こんにちは。かとう農園の3代目、加藤勝敏(かつとし)です。
クラウドファンディング特設サイトをご覧いただき、ありがとうございます。
ここでは、僕が取り組もうとしているプロジェクトやその経緯を、できる限り分かりやすくお伝えしていきます。

(1)かとう農園のこれまで

僕が働いているかとう農園は、愛知県津島市で昭和28年から「いちご」を作り始め、
来年で70周年を迎えるいちご農家です。

津島市という場所は、名古屋駅から車で30分ほどのところにあります。
全国に約3000の末社を持つ津島神社の門前町や、天王川の船運による貿易・商人の街として、織田信長が活躍していた時代から発展してきました。

明治期に入ると毛織物の街としても脚光を浴び、町中至る所で「ガチャコン」と機を織る音が響き渡っていましたが、安い輸入品に押されて衰退し、名古屋のベッドタウンとして住宅地が広がっています。現在は市内にこれといった産業もなく、かつてのような賑わいもなくなり、駅前の商店街もすっかり寂れてしまいました。

かとう農園は、僕の祖父が戦後すぐに、近隣農家と一緒になっていちご作りを始めました。
それまでは水はけのよい地形を生かして、桃や柿、ブドウなどの果樹の栽培が盛んでした。しかし、病気が蔓延したり、また、気候変動で収穫量が落ちたりしたため、これに代わるものを何か…と思い、それまで国内ではあまり栽培例のなかった「いちご」を作ることにしたのだそうです。
(これはただの自慢ですが、僕の祖父は周辺の生産者どうしで作った「下新田いちご組合」の初代組合長でした。)
日本のいちごは、オランダ苺を原種として日本の気候でも栽培しやすい品種が改良・開発され、かとう農園でも、「宝交早生」「ダナー」「女峰」などの品種を時代の変遷を経て栽培してきました。

現在は市内にある2箇所のビニールハウスで、ビニールハウス8棟、面積約25aの規模で栽培しています。
栽培品種は愛知県が品種改良した「ゆめのか」種を、僕と両親、アルバイトさん数名で作っています。

(2)僕がいちご農家を継いだきっかけ

僕は大学を卒業してから、もともと会社員をやっていました。当初から家業を継ぐつもりはなく、建材メーカーの営業を5年、一般社団法人の団体職員を約10年経験しました。

団体職員9年目の11月に父親が心筋梗塞で倒れ、それまで男手は父親ひとりだったことから、妻に相談したうえで家業を継ぐことを決心しました。子どもの頃から慣れ親しんでいたとは言え、見るのとやるのとでは大違い!こんなに手間のかかる仕事だったなんて…と改めて驚かされました。同時に、生き物を相手にするということは、どれほど責任が重い仕事なのか、ということも目の当たりにしました。

父親の代では主に地元のいちご組合や青果市場へ卸すのみでした。しかし、僕が戻ってからは、もっと幅広い人たちに美味しいいちごを知ってもらって、実際に手に取ってほしいと思い、直売やSNSによる情報発信に力を入れるようになりました。
今では地元のみならず、遠方のケーキ屋さんなどいろいろな人たちと繋がることができ、大きなやりがいをもって作業に当たっています。

(3)かとう農園のいちごが美味しい3つの秘密

お客様からよく言われるのは「いろいろ食べ比べたけど、ここのが一番おいしいね」「他のいちごを買っても、子どもが残すんですよ~」というお言葉。ものすごく有り難い限りです。

かとう農園のいちごが美味しいと言われるその秘密は、次の3つだと思います。
・地植えの「土耕栽培」で育てている
・伊吹山のきれいな伏流水を使っている
・月桃などの自然農薬を多用している

1つめは、地植えで育てる土耕栽培(どこうさいばい)で育てているところです。
いちごは土に根を生やし、栄養を吸収していきます。だから、いかに良い土を作るかで、作柄や味が決まってしまいます。
「体に負担がかかるから」という理由で、土の地植えではなくプランターの高設栽培(こうせつさいばい)に切り替える農家さんが今ものすごく増えていますが、僕に言わせれば「おいしいいちごが、また一つ消えた…」と思ってしまいます。
それぐらいに、土で作ったいちごは、美味しいんです。
これは大事なことだし、今回のプロジェクトの根幹を担う部分なので、後で詳しく書きます。

