はじめに・ご挨拶


はじめまして。本プロジェクト実行者の佐々木 優紀と申します。


私の父であり、もうひとりの実行者である佐々木 孝が蔵元をつとめる金紋秋田酒造は、秋田県の内陸部、「大曲の花火大会」で有名な大仙市にあります。私たちの蔵がある「角間川」というエリアはかつて川の水運で栄えた川港町で、蔵の吟醸酒の銘柄にもなっています。


夏の花火大会には全国からたくさんの観光客が訪れます。(今年はコロナで中止)


鳥海山から流れ出る雄物川の豊かな水は、県内随一の穀倉地帯を支えています。


酒蔵の歴史は、昭和初期から始まりました。前身となる秋田富士酒造から数えても創業80年ほど。決して長い歴史のある酒蔵ではありません。三代目として父が蔵を継ぐまでは、主に普通酒を生産する小さな蔵でした。


日本有数の酒どころである秋田にあって、金紋秋田のような小さな蔵は個性を持たなければ生き残れない。1989年、30歳のときに家業を継いだ父は、新たな酒造りの方向性をどうすべきか苦悩したそうです。

金紋秋田酒造 3代目 蔵元 佐々木孝


そんな父の運命を大きく変えたのが、「熟成酒」との出会いでした。



米の旨みを引き出す「熟成酒」とは。


今では私たちが目にするメジャーな日本酒の多くは吟醸系。香り高き日本酒のひとつの極致です。ですが本来、日本酒は熟成されるほうが主流でした。熟成によって米の旨味をひきだされた酒は「古酒」と呼ばれ、鎌倉時代から江戸期に至るまで高級酒としての地位を得ていました。


世界に数え切れないほどあるお酒の中で、日本酒には他にはない特質があります。それは米がもたらす「旨味」。米は噛むほど甘くなりますが、実はそれはグルタミン酸やアミノ酸といった豊富な旨み要素によるもの。日本酒の真髄は「旨味」にあり、熟成とはその旨みを最大限に引き出すことなのです。


しかし明治期に入り、お酒の発酵が終わると同時に税を取り立てる酒税法の成立によって、多くの蔵ではお酒を貯蔵しておく余裕がなくなりました。その伝統は歴史の中で忘れ去られていったのです。

そのことを知った父は、再び「熟成」という文化を取り戻すことで、日本酒の世界がもっと多様で楽しいものになると考えました。そんな思いを胸に、独学で熟成酒づくりのチャレンジに突き進みました。


では、旨味のあるお酒の良さとは、なんでしょうか。


吟醸酒は米を半分以上磨き、心白のみを残すことで吟醸香が生まれます。でもその代償として旨みをつくるたんぱく質や脂質まで削ぎ落とされてしまいます。繊細な和食にはよく合いますが、油やスパイスも効いた現代の食事スタイルに合わせるのには限界があります。

でも熟成酒には多くの旨味成分が残っているため、食事のおいしさを旨み成分で更に引き立てることができます。また長い時間をかけて加わったバラエティー溢れる香りと深い味わいを感じることができます。金紋秋田酒造は父の代から「米の旨み」を酒造りの軸に据え、ワインやウイスキーのような熟成の技術を取り入れることで、世界のどんな料理とも合う食中酒をめざしたのです。


そして試行錯誤の先に生まれたのが、いまや金紋秋田の代名詞となった「山吹」です。


無色透明だった日本酒は年月を経て美しい琥珀色の「山吹」に


ちなみに私はまったく覚えていないのですが、父が熟成酒に手応えを感じたのは、幼い頃の私が発した一言だったそうです。試作段階の「山吹」の香りを「いいにおい!」と絶賛したらしいのです。のちにその山吹の営業活動を手伝わされるということを、当時の私は知る由もありません(笑)

こうして2007年、金紋秋田酒造の新たな個性として生まれた「山吹」。このお酒で父がめざしたのは、なんと日本国内ではなく海外でした。人と同じことをするのが嫌いな父らしい選択ではありましたが…



世界最高峰のコンテストIWCで、初出品にして世界一に輝く。


そして2009年。父は「熟成古酒 山吹1995」を、イギリスで毎年開かれる世界最大規模の酒類コンテスト「インターナショナル・ワインチャレンジ(IWC)の日本酒部門にエントリー。すると名だたる純米酒や大吟醸酒をおさえて、「チャンピオンサケ」を獲得してしまったのです!初出品にしていきなり最高賞という快挙でした。

