はじめまして
autobikebooks です
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初めてのプロジェクト

バイク小説家
オートバイブックス代表

はじめに・ご挨拶

こんにちは。静岡県藤枝市在住の武田宗徳と申します。

バイクの登場する物語を書くようになって、かれこれ20年以上になります。

20代の頃、当時夢中になっていたバイクを題材に物語を書いて、バイク雑誌に掲載してもらったことがきっかけで書き続けています。2002年から、バイク小説のフリーペーパーを制作、配布を開始しました。こちらは現在も継続しており、北は青森から南は熊本まで、全国に配布協力店がございます。

このフリーペーパーを手に取った静岡県内の出版社の方からお声掛けいただき、2008年には本を出版することができました。自費出版という形でありながら、3回増刷となり、2011年には同じ出版社から2冊目も出版していただきました。こちらも増刷となり、ありがたいことに、1冊目、2冊目を合わせて、少なくとも5000部を売り切ったことになります。

その間、バイク雑誌にスポット掲載や短期連載などさせてもらいながら、ラジオの朗読や、舞台の脚本などにも使ってもらえるようになりました。2018年、個人出版「オートバイブックス」を立ち上げ、同年にバイク小説短編集「君のいない青春」を小部数発行しました。(こちらは既に完売です)

2019年にサラリーマンとの二足のワラジ活動から独立、フリーランスとなり、バイク雑誌の連載もゲットしました。

同年、新装改訂版「バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ」を、翌2020年には新装改訂版「バイク小説短編集 Rider's Story つかの間の自由を求めて」を、個人出版「オートバイブックス」より出版しました。

バイク小説短編集 Rider's Story 僕は、オートバイを選んだ
2019年 5月 1日発行 B6版 二段組 128ページ
定価1200円(税別)ISBN 978-4-9909810-1-3 

バイク小説短編集 Rider's Story つかの間の自由を求めて
2020年11月20日発行 B6版 二段組 112ページ
定価1000円(税別)ISBN 978-4-9909810-2-0 

(プロジェクト起案者本人の運営する個人出版の書籍です)


収録作品抜粋「隣のお兄ちゃん」

 隣の家にはいつもピカピカの赤い大きなオートバイが停めてあった。ボクがこの町に越してきて、真っ先に目に入ったのが、その赤い大きなオートバイだった。

  日曜日、サッカーボールを持って外に出たら、赤いオートバイが道路に出ていた。水浸しになっていた。しばらくすると、お兄ちゃんがボロ布を手に持って出てきた。

 「何してるの?」

 ボクはお兄ちゃんに聞いた。

「洗車だよ。洗ってんの。人間と同じで体洗うんだ。じゃないと、こいつ機嫌悪くなっちまう」

「ふーん」

「君、名前は?」 

「太一」 

「いくつ?」 

「十才」 

「そうか、よろしくな」 

 もっと話したかったけど、お兄ちゃんはそう言ってオートバイを洗い始めたので、ボクはサッカーボールを持って公園へ行った。  

 次の日曜日の朝、布団の中で「ブオン、ブオン」という音が外から聞こえてきて目を覚ましたボクは、ハッとしてパジャマのまま急いで外へ出た。顔全体を覆った白いヘルメットをかぶったお兄ちゃんが赤い大きなオートバイに跨って、エンジンをふかしていた。黒い革ジャンと革パンツもかっこよかった。