2つめは、伊吹山の伏流水を育苗期に使っている点です。
津島まで伊吹山からは直線距離で約40㎞離れていますが、敷地の一角にある育苗期の苗場にだけ、伊吹山からの伏流水が流れ込んでいます。
透き通った水で、夏でもヒンヤリしていて、とっても気持ちが良いです!このきれいな水を、夏場の育苗期にたっぷり使っています。おかげで、健やかで、まっすぐに育ちます。

3つめは、自然農薬を多用しているところ。
例えば、沖縄・宮古島産の月桃を、唐辛子といっしょに煮出して月桃茶を作り、それを育苗期に散布しています。月桃には殺菌、殺虫のパワーのほか、虫を寄せ付けない効果があり、大学の研究によって科学的にも証明されています。これを、惜しげもなくいちごの苗に散布しています。唐辛子にも同様の効果があります。
化学合成農薬に頼らず、自然のものを使うことで、できるだけ体に優しい状態で召し上がっていただけるように工夫しています。

かとう農園が作るいちごは、こだわりがたっくさん詰まっています!そのこだわりとおいしさを、もっともっとたくさんの人へ伝えたい、そしてその作り方と味を、未来ある子どもたちに伝えていきたい…そう思って、今回クラウドファンディングにチャレンジすることにしました。

(1)土耕栽培へのこだわり・・・こだわり続けるには意味がある

土耕栽培と聞いて、何のこと?とお聞きになる方がほとんどだと思います。
いちごの栽培方法は大きく分けて2つあります。
・土耕栽培(どこうさいばい)…土を盛って、地植えで苗を育てる方法。腰をかがめるなど身体への負担が大きい。
・高設栽培(こうせつさいばい)…腰の高さにプランターを置き、液肥を流して育てる方法。観光農園でよく見るタイプ。
の2つです。

かとう農園は、いちごを作り始めてからずっと土耕栽培を実践しています。昔ながらの方法で、腰をかがめなければならず、収穫時などは特に大変です。
特にGWなど初夏の頃はハウス内の気温も上がって、その上に腰も痛くなって…メンバー全員が身を粉にしながら、汗だくになって収穫しています。

土耕栽培と高設栽培を比較すると、その差が顕著に表れるのは「日持ち」です。クリスマス前後のいちごを冷蔵庫で保存して比較した場合、高設は3~4日程度で形が崩れたり水分がにじみ出てきたりしますが、土耕は7日程度は形くずれ等しないことが分かっています。
これは恐らく、高設栽培のプランターでは土の保水力が低いため、液肥を一日に何度も流すことになり、そのために、いちごの中の水分量が比較的高いためだと思われます。
土耕は土にそのまま根を張るので、自然の状態に近いと言えます。土そのものが水気を含むので、高設と比べて水やりの回数が少なく済むことから、実の締まりも良くなります。水っぽくないので、味もぼやけません。
土耕のほうが体に負担がかかって大変ですが、やはり、味には代えられません。土のミネラルをいっぱい吸ったおいしいいちごを食べてほしい!と、汗だくになりながら、いつも思うことです。

(2)土づくりへのこだわり・・・いちごを健康優良児に育てるための秘訣

土耕栽培は自然のままの作り方だから、土も手つかずのほったらかしの状態で作る…そんなわけではありません。土づくりは大切な作業の一つです。
もともといちごは、土壌酸性度が中性または微妙に弱酸性の状態でよく育ちます。なので、この状態に持っていく、あるいはキープするための調整作業が必要となります。

米ぬかを撒いた状態

かとう農園では特徴として、肥料に「米ぬか」「竹紛」「バイオ肥料」を使っています。
米ぬかは、愛知県内の精米業者さんから取り寄せたものを使っています。給食センター等で精米時に出た米ぬかを、6月中旬の土壌消毒の直前のタイミングで土に混ぜ込みます。土壌消毒が終わったころには、白い菌糸のようなものが土の中のあちこちにみられるようになります。土壌細菌の動きを活発にする働きがあります。また、いちごに甘みや照りを与えてくれるとされており、長年使い続けることで効果を実感しています。

竹紛を撒いた状態

2つめの竹紛は、三重県の大台町まで引き取りに行きます。宮川という伊勢神宮のすぐそばを流れる清流の上流部に竹林があり、そこの余分な竹を粉砕して乳酸発酵させたものです。リサイクル資材なので、無駄がありません。これを、かとう農園では土壌消毒後にまいて、米ぬかと同じように土壌細菌の動きを活発化させる目的で使っています。

バイオ肥料の灌水(かんすい)

