この度は、かつての当社子会社「日本放送映画株式会社」が製作したアニメ「戦え!オスパー 毒蛾の大群」初号プリントの修復・復元(レストア版)プロジェクトにご興味をお持ちいただき、誠にありがとうございます。

私は、1958年8月設立の映画会社「国映株式会社」を営む、代表の矢元一臣(やもと かずおみ)と申します。

当社は東京銀座で半世紀を超えて(64年)日本初の貸し映画試写施設「TCC試写室」を運営するなど、今も映画を愛する方々に支えられ、先代から数十万の映画・映画人と共に、同地で映画を育み続けております。 

今回のプロジェクトでは、今まで一切ビデオソフト化されてこなかったアニメファンの間で最も謎に包まれ、再見が絶望視されていた作品である「戦え!オスパー」のフィルムを修復するためのものとなります。

是非下記ご覧いただき、ご支援ご検討の程よろしくお願いいたします。


上記の通り、「戦え!オスパー」はこれまでビデオソフト化されなかったアニメーション作品となり、映像を見られるのは今回の機会が55年ぶりとなっております。

戦え!オスパー」
放送期間:1965年12月14日~1967年10月31日(リピート放送を含む) 

声の出演
オスパー:山本圭子、ドロメ:阿部良、ユミ:珠めぐみ、海津長官:家弓家正、

ロバート:奥原晃、パンチョス:滝口順平、グレコ:立川雄三

【「戦え!オスパー」の物語】
(当時発売された「ビクターミュージックブック 戦え!オスパー 踊る魔神の巻」より) 

ムー大陸が海底に陥没してから一万年いじょうも、ムー人たちは海底のドームの中で生活してきました。ところが、ある日、乱暴者のドロメが勝手にドームをやぶって脱出したので、ドーム都市には海水が流れこみ、もはや全滅を待つだけとなってしまいました。ムー人の善の代表者たちは、やっとのことでオスパーを地上に送り出すと、みんな滅んでしまいました。………いっぽう、地上に着いたオスパーは、国際警察の海津長官らと手を組んで、悪人のボスとなったドロメと斗うことになったのです。

本プロジェクトページの文末にコノシート様(Twitter)より頂戴した本プロジェクトの解説を掲載いたしました。長文にはなりますがぜひご支援の参考にお読みください。

※今回発見されたフィルムにはサブタイトルの文字が焼き込まれておりません。恐らく放送当時はテレビ局側でサブタイトルテロップを用意して画面に表示していたものと思われます。

※今回発見されたフィルムは「毒蛾の大群」の本編のみで、オープニングが欠落しております。オープニング映像が収録できず大変心苦しいのですが、奇跡的に現存していたフィルムですので、どうかご了承ください

※このエピソードは恐らく第41話「毒蛾におそわれた町」(1966年9月20日放送)ではないかと思われますが、完全な確証が得られないため、今回はフィルムの箱に書かれたタイトルを尊重して「毒蛾の大群」と表記しております。


今回のプロジェクトの目的は、失われたと思われていた古いフィルムをご興味お持ち頂く方々と一緒に修復・復元し、ご視聴いただける機会をお作りすることにあります。

今年3月にTCCのご予約者様から「戦え!オスパー」を含め当社旧作のお問い合わせをいただきました。改めて5月1日のTCC公式Twitterに今回のフィルム修復についてご要望をお伺いすると、通常を大きく上回る好意的な反応を頂戴したことから、プロジェクトの必要性を感じ、今回の挑戦に至りました。
戦え!オスパー Tweet

フィルムは東京現像所様にお預かりいただき、修復可否についてご確認いただきました。フィルムの劣化度合いを考慮すると、熱処理加工を施すため本作品のデジタル化(スキャン作業)は、今回が最初で最後の可能性があると、ご担当者よりご見解をいただいております。

是非このタイミングでのご支援ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

資金の使い道(修復費用の内訳)

熱処理加工(フィルムのカールを直す)               70,000円
原版チェック・クリーニング                    10,000円
HDテレシネ                             75,000円
色補正                              50,000円
HDレストア                             75,000円
HDD                               10,000円
DCP製作費                             75,000円
消費税                               36,500円
                           合計    401,500円

