佐賀県伊万里市で農業をやっております素ヱコ農園の松本啓(さとし)です。

 

今、23歳で、今年の春に佐賀大学農学部を卒業し、祖母がやってきた農業を継ぎました。


人に誇れることは、コツコツやれることで、新米農家の日記(https://www.saganouka.com/)を毎日書いています。

一人でやってるのでモチベーションの維持や日々の学びのアウトプットの場になればと思って続けてます。


僕がやっている農園は、素ヱコ農園というのすが、これは物心ついた時から農業一筋70年で、祖父が他界した後も10年以上一人で農業をやっていた祖母の名前である末子(スエコ)から名付けました。


素ヱコ


僕は、農業を通して、我がままになれる社会を作りたいと考えています。


だから、に結構こだわってます。


素ヱコ農園で作る野菜は、農作物の持つ本来の生命力をありのまま届けられるよう伝承農法のような農薬をなるべく使わない方法で作っています。


7月に収穫した枝豆は、バンカープランツという近くにアブラナ科の植物を囮として植える手法で、農薬を使わずに栽培しました。

僕が解決したい社会課題は田舎の衰退です。



少子高齢化や人口減少、シャッター街の増加など、教科書に書かれていることを実際に自分の目で見ながら育ってきました。


簡単に言うと、田舎には希望が無いので人が出ていき、衰退するのだと思います。


もし、自分で自分がやりたい職業(我がままな職業)を作る環境を作ることができたら、若い人でも田舎に残りたくなると思います。


そのように考えて、僕はあらゆる仕事の起点となりうる「農業」を職業に選び、僕が仕事を作れる人になりたいと考えました。



農業は、生産以外に加工・飲食・福祉と発展させることができます。


僕がまず農業をして、そこからいろんな事業を展開させる過程で、一人一人の得意分野や好きなことを我がまなな仕事として、一緒に作っていきたいです。


視野を広げるために、学生時代はオランダやパラオに留学し、農業を学びました。


オランダの農場の様子。直売所が併設されており、大人がくつろげるカフェや子供が遊べる施設があり、一般の方々が気軽に農場に遊びに来ていた。

僕は一年弱ぐらいオランダに留学していました。

そこでは、オーガニックの野菜や平飼いの卵がどのスーパーにも置いてあり、サステナビリティやアニマルウェルフェア(動物福祉)という言葉をたくさん聞きました。

驚いたのは、オーガニックの商品を買う理由を聞いて回った時に、みんな安心安全や美味しいという言葉ではなく、地球のためと言っていたことです。


町のオーガニックスーパーに並ぶ野菜たち。ここで僕は、いろんな人に一般の野菜ではなく、オーガニックを買う理由を聞いて回った。


個人の消費を地球規模で考えているなんて、シンプルにかっこいいなと思いました。


この時の経験から日本でも自分たちのことだけではなく、未来のことをしっかりと考えた農業を実践したいと思うようになりました。


ちなみに、素ヱコ農園のエコは、ここから来ています。


さて、日本では、養鶏の9割以上が、狭いゲージで育てられています。


確かに効率的にはすごく良いのですが、その育て方は、狭い環境の生育や高カロリー高タンパクな餌、抗生物質などで鶏にストレスがかかっており、人間が一方的にテイクしているような感覚を覚えます。


