はじめに・ご挨拶

相馬中村神社で氏子総代長を務める立谷三郎と申します。昨年2月に発生した福島県沖地震の際には、たくさんの暖かいご支援をいただき誠にありがとうございました。おかげさまで昨年度の相馬野馬追も規模を縮小しながらも無事催行することができました。

その後も修復を重ね、年末には大鳥居も完成、新年を迎え一息を付いたさなか、本年の3月16日にふたたび震度6強の大地震が発生しました。この地震によって神社だけでなく相馬の方々は再度被害を受け、私どもも一時心が折れかかりました。

神社だけでも灯籠は全滅、二の鳥居、三の鳥居、石柱、太鼓橋、本殿等掲げればきりがなく、被害は昨年度を軽く超えるものとなっております。本来なら地元企業へのご奉賛を募るところですが、相馬市民一人一人が心に傷を負っている中でそのような訳にもいかず、大変心苦しくはございますが、このたび再度クラウドファンディングを実施させていただくこととなりました。

(被害状況①)


(被害状況②)

(被害状況③、④)

本年度の「相馬野馬追祭」は7月23日~25日、3年ぶりに有観客にて通常開催となり、騎馬武者たちは人馬一体となり日々鍛錬に明け暮れています。そして本年度は相馬家33代当主相馬和胤公の名代として、お孫様にあたる相馬言胤君(としたねぎみ)が総大将として初陣を飾り、その前日には元服の儀が執り行われます。

元服および安全祈願祭を経て、通常開催の出陣式をこのような惨状の社の杜で開催することは世界に誇る相馬野馬追にとっては痛恨の極みです。今回のクラウドファンディングでは当初目標を800万円で実施させていただき、不足分にあたっては時間をかけて少しずつ修復していこうと思います。度々のお願いで大変恐縮ではございますが、ご支援の程宜しくお願い申し上げます。


「相馬野馬追」で総大将が出陣する、始まりの神社

福島県の相双地区に伝わる「相馬野馬追」は、千年以上もの歴史を持つとされる伝統行事です。3つの神社から総勢400騎の騎馬武者たちが雲雀ヶ原祭場地を目指す「お行列」、甲冑姿で行われる「甲冑競馬」、騎馬武者たちが激しく神旗を奪い合う「神旗争奪戦」など3日間にわたって行われ、コロナ禍の前は例年16万人もの観光客が訪れていました。馬のお祭りとしても世界最大級の規模を誇る野馬追が故郷にあることは、私たちの大きな誇りです。

(騎馬武者たちが雲雀ヶ原祭場地を目指しまちを行進する「お行列」)


(地域の騎馬武者たちが甲冑姿で競い合う「甲冑競馬」)


国の重要文化財に指定されている相馬中村神社は、相馬野馬追において、総大将が出陣する「出陣式」が行われる重要な神社です。古くから伝わる総大将三献の儀が厳かに行われた後、総大将を先頭に騎馬武者たちがこの神社から、法螺貝の合図とともに出陣します。

(相馬中村神社から出陣する総大将)


危機を乗り越え、千年以上の伝統をつなぐために

私にとって相馬野馬追は小さい頃からの憧れであり、特別な行事です。私と同郷の幼馴染の友人は騎馬武者として毎年野馬追に出場していて、その姿を間近でずっと応援してきました。東日本大震災で友人は家族や家を失い落ち込んでいましたが、翌年の野馬追に向けて「やるぞ」と奮起し、津波で流された甲冑も新しくしつらえていました。しかしその年の冬、友人は亡くなってしまいました。私が相馬中村神社の総代に任命されたのもちょうどその時期で、野馬追の伝統をつなぐことに、運命と使命感を感じています。

この地域の人々にとっても、野馬追は大きな誇りであり、心の拠り所です。出場する馬の約半数の200頭ほどが地域で飼われていて、野馬追に出場するために厳しい冬も愛情を込めて飼育されています。年に一度の野馬追に騎馬武者として出場することは名誉であり、地域の子供たちはその姿に憧れて騎馬武者を目指します。出陣式も、神社に帰ってくる「お上がり」のときも、地域の住民たちが沿道にたくさん並んで応援します。