今回集まったご支援についてはBOOSTER(CAMPFIRE)の手数料とリターン制作費を除き、上記修復作業に充当いたしますが、剰余金が出た場合は、TCC試写室設備の維持費用に活用させていただきます。

お礼メール 1,000円

 「戦え!オスパー 毒蛾の大群」の修復に貢献くださる方へ、感謝の気持ちを込めてお礼のメールをお送りします。

■グッズプラン 3,000円

お礼状、特製「日本放送映画」キーホルダー1点、クリアファイル2枚 

「戦え!オスパー」「とびだせ!バッチリ」「冒険少年シャダー」などのアニメーションを制作した幻のアニメ制作会社「日本放送映画」の社名ロゴをプリントしたアクリルキーホルダーとクリアファイルのセットでお届けします。アニメ研究家の方は必見!今後も2度と制作されることがないと思われる激レアグッズです。

さらに、祖父照雄が当時使用していた日本放送映画の社印」が発見されました。現在も押印可能な状態でしたので、この幻のアニメ制作会社の社印を、同封のお礼状に押印いたします! 

■ フィルム修復完成上映会への招待券(1名様分)、特製「日本放送映画」キーホルダー1点 3,000円
  各回定員38名様

TCC試写室にて開催する「戦え!オスパー 毒蛾の大群」修復完成上映会へ1名様をご招待いたします。直接TCC試写室までお越しください。試写室入口受付にて、支援者IDもしくは、お名前を仰っていただければ、試写室内へご案内させていただきます(自由席)。※希望日、時間(午前の部/夜の部)をご選択してください。 

※上映会は下記の計8回を予定しております。
9月12日(月)午前の部 / 夜の部
9月13日(火)午前の部 / 夜の部
9月17日(土)午前の部 / 夜の部
9月18日(日)午前の部 / 夜の部

■ デジタル化Blu-ray(1枚)

「戦え!オスパー 毒蛾の大群 」をBlu-rayディスクにデジタル化したものをお送りいたします。

 ※このBlu-rayディスクを権利者の許諾なく賃貸業に使用することや、インターネット上のネットワーク配信サイト等へ配布、その他記録メディアにコピーすることを禁止します。
 ※今回パッケージのご用意がなく、簡易パッケージでのお送りとなります
 ※今回発見されたフィルムは「毒蛾の大群」の本編のみで、オープニングが欠落しております。オープニング映像が収録できず大変心苦しいのですが、奇跡的に現存していたフィルムですので、どうかご了承ください。

コンプリートプラン「オスパー」ブルーレイ1点+キーホルダー1点+クリアファイル2枚+ブルーレイのエンドロールにお名前掲載 30,000円 

Blu-ray、特製「日本放送映画」キーホルダー1点クリアファイル2枚、Blu-rayエンドロールにお名前掲載のセットです。
お礼状には幻のアニメ制作会社日本放送映画の社印」を、同封のお礼状に押印いたします!

※このBlu-rayディスクを権利者の許諾なく賃貸業に使用することや、インターネット上のネットワーク配信サイト等へ配布、その他記録メディアにコピーすることを禁止します。
※エンドロールの御芳名は、本修復のご協力者として、本上映会でのエンドロールおよびBlu-rayに掲載させていただきます。
※支援時必ず備考欄に掲載を希望するお名前をご記入ください。
※記載に不備があった場合、公序良俗に反する場合など、掲載できない場合があることをあらかじめご了承ください。
※今回パッケージのご用意がなく、簡易パッケージでのお送りとなります。


■ TCC試写室2時間 ご利用権 25,000円(税込)*通常定価 30,000円(税込)

TCC試写室を2時間ご利用いただける権利です(有効期限は2023年2月28日(火)までとなります)。

※TCCの「空き状況」をご確認いただき、空いている日時を電話かメールで、お申し込みください(30分単位(5,000円)のご延長も可)。
※利用目的によってはお断りする場合があります。(公序良俗に反するものなど)

https://www.kokuei-tcc.co.jp/availability/202209.html


TCC試写室ご利用料10%オフ会員カード 10,000円

TCC試写室をご使用いただく際に、ご利用いただける会員カードです。施設利用料を有効期限内常時定価より10%オフでご利用いただけます。有効期限は、2023年2月28日(火)までとなります。


