【はじめに】 

2021年、東日本大震災から10年を迎えます。
東日本大震災の翌年、TheatreGroup”OCT/PASS”によって上演された「方丈の海」は、東北のとある小さな港町が舞台で、大震災から10年後の「今」を黙示録的に描いた鮮烈な作品です。

〇「方丈の海」ストーリー
大津波に多くを流された暁浜に残った廃墟のような映画館では、館主の家族三人と、船を失った漁師の若い兄妹が暮らしていた。
東日本大震災から10年たったこの浜に、津波に流され見つからない家族の遺骨を10年探し続けている男が訪れ、大地震によって日本海溝から浮かび発見されたという半魚人を連れた興行師や記憶喪失の伝説のサーファー、さらに地上げを企む不動産と秘書、謎の老婆、亡霊(コロス)が現れ、暁浜は大騒動となり・・・。
2012年初演チラシ

初演時(2012年8月~9月)「方丈の海」 は、各地から観劇に来た演劇人や劇評家の方々から「ぜひ東京や大阪でも公演を」とお声がけいただくほど、多くの反響を呼びました。しかしながら、作・演出の石川裕人が上演一か月後に急逝し、「方丈の海」は仙台以外の地で公演されることが叶いませんでした。

「方丈の海」を2021年3月に再演する企画は、仙台に加え、関東や関西で上演としようと数年前からTheatreGroup”OCT/PASS”の有志で計画していました。

方丈の海2021プロジェクトは、TheatreGroup“OCT/PASS”メンバーが呼びかけた有志で構成されています。

今回の演出は、元十月劇場のメンバーでもある渡部ギュウ(YONEZAWA GYU OFFICE)が担当し、数々の仙台演劇シーンを担うスタッフ、実力ある俳優陣が「方丈の海」を上演すべく集まり、まさにオール仙台で挑む意欲作であります。


石川裕人 プロフィール

(1953年9月21日 - 2012年10月11日)山形県東根市出身。劇作家・演出家・シナリオライター。
高校時代から役者・劇作・演出・作曲等を手がけ、80年代から仙台でアングラ演劇の嚆矢といわれ多くの演劇人を輩出した劇団十月劇場を立ち上げ(後1995年、TheatreGroup“OCT/PASS”結成)、仙台のみならず東北の演劇を盛り立て、全国各地の演劇ファンを仙台へ呼び込んだ無頼の演劇人。2010年100本目の戯曲を達成。「方丈の海」は103本目。1ヶ月に亘るロングラン公演、現代の闇に斬り込む「現代浮世草紙集」、宮沢賢治の作品を縦横にアダプトする「PLAY KENJI」等のシリーズで県内外で活動。
常に地域に根ざした地力の芝居を発信し、仙台・宮城の演劇シーンを牽引してきた。
日本劇作家協会会員。91年度宮城県芸術選奨新人賞、96年度宮城県芸術選奨受賞。

石川裕人劇作日記 時々好調
http://gekisaku.oct-pass.com/


【クラウドファンディングをやろうと思った理由】 

 「方丈の海」を2021年3月に再演するにあたり、仙台に加え、東京と尼崎での上演が2019年には決まっていました。
  しかし、2020年3月以降のこのコロナ禍で状況が一変したことにより、上演すべきなのか中止すべきなのか悩みに悩み、9月末まで何もできずにいました。

 それでも、この作品に込められた被災者や被災地への「祈り」と「鎮魂」、生きようとする人々の前を向いて進みだす「勇気」は、被災者にも現在のコロナ禍中の人々にも希望を与えることができる、今こそ届けるべき作品だとの考えに至りました。

 コロナウイルス感染予防の観点や予算の確保が難しいことから、大変残念ながら尼崎公演については断念しましたが、仙台と東京に絞りなんとしても上演することを決断いたしました。

 役者・スタッフの感染予防を徹底するため、また、観客にとっても安全で安心な舞台を提供するためには、稽古から小屋入り、本番、撤収まで衛生管理・消毒作業に時間も人手も倍以上にかかり、特にツアー費用もこれまでのように、密な車移動、大部屋で布団を並べての宿泊という安価なツアーというわけにはいきません。客席減少に伴う収入減も予想されます。

 それでも、関係者一同無事に、この作品を一人でも多くの方に届けたい!!
演劇が人々に必要な力となることを信じています!!!

