はじめに

 秩父宮記念スポーツ博物館は、昭和天皇の弟君であった「スポーツの宮さま」秩父宮殿下を記念して国立競技場内に設立されてから60年あまり。国立競技場の建て替えに伴い、2014年から休館しています。

 現在は、新たな展示場所を求めつつ、東京都足立区の倉庫で再開館の準備をしています。

 新規の開館までには、なおしばらくの時間を要する見込みですが、再開館に先立ち、資料の修復を開始することにしました。


解決したい課題

 わたしたちは、まず、歴史的にも画期的な大会であった1964年の東京五輪のメダル修復から資料劣化防止の事業を開始しようと考えています。

 金メダルは高純度の銀合金の上にメッキを施したものですが、 写真を御覧いただくと分かるように、一部に経年劣化の酸化による汚損がみられ、それがゆっくりと進行し、拡がっていくことが危惧されます。そのため、汚損を除去したうえで劣化の原因を可能な限り排除する必要があります。


このプロジェクトで実現したいこと

 資料の展示は博物館の中核となる活動ですが、それは同時に資料の劣化を伴います。資料の公開と適切な保存の両立は、博物館に課せられた重要な使命です。

 この修復によって、1964年東京大会のレガシーのもつ輝きをより適切に次代に伝えていくことと同時に、貴重なスポーツ文化財を保存する意識を高めていきたい。それが、このプロジェクトを通してわたしたちが実現したい願いです。


実施スケジュール

2020年11月下旬  HP開設

2021年   3月下旬  資料修復完了、修復後の資料納品

2021年   3月下旬  御礼状、報告レポート発送


※ 本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合でも、計画は実行します。


リターン (※寄付型クラウドファンディングの税制優遇について)

※ 本プロジェクトは寄附型で、「寄附金控除」、「税額控除」の対象となります。

※ 「寄附金控除」、「税額控除」をお受けいただくには、確定申告の際に、スポーツ博物館の設置母体であるJSC(日本スポーツ振興センター)が発行した「領収証」の提出が必要となります。(領収証はプラットホームのGood Morning社ではなく、JSCが発行・郵送いたします。)

※ 「ふるさと納税」のように返礼品をお届けできないのは残念ですが、御賛同いただいた皆様には、お礼状と事業報告のレポートをお送りいたします。

※ 領収証は年に一度、JSCより確定申告時期にお送りいたします。すぐに領収証が必要な方はご連絡ください。


修復家インタビュー

 今回の修復は、 世界的な美術修復家、藤原徹氏の文化財修復工房「明舎」で行われる。
 事前の打ち合わせにこの工房を訪れた折に、藤原氏に専門家の立場から美術作品と歴史資料、スポーツ資料の特質やスポーツミュージアムへの期待を語っていただいた。

(聞き手)生活の中で使われるものや、現状維持の難しいものなど、美術作品とは違った資料の修復の考え方について教えてください。

(藤原)依頼者というか所有者のご要望に応える 修復を、あえて目指します。修復の考え方は、いまは良くても100年後には間違っているかも知れないのですが、ちゃんと保存されていれば、100年以上たって、なるほどこういう構造だったんだと、また別の意味をもって命が蘇るわけです。

(聞き手)長く使い続けたいと所有者が望んだ場合、やはり使う前提で直すわけですか。

(藤原)そうです。陶器なんかはそうですね。中国の古いものでは、練ったご飯で圧着して、何年か使っているうちに硬くなるというやり方もあります。

 いわゆる美術品かどうかというのは人間が勝手に決めるものですから、僕はそういう見方はやめようと言っています。人の営みが残っているものはすべて文化財として見よう、と。陽のあたる表舞台の影で、見落とされてきた文化財っていっぱいあるんですよ。そういうものをちゃんと捉えるには、100年、200年という時の流れを感じながら、まっさらな目を持って見ることです。

(聞き手)美術の場合は市場の価値に左右されませんか。

(藤原)その辺に落ちているようなものがオークションで何億みたいな話は、美術界の仕組によって編み出されているもので、そういう側面もあります。時代によって、あるいは人の企てによっても価値は変わる。その点、博物館資料の場合はそこに存在していること自体が重要だけど、一方で注意しなければならないことがある。誰も見ていないものを再現する場合のオリジナルの正当性ですね。私が仕事を始めた頃はオリジナルなものを尊重しようという風潮がなくて、仏像なんかもお湯に入れて全部剥がしてから漆を塗り直していました。そりゃきれいになりますが、それは違うよと言われるようになってきたのは、せいぜいこの20年ほどです。それでは歴史的な痕跡をかき消してしまうではないかという反省から、時代の確証がとれるものを残していこうとなったわけです。