日本初の貸し映画試写室として1958年の設立より(当初は国映試写室)淀川長治さん(映画評論家)、黒木和雄さん(映画監督)、若松孝二さん(映画監督)らも愛した「映画空間」であり、現在もベテランから新人、劇映画からドキュメンタリーまで、数十万の映画・映画人と半世紀を超えて育み続く映画施設です。

従来は映画配給・宣伝会社等プロ・ユースが用途の主流でしたが、2015年の全面改装を機に、「貸切シアター+」として個人も幅広くご利用いただける新たなプランも用意してお客様をお迎えしております。
https://www.kokuei-tcc.co.jp/

 7月26日(火)      プロジェクト公開

 8月31日(水)      プロジェクト終了

 9月上旬~       リターン品のお届け開始

 9月12日(月)~   上映会開催

 10月末日予定   リターン品お届け完了

日本テレビ初の国産連続30分テレビアニメ「戦え!オスパー」は、 1960年代国産アニメの中でも今まで一切ソフト化されてこなかったアニメファンの間で最も謎に包まれ、再見が絶望視されていた作品です。その幻の作品が55年ぶりに復活する機会を見逃すことなく、是非このプロジェクトにご参加いただきご体感ください!心よりお待ちしております。 

<募集方式について>本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。

コノシート様より本プロジェクトの解説をいただきました。ぜひご支援の参考にお読みください。

1963年、この年の元日からフジテレビ系で放送開始された「鉄腕アトム」を皮切りに、国産テレビアニメの激動の時代が幕を開けた。「アトム」に続けて、フジテレビは「仙人部落」や「鉄人28号」を放送。その後を追うようにして、TBSは「エイトマン」、NET(現:テレビ朝日)は「狼少年ケン」で国産テレビアニメに参入する。しかし、在京民放テレビ局の中で日本テレビだけは出遅れていた。


テレビ局とアニメ制作会社との結び付きが強かった当時、既存の制作会社は既に取引のあるテレビ局の仕事に手一杯で、後発の日本テレビの仕事を受ける余裕は無かったのである。

東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催された1964年の秋、ついに日本テレビは国産テレビアニメの放送に向けて本格的に動き始めた。作品は「週刊少年サンデー」誌上で人気を博していた「サブマリン707」(原作:小沢さとる)である。1964年12月からの放送が予定されていた「サブマリン707」は数話分が完成し、「週刊少年サンデー」には写真付きの放送告知記事まで載ったが、諸事情により同作の放送は中止され、制作会社の東京T.V.Fプロダクションは倒産してしまった。

一方、1950年代から映画製作で頭角を現していた国映株式会社の代表・矢元照雄は、かねてからテレビアニメ産業に興味を寄せていた。矢元は倒産した東京T.V.Fプロダクションの負債を引き継ぎ、国映の系列会社として「日本放送映画株式会社」を立ち上げてテレビアニメの制作に着手する。そうして完成した第1号作品が、日本テレビ初の国産30分連続テレビアニメ「戦え!オスパー」である。

※当時の 矢元照雄

「戦え!オスパー」は、ムー大陸から来た超能力少年・オスパーと、ライバルのドロメが地上で繰り広げる戦いを描いた物語である。SF作家の新鋭・山野浩一がブレーンとなって練りに練られた設定は、当時のSFアニメの最先端を行くものであった。オスパーはテレパシー、ポストコグニション(驚異的な記憶力)、テレキネシス(念動力)、透視力、テレポーテーション(瞬間移動)などの特殊能力を持っている。対するドロメも超能力を持っているが、それぞれに得意分野と苦手分野があるために能力は拮抗している。オスパーは国際警察のメンバーや、国際警察長官の妹であるヒロインのユミらと協力して悪と戦うのだ。

「戦え!オスパー」のスタッフ陣は今見ると非常に豪華である。当時の制作資料が全く残っていないため各話の正確なスタッフは不明だが、「TVアニメ25年史」(1988年、徳間書店)や「消えたマンガ家2」(1997年、太田出版)によると、演出スタッフには岡迫亘弘や正延宏三、そして「機動戦士ガンダム」の富野喜幸(現:富野由悠季)がいる。作画スタッフには、アニメと漫画双方で多大な活躍を見せた村野守美(代表作:「ほえろブンブン」)のほか、後に漫画家として大成する「トイレット博士」のとりいかずよしや、「銭ゲバ」のジョージ秋山もいた。 

