群馬県は言わずと知れた温泉大国!!
しかし、その源泉が危機的な状況にあります。
「何とかしたい!」そんな思いが原点です。
FAAVOをご覧の皆さま、はじめまして!「NPO法人・湯治乃邑(とうじのくに)」の辻岡です。
「湯治乃邑」は今年の1月にスタートしました。
湯治乃邑は、いまや消滅の危機にある群馬の源泉1軒宿に、本来の湯治機能とリハビリ・介護機能をコラボレートさせ、貴重な源泉を守り活かすことを目的に活動しています。
理事長は、温泉ライターとして著名な小暮淳です。
▽「湯治乃邑」メンバー
群馬県は全国屈指の温泉大国です。草津、伊香保をはじめ、県内には名湯と呼ばれる温泉地や歓楽施設をともなう大温泉地まで約100か所の温泉地があります。(※街中の日帰り温泉は温泉地には含まれません)
しかし、その半数以上が、たった1軒で湯と温泉地の名前を守り継いでいる源泉1件宿です。したがって、その1軒宿がなくなると1つの温泉地が消滅してしまうという運命にあるのです。
今回、私たちが応援し地域をつなぐ「橋」を架けたいと企画している「浅間隠温泉郷」も、その消滅の危機にある温泉地を抱えているのです。
浅間隠温泉郷もかつては、とても賑わっていましたが、温泉センターなどの増加などでアクセスの悪い地域に足を運ぶ人も少なくなっています。しかし、自然が豊富で古き良き山村が残るこの地域は、言わば日本のたからです。日本人が愛する風景がここには、古のまま残って言います。それは、住民とその生活スタイルにもあり、人と人のふれあいや、あたたかさなど現代の日本人が失いつつあるものがそこには、しっかりと残っているのです。
そして今、浅間隠温泉郷の原風景を作っている地元住民のコミュニティが分断しつつあります。地元のコミュニティを存続し、浅間隠温泉郷と、この地域の活性化を取り戻すには、今回の架橋工事は欠かすことのできない活性化計画の第1歩になるのです。
今回のプロジェクトについて。
地域の人々をつなぐ架け橋で、
貴重な源泉の一軒宿を守っていきたい!
私たち湯治乃邑は、浅間隠温泉郷の課題を解決し貴重な源泉を守るために、いま現地に入り込んでさまざまな活動をしています。
■浅間隠温泉郷の魅力は・・・
浅間隠温泉郷とは、薬師温泉、鳩ノ湯温泉と温川温泉(ぬるがわおんせん)の総称です。湯の歴史は古く、江戸中期には発見されています。そして、3つの温泉地すべてが、たった1軒で源泉を守っている一軒宿です。(※温川温泉は、本年閉鎖)
【鳩の湯】
その昔、傷ついたハトが、自然に湧き出る湯に浸かって傷を癒やしていたのを村人が見て、温泉の効能を知り、この地を「鳩ノ湯」と名づけたと伝わります。
【薬師温泉】
以前は 「偕楽荘」 という小さな湯治宿でした。薬師温泉と呼ばれるようになったのは、宿が建った昭和5年(1930年)からのこと。
【温川温泉】(ぬるがわおんせん)
昔から眼病に特効があることから、「目の湯」 と呼ばれています。
このように、古くから地元住民や多くの人の湯治場として、今なお貴重な3つもの源泉があるのです。
湯治場として古くからのファンもたくさんいます。
この浅間隠温泉郷を縫うように、吾妻川の支流である清流・温川が流れています。
吾妻川は「耶馬溪しのぐ吾妻峡」と「上毛かるた」にも謳われていますが、温川もそれに劣らない美しい渓相を誇る清流です。
かつては、季節になるとヤマメ、イワナ、鮎を釣る人で賑わいを見せていましたが、温泉地の衰退とともに最近では太公望たちの姿もまばらになってしまいました。
浅間隠温泉郷に潜む危機。
橋の消滅がコミュニティを分断!
そんな浅間隠温泉郷では、これまで地域を支えてきた地元住民の高齢化が深刻です。
そして温泉郷のある東吾妻町須賀尾地区は、東吾妻町の合併後に町役場の施策から蚊帳の外に置かれてしまっています。
それでも住民達は、自分たちの手で温泉郷を守り続けてきました。
行政に頼りきるのではなく、自らの手でコミュニティを守る!そんな気概で頑張ってきたのです。
しかし今や、地域のコミュニティを繋ぐ橋が台風で消滅したまま何年も経過し、地域住民が疎遠になりコミュニティが分裂しつつあるのです。
そこで私たち湯治の邑は、貴重な源泉を守り維持していくために、まずこれまで温泉郷を守ってきた、そしてこれからも源泉とともに暮らしていく地元住民のコミュニティを復活させるために、もう一度地域をつなぐ架け橋をつくりたいと思っています。
浅間隠温泉郷を再生させる第1歩!
源泉と人をつなぐ架け橋を、
みんなの力で作りたい!
橋は「本正院」という寺院と川を挟んだ住民を繋いできました。この2つの拠点は、地元の人々の活動の拠点となっていました。地域をつなぎ、住民や湯治客が行き来する橋がかつて温川にかかっていました。
過去5度にわたる台風による温川の大水で流されても、その都度地元住民が自らの手で再建してきたのです。
▽温泉郷配置図
▽架橋予定場所(現在の様子)
▽架橋完成イメージ
しかし住民の高齢化が進んだいま、橋の再設置は思うようにいかず、高齢の住民達は坂道を登り降りしながらう回路を大きく遠回りしている状況です。(温泉郷配置図の「本正院」から「温川温泉露天風呂」へ続く印をつけた部分が、この迂回路にあたります)
高齢住民にとっては辛いことです。湯治客にとっても魅力が乏しくなりました。
そしてその結果、人の往来が減り、いつのまにか住民の交流も乏しくなってしまいました。
今回の架け橋は、これまで台風の際に大石が橋桁を壊してきたことから、大水が出たときは橋桁がゲートのように上下する構造で作りたいと思います。地元の山から切り出す木材を使い、二度と流されることのない橋を作りたいと地元の古老たちは意欲満々です。
しかし、そのための資金・作業の人手が足りません。
今回のプロジェクトは、地域の人と人とのつながり、コミュニティを復活させ、そして人と源泉をつなぐ架け橋づくりです。
▽地元の皆さんの元気が、“温泉郷の元気”昔から続く寄合の様子