(聞き手)先生は戦時下に作られたセメントの二宮金次郎像も修復されていますね。

(藤原)その時代を反映する形を持つものは、それだけで価値がある。二宮金次郎像もそうですが、いい例が石膏原型です。以前、佐藤忠良先生の特命を受けてヨーロッパに行ってきた任務のひとつは、ブロンズにする石膏原型をちゃんと保存してほしいということでした。

 当時はまだ、ブロンズは金目のもので高いもの、石膏とかセメントは壊れやすいもので、ブロンズにするための道具と理解されていました。だから金がない昔の彫刻家は石膏にブロンズの着彩をして展覧会に出したものです(笑)。しかし、作家が表現したかったことのタッチは石膏にこそ残っている。ロダンの指紋も石膏には残っていますし、記録性としても数段上です。ブロンズ像の真偽を担保する意味でも、石膏原型の重要性が30年ぐらい前からじわじわと認識されてきました。

(聞き手)スポーツ資料の場合、それ自体が時代や出来事を反映した証人である一方で、たとえばメダルなどは表彰用具であり造形作品という面もあって、ピカピカにすべきなのか、どこまで痕跡を残すか、現場では迷いもあります。

(藤原)たとえば古銭が海底から発見されたら、普通はピカピカにして展示することはないですね。やっぱり錆とか海藻が付着している状態、海底に沈んで2000年もあとに発見されたという痕跡が当然あるわけです。ピカピカにしたかったらメッキし直せばいい。やろうと思えばいつでもできます。もし金属が侵されている現状の危険があるなら、そこに処置をして、進行を遅らせるべきですが、永遠のものはないので、あとは50年後、100年後の人たちが決めればいい。非常に難しいところですが、答えは一つじゃないです。

(聞き手)複数製造されたものが多いのも近代スポーツ資料に見られる傾向です。

(藤原)キューピー人形のように大量生産されたものでも、絶対数が減ってくると貴重な資料になりますね。ヨーロッパでもなるべくいい状態の量産品をキープしておこうという動きがありますが、そこには絶対数の問題が関わってきます。

 古代ギリシャの円盤投げの彫刻はご存知だと思いますが、実際にはたくさん種類があって、ああ、こんな風に投げたんだと容易に想像できます。

(聞き手)スポーツ文化を扱うミュージアムの今後について、先生のお立場からの期待があったらぜひお聞かせください。

(藤原)今の人たちが気づいてない価値観をきちんと拾ったコレクションがあるといいなと思います。

 たとえば「走る」ということに関してシューズの変遷、木綿とか藁とかの素材に、虫や紫外線や油脂分とかにちょっと注意してあげながら、少しずつ少しずつ集めて、学問的に変遷が見えるものをつくっていくと、これはとんでもなくいい博物館になると思います。

 ランニングシャツひとつにしたって形が変わった理由があって、そこから見えてくる時代、社会というものを見せてあげれば、新しいものを見たい人の道しるべになります。そういう場があったら最高の博物館ですよね。


チーム/団体/自己紹介・活動実績など

秩父宮記念スポーツ博物館・図書館ホームページ
https://www.jpnsport.go.jp/muse/

独立行政法人日本スポーツ振興センターホームページ

https://www.jpnsport.go.jp/


  • 2021/01/21 12:00

    本日(1/21)は、当館クラウドファンディングの募集締切日前日です。現時点で712,500円の御寄附を頂戴し、目標金額70万円を達成いたしました!当館初の試みでしたが、改めて、お客様から御寄附を頂戴することの難しさと有難さを身に染みて実感するプロジェクトでした。メダルを修復し、スポーツ遺産を後...

  • 2020/12/15 16:33

    当初はお一方にもご支援いただけないのではないかと心配をしておりましたが、開始18日で目標額の15パーセント(105,000円)を達成しました!ありがとうございます。ご支援いただいた方のコメントに「大変意義のあるプロジェクトだと思います」というものがありました。当館には「日本のスポーツ遺産を後世...

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