はじめに
皆さん、はじめまして!僕は広島県の北西部にある湯来町で1941年から酪農を営んでいる「サゴタニ牧農」の久保宏輔(くぼこうすけ)と申します。
今回、放牧地に「牛の棲む森」を作りたいので、人生初のクラウドファンディングに挑戦します!応援して頂けると嬉しいです!!
サゴタニ牧農の紹介
サゴタニ牧農は1941年に祖父の久保政夫が創業しました。故郷の砂谷(サゴタニ)村を豊かにしたい、との想いで東京・八丈島から牛を23頭連れて帰ったのが始まりです(創業ストーリーはこちらから)。
2代目の父・久保正彦は今から10年前、“消費者交流こそ酪農発展の原点”という理想を掲げ、牧場にジェラート工房を作りました。同じタイミングで弟の尚彦が牧場に合流し、ジェラート工房の立上げを担いました。当時は年間100人程度の来場者でしたが、今では8万人が訪れる牧場になりました。
目指す姿
いま、僕たちが目指しているのは放牧地で育てた牛から乳を搾ることです。皆さんが牧場をイメージするとき、思い浮かぶのは放牧地で牛がのどかに草を食べている姿だと思います。一方で、日本には放牧酪農を実践している牧場は2%以下と言われていて、ほとんどの牛が一生を牛舎で過ごします(これが悪いわけではなく、牛をしっかり管理できる、生産性を高めることができるなどいい点はたくさんあります。サゴタニ牧農も、現在は牛舎飼いをしています。)
牧場の面積は35haあります。マツダスタジアム約7個分もの広さがあり、そこで育てた牧草を牛舎の牛に与えていますが、牧場には草木で覆われた使っていない傾斜地がまだ沢山あり、その傾斜地を開拓し、放牧地を作り、その放牧地の草を食べて育った牛から乳を搾りたいと考えています。
放牧への取組み
2020年の秋から冬にかけて、1.2ヘクタールの放牧地を自分たちで開拓しました。今後、放牧地を毎年増やしていき、2030年には放牧した牛から乳を搾りたいと考えています。
放牧地を牛がのどかに歩き、草を食む。その牛の堆肥はまた土に還り豊かな土壌を作り、良い草を作る。その草を食べた牛から人間が乳を分けてもらう。
これまでは、安心・安全・おいしい牛乳作りを目指してきましたが、一方でそれは当然のことであり、これから僕たちが届けたいのは、それだけではない事に気付きました。
“もっと食べるということの本質に近づきたい”
“僕たちは他の生き物の命を貰いながら日々生きている”
“食べることはエネルギーの等価交換”
当たり前だけど普段あまり意識しないこの事実は、生きていることの不思議さ、素晴らしさを思い起こさせてくれます。牧場に来ると、「生きてて良かったなぁ」と思えるような、そんな場所を作りたい、そう強く想っています。
これは決して簡単なことではないですが、何年かかっても必ず作ります。美しい放牧の風景を皆さんに見て貰います。
そして、牛がいることで牧場に多様な生物が住める環境を必ずみなさんと共に実現します。
このプロジェクトで実現したいこと
ー具体的な活動の内容ー
昨年開拓した放牧地に、「牛の棲む森」をつくります!