「山吹1995」と2009年のIWCチャンピオントロフィー

伝説のチャンピオン・サケとなった原酒が眠る56号タンク


その後も2018年までにIWC金賞を6回受賞。海外では「山吹」の熟成による芳醇で奥深い味わいが認められつつあります。

金紋秋田酒造がIWCで受賞してきたトロフィーと賞状(一部)



今では世界各国のミシュランレストランでも取り扱いの実績があり、ジョエル・ロブション、ピエール・ガニェール、ドミニク・ブシェ、エピキュールなどの三ッ星レストランでその味わいを高く評価いただきました。熟成によって引き出された旨みは、食事と最高のマリアージュを生み出します。



海外で認められても、国内では理解されない日々。


しかし、父のチャレンジは順調なことばかりではありませんでした。

熟成酒に先入観のない海外と違い、日本国内では苦戦の連続。どんなお酒なのかわかってもらえなければ売れない。かといって、めざしている世界観は伝統的な「古酒」とも違う。まったく新しいお酒をめざしていただけに、伝え方に苦労しました。イメージが湧きやすいようにワインのボトルに入れてみたり、ウイスキーのボトルに入れてみたり。でも、山吹は世界のどの酒とも違うお酒です。


レストランでは「おいしいけれど、知名度のないお酒はお客さんにすすめにくい」と言われたり。酒販店では「どのコーナーに置けばいいかわからないから」という理由で扱ってもらえないこともありました。



世界で認められて海外販売が増えてきたとはいえ、熟成酒の売上だけで蔵の経営を支えることはできません。ただでさえ貯蔵コストがかかる熟成酒。新しいチャレンジのための投資もままならない時期が続きました。

そんなとき一筋の光明となったのが、「樽」との出会いだったのです。



熟成酒と出会って以来の衝撃。樽がもたらす無限の可能性。


きっかけは、オーストラリアのインポーターさんからの何気ない一言でした。

「カスクフィニッシュはやらないのか?」



洋酒において熟成と言えば、もちろん樽(カスク)。木の香りが加わることで奥深さが増すことはもちろんわかっていました。ただ父としてはあまりに王道すぎて、なんとなく手をつけてこなかったという樽熟成。でもコロナ禍のあいだにできた時間を使い、オーク樽で試しに山吹を半年ほど寝かせてみたところ… 



なんと、衝撃のおいしさ!


樽と山吹の相性がここまで良いとは驚きでした。樽香が加わることで、これまで以上に食事に合わせやすい。頭ではわかっていたことでしたが、私たちの想像を大きく超えていました。熟成された米の旨味に、奥深い熟成香と樽香が広がる。樽香がブリッジとなって、フレンチやイタリアンにも合わせやすくなったのです。(もちろん和食にも合いますよ!)

東西の熟成文化が融合したことで、日本酒という枠を超えていく予感がありました。伝統的な日本酒でも熟成古酒でもない。世界を相手にジャパニーズワインやジャパニーズウイスキーが認められたように。「ヴィンテージ・サケ」という新しいカテゴリーを創造できるのでは、と手応えを感じています。


まずは、オーク樽・桜樽・栗樽で仕込んでみたい。

父はいま、いろんな樽でカスクフィニッシュを試してみたい!とうずうずしています。その願いを実現するため、一緒にクラウドファンディングに挑戦してみようと思い立ちました。


今回はIWC金賞を6度受賞している「山吹ゴールド」を、3種類の樽に仕込みたいと考えています。

①    オーク樽(ウイスキーのような味わいの辛口)

②    桜樽  (辛口でシャープな味わい)

③    栗樽  (芳醇でコク・厚みのある味わい)

まずは、アメリカンオークの新樽。オークの新鮮な樽香が山吹ゴールドに染み込み、ウイスキーのような味わいとバニラ、ココナッツの甘い香りが生まれます。山吹が持つスパイシーさが強調されることでしょう。ウイスキーのニュアンスを感じながら、ウイスキーにはない「旨味」が含まれる。そんな、他にないお酒になると期待しています。

あとの2種類は、和のテイストを表現するために鏡(平面の部分)に和栗・桜をそれぞれ使用した樽に仕込みます。桜はバニラの香りの中に、レモンピール、青りんご、ミント、青草などのフレッシュな爽やかさを感じられるお酒になると思います。栗はポリフェノールやタンニンを多く含み、コクと厚みのある味わいを引き出します。モンブランの甘いほのかな香りがする、濃厚な熟成酒になる想定です。3種類の個性によって、食事とのペアリングの幅も広がることでしょう。



今回樽仕込みの原酒となる「山吹ゴールド」は、10年熟成酒をベースに最高20年物の熟成酒を数種類ブレンドしてつくりあげたお酒です。もともと樽で熟成させたような香りと甘さがありますが、果たしてカスクフィニッシュによってどんな変化が加わるのか。私たちもワクワクしています。



