【はじめに】

「NPO法人沖縄青少年自立援助センター ちゅらゆい」代表理事の金城 隆一と申します。これまで、子どもたちの居場所づくりなどを通して、不登校やひきこもりの子ども・若者たちが社会参加できるよう、支援活動を行ってきました。

この支援活動の拠点の1つがkukuluです。

毎日賑やかなkukuluですが、子どもたちが抱える問題は様々です


kukuluを利用する子どもたちが抱える問題は、非常にシビアです。お腹を空かせて深夜徘徊する小学生の女子、DVから母や兄弟を守るため盾になる小学生の男子、観光客を相手に売春する中学生の女子、若年出産で生んだ子どもを1人で育てる10代の女子、家で一人ぼっちで引きこもる中学生たち………。彼女/彼らの支援には、社会の協力が不可欠です。


しかし、そういった子どもたちに十分な支援を行えるほど、沖縄は成熟した社会ではありません。そもそも、日本という国自体がそこまで成熟していません。問題を抱える子どもたちの多くは、支援の手を差し伸べられることなく、自己責任論を突き付けられています。


「学校に行って勉強しなかったやつが悪い」、「誰かに助けを求めればよかったのに」、「働く手段はいくらでもある」、「貧乏だけど成功した人はたくさんいる」、「もう支援は十分だ」・・・。一見すると正論じみた自己責任論の数々。実際に支援の現場に身を置いていると、こういった自己責任論では解決できない、子どもたちの過酷な生活環境を目の当たりにします。


貧困で困っている子どもに、1食分の弁当を与えても問題は解決しません。いじめられて不登校になった子どもを、無料塾に通わせるだけでは社会復帰できません。虐待を受けた子どもが大人に心を開いてくれるまで、どれだけの年月が必要か考えたことはありますか。様々な問題を抱える子どもたちの支援は、それぞれのライフステージに応じた切れ目のない支援が必要です。


しかし、長期的な支援を個人や団体のみで行うのは限界があります。社会全体で支援する必要があるのです。では、子どもたちが問題を抱えた背景を社会全体に知ってもらい、支援の必要性を理解してもらうためにはどうすればよいか。


そこで今回、主にkukuluに通っていた子どもたちのインタビューをもとに、漫画『スタンド・バイ・ミー』を出版します。漫画にすることでより多くの方に手に取ってもらい、子どもたちがkukuluを利用するまでに至った背景を理解してもらえるのではないか、と考えています。



【漫画『スタンド・バイ・ミー』の制作について】

とはいえ、kukuluのスタッフだけで漫画を制作することはできません。そこで、ノンフィクションライターの藤井 誠二さん、漫画家の田名 俊信先生にご協力をお願いしました。


藤井さんは過去に沖縄書店大賞の受賞歴もある方で、現在は東京と沖縄で二拠点生活を送りながら、数々の社会問題について執筆されているノンフィクションライターです。今回はストーリー原案を担当していただきました。プライバシーに配慮し多少の脚色は加えつつも、kukuluから巣立って行った子どもたちへのインタビューをもとにストーリーを書いていただきました。

ストーリー原案などを担当していただいた藤井さん


田名先生は、『東京カウンセラー』や『蔵の宿』などの代表作で知られる漫画家です。今回は藤井さんのストーリーをもとに、作画を担当していただきました。一足先に完成前の原稿を拝見しましたが、子どもたちのリアルな経験が伝わる作品になると感じています。

作画を担当していただいた田名先生


田名先生の代表作の一つ『東京カウンセラー』(芳文社コミックス)


また先日、田名先生にはkukuluでワークショップも開いていただきました。ワークショップの詳細は後日、活動報告で更新します。

初めてのトーン貼りに挑戦!初めてのトーン貼りに挑戦!集中しています


完成までもう少しお時間がかかりそうですが、収録予定の全5章の中から、完成間近の第1章の様子を公開します。


このストーリー、実は私の経験をもとに作られています。中学時代に不登校になり、不登校児童の受け皿がない社会に不満を覚えた経験から、子どもたちの支援を始めました。漫画制作を企画した当初は、kukuluに通っていた子どもたちの経験をもとに制作する予定でしたが、藤井さんの提案で私のストーリーも掲載されることになりました。どういった内容になっているのか、完成した漫画でご確認いただければと思います。


藤井さんと田名先生をはじめ、お2人以外にも多くの方の力を借りつつ、漫画制作は着々と進んでいます。進ちょく状況など、定期的に活動報告を行う予定です。完成までの間、そちらもお楽しみいただければと思います。