放牧地の中にある約1,500㎡の敷地に、広葉樹を中心とした樹木を植樹します。高木(4m)を約20本、中木(1~2m)を約60本植える計画です。植樹は、広島市己斐地区で江戸時代から400年以上続く老舗「庭能花園-にわよしかえん-」の庭師・着能松太郎さんに全面協力して頂きます。
今回のプロジェクトで森になる面積:1,500㎡(テニスコート約6面分)
植樹予定の樹種:クヌギ、クルミ、ミズナラ、カエデ、カシ等
植樹予定の本数:高木(4m)約20本、中木(2m)約60本
※現場状況によっては、若干変更になることがあろうかと思います。予めご了承ください。
■シルボパスチャー(林間放牧)について
こうした放牧地に樹木を植え、森をつくる取り組みを、シルボパスチャー(林間放牧)と言います。『ドローダウン-地球温暖化を逆転させる100の方法』という本にある記述を紹介します(世界各地の科学者が温暖化を食い止める具体的な提言をまとめた素晴らしい本なので良かったらご一読ください)。
『牛と木はしっくりこない-世間ではそう言います。ほんとうにそうでしょうか。ブラジルでも、どこでも、牧場経営は大規模な森林破壊とそれに伴う気候変動を加速させる元凶だと糾弾する見出しが目立ちます。しかし、シルボパスチャー(林間放牧)は、この牛と木は相容れないものだとする固定観念を覆し、牧畜に新時代を開く可能性があります。ラテン語の「森」と、「放牧」に由来するシルボパスチャーは、木と牧草地もしくは飼料をひとつの家畜飼育システムに統合しただけのことです。-中略- シルボパスチャーは、木を取り除くべき雑草とみるのではなく、木を持続可能な共生システムに取り込みます。 』
(出典:ドローダウン-地球温暖化を逆転させる100の方法より(ポール・ホーケン著))
■牛にとって何が良いのか?
日本、特に本州で放牧酪農が普及しない要因の一つは夏の暑さにあります。年々上昇する気温は、暑さ が苦手な牛にとってはなかなか厳しい環境です。夏の厳しい日差しを防いでくれる樹木、特に横に大きく広がる広葉樹は正にオアシスです。
■樹木にとって何が良いのか?
樹木は木陰を提供するだけで何も恩恵を受けられないのでしょうか?そんなことはありません。牛が樹木の間の雑草を食べることで、樹木が土中の栄養をしっかり吸収することができます。また、牛の糞は良質な肥料となり、樹木の成長を助けます。
■人にとって何が良いのか?
成長した樹木は、人にも恩恵をもたらします。例えばクルミの実は美味しいクッキーに。櫟の木は、椎茸を育てる原木に。楓の木からはメープルシロップが。そして豊かな森が養うクワガタやカブトムシは子どもたちに楽しい夏の思い出を作ってくれます。そして何より、自分たちが作った森で牛達が涼んでいる光景をみることは、この上ない喜びではないかと思うのです。
■未来にとって何が良いのか?
僕たちの身体を作ってくれる乳や肉を提供してくれる牛が、生きている間は元気に、その本来の姿で生きて欲しい。どこまでいっても人のエゴではありますが、牛を飼うものとして大切にしたいことです。放牧地が広がり、「牛の棲む森」が広がることで、そんな場所を作りたいです。
樹木の成長は長い年月がかかります。僕たちは、成長した樹木を活かして様々な物を作ってきました。「牛の棲む森」の樹木も十分に成長したら、椅子にしたいと思います。ただし、それは100年後です(僕たちが去った後の世界への贈り物です)。
牧場がある湯来町には、世界的な家具メーカー“マルニ木工”さんがあります。マルニ木工さんがつくる椅子“HIROSHIMA”は、カリフォルニア州にあるアップルの本社でも採用されています。そんなマルニ木工の会長・山中武さんにこの話をしたところ、二つ返事で了解して下さいました。植樹した木は、マルニ木工さん、庭師の着能さん、サゴタニ牧場で一緒に100年間、大事に見守っていきます。
プロジェクトを通じて実現したいこと
以下の絵は(下手な絵でスミマセン!)、僕たちが描く10年後の牧場です。様々な生き物が共存できる環境は、きっと人にとっても心地よい環境だと考えています。「牛の棲む森」は、その第一歩です。
生態系は複雑なシステムであり、多様性に富んでいるため、人が全体像から理解するには難しいものだと思います。その中で酪農は、「生態系」の一部をわかりやすい形で理解させてくれる営みだと考えています(牛という生き物を中心に据えて生態系を見るということです)。
牧場の中に、牛を中心とした様々な生き物が生きられる場をつくり、見て、感じて貰うことで、人々の自然に対する意識や実感を高めていくことができるのではないかと考えています。
現在の僕たちの暮らしは便利さや快適さを優先しすぎたことで、生態系の循環から離れた、単純化された仕組みの中で生きているように思います。でも、便利さや快適さの過度な追及は破綻しつつあり、そこに違和感を持つ人は確実に増えているように感じます(時には、企業が不便(需要)を作り出しているように感じることもあります)。
これからの酪農のあり方は、単に美味しい乳製品を、新商品を作り続けることだけではなく、この時代において必要とされる役割から考えていくことで、はじめて見えてくるものではないでしょうか。
応援メッセージ
株式会社マルニ木工 代表取締役会長 山中武様
「牧場に木を植えたいんです。その木で椅子をつくってもらえませんか?」
100年後のことをあたかも来年のことのように話す久保さんの頭の中には、「牛の棲む森」の明確な絵があり、牧場を案内してもらいながら聞く彼の言葉には、いつも心を大きく動かされます。そのお手伝いが出来ると思うとワクワクし、100年後の後輩に対し、少し誇らしい気持ちにもなります。皆さん、一緒に「森」を作りませんか?