酒と食で旨みを引き出す。日本酒の枠を超えた食中酒へ。


もともと食中酒として開発された「山吹」ですので、どんな飲み方でもおいしくいただけますが、香りが開く常温が特におすすめです。ワイングラスやシェリーグラスでゆっくり味わうと、時間とともに香りが変化していくのが楽しんでいただけると思います。


撮影協力:ristorante giueme 様 


さらにそれぞれの樽で熟成すると、どんなニュアンスが加わるのか?料理のおいしさをどう引き出してくれるのか?その答え合わせができるのは、2022年の3月頃になる予定です。まだ誰も飲んだことのない樽熟成の山吹。そのファーストロットを、ぜひ一緒に味わってみませんか?

 


今回のリターンについて


○YAMABUKI樽熟成ファーストロット

原酒はIWCで受賞の実績もある山吹ゴールド。そのままでも世界で評価されている熟成酒をさらに樽仕込みするという、贅沢なお酒になります。私たちが手がける「ヴィンテージ・サケ」の記念すべきファーストロットを、支援者のみなさまにお届けします。

新しいデザインのボトルも制作中です(実際の仕様と異なる場合があります)


オーク樽・桜樽・栗樽からお好みのお酒をお選びください。オーク樽は試作にも使用している最もスタンダードな洋樽。桜樽と栗樽は和のテイストが加わると考えています。桜は爽やかさ、栗はコクと厚みのある熟成酒になる予定です。どれかひとつは選べない!違いを飲み比べたい!という方には、3種のテイスティングセットや、樽熟成をしていない従来の山吹との4本セットもご用意しました。


熟成酒は、ウイスキーなどのように開封後も常温で何年も保管しておけるお酒です。開栓後すぐに飲みきる必要はありません。いろんな食事と合わせたり、お酒そのものの香りや味わいを楽しんだり。時間による変化も含めて、じっくりお楽しみいただけます。



○YAMABUKI樽熟成ペアリングセット

YAMABUKI樽熟成の食中酒としてのポテンシャルを感じていただくために、ヴィンテージ・サケに合うおつまみを厳選したセットもご用意しました。

YAMABUKI樽熟成はどんな食事にも合いますし、秋田にはおいしいものがたくさんあるのですが、樽熟成の魅力がわかりやすい食材を蔵元と一緒にセレクト。親子であれやこれやとペアリングして悩みながら、これは!と思う逸品を選びました。お酒の旨みが食事の旨みを引き出すマリアージュの感動をぜひ味わっていただきたいです。


・嶋田ハム「ウィンナーソーセージ120g」:

秋田にありながらドイツの伝統製法を守っている嶋田ハムさんのソーセージ。中でも強い旨みとスパイス感があるウィンナーソーセージは、ビールに合うのはもちろんですがYAMABUKIの複雑な旨みとも相性がよかったです。塩味・旨み・燻製感が、樽仕込の風味や味わいをさらに膨らませてくれます。


・オイル漬け専門店 Norte Carta「いぶりがっことチーズのオイル漬」:

Norte Cartaさんの「いぶりがっことチーズのオイル漬は」経済産業大臣賞も受賞している逸品。秋田の魚醤「しょっつる」と、麹や燻製で仕上げられたうまみたっぷりの味わいが、YAMABUKIの樽香と良く合います。濃厚なチーズの風味と味わいを増幅させ、長く余韻として広がっていきます。


・新栄堂小田島菓子店「栗とイチジクの甘露煮2点セット」:

私が子供の頃から大好きな新栄堂小田島菓子店さんの甘露煮。甘いものと日本酒がこんなにも合うのか、と驚きと感動を感じられるペアリングです。特に栗の濃厚な渋み・旨み・甘みには、YAMABUKIの燻製感とタンニンの渋みが驚くほどマッチ。合わせることで栗のおいしさを増幅してくれます。



○「酒 秀治郎」さんとのコラボイベント参加権(3/13)

食中酒としての素晴らしさを感じていただくもうひとつのリターンとして、恵比寿・代官山の名店「酒 秀治郎」さんとのコラボイベントもご用意しました。日本酒好きの間では知らない人はいないであろう名店で、お料理と金紋秋田酒造の酒とのマリアージュを、私たち蔵元親子の解説付きで楽しんでいただきます。秀治郎さんにとっても初のクラウドファンディングコラボ企画。一見さん原則不可・予約困難な超人気店でお食事できるチャンスです!