「お兄ちゃん! 出掛けるの?」

 ボクは排気音に負けないよう大きな声で言った。

「おう、ちょっとな」 

「ボクも乗りたい!」

「また今度な」 

「絶対だよ!」

「おう、じゃあな」 

 そう言うと、お兄ちゃんは激しい排気音とともにあっという間にこの先の交差点まで行ってしまった。お兄ちゃんは体を右に傾けて、交差点から姿を消した。

 一瞬の出来事だった。赤いオートバイに跨って走り去っていったお兄ちゃんの姿が印象的だった。家に戻ってからも、ボクの耳にはあの排気音が残っていた。 

 しばらく経ったある日曜日、隣のお兄ちゃんはまたオートバイを道路に出して何かしていた。ボクは近づいて、声をかけた。 

「今日は何しているの?」

「ん? オイル交換とかね」 

「ふーん。ねえ、このバイクの名前は?」 

「ニンジャ……」

「忍者! 変なの!」 

「もうすぐ終わるから、そしたら、ちょっと乗ってみるか?」

「本当!」 

「ヘルメットはもう一つあるから」  

 お兄ちゃんは作業を終えると自宅に戻り、ヘルメットを二つ持って出てきた。

「いいか、オレの腰をしっかりつかんでいるんだぞ。体は動かすな。自分は荷物になったつもりでいればいい。十才だもんな、大丈夫だよな」

「なんか、緊張しちゃうな」

「怖いなら乗らなくてもいいんだぞ」 

「乗るよ! 怖くないよ」 

「大丈夫、飛ばさないから」

 ボクはヘルメットをかぶり、お兄ちゃんの手を借りてオートバイの後ろの席に跨った。腰にしがみつく。 

 赤い大きなオートバイはゆっくりと走り出した。


「オートバイに乗ってねえ、海まで行ったよ!」 

 ボクは夕飯を食べながら、興奮してお母さんに話した。夕飯は好物のオムライスだった。ケチャップで字を書くのが好きだ。 

「曲がる時は傾くんだ。スリルがあるけど、でもそれが気持ちいいっていうかさあ!」

「太一、海まで行ったの?」 

「そうだよ」

「オートバイの後ろに乗って?」

「そうだよ」 

「信じられない!」  

 お母さんは右手でおでこを押さえた。

「いい、太一。もう隣のお兄ちゃんと遊んじゃダメよ」

「え?」

「お話しても、会ってもダメ」 

「……」 

「何考えているのかしら。まだ小学生の子供をオートバイの後ろに乗せたりして。本当、危ないわ。太一、もう会っちゃダメよ。いいわね」

「……はい」  

 お母さんの言う事は守らなければならなかった。

 次の日曜日、お兄ちゃんはまた道路で洗車していたので、ボクはそっと近づいて言った。

 「ねえ、お兄ちゃん。ボク、もうお兄ちゃんと遊べない」

 「ん?」

 「お母さんに言われた。もう話しても、会ってもダメだって」

 「……そうか、オートバイに乗って海に行ったから」

「ごめん」

「何謝ってんだよ。悪いのはこっちのほうだろ。ごめんな」  

 お兄ちゃんの顔をまっすぐ見ることが出来ない。お兄ちゃんはどんな顔をしているのだろう。 

「お兄ちゃん、ボク……」

「ん?」

「ごめん、ごめん……」

 何故だか涙が出てきた。ぽろぽろと流れてきた。自分でも訳がわからなかった。

「なんで泣くんだよ。太一は悪くないよ。オレが勝手に海につれてったから。なあ、泣くなよ」 

「うん……」

「ほら、一緒にいるところをお母さんに見られたら、また怒られるぞ」

「うん……」 

「またいつか、忘れた頃に乗せてやるよ!」 

「うん!」  

 ボクは精一杯の笑顔を返すと、お兄ちゃんに背を向け、家に帰った。

 それから、しばらくお兄ちゃんとは話す事も会うこともなかった。

 どれくらい経った頃だろう。いつのまにか、あの大きな赤いオートバイもお兄ちゃんも見かけなくなった。仕事が転勤になったのか、それとも、もしかしたら結婚して家を出たのかもしれない。

 それでもボクは忘れない。

 赤いオートバイに跨る革ジャンを着たお兄ちゃんの姿を。

 おなかに響く激しい排気音を。

 お兄ちゃんと一緒にあの赤いオートバイに乗って海まで行ったことを。


 おわり


このプロジェクトで実現したいこと

バイク小説短編集「Rider's Story」のシリーズ3冊目にあたる「アクセルはゆるめない」を年内に出版したいです。
小部数発行した「君のいない青春」の改訂版ではなく、新たな作品群で構成する短編集を考えています。

バイクが何故楽しいのか。バイクにまつわる小さな物語を書き続けながら、その理由を探していました。だけど、最近になってその明確な答えなんて無いと気づきました。バイクには、色々な楽しみ方があって、それは一言で言い表せない。だからこそ、物語という形で遠回しにでしか、バイクの良さをうまく表現できなかったんだ、と。

楽しいものは、楽しい。ただそれだけなんだ、と考えるようになりました。

バイクという乗り物は、風雨にさらされて、夏は暑いし、冬は寒い。荷物も満足に乗らないし、基本は一人で乗ります。便利さや快適さからは程遠い乗り物です。それでも、乗っている人、乗ろうとする人はたくさんいます。

それは、楽しいから。それだけの理由で多少の苦痛を受け入れても乗るんです。

バイクを題材にした短編小説のネタが尽きないのは、そんな乗り物だからなんだと思っています。

楽しい時間は、幸せな時間とイコールだと考えています。だから楽しい時間がたくさんあるほど、幸せな時間が多くある、幸せな生き方をしている、豊かな人生を送っている、と考えます。楽しい時間というのは、生きていくのにバランス良く必要だと思っています。

