射水市新湊地区・内川沿いの空き家を、小さなお店にするプロジェクト。
近所のお母さんも、カメラを持って観光しにきたお姉さんも、通りすがりのお父さんも、ふらっと立ち寄って内川の素敵ポイントを教えあう場所をつくります。
ぜひ一度、内川さんぽをしにきませんか?
はじめまして、こんにちは。
「小さなお店づくりプロジェクト」メンバーの、西田芽以です。
▲「小さなお店づくりプロジェクト」メンバー。一番右側が私です。
「小さなお店づくりプロジェクト」は、射水市新湊地区・内川の周りの風景を残すために立ち上げました。内川の周辺は昔ながらの湊町であり、木造の町家が密集する地域でもあります。
ですが、近年空き家が増え、解体となる家が後を絶ちません。家がなくなれば、風景が変わる。なにより、家に詰まっていた記憶や文化が途絶えてしまう。
だから、空き家を“解体”するのではなく、“活用”していきたい。そこに人が集まってくるような、内川周辺がさらに楽しい場所となるような、そんな使い方をしていきたい。こうした思いから≪小さなお店≫は、空き家の一部を活用して内川周辺に住む人と訪れる人の橋渡しとなるおみやげ屋さんを目指します。
≪小さなお店≫は、DIYワークショップで古民家ファンの方や近くに住む方たちと一緒につくっています。その改装・設備費用の一部を皆様にご支援いただけないでしょうか?
≪小さなお店≫は、人が集まるおみやげ屋さん
▲お店の俯瞰イメージ。
今回、「小さなお店づくりプロジェクト」がつくるのは、おみやげ屋さんです。おみやげ屋さんというと、観光客向けの小分けで日持ちがするお菓子やご当地ストラップ、そうしたものが売られているイメージがありますよね。≪小さなおみやげ屋≫はそれとは少し違います。
まず、観光客向けではありません。観光で訪れた人と近所の人たち、ソトの人とナカの人両方に利用してもらいたいと考えています。
売っているものは、日常的なお菓子と雑貨です。一枚一枚小分けしてなければ、キャラクターグッズもありません。売るのは、お店の奥でつくるシフォンケーキやクッキー、内川に住む人の手作り雑貨などです。
つくりたいのは、“内川の日常”の延長線上にあるおみやげ屋さんです。
▲お店の外観イメージ。
近所のお母さんは家で待つ子どもへのおみやげにシフォンケーキを、観光で訪れた人は仲の良い友達へのおみやげにクッキーと手作りアクセサリを買って帰る、そんな姿を目指しています。
▲お店の中のイメージ。左のカウンターの奥が厨房。
また、≪小さなおみやげ屋≫という呼び名通り、小さな面積しかありません。お菓子を作る厨房が5畳ほど、お客さんが入る売り場が6畳ほどです。お店が小さいからこそ、お客さん同士の距離は自然と近くなります。
目が合って、暑いですね、と声をかければそこから会話がはずんでいく。それが近所の人と観光で訪れた人なら、近所の人から内川穴場スポットを聞いたり、逆に観光で訪れた人から普段気づかない内川の魅力を教えてもらったり。
▲お店の厨房と反対側の壁のイメージ。木板の壁にテープなどで内川を描きます。訪れた人におすすめスポットや思い出話を加えてもらい、オリジナルの内川壁マップにしていきます。
ソトの人は、その場にいる人の雰囲気や会話から、その人にとっての非日常である“内川の日常”を感じ、それが観光となる。
ナカの人は、ソトの人が驚いたり感動したりする様子をみることで“内川の日常”がそんなに素敵なものなんだと気付く。
そうした場となるのが、これからつくっていく≪小さなおみやげ屋≫です。
内川はこんなところ
▲天気の良い日はいたるところに水面の輝きが映り込みます。
内川は、富山県射水市新湊地区に流れる舟運河です。近くでは定置網漁業が盛んに行われており、白エビやカニ、ブリがよくとれるため、漁船が内川のゆるやかな流れに沿って処狭しと停泊しています。キチンと並ぶその姿は、なんだか可愛らしく感じられます。
▲内川の両側は漁船でいっぱい。
川から少し目線を上げると、そこには間口の狭い家がずらりと並びます。みっちり仲良く、寄り添いながら建っています。
▲黒瓦の家が並びます。
戦前からの風景が残る内川周辺には、古い木造住宅が多く密集しています。間口が狭く奥に長い、いわゆる町家づくりが多く、隣の家と壁を共有していることも珍しくありません。自分の家の電話が鳴ってる!と思ったら隣の家の電話だった、なんてことも。
▲内川から一本隣の通りの商店街。家が隙間なく並びます。
日本海側は干満の差が少なく、内川の水面もあまり下がることはありません。川岸を歩くと、水面の近さに驚かされます。この「水面の近さ」が、舟運河と家々の町並みとを結び、内川特有の景色を作り出しているのかもしれません。
▲内川の干満の差は50〜60cmほど。
家がなくなっています!
