バングラデシュでは新型コロナ感染拡大が続いており、私たちが支援する家事使用人として働く少女たちなど、社会的弱者の日々の生活へ大きな影響を引き起こしています。今後も貧困や児童労働の状況悪化が進むとみられ、少女たちの支援センター運営や児童労働削減アドボカシーなどの活動を継続するための支援を募ります。

プロジェクト本文

 私たちは、バングラデシュで、家事使用人として働く少女たちへの支援活動を2006年に開始。少女たちが読み書き・計算といった教育、ミシンを使った縫製などの技術訓練を受けられる支援センターを運営しています。センターは、少女たちが自分自身で未来を切り開くための教育の機会となり、同世代の子どもと子どもらしく過ごせる場となり、少女たちを守るシェルターとなっています。
支援センターで過ごす少女たち

  今回、このコロナ禍でより厳しい状況に置かれる少女たちへの支援の継続、そして、児童労働の削減・撤廃への活動に、どうぞ、ご支援をお願いいたします。


■コロナ禍で、より厳しい状況に置かれる少女たち。家事使用人として働く少女たちを守り、児童労働を減らしていく活動を継続する必要があります。

 バングラデシュでは新型コロナウイルスによる感染者数が5月より急激に膨れ上がり、6月16日に感染者が9万人に達し(感染者数世界で第18位)、死亡者数も1,171人に上っています。それに追い打ちをかけるように、5月20日、過去数十年で最大規模の大型サイクロンがバングラデシュを直撃しました。

急激な増加を続ける感染者数と、5月に襲ったサイクロン「アンファン」 

 このような災害が起きると、大きな被害を受けるのは社会的弱者です。

 バングラデシュ政府は、経済活動を再開するため、3月からのロックダウン(外出禁止措置)を5月31日に一部解除しましたが、長期のロックダウンで日雇い労働者の多くは失職、飢えに直面し、事態は日に日に深刻になっています。コロナ禍以前より社会から取り残されていた人々が、現在、更に厳しい状況に追いやられています。

普段、交通量の多いダッカ市内と、ロックダウン中の様子 

 バングラデシュでは、家事使用人として小さい頃から人の家で働かされ、学校に通う時間も遊ぶ時間も与えられない少女が数十万人います。雇い主の家の閉じられた空間で、少女たちは手をボロボロにしながら働いています。また経済状況の悪化に伴い、雇い主がそのストレスを少女たちに虐待という形でぶつける可能性も高くなっています。

 アフターコロナの世界で、これからより必要になる、「誰も取り残さない」社会を実現するため、わたしたちは、活動のあゆみを今止めるわけにいきません。


■社会から取り残され見えにくい、少女たちの存在

 バングラデシュの首都ダッカで使用人として働く少女のほとんどは、貧困層の多い農村から送られてきています。12~14歳くらいの子どもが一番多く、中には6歳にも満たない幼い子どももいます。
農村部の家事使用人の少女の実家 

 貧しさのため子どもを食べさせていくことが難しくなり、都市部の遠い親戚に養ってもらう代わりに家事をさせるというケースがあったり、家が洪水で流されてしまい、仕事を求めてダッカに出てきてスラムで暮らし始める人たちもいます。

 現在、バングラデシュで家事使用人として働く子どもたちは、12万人とも42万人とも言われています。数値がはっきりしない背景には、店や路上で働く子どもたちとは違い、周囲の目に触れにくい家の中での労働であるため、その実態が外から「見えない状態」に置かれていることがあります。
小さな体の少女にとって、手洗いの洗濯は重労働です。 

 またそこには、経済的な貧困だけでなく、女の子への差別や複雑な家庭環境、親の理解不足などの多様な要因が絡み、そして、雇い主側に「貧しい子どもを雇ってあげて寝る場所も与えているのだからよいだろう」という考え方が根強く残っている問題があります。

  雇い主の家に住み込みで働いている少女たちも多く見られます。朝は早く起きて朝食の支度をし、雇い主の子どもが学校に行くのを見送って、掃除と洗濯(基本的には全部人の手で行う)をしながら昼食の支度をし、家族が食べ終わって片付けが終わると、ようやく自分の食事をとることができます。雇い主の子どもの帰宅後の世話、洗濯物の片付けや夕食の支度と、仕事は途切れることがありません。夕食の時間が遅いバングラデシュでは、家族の夕食後に自分の食事をとり、後片付けをすると日付が変わろうかという時間帯になります。そしてまた翌朝、誰よりも早く起床して朝食の支度に取り掛かるのです。

 ロックダウンにより雇い主家族が全員家にいるため、3度の食事の世話、お茶の世話、雇用主の子どもの世話など、住み込みで働いている家事使用人の少女の仕事がより増加するようなことも起こっています。

 家族でスラムに住み、数軒を掛け持ちしながら通いで働く子どもたちもいます。スラムは人々が密集して暮らしているため、常にコロナの感染リスクにさらされているだけでなく 、ほとんどの親の仕事は日雇いのため収入がなくなり、食料難に陥っています。貧困層がさらに厳しい貧困に陥るという状況になっているのです。

 ダッカ市内のスラムの子どもたち

 少女たちの中には、セクシャルハラスメントや ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者になる子どもたちもいます。家庭という外から見えない「密室」にいるため、被害にあったとしても逃げ場がありません。