主題歌も凄い。作詞は後に「劇団・天井桟敷」を立ち上げることになる寺山修司、作曲はシンセサイザーの巨匠となる冨田勲で、アニメソングとしては珍しいツイスト調+エレキサウンドの独特の仕上がりとなっている。そして歌っているのは、当時「新聞少年」でブレイクしていた山田太郎である。

※映画雑誌「映画秘宝」JLY 2007より

主人公のオスパーの声を担当したのは、「サザエさん」の花沢さん役で知られる山本圭子である。山本は直前まで「ビッグX」(1965年)で主人公のライバルのハンス・エンゲル役を演じていたが、「オスパー」がテレビアニメの主役デビュー作となっている。 

商標の関係で「エスパー」から「オスパー」への変更を余儀なくされたり、放送枠が決まらずに数ヶ月が経過したりという困難に見舞われながらも、ついに1965年12月14日、「戦え!オスパー」の放送がスタートした。番組はリピート放送を含めて2年間続き、「週刊少年キング」誌上でのコミカライズ版も順調に連載され、レコードなどの関連商品も多数発売されるなど人気があったようだ。

しかし、モノクロ作品であるためにカラーテレビが普及した1970年代以降は再放送が途絶えてしまう。制作元の日本放送映画も「とびだせ!バッチリ」(1966年)や「冒険少年シャダー」(1967年)を制作した後に解散してしまい、作品も制作会社も幻となってしまった。

1970年代のアニメブーム以降、アニメ雑誌ではモノクロ時代のテレビアニメの特集が度々組まれることがあったが、既に「オスパー」の資料の入手は困難だったのか、まともな資料や図版が載ることは少なかった。過去のテレビアニメの映像を紹介するバラエティ番組などでも「オスパー」の映像が紹介されることは殆ど無く、1980年代に唯一ビデオソフト化されたオープニング映像を除いて、本作の映像に触れることは非常に困難であった。そして21世紀に入り、かつては幻とされていたモノクロ時代のテレビアニメ作品が続々とDVDやブルーレイとしてソフト化される中でも「オスパー」は取り残され、もはや視聴は不可能と思われていた。

しかし奇跡が起こった。日本放送映画の親会社である国映株式会社は銀座・新橋で試写室を運営するなど現在も活動を続けているが、その倉庫整理の過程で「戦え!オスパー」の16mmフィルムが1本発見されたのである。
だが「日放映 戦え!オスパー 毒蛾の大群 初号」と箱に書かれたこのフィルムは、プリントされてから55年以上を経て劣化がかなり進行しており、リールの中で収縮して変形し、酢酸臭を放っている状態だった。

これは「ビネガーシンドローム」と呼ばれる深刻な劣化現象である。フィルムが一度ビネガーシンドロームに陥ると、もう元の状態に戻ることは無い。次第に酢酸臭を発するようになり、硬化・収縮・変形し、映写機にかからなくなる。この時点で上映は不可能となるが、さらに劣化が進むとフィルム全体が固着して「塊」となり、完全に手の施しようが無くなってしまう。

既に通常のテレシネ作業によるデジタル化は不可能な状態となっていた「オスパー」のフィルムだが、2022年夏、最新技術でフィルム修復を手がけている東京現像所のラボにて修復、洗浄、スキャニング、リマスターが行われることとなった。


「戦え!オスパー」の当時のリアルタイム視聴者層は現在60歳~65歳前後である。「オスパー」を蘇らせ、当時の視聴者に届けるには今しかない。

「オスパー」の映像ソフト化は、もしかすると今回1回限りでもう永久に無いかもしれない。あるいは、今回のクラウドファンディングがきっかけとなって「オスパー」に注目が集まれば、日本テレビの倉庫の奥深くに眠っていると云われるネガ原板を元に、全話のソフト化に繋がるかもしれない。

当時の視聴者やアニメファンだけでなく、多くの人々にこのクラウドファンディング企画が知れ渡るよう、支援と拡散をお願いしたい。

(文・コノシート)

※解説文中に登場する「国映」「日本放送映画」「戦え!オスパー」以外の団体名・作品名は、本プロジェクトとは無関係です。

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