私の実体験をもとに制作された第1章は、kukuluの子どもたちが全てトーン貼りを行います



【リターン(返礼品)について】

支援額に応じて、6種類のリターン(返礼品)をご用意しました。内容は次の通りです。

・[3千円コース]
ありがとうメッセージ


・[5千円コース]
漫画『スタンド・バイ・ミー』1冊+ありがとうメッセージ


・[1万円コース]
漫画『スタンド・バイ・ミー』1冊+はんちゅみ+ありがとうメッセージ


・[3万円コース]
漫画『スタンド・バイ・ミー』1冊+はんちゅみ+サイン+ありがとうメッセージ


・[5万円コース]
漫画『スタンド・バイ・ミー』1冊+はんちゅみ+1日kukuluスタッフ体験+ありがとうメッセージ


・[10万円コース]
漫画『スタンド・バイ・ミー』1冊+はんちゅみ+金城 隆一 講演会開催権+ありがとうメッセージ


私たちのオススメは、「はんちゅみ」がセットになった1万円以上のコースです。

「はんちゅみ」とは琉球時代の宮廷料理のひとつで、豚肉と鰹節を煮込んだ肉でんぶのような料理です。現在では沖縄県内でもほとんど食べられておらず、沖縄出身の人すら知らない、幻の琉球料理と称する声もあるそうです。今回は、塩、醤油、ウチナー唐辛子の3種をお送りします。


「はんちゅみ」については、以下の記事をご覧ください。


今回ご用意する「はんちゅみ」は、上の記事で紹介されている石𣘺 桂子さんに作っていただきます。というのも、石𣘺さんはkukuluで調理を担当しており、私たちの活動を食の面からサポートしていただいています。
現在、沖縄でもほとんど食べられることのない「はんちゅみ」。この機会にいかがでしょうか。


ちなみに!
「桂子さんのはんちゅみ」は以下の公式ストアからもご購入いただけます。今回のセットには含まれていない種類もあります。興味のある方は、ぜひ公式ストアをご覧になってください。




【支援していただいた資金の使途、今後のスケジュールについて】

製作した漫画は、世界書院さんより出版いたします。

ご支援いただいた資金は、全て出版費用に使用させていただきます。
1人でも多くの方に手に取ってもらえるよう、是非ご支援をお願いいたします。


クラウドファンディングのスケジュールは以下の通りです。
・8月末  クラウドファンディング終了
・10月頃 印刷開始
・12月末 本の出版、リターンの発送
その他、随時、活動報告を行う予定です。



【おわりに】

語弊を恐れずに言えば、沖縄は今、空前の「子どもの貧困ブーム」です。沖縄にお住まいのほとんどの方は、1度は「子どもの貧困」という言葉を聞いたことがあるはずです。この問題に取り組むため、子どもの居場所はここ数年で大幅に増えました。また、子ども食堂などの活動も活発に行われています。確実に支援の輪は広がりつつあります。


一方で、貧困状態にある子どもたちの実態まで理解している方はほとんどいません。


言葉だけがどんどん有名になる一方、当事者の子どもたちがどういう生活をしているか、どれだけ苦しんでいるかということまでは認識されていません。このギャップこそ、「子どもの貧困」支援の大きな壁になります。また、子どもが問題を抱える原因は貧困だけではありません。暴力や性的虐待、ネグレクト、ヤングケアラーなど様々です。そしてどの言葉も、知名度と社会の認識の間には大きなギャップがあります。


 漫画『スタンド・バイ・ミー』は、このギャップを埋めるための1冊になると考えています。ぜひ、みなさんのご協力をお願いいたします。 


  • 2022/08/31 19:37

    約2ヶ月に及ぶクラウドファンディングも本日が最終日です。残り5日の時点で50万円が不足していた時にはどうなるかと思いましたが、無事に達成することができました。皆さまのご支援・ご協力のおかげです。ありがとうございました。今回はちゅらゆい代表・金城 隆一、kukulu統括・今木ともこ、那覇kuku...

  • 2022/08/29 14:43

    今回動画に出演するのは、うるまkukuluのスタッフです。日頃から、子ども達と直に接するスタッフたち。普段のkukuluの様子や、子ども達の様子などについて話してもらいました。-----------------------------------------------------------...

  • 2022/08/29 10:33

    これまでクラウドファンディングにご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございます。先日、目標額の200万円を達成しました。7月上旬から開始し、限られた期間の中で達成できるかどうか不安もありました。皆さまのご支援のおかげです。本当にありがとうございます。クラウドファンディングでは目標額達成後...

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