 そのためには皆様の力をお借りしたいと、クラウドファンディングに挑戦しようと考えました。


【これまでの「方丈の海」上演記録】 

◆2012年3月11日。
震災から1年の日に、東京六本木ストライプハウス・ギャラリーにおいて千賀ゆう子企画による先行リーディング。

◆2012年8月30 (木) ~ 2012年9月8 (土) 初演 せんだい演劇工房10-BOX
演出:石川裕人 出演:絵永けい、小川描雀、長谷野勇希、美峰子、大山健治、荒野紘也、X梨ライヒ、河村邦画、漣なみ、佐々木久美子、横山真(客演)、高橋彩(公募出演)

◆2013年10月11日(金)~10月14日(月・祝)石川裕人追悼公演 せんだい演劇工房10-BOX。
演出:石川裕人(絵永けい)出演:絵永けい、小川描雀、長谷野勇希、大山健治、荒野紘也、X梨ライヒ、佐々木久美子、横山真、亀歩 客演:松崎太郎、江目ひとみ(劇団I.Q150)、高橋彩、櫻井未来

◆2014年8月23日(土) 新宿区・芸能花伝舎
日本演出者協会主催の東北被災地の舞台芸術家を支援する事業【フェニックス・プロジェクトVOL.7】においてリーディング公演(監修/和田善夫)

※)国際演劇評論家協会(AICT)日本センター(2016年3月13日 刊行)
(新野守弘氏、西堂行広氏、高橋豊氏、藤原央登氏が編集)
『「轟音の残響」から──震災・原発と演劇──』(晩成書房)に戯曲『方丈の海』が掲載される。


【この上演で実現したいこと】 

 この作品を実際の10年後(2021年3月)に新たな演出で上演し、復興・再生に向けた更なる精神活力を創出する。
 また近年、演劇交流を続けている杉並区の創造劇場「座・高円寺」との提携公演を実施し、関東地域へも東北の魅力を発信する。
 作品全編に南三陸の方言を散りばめる演出を加え、東日本大震災から10年の記憶、困難、経験、喜び、感謝を感情豊かに表現する。被災地に残る喪失感と新たに未来へ進もうとする人々の気概を会話劇として丹念に演出する。
 また実力のある若手俳優を起用し質の高い作品づくりを行うとともに演劇交流を広げ、東北の地から特色ある現代演劇を発信したい。

 コロナ禍にあっても希望と勇気を人々に与えるこの作品を、感染対策を徹底して上演します。


【リターンについて】 

私たちは「方丈の海」を無事上演し、一人でも多くの方に物語を届けることが、応援してくださる方々への一番のお礼と考えています。

【とことん応援リターン不要コース】を準備しました。
リターン不要でご支援をお考えの方はこちらをご選択ください。こちらのリターンを選択後、次の画面にてお好きな金額を上乗せすることができます。後日、感謝メッセージをお送りします。

その他、返礼品には、オリジナル手拭い、「方丈の海」上演DVD(※1)、石川裕人の戯曲集、公演招待チケットを用意したリターンも準備しました。

いずれのコースでもご支援していただいた方には、後日、心からの感謝メッセージを送らせていただきます。

※1「方丈の海」上演DVDの著作権は、方丈の海2021プロジェクトに帰属します。


【資金の使い道】 

「方丈の海」の上演には、各公演で助成や共催・提携での減免を受けることになっています。しかし、このコロナ禍で客席減少に伴うチケット収入減や、感染予防対策で費用は増えることが予想されます。
経費をかけるべきところを見極め、削れるところを削り、なんとしても上演したいと考えていますが、ご支援いただいた分だけ、様々な可能性を広げることができます。 ご支援していただいたお金は、上演資金で使わせていただきます。

また万が一、非常事態宣言や自粛要請による劇場の閉鎖等での公演中止では、スタッフや役者への謝礼確保、再演に向けた準備資金にいたします。


※本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。


【「方丈の海」上演スケジュール(会場・日時・開演時間)】 ※2021年1月12日現在

■仙台公演(2021年2月26日~3月7日※休演日あり)

会場:せんだい演劇工房10-BOX box-1 (https://www.gekito.jp/?pg=1435235315

2月26日(金)19:00
  27日(土)19:00 
  28日(日)14:00
3月 3日(水)19:00
  4日(木)19:00
  5日(金)14:00 / 19:00
  6日(土)14:00 / 19:00
      7日(日)14:00        10ステージ


 ■東京公演(2021年3月12日~14日) 

会場:座・高円寺1(https://za-koenji.jp/guide/index.html#link2

 3月12日(金)17:30
  13日(土)14:00(☆) 
      14日(日)14:00   3ステージ

☆13日14:00の回、終演後アフタートークあり


※公演の最新情報はHPをご確認ください。

方丈の海2021プロジェクトホームページ
http://houjounoumi2021.stage.corich.jp/



【最後に】 

未曽有の被害をもたらした東日本大震災の直後、演劇を、創作のエネルギーを、私たちはすぐには手繰り寄せることができませんでした。しかし、私たちに演劇をあきらめるという選択肢はなく、演劇を発信することで社会に寄り添い立ち上がりました。

大震災から10年を迎える今、コロナウイルス感染者は増加傾向にあり、舞台は敬遠される空気が漂っています。しかし、感染経路や感染対策はわかってきたことも多く、感染症を正しく恐れ、稽古から本番まで徹底した感染対策を実施し、役者・スタッフはじめ、観客の皆様にも安心安全に舞台をお届けしたいのです。

どうか、皆様の力をお貸しください。何卒よろしくお願いいたします。

方丈の海2021プロジェクト 




このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください