はじめに。

みなさま、初めまして。

ブルーグレーのバンに本を積んでさまざまな場所に出店する移動式本屋BOOK TRUCKを運営している三田修平(みたしゅうへい)と申します。2012年より移動式の本屋を運営してきましたが、2022年8月21日(日)に三田が暮らす横浜市旭区の若葉台団地内にドリンクスタンドを併設した本屋BOOK STAND 若葉台をオープンします。

写真提供:BEYOND ARCHITECTURE

自己紹介

遡ること20年。当時は今ほど多様な形の本屋がなく、本と人との出会い方の選択肢を増やしたいと考え、大学生の時に自身で本屋をオープンすることを決意しました。大学卒業後、今でこそ定番の形となりつつありますが当時としてはかなり珍しいカフェを併設した本屋TSUTAYA TOKYO ROPPONGI(現在の六本木 蔦屋書店)にてアルバイトをし、25歳の時に出版社を併設したこれまた珍しいスタイルの本屋SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSの立ち上げから4年ほど店長を務めます。そして29歳の時、本と人との出会い方の新しいスタイルとして移動式本屋BOOK TRUCKを考案し、現在に至るまで10年以上にわたり野外マーケットや音楽フェス、商業施設や大学のキャンパスなど、さまざまな場所に出店をしてきました。そしていま持続可能な団地の本屋の形を模索すべく新たな一歩を踏み出しました。


移動式本屋から団地の本屋へ

なぜ長らく続けてきた移動式本屋から今このタイミングで団地の本屋へと軸足を移そうとしているか。その要因は大きく2つあります。

1)止まらない書店の減少とリアル書店の意義

「長く愛された〇〇書店が惜しまれつつ閉店」。そんな悲しいニュースを聞かない日がないくらい本屋は減り続けています。実際に直近の10年は毎年300〜500店くらいの本屋が閉店へと追い込まれ、2001年までは20000店以上あった本屋も現在では8000店程度にまで減ってしまったと言われています。自分が子供の頃には当然のように町には本屋がありました。時代が変わったと言われればそれまでです。でもリアル書店が役目を終えたとは思いません。欲しい本を手軽に買うことができるネット書店もありがたい存在ですが、一方で自分の知らない世界と出会わせてくれるリアル書店を必要としている方もまだまだたくさんいるのではないでしょうか。
以前、東北にある美術系の大学に出店した時、アートブックやZINEなどがよく売れ、数人の学生から「この地域にはアートブックやZINEを取り扱っている本屋がなくて、こんな本があるのを知りませんでした」と声を掛けられました。その時に強く思ったことがあります。リアルな本屋が無いということは単に本を購入するときに不便というだけでなく、知らない世界と出会う機会そのものが限られてしまうということ。ネット書店を目的もなくザッピングする方は少ないと思いますが、ちょっとした時間に街の本屋をブラブラするという方は結構多いのではないでしょうか。リアル書店のそういった気安さや立ち寄りやすさが、思いがけず知らない世界と出会うという豊かな体験を生み出しているのではないでしょうか。

 「ガベージニュース」記事より引用

2)コロナ禍を経て、団地の暮らしを見つめ直す

僕は5年ほど前から若葉台団地に暮らしています。若葉台団地は横浜市の西部にある大型の団地で、どの駅からもそれなりに距離があり、住民の多くはバスを使って駅まで出掛けます。そして2019年の夏に、団地内にあった唯一の本屋である家書店 若葉台店が撤退し、それからというもの団地に本屋がない状態が続いていました。そしてコロナ禍へ。感染防止のため遠出をなるべく控えたいという状況のなか、若葉台団地には大きなショッピングセンターがあるので生活必需品の買い物に困ることはありませんでしたが、知らない世界と出会うワクワク感を感じられたり、生活に彩りを与えてくれるような場所は少ないと痛感することになります。こうして自分としてはごく自然な成り行きで本屋を通して自らが暮らすこの街をより豊かな場所にしたい」という想いが高まっていきました。物理的にも心理的にも近い距離に多くの人が集まって暮らす団地という環境。「まだ発見されていないだけで、この特殊な環境に最適化した持続可能な本屋のスタイルがありえるのでは」と思うようになり、今ではそれを見つけ出すことは、左近山団地という横浜市の団地に生まれ、そこから六本木や渋谷の新しいスタイルの本屋へ通勤し、人生の大半を団地で過ごしてきた生粋の団地っ子である自分の使命のようにも感じています。

BOOK STAND 若葉台について

そしてさまざまなご縁に恵まれ、福家書店の跡地にオープンする多様多世代の交流拠点「わかばダイバーシティスペース WAKKA(わっか)」の一角にBOOK STAND 若葉台をオープンさせていただくことになりました。BOOK STAND 若葉台は「本屋+ドリンクスタンド+ニューススタンド(kiosk)」という新しいスタイルの本屋です!団地という巨大なコミュニティのなかで、本を媒介にしてヒトとモノとコトが行き交い、世界の楽しさを再認識できるような場所を目指していきます。外に開かれたスタンド機能を併せ持つことで、誰もが気軽に立ち寄りやすい雰囲気を確保し、商店街全体、団地全体に活気を与えていけたら嬉しいです。

什器の設計・模型の製作 伊波 航さん、奥野 慎さん、照井 遥仁さん、日比野 莉良さん、三嶌 大介さん、結城 理子さん(以上、横浜国立大学学生)、鷹野 魁斗さん(建築設計事務所勤務) しかしながら、書店数減少の推移からも分かるように、新刊書店の経営は非常にハードルが高いのは明らか。新刊書籍は利益率が20%程度しかなく薄利多売にならざるを得ないため、団地のような利用者が限られた立地ではなお難しい。そのため団地内に持続可能な本屋を作るために、以下のような7つの方針を立てました。

①固定費をミニマムに抑える。(規模をダウンサイジングする)

②利幅を確保するため、薄利の新刊書籍だけでなく、古本や雑貨、飲食(ドリンクのみ)と組み合わせて展開

③欲しい本が決まっていればネットで便利に買える時代なため、リアル店舗ならではの本との出会いを楽しむことができる場所にする。

④ネットでの買い物が難しい方向けに、本の取り寄せや定期購読など「本の御用聞き」的なサービスにも力を入れる。

⑤良くも悪くも生活必需品に偏りがちな団地のショッピングセンターにおいて、適度な刺激が得られる楽しい場所、ワクワクする場所を目指す。

⑥団地内の本の需要だけでは書店経営の安定化は難しいため、周辺地域の本好きの方がわざわざ足を運びたくなるように、特別感のある空間や品揃えを実現する。

⑦地域(若葉台団地)を盛り上げる

一見情緒的にも感じられる⑦が実は1番現実的で重要なポイントかもしれません。今回お店をオープンするにあたり、若葉台団地の関係各者にはさまざまな面でサポートしていただいています。皆さんの多大なご協力がなければきっと開業まで漕ぎ着けなかったはず。街の活性化という意味で本屋に大きな期待を寄せてくださっているというプレッシャーはありますが、地域で本屋を支えるという姿勢を感じてものすごく心強いです。本を通じて住民のQOLを向上させ、さらに新たな住民を増やしていく。そう言った形で地域に貢献し、期待に応えていくことが、結果的に本屋を存続させる力にもなるのかなと考えています。

本屋の品揃えついては、小説、絵本、コミック、雑誌、実用書、アート・カルチャーなどのジャンルを、新刊・古本・リトルプレスをミックスして幅広く展開していく予定です。ただ店舗の品揃えについてはお客さんと一緒に作り上げていくものだと思うので、利用者の反応を見ながら柔軟に変化させていきたいと思っています。

ストアロゴと什器について


 カラー・スクエアバージョン

モノクロ・横長バージョン

 ストアロゴは雑誌『SPECTATOR』などのアートディレクションでお馴染み、((STUDIO))の峯崎ノリテルさんにお願いしました。幅広い層のお客さんがいる団地の本屋なので、スタイリッシュになりすぎず、親しみやすいけれど洗練されたロゴに仕上がっていてすごく気に入っています。お花のモチーフが入ることで、本のある豊かな暮らしが想起されるのも、店のコンセプトにぴったりだと思っています。

什器の設計・施工 伊波 航さん、奥野 慎さん、照井 遥仁さん、日比野 莉良さん、三嶌 大介さん、結城 理子さん(以上、横浜国立大学学生)、鷹野 魁斗さん(建築設計事務所勤務)
また、今回は以前から親交のあった横浜国立大学の卒業生と学生に島什器や模型の設計・製作をお願いしました。建築を学んでいる学生ならではの視点で作られた什器は可動式になっていて、くっつけたり離したりすることで空間に変化を生み出すことができるのがすごく良いなと思っています。本を平置きするスペースが段上になっているのも面白くて、スペースを緩やかに区切ることができますし、陳列にリズムもでてぼうっと眺めていても退屈しません。素晴らしい!!彼らにはオープン後もアルバイトとしてお店の運営にも関わっていただく予定です!


資金の使い道

BOOK STAND 若葉台は町の本屋として多くの方に利用してほしいという想いから、新刊本を中心にラインナップしていきます。そのため、今回は取次(=本の卸業者)の日本出版販売から本を仕入れさせてもらうのですが、日本出版販売のような大手の取次とお取引をするとなると、小さな規模の書店でも最初にお預けする保証金と初期在庫費用だけで400万円〜500万円が軽く必要になっています。そのほか設備費等にも一定の費用がかかるため、全てを自己資金で賄うのは簡単ではありません。そこで今回はより充実した品揃えを実現するために、ご支援いただいたお金を新刊書籍の仕入れ費用の一部として大切に使わせていただきたいと考えています。ご支援のほどよろしくお願いいたします!

スケジュール

7月20日 物件契約完了&引き渡し

8月5日 クラウドファンディング開始!

8月17日 SPBS THE SCHOOL特別講義「団地の本屋」から考える、本屋と街のこれからのこと(全4回)※詳細はこちら!

8月21日 新店舗オープン

9月15日 クラウドファンディング終了!

9年下旬 順次リターン発送

リターン

■Books For You (古本)

「Books For You」はBOOK TRUCKによるおすすめ本の選書サービスです。「どんな本が読みたい気分か?」という質問にお答えいただき、世界に一つだけのおすすめ本のセットを作ってお送りいたします!

■オリジナルトートバッグ

グレーのボディにBOOK STAND 若葉台のロゴをシルクスクリーンでプリントした薄手のオリジナルトートバッグです。リサイクルコットンを使用しているので環境に優しく、小さく折りたたんで、くるっと紐でとめることもできます!オリジナルトートのグレーが完売したため爽やかな色味のブルーを追加しました!


■BOOK TRUCK呼び出し権

移動式本屋BOOK TRUCKをどこにでも呼び出せる権利です!車両が停められる場所を確保していただく必要はありますが、個人宅への出張、イベントへの出店、プロモーション協力など用途は自由です。※BOOK TRUCKは普段の出店と同様の装備にてお伺いします。気になる点があれば事前にお問い合わせくださいませ!

■移動式本屋開業サポート

移動式本屋BOOK TRUCKを始めてから10年以上。最近では移動式本屋をやりたいという方からのお問い合わせも多く、「移動式本屋のはじめ方」という講座も2年連続で開催しています。当プランでは、その活動の中で身につけた移動式本屋のあれこれを伝授し、実際に移動式本屋を開業するまでをマンツーマンでサポートするプランです。いつか自分で本屋をやりたいと考えている方にもおすすめです!

■オリジナルミニライブラリー(特製ボックス5個+セレクト古本100冊)

BOOK TRUCKでも10年間書棚として使っている木製のボックス5個(大1中2小2)と、支援者のご要望に合わせてセレクトした古本100冊のセットです。カフェなどのお店、オフィスやご自宅などにちょっとした本のある空間を作ってみてはいかがでしょうか。本のサイズに合わせて設計したオリジナルのボックスを組み合わせることで色々な展開の仕方が可能です!


最後に

長文を最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。大学生の時に本屋になろうと決意してから20年あまり。ずっと本と人との幸福な出会い方を模索してきました。一見こういった住宅地のなかに新しく本屋をオープンするのは無謀に見えるかもしれませんが、僕はむしろ人々の暮らしをすぐそばに感じる住宅地だからこそ、本屋が生き残る道があるのではと考えています。そしてBOOK STAND 若葉台の取り組みを通じて、団地のような住宅地でも持続可能な本屋の形を確立できれば、すでに本屋が撤退してしまった他の団地などにも本屋を取り戻すことができる。さまざまな団地に「BOOK STAND 〇〇」を作っていけたらすごく嬉しいなと日々妄想しています。ぜひ皆様のお力を貸してください。よろしくお願いいたします。


事業者名

合同会社BOOK TRUCK

代表者

三田修平

所在地

〒2410801 神奈川県 横浜市旭区若葉台三丁目2番420号

古物商許可証

合同会社BOOK TRUCK 第451460010033号 神奈川県公安委員会

  • 2022/08/30 12:36

    8月26日(土)に無事「BOOK STAND 若葉台」がオープンいたしました!早速たくさんのお客様にご利用いただき嬉しい限りです。団地の本屋の新しい形を目指して頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いいたします!

  • 2022/08/17 00:10

    BOOK STAND 若葉台は8月21日(日)オープンの予定でしたが、店主の体調不良によりオープン日を延期することといたしました。楽しみにしてくださっていた皆様大変申し訳ございません。現時点ではオープン日は8月27日(土)を予定しています。引き続きよろしくお願い申し上げます。

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