3つめのバイオ肥料は最近使い始めたものです。バイオとは微生物という意味です。
実は、昨シーズンはいちごの恐ろしい病気「炭疽病(たんそびょう)」が蔓延して、定植してマルチを掛けても苗が次から次へと萎れてしまい、「畑の苗が全滅するのではないか」と思うほどでした。肥料屋さんに聞いても「炭疽病を止める農薬はない」と言われ、途方に暮れていたところで、インターネットを探しまくってやっと見つけたものでした。
このバイオ肥料は液肥タイプで、炭疽病を止めるというものではなく、こちらも土壌細菌を活性化させる目的で使っています。使い始めたら効果てきめんで、苗が萎れていくのがピタッと止まり、ものすごく感動しました。また、1株当たりの玉なりが格段に良くなり、ハウスの畝1列で収穫箱6杯あれば「(収穫量が)多いね」と言っていたものが最高で12杯あり、「取っても取っても前に進まない!」事態となり、嬉しい悲鳴を上げたほどでした。

このように、土壌細菌の動きが活発で土がきれいだと、苗の生育が良くなって病気も起こりにくく、相対的に消毒の回数を減らすことができます。健康優良児にかぜ薬が要らないのと同じです。

他にも小さなこだわりがいくつかあるのですが、とても書ききれません(笑)とにかく、土、そして土壌細菌を大事にすることで、良質ないちごが作れると確信しています。

(3)かとう農園の2箇所の圃場・・・それぞれの特徴に違いがある!

かとう農園には2箇所のビニールハウスがあります。第一圃場(ほじょう)(3連棟)と第二圃場(5連棟)です。

第一圃場第一圃場は、一般的な土が使われています。昭和40年代の土地区画整備のときに、一般的な農業用の土を入れたのだと思います。色はやや赤茶色のものです。

第二圃場

一方、第二圃場は粘土質の土です。もともとここは母親の実家がレンコン畑(地元の農家は「蓮根田(れんこだ)」と呼びます)だったところで、水をある程度貯める必要があったので、粘土が入っています。色はいわゆるねずみ色です。
この粘土質の土が…作業性の悪いこと!水を含むと粘り気が出て、ものすごく歩きにくいです。逆に乾燥するとカチカチに硬くなって、鍬も入らなくなります。

第一圃場の土

第一圃場が標準だとすると、第二圃場のほうが肥料や薬剤などの効果が表れやすいようです。第一圃場は毎年、ハダニやアザミウマなどの虫の被害に悩まされるのですが、第二圃場ではほとんど虫の被害はありません。
粘土質だと、根張りが悪いのでは?と思うのですが、むしろそのために根がしっかり土にまとわりつくようにも感じます。
いちごの味わいも、第一圃場は味が濃くてコク深くなるのが特徴的なのに対し、第二圃場は甘みがすっきりしていて上品な味になるような気がします。

第二圃場の土僕らはできるだけ第一圃場と第二圃場で味の違いをなくそうとしているのですが、根本的な性質が違うため、どうしても味に影響が出るようです。

このように、例えばワインと同じで、土の違いが味の違いになるくらいに、いちごは「土」から作られています。
作るのは大変ですが、味を守っていくために、このような人知れず努力しているということを、もっとたくさんの人に知ってもらい、そして応援していただけたら嬉しいです!

いちご作りを通して将来的に実現していきたいことが、大きく2つあります。
①地元・津島市の賑わいづくりへの貢献
②食育による農業への理解促進と後継育成

です。

(1)街の賑わいづくりに貢献したい

前述したように、僕が生まれ育った津島市は毛織物産業が衰退して以降、これといった産業がなく、どちらかと言えば静かで寂しい街になってしまったように感じます。津島駅から津島神社までのメインストリートも、空き家や空きテナントが多くあり、決して雰囲気が良いとは言えません。

こうした現状を打破しようと、地元の商店街の若手店主たちが中心となってマルシェを開催するなど、もう一度、街に人を呼び込もうと再起を賭けました。天王祭りの舞台となる天王川公園内に、来年春には大手コーヒーチェン店が開業することも決まりました。また、名鉄電車とタイアップした「つしまちあるき」切符の販売も3年目となり、コロナ禍で少しずつですが、認知度と来訪者数が上がってきているのではないかと感じます。

いちごが津島を訪れるきっかけになって、「もう一度津島へ行ってみよう」「津島って面白いところだね」と興味を持ってもらい、何度も来るうちに「津島に住んでみようかな」となったら、最高に嬉しいです!