野馬追は、地域の安寧と繁栄を願って開かれてきた神事です。今年はコロナ禍で規模を縮小しての開催となりますが、立て続けに災害や疫病がある中で、この時代だからこそ、この行事を地域の心の拠り所として開催しなくてはならないと感じています。相馬の伝統であるこのお祭りをこれからも千年、二千年とつないでいくためにご協力をお願いするとともに、ぜひこれをきっかけに皆さんに野馬追を知ってもらい、ご来場いただけたらと思っています。


相馬中村神社・森拓樹宮司からのメッセージ

相馬中村神社 第30代宮司の森拓樹でございます。相馬野馬追は一千有余年の歴史があるとされる国指定重要無形民俗文化財です。その中で3日間の祭典の最初を飾るのが、この神社である総大将の出陣式です。騎乗の総大将らが甲冑姿で行列を組み、相馬中村神社の御神輿を守護し、石灯籠の間を勇壮に進んで参ります。

昨年2月に発生した地震による被害においては、多くの皆様よりご支援を賜り復旧を終え、地域の安寧と繁栄を願う相馬野馬追を斎行することができました。その後も修復を重ね、ひびの入ったコンクリート製の大鳥居(一の鳥居)はステンレス製で作り替え素晴らしく蘇りを果たしました。

コロナ渦でこの2年は神事を中心とした最小限の行事でしか斎行できませんでしたが、今年こそ盛大に例年通りのお祭りを斎行したいという思いでいた矢先、2022年3月16日深夜、今まで経験したことのない大きな揺れに襲われ、再び石灯籠のすべてが倒壊、さらには太鼓橋(石橋)や2基の鳥居、狛犬が崩落し、参道は立ち入り禁止となり、このままでは相馬野馬追を斎行することができない状況です。先代田代宮司(義父)が昨年7月に帰幽し、私が宮司を拝命された使命として相馬野馬追の歴史と伝統をつなげなくてはならない。ここで終わらせるのは簡単ですが、それができないのが野馬追です。脈々と続いてきたつながりを、ここで諦めるわけにはいかないのです。

氏子さんの誇りである相馬野馬追の開催までには改修を果たし、また心のよりどころとして在る神社の境内、参道を再建させなければなりません。一千有余年の歴史がある相馬野馬追をこれからも続けられるかは、今にかかっていると思います。皆様にはご苦労をおかけしますが、どうか温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。


資金の使い道・実施スケジュール

いただいた資金は工事費(約1500万円)の一部として活用致します。

7月23日(土)の開催に間に合わせるべく、灯籠の復旧・大鳥居の補強・太鼓橋修繕・神輿殿、神楽殿の修復等を4月中旬より順次開始しています。7月23日までに全ての工事が終了する予定です。

  • 2022/07/30 05:45

    ご支援くださった皆様へ野馬追から1週間が経ちました。この度は皆様のご支援により神社の改修を終え元服式・初陣安全祈願祭・出陣式・お上がり式まで無事催行できました事を報告させていただきます。元服式はあいにくの雨でしたが屋外の行事の際には雨も小降りとなり、火縄銃も無事演武できました。野馬追当日は酷暑...

  • 2022/07/22 22:05

    本日、元服式及び初陣安全祈願祭が終了致しました。その後雨中にもかかわらず全員での安全祈願を行いました。豪雨予想もありながらスタッフによる綿密なる情報を集め決行して良かったと思います。明朝から馬装具の装着、様々な身支度を整え中村神社より出陣致します。まだまだお伝えしたい事がいっぱいございますが、...

  • 2022/07/22 06:36

    おはようございます。いよいよ残り時間が数時間となって参りました。昨年は残り2日間で数百万円のご支援をいただきました。本当に最後の最後までご支援のほどよろしくお願いいたします。それではこれから元服式、安全祈願祭です。今日は雨模様ですが明日明後日は野馬追に相応しい灼熱日となりそうです。今年は熱中症...

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