はじめに・ご挨拶

はじめまして。愛知県瀬戸市で地域づくりに取り組む「株式会社きんつぎ」CEOの野々垣賢人(ののがき・けんと)と申します。今回、わたしたちは、“私の妄想発酵、街の賑い醸造”をコンセプトに、中心市街地の商店街にある空き店舗を改修して、地域の複合まちづくり拠点「瀬戸くらし研究所」をつくります。

あなたが”いつかやってみたい”と妄想していたことが、「瀬戸くらし研究所」に集まることで、妄想がどんどんと発酵して実現していく。さらには、その想いが街に溢れだし、街の賑わいが醸造されていく。そんな場所をつくりたいと考えています。

大きな柱は3点です。

1)観光で訪れた方が気軽に寄り、まちの情報を集められる 

2)陶芸・アート・飲食などの“ツクリテ”の方が発表出来る 

3)地域の方の日常を楽しくする体験型商店街

一体どんな場所なのか? まずは自己紹介をさせていただき、詳しい内容、その経緯をお伝えします。

「きんつぎ」は、不動産が専門領域のわたしと、建築の設計が専門領域の中渡瀬拡司。かつて、同じ設計事務所で働いていたふたりが、2021年5月に会社を立ち上げました。

わたしたちが行う地域づくりでは、“地域の豊かな暮らしが持続するための仕組みを創る”をビジョンに掲げ、不動産や建築の専門性を活かした地域づくりに取り組んでいます。その地域が培ってきた歴史や文化、街のニーズなどをリサーチし、その背景から導き出されたデザインを行うことで、地域らしさを大切にした場所を創り出していきます。


わたしたちが考える街づくり=徒歩15分圏内の“微地域”づくり。

みなさん、「地域」と聞くとどのようなイメージを持たれますか?

「きんつぎ」では、地域として捉える範囲を歩いて周れる15分圏内とし、“微地域”と呼んでいます。ご近所の方とお話しをしたり、公園に子どもと遊びに行ったり、夕食の買い物に行ったり。いつもの暮らしの中で、行き来する範囲をイメージしてもらえたらと思います。その「微地域」に目を向け、ひとつの建築を計画する際も、微地域のリサーチを行い、その地域らしさを尊重した建築・地域を生み出していきます。

なぜ、瀬戸なのか?

「きんつぎ」を立ち上げる前、わたしは中渡瀬のすすめで、東京にある”建築と不動産のあいだを追究する”不動産会社、創造系不動産へ。不動産コンサルタントとして従事する中、不動産は建物単体で価値が決まるのではなく、その街の価値に大きく影響を受けると感じました。

中渡瀬は名古屋を拠点に建築家として活動する中、建築のみで地域に貢献できることの限界を感じていました。そんななか、再び出会い、一緒に事業を立ち上げることに。自分たちが考える“微地域づくり”を実践できて、街がよくなったらいいなという場所を探していました。

きんつぎを立ち上げる前から、わたしは前職で全国の街や空き家を調査し、中渡瀬は海外の多くの街を旅し、その街ならではの風土や文化を観察してきました。そんなわたしたちから見ると、瀬戸はとてもポテンシャルの高い街だと感じました。

まず第一に、なんといっても愛知県瀬戸市と言えば器のセトモノで有名な街です。お店に並ぶ器、橋に装飾された陶器など、街のあちらこちらからセトモノが目に飛び込んできます。1000年以上続くやきものの産地としての街の歴史があります。
そして、セトモノによって、まちが大きく栄えた歴史があることから、中心市街地には築100年以上の古民家やノスタルジックな商店街が密集して残っています。

次にセトモノの街を囲むように豊かな自然が広がります。市街地から少し足を伸ばすだけで自然を満喫出来るのです。しかも、瀬戸はわたしにとっては隣町の尾張旭市が地元であり、中渡瀬にとっては妻の故郷。ふたりにとって、とても身近な街でした。自分たちにとっても思い入れのある瀬戸を一過性の流行りではなく、瀬戸の地域資源を引き継ぎ、新しい文化を作りながら地域を盛り上げられると感じて、このまちに暮らし、事業をスタートすることにしました。


これからやりたいこと。「瀬戸くらし研究所」について

今回、再生する建物は、瀬戸の中心市街地「せと末広町商店街」にある、元洋装店。瀬戸が人であふれていた頃の1980年頃から地域の人に親しまれた元ブティックです。わたしたちのおばあちゃん世代のお話を聞くと、ここでオーダーメイドの服をつくってもらうことが憧れだったそうです。

建物の床面積は150坪以上となり、住宅であれば5軒程度が入ってしまう広さになります。この大きさは商店街に与える影響も大きく、とても可能性を感じています。

しかし、可能性は感じる一方で、わたしたちだけでこの場所をつくってしまうと、建物や広さや歴史、資源において地域との関係性が希薄になってしまうようにも感じました。

そこで、わたしたちだけではなく、多くのまちのひとにとって、この先も愛される場所にしたい!そのためには、地域との関係性を探る必要がある!そこで近隣にある、愛知工業大学の益尾研究室と共に、まずは瀬戸のリサーチを行いました。

その後、リサーチ結果を基に、近隣にお住まいの方や地域でお店をされている方、窯元さん、行政の方などに声をかけ、皆さんと一緒に、どのような場所にしていくのか、計4回、延べ60人の方に参加していただき、ワークショップを重ね、この場所での可能性について掘り下げていきました。

そのなかで、瀬戸というまちのくらしを体験してもらいたいと思ったときに強く感じたことが、瀬戸の培ってきた文化の中心にはツクリテさんがいるということ。

私たちは、陶芸作家さんだけに留まらず、食を作る方や学びを提供する方など、ものだけではなくサービスを提供する方も“ツクリテ”と考えています。 

まちにもっと表現できる場があったらいいな。何かを生み出そうとするツクリテさんが表現できる場所が、商店街にできれば、ツクリテさんも、街の人も、観光に来る人も情報が混ざり合い、瀬戸はもちろんのこと、愛知県全体、さらには、愛知県外へも情報が行き交うようになるのではないかと考えました。

この気づきを活かすために大きな方向性として、冒頭の3つの柱へと辿りつきました。

1)観光で訪れた方が気軽に寄り、まちの情報を集められる 

2)陶芸・アート・飲食などの“ツクリテ”の方が発表出来る 

3)地域の方の日常を楽しくする体験型商店街

老若男女を問わず、あなたの”いつかやってみたい”が気軽にチャレンジできる。近い想いの仲間に出会うきっかけになり、その想いが形になる。そして、その想いを街にふるまうことで、まちに賑いを作り出していく。

それが、わたしたちの考える「私の妄想発酵、街の賑い醸造」です。まずは、自分たちが妄想を発酵させ、「瀬戸くらし研究所」を出発します!

1階の平面図

1階のメインのスペースとして、商店街に面した入り口すぐには、気軽に立ち寄れるフードコートのような広場をつくります。そこには食事だけでなく、本棚やまちのパンフレットなども設けるので、自由に手にとってゆっくり過ごしていただけたらうれしいです。

フードコートには、カフェやお弁当、飲食店などのお店が3店舗入る予定で“広場”はカフェスペースとしてもお使いいただけます。

その近くには、シェアキッチンやギャラリーを設置する予定です。シェアキッチンでは、時間単位でキッチンを借りて、曜日限定のお店を開いてみたり、貸切で気の知れた仲間と集まり食事会を開くこともできます。

ギャラリーでは、ツクリテの方がつくった作品を発表したり、ワークショップを開催できることで、瀬戸の今、こんなツクリテさんが活動している、ということを知ることができる場にしたいです。


1階のイメージ図

1階の奥には、DIYができるシェア工房をつくり、料金制で工具を自由に使っていただける場所にする予定です。店舗を改装するときに便利に使っていただくのはもちろん、新たにお店を開くひとが利用できる窓口になったらいいな、という想いも込めています。

改装だけではなく、親子で木工を楽しみたい、といった趣味の目的利用でも大歓迎です。

その手前には、瀬戸の器やくらしにまつわる物などが物々交換ができる場をつくることで、物の思い出について話したり、長くモノを使うきっかけをつくっていきたいです。


2階平面図

2階は、フリーランスやテレワークの方が仕事をしたり、中高生が勉強ができるように時間単位で借りられるドロップイン、定額制で利用できるコワーキングスペースを設けています。コワーキングスペースはイベント会場としての使用もでき、トークイベントなどを開催することもできます。


また、教室としても利用できるレンタルスペースもあり、そちらでは様々な「学び」の場として、ご利用いただけたらいいなと思っています。例えば、ヨガの教室やプログラミング教室など、一度だけでも、定期的にもご利用いただけます。

これからについて(スケジュール)

2022年
9月 工事着工
2023年
1月 工事完了
2月 オープンハウス
2月 グランドオープン


資金の使い道について

皆様から集まった資金は「瀬戸くらし研究所」のリノベーション工事費として活用させて頂きます。

工事費合計1,450万円

【内訳】
解体150万
電気工事250万
設備(給排水)工事200万
ガス工事100万
空調工事200万
断熱工事50万
間仕切り工事100万
建具工事150万
仕上げ材料費200万
看板50万

~最後に~

私は、前職時代にいくつかの地方都市を空き家調査で周りました。いくつか見た都市の中でも、瀬戸のポテンシャルはとても高い!築100年以上の民家がいくつも残り、ノスタルジックな商店街や街を歩けば窯垣や陶器の作品に見て触れられる。これだけの地域資源が豊富な瀬戸の街をこれからも残していきたいと強く思います。ただ、不動産の実務を通じて感じるのですが、残したいという想いだけでは、なかなか街や風景は残ってきません。経済性も含めた持続する仕組みを創っていく必要があります。「瀬戸くらし研究所」が、街が持続する仕組みの一つになれればと思っています。

そして、わたしたちの役割は、街の「ぬかどこ」をつくること。ちょっと唐突に聞こえるかもしれませんが、はじめてでも、おいしいぬか漬ができるような土壌をつくりたい!けれども、ぬかどこだけあっても、おいしい素材がないと、はじまりません!多くのツクリテのみなさんに、瀬戸くらし研究所という「ぬかどこ」に浸かっていただき、ツクリテさんが気軽に表現でき、街の人が気兼ねなくふらっと立ち寄りたくなるような場所をみなさんと作っていきたいです。

ぜひ、みなさまお力添えよろしくお願いいたします。

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