はじめに 自己紹介

はじめまして。ご覧いただきありがとうございます。
山﨑達璽(やまざきたつじ)と申します。46歳です。
映画監督の名のもと、ふだんは映像ディレクターをしたり、映像の専門学校で講師をしています。

33歳の時、この映画『宮城野』を撮りました。
「とんでもないものを作ってしまった」という自負がありましたが、興行的にはうまくいきませんでした……。

でも、青臭い思い出の長編デビュー作ではなく、100年後も色褪せることのない映画だと、12年以上が経った今でも胸を張って言えます。

このプロジェクトは、その当時の悔しさと、樹木希林さんをはじめ、この12年で鬼籍に入ってしまった関係者への追悼がはじまりです。

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映画『宮城野』とは

この愛は、本物か、偽物か。
ひとりの女の愛が、写楽を謎の存在たらしめた……

写楽の浮世絵に隠された、美しくも儚い、そして残酷な愛の物語

時は、寛政6(1794)年――
江戸の刑場で、薄汚れた年増女郎の処刑が行われようとしていた。
女の名は、宮城野。
罪名は、浮世絵師・東洲斎写楽殺し。
冷たい刃が女の喉にあてられた瞬間、女はその命を愛の証と捧げた男のことを想う。
写楽を手に掛けたのは、本当に宮城野なのか。
真実を知るのは、宮城野の罪を決定づけた、ただ一枚の、傑作役者絵。
その絵の名もまた、「宮城野」だった。

<キャスト>

<スタッフ>



プロジェクトの背景

映画『宮城野』の歩んだ長い道のりが、本プロジェクトにつながっているので、手短にご紹介します。

▶︎映画『宮城野』苦難の12年

山﨑達璽監督自らインディペンデントで企画を立ち上げた映画『宮城野』は、強力なキャスト・スタッフを集めて、2007年11月にクランクイン。編集・仕上げを経て翌2008年3月に完成に漕ぎつけました。

ディレクターズカット版DVD

しかし、当時の映画業界で思わぬ逆風に遭い、全国公開ができないという憂き目に。映画祭や自主配給というごく限られた形でしかお披露目できないまま、フィルムはお蔵入り同然となってしまいます。

その後、多くの人の思いが詰まった映画を多くの人に観てもらいたい一心で、監督自らデジタル化やDVD化、イベント上映など『宮城野』を届ける活動を続けてきました。


▶︎動画配信のスタートで新たなる決意

地道な活動が実を結び、2019年には国内主要のプラットフォームでデジタル配信されるようになりました。すると、見た人の感想や好評価、SNS等での書き込みがじわじわと広がりはじめます。

12年近くを経てやっと、映画から何かを感じとってくださる人の存在、その手応えを直接に感じることができるようになったのです。本作のチカラを信じ続けた監督の、新たな決意のきっかけとなりました。

【2020年9月現在 映画『宮城野』動画配信プラットフォーム】



〜樹木希林さん・大切な人たちのために〜

一方で、2016年10月に美術監督・池谷仙克さん、2018年9月には樹木希林さんが、次々と鬼籍に入られました。「彼らの素晴らしい仕事をもっと多くの人に届けたい」という思いが原動力となり、こうして『宮城野』を世界へ届けるというチャレンジに至りました。

撮影時の樹木希林さんと山﨑監督



映画『宮城野』 と日本の伝統文化

映画『宮城野』を100年先まで美しく色褪せないエンターテインメント映画にすること。

それは、日本文化をこよなく愛し、日本で一番歌舞伎を愛する映画監督を自認する、山﨑の当初からの誓いでした。リスペクトする伝統文化の様式美を用いて、ブレない美意識でこれをエンターテインメントと融合させ、これまでに見たことのない新感覚の時代劇に仕上げたのです。


【歌舞伎】歌舞伎を愛してやまない監督だからこそ実現させた演出

「片岡愛之助」『半沢直樹』でのブレイク前夜の“ラブリン”。初の時代劇映画で「本領」を発揮しています。歌舞伎でいう「色悪」っぷりが全開と評判に。

「黒衣」おなじみの黒装束のヘルパー。舞台では「見えてない」ことがお約束ですが、本作ではあえて「見えてる」ことにこだわりました。

「見得」歌舞伎のここぞという時の決めポーズ。観客は近寄ることが出来ない舞台上でのクローズアップの効果といえます。愛之助さんのホンモノの見得をご堪能ください。

「だんまり」暗闇の中で主要登場人物たちが宝物などを奪い合う、パントマイムのような場面。歌舞伎では大きな見どころですが、映画に取り入れたのは歴史上初かも? 全員が歌舞伎の衣裳とメイクをしています。