▲隣家と壁を共有しているため、解体した家の隣家には壁代わりのブルーシート。
昔の面影を残す内川ですが、住民の高齢化や若者離れ、それに伴って空き家が増えているのが今の実情です。そして今、その空き家を解体する人が増えています!
▲家が立ち並ぶ中にポカンと大きな穴が。
木造住宅密集地なこともあり、家が一件なくなるだけでそこの風景もがらりと変わります。
家など建物は、建設当時の建築基準法に即して建てられます。建築基準法は時代とともに改正されるため、昔の建物は現代の建築基準法には合っていないことがあります。内川周辺のような木造住宅密集地では、多くの家が現代の建築基準法に合っていません。
現存している間は現代の基準にあっていなくても許されますが、一度解体して建て直そうとすると、現代の基準に即した、昔とは違う姿の家しか建てられません。
内川の風景は、一度壊すと再現できない風景なのです。
▲建蔽率や隣家との距離などが現代の基準と合わず、新たに立て直すことは困難。
家の解体によって失われるのは風景だけではありません。
家の中にある、太くて立派な梁や細かい組子の建具、頑丈な内蔵、きらりと光る黒瓦。これらも、今の時代では材料などの問題で、同じものを作ることは困難です。
▲手入れされている家の建具は、組子も綺麗に残っています。
こうした状況にある空き家を、一件でも多く残したい。また、そこが目的地となるような素敵な場所にすることで、内川に訪れる人が増えてほしい。そして、地元の人たちに、内川の当たり前の光景は価値があるものなのだと気付いでほしい。
こうした思いから、「小さなお店づくりプロジェクト」は生まれました。
お店にするのはこんな家です
▲玄関横には今も音楽教室の看板があります。
お店にするのは、もともと音楽教室を営んでいた空き家です。内川に架かる橋の一つ、屋根がついたべんがら色の「東橋」のたもとにあります。
▲真上から見ると三角形の家。
ここの裏口にあるキッチンとガレージをリノベーションしてお店にします。キッチンの壁には近くの神社の防火のお守りが張られていました。
▲キッチンはお菓子を作る厨房に。床は取り払って、土間にする予定。
ガレージの上の棚には前に住んでいたお父さんの趣味の鳥かごなどが。
▲ガレージはカウンターや吊り棚を取り付けて売り場に。
実はもう、つくり始めてます
▲≪小さなお店づくりDIYワークショップ≫ vo1. 床and壁はぐり大会の看板。
そうなんです。つくりはじめちゃっているんです。≪小さなおみやげ屋≫は、人が集う場所です。完成後だけでなく、つくる段階からそうした場所にしたい。そうした考えから、リノベーション作業は業者さんに頼まず、ワークショップを開催し、参加者の方々と作業を進めています!
7月2日には≪小さなお店づくりDIYワークショップ≫vol.1として、もとからある床と壁をはがしました。ワークショップには、射水市内に住むDIY好きのお兄さんや図工好きの小学生、電車で2時間かけて来てくださった方などなど計11人が参加しました。プロジェクトメンバー含め皆さま作業に関しては素人!どう進めていくか、こんな風にしたらどうかなど、話し合いながら少しずつ作業していきました。作業中には近所の子どもやお母さんが様子を見にきてくれました。
▲作業をどういう順番ですすめるか相談中。
床下からは、昔のスキー板や梅干しを付けた壺など、お宝がたくさん出てきました。
▲壁板をべりべりとはがしています。この後、床板もすべてはがしました。
今後もお店完成を目指して、ワークショップを継続的に開催していきます!
▲大体の今後の流れ。
今後のスケジュール
8月中旬 土間づくりワークショップ
8月下旬 壁板張りワークショップ
9月上旬 塗装ワークショップ
9月中旬 完成PARTY
集まった支援金の利用方法
改装に必要な道具・材料代 10万円
改装に伴うガス・水道工事 15万円
厨房・換気設備 25万円
その他必要設備等
(空調、照明、廃材処理等)25万円
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計 75万円
このうち30万円をFAAVOで集まった支援金でまかないます。
内川の風景をこれからもつづけるために
▲夏に行われるイベント「内川十楽の市」の光景。
まちの風景は時代とともに変わっていきます。変わっていくからこそ、無くなることなく時間を紡いでいける。変わらない伝統・歴史を続けるためには、時代に合わせて変化していくことが必要です。
ですがその必要な変化に対して、‟解体”という言葉はあまりに急激すぎると感じます。なくすのではなく、変化することで、後世に残せることはきっと増えるはず。
考え方や得意なことがそれぞれ違う、色んな人が関わることで内川はもっと素敵な場所に変化していける。
最近の内川周辺は、畳屋さんだった空き家をリノベーションしてカフェにした人や、土間のある空き家をガラス工房兼住居にしようとしている人、家の中の蔵に映画館をつくるのが夢の人など、思いを持った若い人が集まってきています。同時に、内川周辺がより面白い場所へと変化していっています。
ぜひ一度、ふらりと遊びにいらしてください。そして内川ファンが1人でも多く増えることを願っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
どうぞ、応援よろしくおねがいします。
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