津島市全体の賑わいづくりにぜひ参加したいと思って、かとう農園のホームページには津島市周辺の美味しいお店やこだわりを感じるお店をご案内しています。いちごを買いに来たお客様が、そのまますぐに帰るのではなく、チョット寄り道してほしい。そして楽しい思い出を作ってほしいとの願いからです。

僕は将来的には市内の古民家を改装して、いちごの直売や、ジャムやいちごジェラートなどの加工品を製造できる加工場兼販売店を持ちたいと考えています。いちごジェラートを片手に、津島神社までぶらり街歩きを楽しむ…そんな光景を作りたいとも考えています!
いちごが街の賑わいづくりのきっかけになったら、嬉しいなと思います。

(2)食育で農業の理解者と後継者を育てたい

フードロス、フェアトレード、SDGs…食べ物を取り巻く環境を、もっと真剣に考えようとする動きが、近年加速しつつあります。
食べる側の人たちの意識が変わっているのだから、食べ物を作っている生産者側の意識も変えていかなくてはいけない。
一番大切なのは、生産者が、想いを伝えること。それ以上に、想いを抱くことが大切なのではないかと思います。

僕は幼いころからいちごのビニールハウスが遊び場でした。祖父や祖母がほかの野菜も作っていて、畑も身近にありました。だから、どんな食べ物が、実際はどんな風な葉をつけていて、大きくなって「食べ物」に育っていくのかを、当たり前のように見ていました。
けれど、ほかの友達に話したら「いちごって、もっとでっかい木になってるのかと思ってた!」とか「いちご農家って、いちごができる時期以外は暇なのかと思ってた」とか。やっぱりみんな、なかなか分からないんですね。

もし、どんなふうに育てているのかを知ることができたら、みんなもっと食べ物のことを大切にしてくれるんじゃないかって、思ったんです。
「ビニールハウス大開放デー」といういちご狩りイベントを始めたのも、そんな思いからでした。どんな場所で作っていて、どんな思いで届けようとしているのかを、リアルに伝える機会を作りたかったんです。

いま僕は、学校や地域活動などを通して、子どもさんたちに、食べ物に触れてもらう機会を積極的に増やしています。作っている現場(ビニールハウス)や、そこで出来たもの(いちご)を見てもらったり食べてもらったりすると、「これがああなるんだ!」と、目を輝かせます。子どもさんの中で何かが繋がった瞬間なんだなというのが分かります。

将来的には食育の絵本を作りたいと考えています。食べ物には、それを作っている人が必ずいる、そういうことが分かるようなストーリーで作りたいなと考えています。いちごのお姫様が、憧れの王子様のもとへお嫁に行く。それを裏で支えていたのが、いちご農家だった…というような(笑)

そして、作る人がいることが分かったなら、今度は自分が「作る側」になってほしい。そうやって、スピリットを脈々と受け継ぐことで、質の高い食べ物をもっともっと多く提供できるようになったら、生産者と消費者の求めるものが一つになって、世界が今より幸せになれるのではないか、と思います。


いただいた支援金は、未来にわたってこれからも美味しいいちごを作り続けるために、設備更新費や肥料等の資材代、あるいは、食育のイベント経費等として大切に使わせていただきます。
また、CAMPFIRE手数料としても使用されるので、あらかじめご了承ください。

土から大切に育てたいちごを存分味わっていただけるリターンを考えました。

特に、旬のいちごが第一圃場と第二圃場とで食べ比べできるプランがイチオシです。全国の皆さんにお試しいただきたいので、宅配の配送料込みのプランとなっています。また、直売所でのお会計が割引になるプランや、年に一度のいちご狩りイベント「ビニールハウス大開放デー」へのご招待プランもありますので、ご近所のみなさんもメリットのあるプランとなっております。


今回のプロジェクトをきっかけに、いちごは土から作られていることを幅広く知っていただけたら幸いです。
そして、土の違いが生育や味に違いをもたらすことも、感じ取ってもらい、「農業って面白いね」と、関心を高めてもらえたら最高に嬉しいです。

土から育てた本物のいちごの味を、未来の子どもたちに届けたいので、ぜひご支援よろしくお願いします。


<店舗の詳細情報>
〒496-0875
愛知県津島市下新田町3丁目144番地

かとう農園ホームページ「直売所への行き方」参照
またはGoogleマップで「かとう農園 津島市」で検索


<募集方式について>

本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

<リターン品の食品表示について>
・名称    :いちご
・原産国/産地:日本国/愛知県津島市
・サイズ/重量:3L以上/NET300g
・保存方法  :10度以下で保存し、できるだけ早くお召し上がりください。

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