「義太夫の出語り」人形浄瑠璃(文楽)や歌舞伎で、台詞やト書きを三味線に合わせて語る「義太夫」。音だけが聞こえるのではなく、舞台上に演奏者が登場してそれを行う演出。本作では毬谷さんにあわせて女流義太夫が登場。

「純邦楽」洋楽をベースにしたサントラとは別に、付随音楽や風雨の自然音としての「純邦楽」も随所に流れます。歌舞伎座に出演している超一流の演奏家たちが担当。

「拍子木・ツケ打ち」芝居のはじまりや幕切れを告げる拍子木、演技の動きや仕草などを強調するために鳴らされるツケ打ちが入ります。歌舞伎ではおなじみですが、映画に果敢に取り入れました。


【浮世絵】世界的に知られた「写楽」の浮世絵がストーリーの軸に

東洲斎写楽
「中山富三郎の宮城野」
■「宮城野」役者大首絵

東洲斎写楽が描いた役者の大首絵(ポートレイト)の代表作。女形・中山富三郎が田舎娘の役に扮している姿が、奇妙にデフォルメされています。


■浮世絵の木版画
木版画は大量生産されたため、庶民の間で大流行していました。特に、役者絵と美人画は人気があったといいます。現代でいうところのグラビアです。

本編で使用された木版画はすべて「アダチ版画研究所」の提供。アダチ版画は復刻浮世絵版画の老舗で、写楽の絵に関してはそのすべてを復刻しています。浮世絵の研究や継承にも積極的に取り組んでおり、映画『宮城野』の心強いパートナーです。


【立版古】江戸文化を継承した様式美を持ち込んだ美術セット

立版古(たてばんこ)とは、現代でいうペーパークラフトやジオラマ。名所旧跡や歌舞伎の名場面などを題材にした玩具です。本作では、舞台となる建物がそれぞれ立版古で表現されます。紙人形を持った手と並ぶサイズのこともあれば、演じる俳優自体がその中にいる実寸大になることもあります。


〜美術監督・池谷仙克氏に捧ぐ〜

上記の立版古をはじめ、みるものの度胆を抜いた本作のビジュアル・デザインは美術監督・池谷仙克氏です。ウルトラ怪獣にはじまり、実相寺昭雄や鈴木清順監督作品、さらには『銀魂』(17)からテレビCMまで、独自の世界を作り上げてきた、文字通りの映像美術界の鬼才でした。

山﨑監督は中学時代に観た『帝都物語』(88)の池谷美術に感銘を受け、「いつか映画監督になったらこの人に美術を頼もう」と固く誓ったそうです。本作ではまさにその夢が実現し、池谷氏は太陽の光もコントール下に置いた世界のなか、「省略」と「デフォルメ」、「様式」と「写実」を行ったり来たりするビジュアルを作り上げていきました。

試写を観た池谷氏は「今回は100%自分のやりたいことができました。ありがとう」と監督に伝えたそうです。

それはフィレンツェでのワールドプレミアの際、二人での舞台挨拶に結実していきました。2016年10月、76歳で没。

2010年 フィレンツェ日本映画祭/池谷さんと山﨑監督による舞台挨拶


最先端を行くアーティストとのコラボレーション

【浮世絵担当】石川 真澄

浮世絵を担当したのは、今や『STAR WARS』を浮世絵で描くなど飛ぶ鳥を落とす勢いの浮世絵師・石川真澄。撮影当時“六代目歌川国政”として、劇中で描かれる美人絵、矢太郎の手元の吹き替えまでも担当。浮世絵描写のリアルは彼の存在なくしてあり得ず、劇中の矢太郎が左利きなのも、石川自身が左利きであることと写楽にまつわるミステリアスな風説が合致したもの。