楽しむだけの乗り物バイクが、人生を少し豊かにしてくれるかもしれない。

そんな想いを込めて、短編小説という形で遠回しに伝えていく活動を、20年以上にわたって続けています。

個人出版・オートバイ専門書店のオートバイブックス


プロジェクトをやろうと思った理由

バイクの登場する古書店を運営しています。実店舗はありません。インターネットショップでの販売の他に、バイクイベントや喫茶店などの軒先で出張販売をしています。バイクの登場する小説や漫画、実用書などの古本と一緒に、自分の著書を並べて販売させてもらっています。

出張販売では読者の皆様に直接お会いすることができます。貴重なご感想を頂くこともあります。本は読まないけどバイクが好きだから、と購入して頂き、本が読めるようになりました、と嬉しいご報告をしてくれたお客様が何人かいらっしゃいます。バイクが好きな人に、本も好きになってもらいたい。また逆に、本が好きな人に、バイクにも興味を持ってもらいたい。そんなきっかけをつくれたら、と思っています。

最近になり、既刊本の読者の皆様から「新しい本はいつでますか?」とのお声をたびたび頂きます。最後の著書発行以降の小説発表作品数から、もう1、2冊くらい出せるはず、と読者の方にご指摘を頂くこともありました。

3冊目を楽しみにしてくれている読者の方が思いのほか多くいらっしゃることを、特にここ最近になって、ジワジワ、ヒシヒシと実感しています。ありがたいことです。なんとか、そのご期待に応えたい。

タイミングとしては、今年だと考えます。このタイミングを逃してはならないと思っています。

目標達成した暁には、シリーズ3冊目を世に発表し、既存の読者様をはじめ多くの方に読んでほしいです。

今回、クラウドファンディングでご支援を募集するという形をとることに致しました。
どうか、ご支援、ご協力をよろしくお願い致します。


資金の使い道

新刊著書は、B6版二段組128ページ、1000部発行を予定しています。
装丁デザイン費、印刷費を含めて、出版費用に500,000円みています。
こちらに当てさせて頂きます。


リターンについて

シリーズ3冊目となる「バイク小説短編集Rider's Story 〜アクセルはゆるめない〜」を基本とします。


既刊著書2冊との組み合わのセット。

オリジナルTシャツとのセット(限定50セット)


《オリジナルストーリーを制作》(限定3つ)
あなたと、あなたの愛車をモデルにオリジナルショートストーリーを制作します。メールなどリモート打ち合わせののち、2000〜3000字程度のボリュームで、バイク短編小説を書き下ろします。ご要望はお聞きしますが、内容については原則、お任せさせてください。完成後、あなたにお送りし、読んでもらったのち、現在も続けている「バイク小説のフリーペーパーRider's Story」に掲載させて頂き、全国の協力店に配布します。以降発行予定のシリーズ刊行書籍に収録される可能性も大いにあります。

参考小説「バーガーも、バイクも」
(モデルのお店は、浜松にあることとバイクの車種だけがリアルで、その他は完全に架空のお話、フィクションです)

 進学した高校は都内のはずれにあった。

 最寄りの駅から学校までの間に小さなカフェがあって、軒先にはいつも、店構えとは不釣り合いなレーシングバイクが停まっていた。高校二年になる頃には、そのバイクもカフェも、気になってしょうがなくなっていた。

 そこで個人店のハンバーガーというものを初めて食べた。僕の中の常識がひっくり返った。値段は決して安くはないが、驚くほどの美味しさに感動した。

 月に一度か二度お店に顔を出すようになった。そうしてお店のことがわかってきた。ハンバーガーの美味しいお店で有名で、店名は「ヒーロー」、軒先のバイクはマスターの愛車GSX―R1000で、三十歳だということ…。

 高校三年になった頃には毎週通っていた。マスターには悩みや愚痴を聞いてもらった。小さな悩みだったと思うけど親身になって聞いてくれた。

 ひと回り歳の離れた、でも自分の親よりはずっと若いマスターを、心の中で兄貴と呼んでいた。


 あれから十年あまり経ち、僕は高校を卒業して就職して、転勤して取引先に引き抜かれ、やがて転職して結婚し、そして独立し、今静岡県浜松市にいる。

 三十歳になった僕は、ハンバーガーショップのオーナーになっていた。

 いまだに苦労の連続だけど、なんとか店を回している。子供も学校に通い始めて少し手を離れた。

 前からずっと欲しかったオートバイを手に入れた。憧れのレーシングバイクGSX―R1000だ。

 久しぶりの休日、僕はGSXを走らせて東へ向かった。

 兄貴は覚えているかな。僕のこと。


 土地開発が進んだのだろうか。記憶にある建物はそこには無かった。代わりに派手なファーストフード店ができていた。浜松の方では見ない「ヒーローズ」というショップだ。

 レジカウンターで注文を聞く店員のセリフはマニュアル通りだ。クーポンがあるか聞かれた。ハンバーガーの価格はどれも1000円オーバーだった。着いた席のテーブル脇のチラシを見て、同じお店が都内に五店舗あるとわかった。