実施スケジュール
ープロジェクト自体の実施スケジュールー
2022年5月下旬頃、“牛の棲む森”がスタートする予定です!!
2月上旬 設計開始
3月上旬 着工 / 順次リターンイベント開催
5月下旬 オープンイベント開催
お薦めリターンの紹介
■ まだ世に出ていない「チーズケーキ」を一足お先にお届け!
■一般募集はしていない「チーズ作り教室」を体験!
■マルニ木工さんの「広大な工場を見学」できます!
応援することを楽しんで頂けるように、僕たちも頑張ります!!
資金の使い道
■造成工事 150万円
(造成工・切土法面一式30万円、下草刈り一式10万円、伐採工30万円、園路工・法面土留め一式20万 円、土壌改良工・植栽工一式50万円、支保工一式10万円)
■リターン費用、クラウドファンディング手数料、等 50万円
<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
新たな挑戦!
私事ですが、2021年、国際的な農業の奨学金制度であるNuffield International Farming Scholarshipの日本代表として選抜して頂きました。
“Nuffield”って何?という方がほとんどだと思うので以下をNuffield JapanのWebサイトから引用します。
“Nuffieldは65年以上の歴史がある国際農業奨学金制度で、現在は世界中から年間約80名程度のスカラーが選出され、2年間にわたり世界6大陸を旅しながら、先進的な農業技術や文化を学びます。旅を通じて、奨学生は成長し、その国の農業を支える中心的なリーダーとなり、やがて世界中の農業奨学生らとの国際的なネットワークを構築できる研修プログラムです。”
先ずは2022年2月から4月までの間、ドイツ、イギリス、ベルギー、オランダ、アイルランドを訪問し、農業を学んで来ます。自分のこと(牧場)を知るためには他者を知らなくてはならないと考えています。こんな時代だからこそ、前を向いて一歩ずつ挑戦し、学んだことを牧場に活かし、皆さんと分かち合いたいです。
最後に
牧場の創業者・久保政夫は、“土地は国民共有の財産”と言っていました。
僕たちはその想いを引き継ぎ、この牧場を、関わってくれる人たちみんなと一緒に作って行きたいと考えています。 10年後のある日、“お客さま、素敵な牧場ができましたので是非お越しください”と、言うのではなく、“10年後にこうして行きたいんです!”と、言ったことが、少しずつ形になっていく過程を、皆さんと共有していきたい。そして、牧場作りを皆さんと一緒にしたい。そうすることで、10年後に完成する牧場は、ある日突然できたものではなく、“自分が関わり、一緒に育てた大切な牧場”になるのではないかと思います。
創業者:久保政夫
自然には、様々な形があります。人が一切介入しない自然は雄大で荒々しく、美しい。でも、僕たちは人と自然が共につくる場をつくりたい、そう思っています。“里山”という言葉を聞く時、どんな景色を想像しますか?違いはあると思いますが、なんとなく、優しい景色を想像するのではないでしょうか。自然と人が協力して作る景色は優しい。人も自然の一部であり、未来を紡ぐ大切な担い手です。
こうした先人の想いを引き継ぎながら、新たな酪農の形にチャレンジしたいと考えています。
皆さんの応援があってこそ前に進むことができます。
応援どうぞよろしくお願い致します!!
久保宏輔
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