魂が宿っているということがいえ、長崎にとって測り知れない意味を持つ場所なのです。
(世界遺産:大浦天主堂)
(世界遺産:ジャイアントカンチレバークレーン)
「長崎県庁跡地遺構を考える会」の活動
考古学の専門家によりますと、発掘調査にあたっては、「そこに大事なものが埋まっているにちがいない」といった確信を持たなければ、見つかるものも見つからないのだそうです。
岬の教会、あるいは長崎奉行所の遺構が存在するにちがいない。
それが掘り出されてほしいといった市民、県民の期待感、わくわく感こそが、発掘担当者の背中を押すのだと思います。
「考える会」は、跡地遺構の文化財的意義を専門的に検証するとともに、シンポジウムや出版活動を中心に、市民の皆様をはじめ多くの方に、県庁跡地の歴史的意義と、長崎の未来にとっての意味について理解を深めていただくための活動を行っています。
最初の取組として本年6月2日、長崎市のメルカ築町ホールで「シンポジウム:長崎県庁跡地を考える」を開催しました。
(第1回シンポジウム:メルカ築町にて)
シンポジウムは、立ち見が出るほどの盛況で熱気あふれるものとなり、県庁跡地問題に関する県民・市民の皆様の関心の高さを改めて認識させられる機会ともなりました。
内外の著名な専門家に登壇いただき、知的興奮に満ちた論考や議論が展開されましたが、長崎県庁跡地を系統的かつ網羅的に論じることのできた本邦初めての機会となったと思います。
その内容が、シンポジウム報告書「長崎の岬~日本と世界はここで交わった~」として、この10月に長崎文献社から発刊されました。
(第1回シンポジウム報告書:ブックレット)
県教委は10月16日より、現地の埋蔵文化財調査を始めると発表しました。
調査期間は来年1月15日まで3カ月間で、調査期間中の11月末と12月末に一般向けの現地見学会を開くとしています。「考える会」は、来るべき発掘調査が私たちの期待に応える徹底的かつ丁寧のものになることや、県民・市民の眼に見えるガラスばりの調査としていただくべく、様々な形で長崎県の担当部局(教育委員会)や県議会と意見交換の機会を設けてきました。
7月と9月には、それぞれ長崎県議会の総務委員会と文教厚生員会に「考える会」メンバーが参考人として招致され意見陳述を行いました。
(提供:長崎新聞社 様)
第2回シンポジウムを成功させて、歴史的意味を共有していくために
今回のクラウドファンディングでは、もっと長崎県庁跡地遺構調査の意味を共有し長崎を活性化していくため、来る11月に開催する2回目のシンポジウムを一緒に応援して頂き、ブックレット制作まで行いたいと考えております。
ローマ法王御来訪の1週間前のタイミングで開催するため、シンポジウムでは日本のキリスト教伝道の中心を担った「岬の教会」に関連する話題も多く取り上げます。
【第2回 県庁跡地を考える会シンポジウム「長崎の記憶をほりおこす」】
日程:令和元年11月17日(日)13時~17時 於長崎大学中部講堂
開場12:30 開会13:00 ~ 閉会17:10 入場無料
長崎市文教町1-14(文教キャンパス)
第一部
世界の中の長崎、日本の中の長崎 コーディネーター 木村直樹(長崎大学教授)
「キリシタン史にとっての長崎と岬の教会」 デ・ルカ・レンゾ神父(イエズス会日本管区長)
「長崎コレジオの記憶」 片岡瑠美子(長崎純心大学学長)
「江戸時代後期の幕府政治と長崎奉行」 藤田覚(東京大学名誉教授)
第二部
長い岬の先に−発掘から見えてくること コーディネーター 野上建紀(長崎大学教授)
「 万才町遺跡の発掘から見えてきたこと」 宮崎貴夫(前長崎県考古学会副会長)
「 長崎の記憶を護る−文化財保護とは何か」 稲富裕和(長崎県考古学会会長)
「 長崎の医学史から」 増﨑英明(長崎大学名誉教授)
主催:長崎県庁跡地遺構を考える会
支援金の使用用途
ブックレット購入費、報告書(ブックレット)出版、第三回シンポジウム開催費(2020年開催予定)、事務経費、FAAVOへの手数料
目標金額
100万円
返礼品
<3,000円>長崎県庁跡地遺構を考える会を応援
・サンクスメール
<5,000円>長崎県庁跡地遺構を考える会をもっと応援 定員100名
・サンクスメール
・第1回シンポジウム記録集(ブックレット)
<10,000円>長崎県庁跡地遺構を考える会をさらに応援 定員50名
・サンクスメール
・第1回シンポジウム記録集(ブックレット)
・第2回シンポジウム記録集(PDF)(ブックレット)
<30,000円>長崎県庁跡地遺構を考える会をまだまだ応援 定員10名
・サンクスメール
・第1回シンポジウム記録集(ブックレット)
・第2回シンポジウム記録集(PDF)(ブックレット)
・勉強会への参加(軽食込)
<100,000円>長崎県庁跡地遺構を考える会を全力応援!記録集にサポーターとして名前を掲載します
・サンクスメール
・第1回シンポジウム記録集(ブックレット)
・第2回シンポジウム記録集(PDF)(ブックレット)
・第2回シンポジウム記録集の巻末に支援者一覧としてお名前を掲載いたします
・勉強会への参加(軽食込)
長崎の活性化につなげるための活動に、皆さんの力が必要です!
今回クラウドファンディングに挑戦しようと考えたのは、ひとえに長崎にとって計り知れない意味をもつ長崎県庁跡地について、多くの皆様に興味を持っていただきたいという願いからです。
このプロジェクトを広げていくためにも、皆さんの応援どうぞ宜しくお願い致します。
長崎県庁跡地遺構を考える会Facebookページ
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