 見た目はかつて食べていた「ヒーロー」と似ていたけど、なんだか味気なかった。何か足りない…。食べ残して店を後にした。

 バイクの停めてある駐輪場まで視線を落として歩いていた。兄貴の店という確証はない。だけど自分の中に、虚しくて悲しい気持ちが生まれていた。

 右の路地の奥に「珈琲」と書かれた立て看板が目に入った。口直しではないけど珈琲を飲んで落ち着こうと思った。

 二人掛けのテーブル席に腰を下ろすとカウンターの奥の方から「いらっしゃいませ」と聞こえた。窓際に置かれたメニューを見た。

 ハンバーガーがあった。


 数十分後、僕はカウンター席に移動していた。コーヒーと美味しいハンバーガーと、向かいには兄貴がいた。


 十年前、ヒーローのハンバーガーが注目され、とある企業から共同経営で多店舗展開を持ち掛けられたという。兄貴はそれを受けた。結婚して子供も生まれてお金が必要だった、と。

 安定したハンバーガーをお客に提供できるよう、バンズやパテなどの食材は特注で指定のメーカーが大量生産し、わかりやすく作成された共通レシピが全店舗に展開された。

 その日の天候や、そのときの食材の出来栄え、または気分次第で変化していた兄貴のバーガーと、同じものができるわけがなかった。


 僕は今、愚痴を聞いている。十年前、一方的に聞いてもらっていた愚痴を、今度は、僕が…。

「だから、一からやり直すことにした。振り出しに、戻った」

 兄貴は笑って言った。

「マスター、実は今、俺もバーガーを…」

 僕の言葉に、兄貴はこちらを見た。

「知ってる…」

 静かに言った。そして目を閉じ、しばらく黙っていた。

「…だめ、ですか」

 兄貴は笑って吹き出し、

「ダメなわけねーだろ」

と言ってそのまま厨房へ入っていった。背を向けたまま、

「負けねーぞ」

と言った。         おわり

《ショートムービー制作》(限定2つ)

あなたとあなたの愛車を主人公にしたショートムービーを制作します。セリフなし、顔出しなし、特別な演技もなし、で成り立つショートストーリーです。あなたのシルエットやバイクの車種に応じてベースとなるストーリーを選定します。撮影日を決めて、私が撮影に行きます。ショートムービーに登場するのは一人のライダーと一台のバイクです。愛車を走らせているあなたの動画を、5分程度のショートストーリーにまとめます。ご要望はお聞きしますが、原則、お任せさせて下さい。別途、交通費(等)を頂戴します。

参考ショートムービー 娘から父への手紙



実施スケジュール

9月より印刷会社に出版予定の連絡、装丁デザインの制作着手。

10月、初稿完成。見直し、修正。10月末までに入稿。

11月21日 初版第1刷発行。



最後に

オートバイと関わることで生まれる、切なくも熱いドラマ。

どこにでもいる一人のライダーの日常を描く。

あの日を思い出す。また乗りたくなる。

バイク乗りで、よかった。


※今回のプロジェクトで出版する書籍は個人出版オートバイブックスより出版します。

※本文の画像や動画はオートバイブックス代表武田宗徳が制作したものであり、著作権については問題ございません。

<募集方式について>
本プロジェクトはAll-or-Nothing方式で実施します。目標金額に満たない場合、計画の実行及びリターンのお届けはございません。

  • 2022/08/06 10:00

    明日8/7の日曜日は袋井市でお待ちしています!◉ 8/7(日) 8:00-14:00 遠州浜松部品交換会/エコパ東P9駐車場/袋井市バイク小説短編集Rider's Story、シリーズ3冊目の出版プロジェクト、たくさんの方にご賛同・ご支援をいただいています。嬉しいです。しみじみと噛み締めていま...

  • 2022/08/04 07:34

    おはようございます。薄曇りの朝です。毎日、この出版プロジェクトに賛同してくれるご支援者が現れています。ありがたいことに、現在目標の25%を超えています。ご支援をいただいている方々のメッセージを眺めていると、嬉しいを通り越して、泣きそうになってしまう…。3冊目の出版を楽しみにしてくれている方が、...

  • 2022/08/02 08:16

    おはようございます。8月に入り、出版プロジェクトがスタートして二日目の朝を迎えています。昨日の初日、早朝からご支援の申し出をいただき始め、今朝の時点で、目標達成率は10%を超えていました。嬉しいです。何より、新刊を楽しみにしてくれている方がたくさんいる、ということが目に見えてわかるので、このプ...

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