■石川 真澄

1978年東京生まれ。2000年に六代目歌川豊国に師事。まもなく六代目が他界したため、独学で浮世絵表現を習得し画家、絵師として独立。近作に『DAVID BOWIE』浮世絵(ロンドンの大英博物館に所蔵)、『New Era』とのプロダクトコラボレーション、『STAR WARS 歌舞伎』メインヴィジュアルほか多数。今春待望の『STAR WARS』浮世絵新作『星間大戦絵巻 侍第師範 擁懦』(ヨーダ)発売。作品集『石川真澄 作品集 IMAGINATOR』の刊行予定。今昔ラボ主宰。www.konjakulabo.com



【音楽】野崎 良太(Jazztronik)

Jazztronikのプロジェクト名で知られる野崎良太と山﨑監督は大学時代からの盟友。監督のデビュー作『夢二人形』(98)からサントラを手掛け、本作で3作目のタッグとなった。生楽器での収録にこだわり、チェロ演奏は柏木広樹が参加しています。

▶︎テーマ曲「宮城野」


■野崎 良太(Jazztronik)

特定のメンバーを持たない自由なミュージック・プロジェクトJazztronikとしてアーティスト活動する傍ら、作編曲家としても国内外で活躍。映像音楽も数多く手掛け、その音楽性は進化し続けている。DJとしてロングランパーティー”Jazztronica!!”の全国開催、音楽カルチャープロジェクトMusilogueなど、活動は多岐に渡る。2013年、自身のレーベル七五三Recordsを立ち上げ、『Jazztronik Studio Live Best』『Cinematic』をリリース。2018年より柴咲コウの音楽プロデュースとともにバンドマスターとして各地のライブにも参加している。jazztronik.com


現代性と実力を兼ね揃え、国内外で活躍するアーティストたちの参加を得ていることも、『宮城野』が自信を持って世界にお届けできる映画だと言える理由です。



映画『宮城野』世界へ届ける3つのステップ

海外へ配信するための英語字幕を作成することが第一義です。その上で、世界へより広く届けるためのステップを考えています。

<Step1>作品に相応しい最上の英語字幕を作る

映画『宮城野』にしかなし得ない、最上の字幕づくりを目指します。

まず、台詞のみを翻訳するのではなく、その前に立ち返って日本語シナリオの完訳からスタート。【シナリオ翻訳】は矢代静一による原作『宮城野』をはじめ、多くの戯曲の翻訳を手掛ける上智大学名誉教授・ボイド眞理子氏に依頼しました。

その完訳シナリオを踏まえた【英語字幕作成】を、NYブルックリンに拠点を置く演出家であり翻訳者の小川アヤ氏が担当。これ以上にない適任なお二人の協力を得て、表現したい言葉を丁寧に英語字幕に替え、字幕も作品の一部としてこだわり抜いて制作してまいります。


<Step2>欧米の映画配信サイトへ掲載する

英語字幕を付けたインターナショナル版が完成すれば、欧米の映画配信サイトへ掲載することが可能となり、映画『宮城野』は世界への第一歩を歩みはじめます。


<Step3>全世界がプラットフォームの「Netflix」へ

一番実現したいことは、日本を含めた全世界で視聴可能なプラットフォーム「Netflix」で配信することです。字幕が付いていない現段階では「Netflix」での配信確約は得ることができません。英語字幕がつけば、全世界に届けるにふさわしい作品としてエントリーできます。ご支援くださる皆さまにもインターナショナル版をいつでもご覧いただけるよう、「Netflix」での配信を大目標に据えています。



資金の使い道

ご支援いただく資金は、前項<Step1>の英語字幕制作にかかる下記費用に充てさせていただきます。

・シナリオ翻訳/映画用字幕作成
・字幕データ・タイミングデータ作成
・映像へのスポッティング作業
(その他)
・リターン実費と活動費
・クラウドファウンティング手数料

もし集まらなかった場合にも自己資金でなんとか英語版は完成させます。



リターンについて

「お気持ちコース」から「山﨑達璽監督プレミアムコース」まで、全12コースを用意。主な内容をご紹介します。詳細は各リターン画面でご確認ください。

★インターナショナル版エンドクレジットにご支援者のお名前を掲載(ご希望の方のみ)
すべてのコースでご希望いただけます。

★完成したインターナショナル版(英語字幕付き)本編オンライン試写(期間限定)
PC・タブレット端末・スマートフォンからのみにはなりますが、完成したインターナショナル版をオンラインで視聴できる期間を設けますので、ぜひ英語字幕もお楽しみください。

