〇相談活動、学習懇談会・講演会、被災地支援などを続ける

NPO法人アレルギーを考える母の会(以下「母の会」)は、患者を適切な医療(医学会などが示す、最も多くの患者が治る「標準治療」)につなぐ相談活動を中心に、患者も適切な医療を知る学習懇談会や講演会、患者を取り巻く社会的な課題を解決するため国などに働きかける活動、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨などの被災地での支援に取り組み、令和元年には20周年を迎えました。

「母の会」の活動はこちら(HPへ)

「母の会」が毎年行う、食物アレルギーの重篤な症状アナフィラキシーやショックを起こす子の保護者の懇談会。一日かけて病態や適切な対応を学び交流する。写真は平成29年2月、講師は国立成育医療研究センター総合アレルギー科医長の福家辰樹先生

被災時の支援も活動の柱。写真は平成29年9月に発生した北海道胆振東部地震の被災地、厚真町の厚真中央小学校の避難所で保健師、栄養士などに対応を要望したところ

〇年間400人から寄せられる「受診しているのに良くならない」相談

「母の会」には全国から年間400人余り、一人から何回も電話がかかることもあり、のべ2000件ほどの相談が寄せられます。多くは子どもが病院を受診しているのに良くならない、治療の見通しが立たないことに悩んでいるお母さんたちからです。20年を超えた活動の中で相談が減ることはありません。

相談を寄せて健康を取り戻した子のお母さんにアンケートを行ったことがあります(平成29年)。46人の回答で、平均すると多くの重篤な患者が適切な医療ケアを受けられるまでに5年、5か所を受診してようやく健康を回復していました。中には標準治療を受けるまでに14年かかり、30か所の医療機関を受診した人もいました。

医療が進歩した今、なぜこんなことが起きるのか不思議ではありませんか。アレルギーの病気は軽い花粉症から命にかかわる喘息や食物アレルギーなど症状が幅広く、患者数も多い半面、医療の現状は重症患者が全国どこにいても必要な治療を受けられるわけではありません。中でも最近話題になることも多く、実際に増加・重症化する傾向が指摘されている食物アレルギーには根本的な治療法がないことも不安に拍車をかけています。

ただ最近では、食物アレルギーも原因食物を完全除去はせず、医師の指導のもとで、症状が出ない少量を摂り続けることで重症化を防ぎ、逆に耐性獲得(治る)を誘導する治療が始まっています。ただそうした指導が行える医療機関は少なく、医療の進歩を知らず、かつて行っていた原因食物の「徹底除去」を指導して患者を食べられる物がなくなっていく状況に追い込んでいる、あるいは何も指導できない医師や医療機関の方が多い現状があります。

〇わが子のことで悩み、孤立しているお母さんがいます

そんな中で、周囲や家族にさえ理解されず、「子どもがいつまでも良くならないのは自分の責任」と苦しんでいるお母さんがいます。とりわけ食物アレルギーの子のお母さんたちは深刻です。「どこかで誤食して、わが子が死ぬかもしれない」という恐怖に怯えながら生活しているお母さんがいます。

番組で取り上げられNHKのHPでも紹介された「母の会」の相談活動

いつ呼び出し電話がかかってくるか心配で片時もスマホを手放せないお母さんがいます。何かあったらすぐに駆け付けられるように給食の時間はいつも学校の門の前に立っているお母さんもいます。自分が作った食事でわが子が死んでしまうかもしれないと思ったお母さんは、食事のことを考えると手が震え、台所に立つと涙がこぼれて苦しくなりました。

不安が募るのでしょう、追い詰められたお母さんから、深夜や夜明け前に電話がかかってくることがあります。こんな時、わが子のために頑張ってきた来し方を何時間も傾聴し、それまでの頑張りを労う言葉をかけると、電話の向こうで涙する母親も少なくありません。

何回も話し合い必要な情報を提供すると適切な医療や対応を理解し多くは医療機関を変えて健康を回復するだけでなく、やがて周囲の理解も進むことで困っていた学校や保育所での課題も解決していけるようになるのです。

「母の会」の取り組みは多くのアレルギー専門医の協力によって支えられています。深夜にメールを送ったら直ぐに返事があり、翌朝には緊急入院を受け入れてくれた医療機関もありました。それまでの不適切な医療によって凝り固まった医療不信を、1時間2時間と向き合い解いてくれる医師もいます。

〇いつでも連絡でき、対応できる相談体制を続けるためにご支援を

「母の会」は孤立したお母さんたちを支えたいと思っています。食物アレルギーもただ恐れるのでなく、「食物アレルギーだって治る!」と希望をもって前に進むために、電話やメール、相談室で向き合って、必要があれば全国どこにでも駆け付けて当事者のサポートはもちろん、患者が困ることが多い学校や保育所の対応の調整などを行います。新型コロナウイルス感染症に対応するため、リモートで顔を見ながら相談できる体制も作ります。必要な資料を印刷し、お母さんに見てもらいたい冊子や書籍なども必要です。

アレルギーなど慢性疾患患者が抱える医療や生活の課題は災害時に集中的に顕在化します。避難生活では周囲の理解と支援が必要になりますが、患者はここでも課題に直面します。患者からのSOSを受けて駆け付け、当事者はもちろん周囲のサポートを実現する相談体制を続けるためにご支援をお願いいたします。

なおいただいたご支援は次のような使途とスケジュールで活動に使わせていただきます。

【資金の使い道】

・通信費:20万円

・印刷費、資料購入費、消耗品費:35万円

・交通費:30万円

・手数料:15万円

【実施スケジュール】

・令和2年8月:クラウドファンディング終了

・令和2年9月:個別、面談、リモート、災害時の支援など相談事業を開始

・令和3年9月:リターン発送


※NPO法人アレルギーを考える母の会は「NPO法人」として認証されていますが、このクラウドファンディングを支援することで、支援者が税制優遇を受けることはありません。

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください