エイズ孤児支援NGO・PLASは、取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会をめざしてウガンダとケニアで活動しています。設立から17年間で、685家庭、3,000名以上の子どもたちに支援を届け、27,000名にエイズ教育を届けてきました。

今回わたしたちは、貧困によって多くの子どもたちが取り残されているケニア西部で、養鶏ビジネスによる生計向上支援とライフプランニング支援を組み合わせた新たなプロジェクトをスタートします。

プロジェクトの名前は、HOPE」(Household Improvement for Orphans by Poultry activity and career Empowerment support)」。
子どもたちが未来への希望を持てるように、と願いをこめています。



プロジェクトを実施するのはケニア共和国ホマベイ郡。アフリカ最大の湖、ビクトリア湖畔に位置する人口107万人ほどの地域です。
かつてホマベイ郡は緑が豊かで肥沃な地域でしたが、今は写真のように乾燥した土地が広がっています。
度重なる干ばつや、苦しい生活を送る人々が生計を立てる手段として木を伐採し、薪や炭を売るようになったことが影響しています。

人口の約60%が1日1.9ドル未満で暮らすホマベイ郡では、 多くの家庭が最低限の生活を送るための収入を得ることができず、子どもたちは必要な教育を受けられずに取り残されています。
また、孤児を抱える家庭はホマベイ群に約6万家庭あり、人口が同じぐらいの他の地域と比べても孤児が多い地域です。
生活に必要な上下水道などのインフラも整っておらず、PLASが活動するビタ準区というエリアでは、6割の人が汚れた湖の水を生活に使い、9割の人は衛生的ではないトイレを使用しています。

(出典: Kenya National Bureau of Statistics & Society of International Development (2013)『Exploring Kenya’s Inequality – Homa Bay County』)

わたしたちが現地で出会った子どもたちの中には、
「将来なりたい夢はあるけど、どうやったら叶うか分からない」
「自分は何者にもなれない」

と話す子どもたちがいました。

ホマベイ郡のような厳しい環境に生まれた子どもたちは、ロールモデルとなる大人たちに出会う機会が少なく、将来の夢や目標を立てることができません。

また、PLASが支援を届ける家庭の多くは、夫をなくしたシングルマザーが保護者です。
これまで安定した収入を得るためのスキルを身につける機会がなかったために、日々の暮らしで精いっぱいで、子どもたちの教育費をまかなうことは困難です。
そうした家庭では、小学校の最終学年を迎える前に、生活のために子どもに学校を諦めてもらわなければいけません。
(注*ケニアでは小学校の授業料は無償ですが、学校に通うための教科書や文具代・制服代・進級テスト代などが必要となり、家計への負担になっています。)

学校が大好きで毎日の勉強を楽しみに通っていた子どもたちに、「お金がないから学校を辞めてほしい」と伝えなければいけなかったママたちに出会う度に、「子どもたちが未来をあきらめなくてもいい社会をつくりたい」と胸に刻んできました。

 

現地で実施したインタビューで、シングルマザーたちはこんなことを話してくれました。

「夫が亡くなってから経済的に苦しく、子ども3人を育てるのに余裕がありません。毎日が精いっぱいで、ストレスを子どもたちにぶつけてしまいます」
「わたし自身も親と良い関係を築けなかったため、自分の子どもとの関係にも自信を持てずにいました。」
「子どもの将来に希望を失っていました。子どもの進学をどのように計画すればよいかなんて知りませんでした。うちのようにお金がないところだと余計に。」

自身も貧困家庭に生まれ、小学校を中退しているため子どもの進学をどうサポートして良いか分からないママや、子どもと良い関係性を築くためのコミュニケーションに悩むママたちの姿が浮かび上がってきました。
限られた収入で貯蓄も限られているなかで、子どもたちの将来を長期的に計画・サポートする術がどれほど難しいかを痛感しました。


取り残された子どもたちと家庭が前向きに生きられるように、PLASは2つの柱でプロジェクトを行います。
シングルマザーをはじめ脆弱な立場に置かれた保護者が、養鶏の技術を身につけてビジネスを立ち上げます。
収入を得ることがゴールではなく、貯蓄の仕方や家計の管理についても学び、養鶏の専門家の指導を受けながら自立をめざします。


研修を受けた保護者たちはサポートを受けながら1年目に卵・肉の販売までめざします。


養鶏ビジネスの支援では、保護者に養鶏研修を届け、各家庭に鶏舎をつくり、養鶏をスタートします。

はじめて養鶏に取り組む人でも安心してスタートできるように、専門家や現地スタッフが家庭訪問をし、各家庭の状況を確認し、個別に指導をします。


また、養鶏は病気の流行などリスクを未然に防ぐことが大事ですので、研修では鶏のワクチン接種なども学びます。
鶏は肉として販売したり、卵を販売したりする予定です。
また、卵は家庭で食事に使い、栄養をとることもできます。十分な食事が取れずに成長・発達に支障が出てしまう子どもたちにとって重要な栄養源となります。

将来を前向きに計画できるように、現地で育成したカウンセラーたちが、子どもと保護者それぞれに2年間のキャリアカウンセリングのセッションを届ける伴走支援です。
子どもたちは、将来の夢を見据え、目標に近づけるよう具体的なキャリア計画をカウンセラーにサポートのもと立てていきます。
セッションのなかには、
■ 地域で職業に就いて活躍している大人たちの話を聴く「キャリアトーク」
■ 小さな子どもたちに絵本の読み聞かせをする活動
■ 地域での清掃ボランティア活動
なども含まれています。
こうした活動を通して、子どもたちが身近なロールモデルを持てたり、地域のなかで誰かのために役立つ経験ができたりするのです。子どもたちの自己効力感を育むことにもつながります。

キャリアカウンセリングの技術を持つカウンセラーは「アクション・ラーニング」という手法で子どもの主体性を伸ばす。

■ 子どもの気持ちに寄り添いながら成長・発達を後押しするコミュニケーション
■ 進学に向けた情報提供や、勉強のサポート方法
■ ビジネスの立ち上げ方、支出入の管理方法や貯蓄の方法
■ リプロダクティブヘルス・性教育の知識と、子どもへの伝え方
など、子どもを支えるための必要なスキルや情報を身につけていきます。



このように、生計向上支援とライフプランニング支援による「PLASメソッド」で、子どもたちが前向きに未来をつくる力を後押しします。

このプロジェクトは、現地のパートナーNGO「VIAGENCO(ビアジェンコ)」と協働で行います。
ビアジェンコは今から20年前に設立されたNGOで、ホマベイ郡全域で活動しています。代表のベンソン氏を中心に、貧困やHIV/エイズに影響を受ける家庭の生計向上のために活動していて、約20名の職員が活動する組織基盤も比較的安定した団体です。

PLASとは2016年からパートナーとして、農業による生計向上支援やカウンセリング事業など複数の協働プロジェクトを行ってきました。

地域のニーズや慣習・価値観を理解し、地域の住民たちからも信頼を寄せられるビアジェンコと実施することで、持続可能なプロジェクトをつくることができます。

PLASとのプロジェクトに携わるスタッフたち。「より良い地域をつくりたい」という思いで活動を続けています。

 

2023年4月までに、15家庭のシングルマザーを中心とした保護者および60名の子どもたちに、養鶏ビジネスによる保護者の生計向上支援と、子どもと保護者へのライフプランニング支援を届けます。

子どもたちと保護者がこのプロジェクトに参加することで、将来を前向きに描ける力を伸ばしていきます。
たとえば、以下のような変化を期待しています。

<子ども>
◆ 将来を計画し、実現するためのキャリアスキルが向上する
◆ ライフスキルが向上する
◆ 学業を継続ができることにより、自信(自己効力感)の向上
◆ 留年せずに1年間で次の学年に進学できる

<保護者>
◆ 収入向上と財務管理スキルによって、子どもの教育費を滞りなく支払うことができる
◆ 生活に余裕が出来て、ストレスがなくなる
◆ 事業に参加し自立していくことにより、自信(自己効力感)が向上する
◆ 子どもの将来や発達について関心を持ち、積極的にコミュニケーションを取る

※上記の項目などを事業開始時のべ―スライン調査と終了時のエンドライン調査で測ります。

シングルマザーを中心とした保護者たちが養鶏ビジネスを立ち上げるための研修・初期投資や、養鶏ビジネスをスタートしてから自立するまでのフォローアップ費用、子どもと保護者へのキャリアカウンセリング費用、それらを担う現地パートナー団体とPLASスタッフの人件費などに大切に使わせていただきます。今回は「エイズ孤児を抱える貧困家庭の養鶏による生計向上とキャリアプランニング支援事業」のうち第一期(2022年4月~2023年4月頃まで)に必要となる資金の一部を募ります。

〇 鶏舎の建設費: 867,100円
〇 初期投資(ひよこ購入費、餌代、ワクチン代、おがくず代など):358,440円
〇 研修・ワークショップ実施費(参加者交通費、備品購入費、講師謝礼):156,941円
〇 管理費(現地スタッフ人件費・交通費・通信費など):117,519円

※1ケニアシリング=1.16円で計算
※このほかにGoodMorning/ソーシャルグッドカテゴリ手数料は9%(税別)がかかります。

実施スケジュール

■ 22年9月~養鶏のビジネスプランを保護者と作成する
■ 22年10月~鶏舎の建設スタート、養鶏の研修スタート(全3種類、計4日間)
■ ~22年11月:子どもと保護者を対象に個別カウンセリングを行う(全7セッション)
■ 22年12月~23年4月:農業局の行政官からの養鶏指導(計5回)
■ 22年12月~:各家庭をパートナー団体が毎月訪問。進捗確認、相談に乗る
■ 23年3月~:鶏肉のマーケティング戦略を立案、保護者と販売計画を立てる
■ 23年8月:保護者を対象に高等教育進学オリエンテーションを開催する
■ 23年9月:子ども向けキャリアトークを開催する


<募集方式について>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

<掲載の写真について>
掲載している写真は、ケニアでの新型コロナウイルス感染拡大前に撮影した写真が含まれています。現在は感染拡大予防のために、現地パートナー団体ではマスクの着用やサニタイザーの利用など必要な対策を行いながら支援活動を続けています。




エイズ孤児支援NGO・PLASは、2005年にエイズ孤児の課題を解決するために当時大学生だった7名によって設立されました。

「取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会をめざす」をビジョンに、これまでにウガンダとケニアの2か国で685家庭、3,000名以上の子どもたちに支援を届け、27,000名にエイズ教育を届けてきました。 

2016年NGO組織強化大賞グランプリ受賞、2018年ジャパンSDGsアワード外務大臣賞受賞、2019年エクセレントNPO大賞「課題解決力賞」受賞、2020年エクセレントNPO大賞「コロナ対応チャレンジ賞」受賞、他多数


※寄付型クラウドファンディングについて
NPO法人エイズ孤児支援NGO・PLASは「NPO法人」として認定されていますが、このクラウドファンディングを支援することで、支援者が税制優遇を受けることはありません。

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