★縮刷版 完成台本(日本語)をお届け、さらに各種シナリオデータと読み比べ
完成台本を縮刷版(A5サイズ/約100ページ予定)にしてお届け。その完成台本から、今回翻訳する「英語翻訳シナリオ」、さらに「幻のシナリオ第一稿」&「撮影(決定)稿」をデータで送信いたします。英語と日本語、台詞と字幕の表現、製作過程の変遷など、様々に読み比べることで映画をより深くご鑑賞いただけます。

★映画『宮城野』オリジナルグッズ、DVD・Blu-ray
ポストカードや手ぬぐい、本編DVD・Blu-rayなど、ご予算にあわせてご選択いただけます。

★映画をより深めるオンラインイベントの実施
イベント①>オーディオコメンタリー付き試写会ご招待
・インターナショナル版を監督による映画同時解説付きでご覧いただけます。
・11月21日(土)15:00〜17:30/オンラインにて開催予定(約2週間の録画視聴あり)

<イベント②>試写会後オンライン二次会参加権
・監督と映画の裏話、歌舞伎愛などについて語りましょう。
・11月21日(土)18:00〜 /オンラインにて開催(ライブのみ)

<イベント③>トーク「浮世絵コンシェルジュと語る映画『宮城野』の魅力(仮)」ご招待 
・監督と浮世絵コンシェルジュとして活動する畑江麻里氏によるトークイベントです。
・11月28日(土)15:00〜16:30/オンラインにて開催予定(約2週間の録画視聴あり)

★ホンモノの木版画「中山富三郎の宮城野」をお届けする「写楽の浮世絵コース」(アダチ版画提供)
寛政6(1794)年5月、桐座で上演された『敵討乗合話(かたきうちのりやいばなし)』より描かれた7点の大首絵は、写楽の初期代表作といわれています。
本編で矢太郎が写楽に成り代わって描き上げた「中山富三郎の宮城野」をアダチ版画のオリジナル額装付き(ライトコースでは額なし)でお届けします。ご希望により同演目の他6点のうちから変更いただくことも可能です。

【1.中山富三郎の宮城野/2.三世市川高麗蔵の志賀大七/3.松本米三郎のけはい坂少将実はしのぶ/4.尾上松助の松下造酒之進/5.中島和田右衛門のぼうだら長左衛門と中村此蔵の船宿かな川やの権/6.八世森田勘弥の駕篭舁鴬の治郎作/7.四世松本幸四郎の山谷の肴屋五郎兵衛】

★監督とお茶を飲みながら映画談義・浮世絵談義できるプレミアムコース2種
①「写楽の浮世絵プレミアム」コース:山﨑達璽監督との茶話会@目白
・アダチ版画研究所 目白ショールームを見学
・12月5日(土)日中に開催予定/場所未定

②「山﨑達璽プレミアム」コース:山﨑達璽監督との茶話会@鎌倉
・12月12日(土)日中に開催予定/場所未定

※新型コロナ情勢によっては形式を変更する場合があります。現地までの交通費はご負担いただきます。



実施スケジュール

英語字幕制作のスケジュールとしては、並行して準備を進め、10月末の完成を目指しています。

完成したインターナショナル版(英語字幕付き)本編オンライン試写は、11月中を目処にオンラインで開催予定です。

他のリターンに関しましても11月中を目処にご送付、イベント実施いたします。プレミアムコースの一部イベントは12月を予定しています。



おわりに

長くて暑苦しい紹介文にここまでお付き合いいただき、まずは感謝申し上げます。

本作の原作者である矢代静一はこんなことを言っています。

「写楽なる人物は、魔性というべき一種独特な吸引力を持っていて、一度その魅力にとりつかれると、人は、写楽像を通して自分自身を語りたくなるのだ」と。

まさにとりつかれた人間がここにいます。

語りたい「自分自身」とは、気取って言うなら、自分の人生の生きる目的だと思うんです。

当初、それは映画を撮ることだと思っていました。

でもそれは手段に過ぎないんですね。

長い付き合いになった写楽は、こんなミッションステートメントに導いてくれました。

伝統文化を永遠のものにするために
ものづくりを通じて
そこに現代性を与え、次代に伝えていく

映画『宮城野』には日本の伝統文化が凝縮されています。

それを最新の技術をもってして世界に向けてデジタル配信することは、私のミッションそのものになります。

あなたのご支援を心よりお待ち申し上げております。


※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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