当日は金紋秋田酒造を代表する貴重な熟成酒「山吹20年」をはじめ、YAMABUKI樽熟成3種を含む計10種類の日本酒を飲み比べることができます。


イベント詳細
・日時:2022年3月13日(日)13:00〜15:30
・定員:20名
・主催:酒 秀治郎  協力:金紋秋田酒造(株)

酒 秀治郎
住所:東京都渋谷区恵比寿西2丁目10−8
公式HP:http://sake-hidejiro.com/



○YAMABUKIプライベート樽

さらに特別なリターンとして、専用の樽(8ℓミニ樽・114ℓ樽)を仕込む権利をご用意しました。8ℓミニ樽は、自宅で保管しながら熟成による味わいの変化を楽しんでいただくことができます。114ℓの樽は金紋秋田酒造で保管し、瓶詰めしてお届けいたします。オリジナルラベルでのボトリングにも対応できますので、法人などのイベント用や記念品としても活用いただけます。


写真は試作時の樽ですのでリターン品とはサイズが異なります



樽熟成によって、「ヴィンテージ・サケ」という新しいカテゴリーを創造したい。


今回みなさまにご支援いただいた資金は、樽の購入費用のほか、商品デザインの刷新や品評会への出品費用などに活用させていただきます。

酒造りとは、日本酒単体の味覚評価だけにとどまらない、新しい味わいの世界の探求なんだ、と父はよく言っています。日本酒の「旨み」という本質をしっかりと踏まえながら、樽熟成によって、これまでにない食中酒をつくりたい。新しい「ヴィンテージ・サケ」の世界をひらきたい。そして、もういちど世界でチャンピオンをめざしたい。この小さな蔵の挑戦に、皆さまのご支援をどうぞよろしくお願い申し上げます。

最後までお読みいただきありがとうございました。



実行者 プロジェクトオーナー



佐々木 孝

金紋秋田酒造3代目蔵元。熟成酒と出会い、そこで生み出した「山吹」がIWC2009において初エントリーでチャンピオンを獲得。日本酒の可能性をひろげ、「ヴィンテージ・サケ」が世界で認められる日をめざす。高校・大学と弓道に没頭し3段を取得。ブルースギターが好きで演奏しているが、苦笑いされる程度の腕前。


佐々木 優紀

東京で会社員として働くかたわら、実家である金紋秋田酒造の広報・営業活動を手伝う。国内外問わず新しい酒文化・日本酒体験を広めていくこと、そしていつか父と一緒にIWCの表彰台に立つことが夢。


企業紹介

金紋秋田酒造株式会社

http://www.kinmon-kosyu.com/

〒014-1412  秋田県大仙市藤木字西八圭34-2

℡:0187-65-3560

代表銘柄は「山吹」「X3」「秋田富士」


沿革

1936年 – 秋田富士酒造店を創業。

1973年 – 現在の金紋秋田酒造株式会社設立。

2006年 佐々木孝が社長に就任。

2009年 – IWC 2009にて「山吹1995」が日本酒部門の最高賞であるチャンピオンサケを受賞。

2010年 - IWC2010にて「山吹ゴールド」、「山吹プレミアム」が銅賞を受賞。

2011年 - IWC2011にて「山吹ゴールド」が金賞、「山吹1994」が銀賞を受賞。

2012年 - IWC2012にて「山吹ゴールド」が金賞、トロフィー賞。「山吹プラチナ」が銀賞を受章。

2018年 「山吹1976年」がイギリスのオークションにおいて32万円で落札。

現在はハンガリー・スペイン・台湾・オーストラリア・アメリカ・香港・タイなどにも輸出されている。



リスク&チャレンジ

*開発中の製品につきましては、デザイン・仕様が一部変更になる可能性もございます。

*熟成の状況やご注文状況、使用部材の供給状況、製造工程上の都合等によって出荷時期が遅れる場合がございます。

*プロジェクトページに記載してある内容に変更があった場合は、できるだけ早く活動レポート等で共有を行っていく予定です。

*本プロジェクトの酒類を含むリターン品は20歳未満の方にはご支援いただけません。


<プロジェクトオーナーについて(特商法上の表記)>

■特定商取引法に関する記載
 ●販売事業者名:金紋秋田酒造株式会社 
 ●業務責任者:佐々木 孝
 ●事業者の住所/所在地:〒014-1412  秋田県大仙市藤木字西八圭34-2
 ●事業者の電話番号:Tel: 0187-65-3560 
 ●対価以外に必要な費用:プロジェクトページ、リターンに記載のとおり。
 ●その他記載事項:プロジェクトページ、リターン記載欄、共通記載欄(https://camp-fire.jp/legal)をご確認ください。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

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