 私たちが実現したいことは、働く子どもたちの存在を可視化して、社会の問題として位置づけること、そして子どもたちを守り、生きていく力をつける支援をすることなのです。

■コロナ危機を乗り越え少女たちを守るための活動
 私たちはバングラデシュの首都ダッカで、家事使用人の少女たちのための支援センターを3カ所運営しています。コロナ禍により一時閉館していましたが、ロックダウンが開けた6月より、段階的にセンターの運営を再開させます。この支援センターを中心として、以下の活動を行う予定です。

入り口に手洗い場を設置したロックダウン前の
支援センターの様子

〇食糧配布
スラムで保護者と一緒に生活をしている少女たちは、コロナ禍により保護者の収入が途絶えたり、激減してしまったケースが少なくありません。このようなダッカ市内のスラムに住む世帯へ食料配布支援を実施します。

〇虐待などの問題に対応するためのホットライン開設
コロナ禍でセンターに来られなくなった子どもたちに対し、支援センタースタッフがホットラインを開設し、携帯電話が使える子どもたちと電話やSNSでコミュニケーションを続けてきました。雇用主の家に籠ることで起こる問題にすぐに対応したり、心のケアを行います。


〇在宅で勉強ができる体制づくり
コロナ禍の前より、支援センターで勉強を始めた子どもたちのフォローのために、在宅で勉強ができる体制を整えます。1週間に2度、スタッフが住みこみで働いている子どもたちを訪問し、宿題を出してまた持ち帰ります。中には手工芸の教材もあり、技術トレーニングの継続やレクリエーションの時間の提供をします。勉強ができるようにスタッフが雇用主と対話をし、理解を求めていきます。

 


■より多くの少女たちが安心して過ごせる居場所を! そして児童労働のない社会をめざして活動を継続していきます。

〇子どもの権利等を伝えるラジオ番組の放送
子どもが働きに出ることの多いとされる地域のコミュニティ・ラジオと全国放送のラジオ局で、働く少女たちが置かれている状況や子どもの権利について伝える番組の放送をしています。人権活動家、NGO、行政官の討論や、かつて家事使用人として働いていた少女の体験など様々な内容で、これまで推定2,000万人以上が関連番組を聴取しました。

ラジオで話す内山バングラデシュ事務所長と、コミュニティラジオを聴く町の床屋 

リスナーからは、「娘を働きに出すのをやめた」「人身売買に携わるのをやめた」という反響が寄せられ、また「雇っていた少女を小学校に入学させた」、「書面での労働契約を交わす」といった着実な行動の変化もみられています。

〇法整備に向けた取り組み
「家事使用人の権利保護と福祉に関する政策2015」を法制化するために、女性ジャーナリストグループや子どもの権利を守る活動をしているNGOと活動しています。関係省庁や市役所からも共有会議に参加し、法制化に向けての意見交換を行っています。

○啓発CMの放映
また世論を喚起するため、バングラデシュの子どもの権利週間にあわせて「児童労働に従事する家事使用人の少女支援」の啓発CMを放映しました。

CMはこちらからご覧いただけます。

〇支援センターの継続的な運営
読み書きや計算、保健衛生の授業や、技術トレーニングなどを提供し、何より、同世代の子どもたちと子どもらしく安心して過ごせる居場所を、より多くの少女たちに提供できるよう活動を続けます。

 私たちが、家事使用人の少女たちに向き合い、バングラデシュの人々や行政と対話しながら活動を継続してきて、少しずつですが、確実に社会は変わってきています。コロナの経済に及ぼす打撃は、その流れを逆流させてしまいかねません。

 この活動の歩みを今、止めるわけにはいかないのです。どうか、活動を継続するために皆さまのお力を貸してください。

■家事使用人として働く少女からのメッセージ

ミムさん当時13歳(左)と シムさん当時17歳(右) 

*ミムさん
「センターに通うようになってから、将来についてよく考えるようになりました。縫製が好きなので、洋服の仕立ての仕事に携わりたいと思っています。センターのスタッフと、センターに通わせてくれている雇い主には本当に感謝しています。」

*支援センター卒業生のシムさん
「センターは学びたいのに学校に通えない子どもたちに必要な施設です。私はセンターで文字を覚え、自分の住所が書けるようになりました。そして何より、同じように働く少女たちとおしゃべりをしたり、絵を描いたりするのがいつも楽しみでした。センターの先生には本当に感謝しきれません。」


■事務局長のメッセージ


■寄付金などの税の優遇措置

シャプラニール=市民による海外協力の会は、「認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)」です。当会へのご寄付は税の優遇措置(寄附金控除)の対象となります。

 

<All-in方式で実施します。>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

<海外からご支援をご検討の方へ>
ご案内いたしますので事前にシャプラニール担当者にメールにてご連絡ください。
メール:membership@shaplaneer.org  担当:小川

 私たちシャプラニールは、この新型コロナウイルスの影響で財政状況が著しく悪化しており、創立50年を目前に会の存続が危うくなる可能性があります。事務所を3カ月にわたり閉所したことで物品寄付の受付や換金作業が滞り、また、現地出張の中止、現地のロックダウンの影響によるプロジェクトへの打撃で助成金の収入減も見込まれています。

「誰も取り残さない。」

私たちの活動を存続していくために、皆さまのご支援をどうぞお願いいたします。


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    ルナさんの電話インタビューに続き、今日はラベヤさんの様子をご紹介します。センターの友達や先生が大好きだと話してくれ、センターの再開を心から望んでいることが伝わってきました。----------------------ラベヤさん(仮名)は10歳の時に村を出てきました。長い期間家事使用人として働い...

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