僕がやりたいのは、それとは対照的な広々した空間で、鶏がのびのびと育つ環境を作り、餌もなるだけ近隣から集めて自分たちで配合するという鶏が我がままになれる方法です。


そのためにはある程度広い土地が必要なのですが、伊万里は山に囲まれた中山間地域で広い土地が手に入りにくいです。


どうしようかと考えていた時に、ボロボロの耕作放棄地となった農業用のハウスを見つけました。


このハウスは元々金柑が育てられていたのですが、7年もの間、放置されて耕作放棄されてました。



結構な大きさがあったので、この耕作放棄地を再生させて、元々からある金柑を生かしつつ、空いている木下の空間を利用して鶏を平飼いしようと考えました。



「あのハウスはもうダメだ。辞めとけ。」


このハウスはゴミや草で視界が塞がれ、足場も悪く、誰も入りたがらない場所でした。


そのため、多くの人は中身を見ずに外見からもうダメだと判断し、とにかく反対されました。


それでも簡単に諦めきれきれずに、ゴミに囲まれた茂みの中を入っていきました。

そこには長年放置された中で、自然に適応した我がままな金柑の実がありました。



「これは、いける。まだ生きてる。片付けには相当な労力が必要だけど、絶対に希望はある。」


周囲の反対を押し切り、単独で所有者の方に直談判しにいき、10年間借りることが決定しました。


既に、6月から片付けを始めています。


軽トラック10台分にもおよぶ半端ない量のゴミを捨てたり、強靭な草木を刈るために、草刈機の歯を取っ替え引っ替えしながら、2ヶ月ぐらいかけてある程度片付けることができました。



現在は、金網を貼ったり周りを整備したりして、鶏を迎え入れる準備を着々と進めています。


8月の末にはテストとして100羽飼います。


養鶏は、イタチや犬などの外敵に気をつける必要があるので、一気にやるのではなく、様子を見ながら段階的に増やしていき、最終的に3000羽ぐらい考えています。


最初は、人からお金をいただいて物事を進めるクラウドファンディングに対して少し抵抗があって、野菜の売上をこちらの制作費用に回しながら、細々と作ってきました。


ただ、色々考えていくうちに今のままじゃダメだと思いました。



僕がやりたいことは、ただの農家として生活費を稼いで家族が暮らしていくことではないです。


田舎に、我がままな職業をどんどん作っていくことです。


そうなるためには、今のスピード感じゃ、到底無理です。


たとえ恥をかいてでも、人に頭を下げて、もっと自分のやりたいことを語り、どんどん前に進んで行かなくてはいけません。

人からお金をいただくことは非常に重たいことです。


ただ、それをやるだけの覚悟と責任を持ち合わせてなかったら、この先もっと大きなことをやっていく上で何もできないと思い、この度クラウドファンディングをやることにしました。


このクラウドファンディングは、一方的に支援してもらうというよりも、来年の売り上げを一部今年に持ってくるという、先行販売という位置付けで実施します。


なので、リターンは、売るはずだった野菜にしています。


いろんな応援の仕方があると思いますが、何より僕が作ったものを食べてもらい、そこから、何かを感じてもらえたらと嬉しいです。


養鶏において、餌は卵の品質にダイレクトに関係してくる非常に大切なものです。


平飼いで、ストレスなく育ててることに加えて餌にもこだわります。


そんな卵作りのキモとも言える餌にはω3脂肪酸を豊富に含んだスーパーフードのスベリヒユ(五行草)を使い、機能性の高い卵を作りたいと考えています。

スーパーフードのスベリヒユ。栄養価と味が認められて、病院の給食や飲食店に卸している。


また、元から栽培していた金柑も鶏の糞を肥料に、農薬を使わずになるだけ自然に近い生命力溢れる金柑にしたいと考えています。


金柑は、栄養の宝庫と呼ばれるほど、栄養価が高いので、味の良さや食べやすさに加えて健康面でもオススメしたいです。




いただいた支援はハウスの修理と養鶏場の制作に使います。

ーハウスの片付けで出た産業廃棄物の撤去 約14万円
ーハウスの灌水設備 約50万円
ーハウスのビニールや金属の修繕 約20万円
ー金網やスクリューメッシュなど害獣予防の柵の購入費 約11万円
ー鶏の餌箱や巣箱の材料費 約6万円
ー手数料 約20万円


みなさんから応援していただいたという気持ちを忘れずに、全力でやり切ります。


僕は、我がままになれる社会を作りたいと思い、祖母から農業を引き継ぎ、素ヱコ農園をやっています。


今回のクラウドファンディングを通して、耕作放棄地を再生させ、養鶏場と果樹園を合わせた農園を作ります。


そして、この先、田舎でも、自分たちで自分がやりたい仕事を作っていけるような希望に満ち溢れた社会を作りたいです。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • 2020/09/19 22:00

    本日、目標金額達成することができました。いや、本当にたくさんの方々に応援してもらい、達成させてもらいました。支援していただいた中に、「さとしくんのチャレンジは、農業者だけでなく、地方で何かをやりたいと思っている若者の光になると思います。」というコメントがありました。*お金も経験も何も持ってない...

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