はじめに・ご挨拶

 はじめまして。
 美しい日本の漆器を海外に紹介したいとの思いから、数年前から漆器のプロデュースに取り組んでいます。
 全くの門外漢だったため、当初は実現すると思っていませんでしたが、伝統工芸の世界に近い方に入り口を作っていただいたことがきっかけで、最終的によい職人さん方にたどり着きました。最初は知らないことが多く、思いだけが先走って、職人さん方に大変ご迷惑をおかけしました(今でも危ないところがありますが)。そのため、多少人の出入りもあり、紆余曲折を経ましたが、結果的には私の作りたいものに真っ直ぐに向き合ってくださる職人さん方に恵まれ、自分の思いを形にすることができました。

 2019年に初めて職人さんに相談させていただいてから、2年連続で公募展で入選しています。時間は前後しますが、まだデザイン画の段階で海外に赴き、現地でスタジオを持つ方にお話を聞いていただく機会もありました。残念ながら直後にコロナ禍となり、完成してからはやむなく国内外でオンラインでの販売を試みています。ただ、私の漆器の魅力は、画像よりも、実際に見て、手に取っていただくのが一番伝わりやすいことや、大量に作って在庫を確保しておくという流れが向かないことがあり、やはり、オンラインではなく、実際に実物を海外に出したいと思っています。

 現在、Authentic Japan Shunme: Original Series(英語のみのサイトです)として、サンプル程度の数しか手元にありませんが、慣れないながらも、海外の方に作品を紹介する機会を得るなど、実際に作品を海外に出す入り口が見えてきました。ただ、やる気とエネルギーはあるものの、資金面を考えると、チャンスが見えても先に進むことができない状態です。将来的には市場の大きなアメリカでの見本市、その後にヨーロッパの見本市などに出展したいと思っています。

 漆器を選んだのは、海外向けに日本らしいものを紹介したいと思った時に真っ先に頭に浮かんだからです。これは北陸地方に生まれ育ったからだと思います。器のみならず、家の柱も漆にこだわる土地柄です(今はどうでしょうか)。漆の柱と言えば、かすかにしか覚えていないのですが、私が小学生の時に父親が新築の家の柱の香りを嗅ぎ、漆の洗礼を受けたことがありました。父親の真似をして姉も香りを嗅いでいましたが、父親が母親に、「こういうことは精神面も影響するから、漆で自分がかぶれたことは伏せておくように」と言ったそうです。同じことをしたにもかかわらず、姉はかぶれませんでした。念のために書かせていただくと、漆でかぶれるのは乾いていない場合で、一般的には乾いてからは炎症を引き起こすことはないと言われています。
 さらに余談ですが、私が漆器に携わるようになってから、突然庭に漆の木が育ち始めたという偶然もありました。私が知っていた漆の木とは違っていたため、最初は気づきませんでしたが、夫が皮膚にひどい炎症を起こしたことがきっかけで判明しました。漆器を紹介しようという時に怖い話になりましたが、漆が炎症を引き起こすことは、漆の成分に殺菌作用があることや漆が漢方薬に使用されていることの裏返しでもあります。*リンク先のページは英語のみになっております。

 話を戻させていただくと、プロデュースを始めるにあたり、市場調査などはせず、自分の欲しい漆器のイメージを固めました。出来上がったものに対して理屈で説明すると、ポイントとしては、見た目が美しいだけでなく、布着せを施すなど、強度も考慮して製作されており、天然の素材を使用しているもの、ということになります。これは考え抜いた結果ではなく、私にとって漆器とはそういうものであり、「これだ!」というデザインが決まってからは迷いはありませんでした。突然伝統工芸の世界に飛び込み、知識のないままにあれこれ要望を伝える人間に対し、作りたいものをプロとして把握し、対応してくださる職人さん方は、職人としてそれに応じるだけの技能や発想力があるのは言うまでもなく、人として思慮深く寛大な方々だと感じています。

 元々漆器の世界にいたわけではないのでそもそもが勉強不足ですが、漆器に携わって感じたことがいくつかあります。
 まず、漆器は海外でも古くから美術品として知られており、日本では誰もが知るもの、と言いたいところですが、実際にはそうでもないかもしれないということです。厳密には、知ってはいるけれど漆器という呼び名(分類)と実際のものを頭の中で一致させるのに時間がかかる、と言うべきでしょうか。陶磁器と勘違いされることが多く、おそらくこれが現状なのでしょう。
 また、数が少ないとはいうものの、高度な技術を持つ職人さんがいるにもかかわらず、量ではなく質という意味において、その技術を存分に活かす機会はそれほど多くないのだろうと想像します。余計なお世話と言われそうですが、これは日本文化にとっての損失だと思います。
 そして、漆器に注目して意外だったのは、私がぼんやりと「漆器とはこういうもの」と想像していた漆器がむしろマイナーだということです。まず、ベースが天然木であることは、珍しいとまでは言いませんが、当たり前ではありません。木粉を樹脂で固めたものが木製品として使用されています。合成樹脂だけのものもあります。ですが、天然木の器は軽く、手に持った時に内容物の熱を直接手に伝えないので、優しい使い心地です。
 さらに、塗りの漆器の下地や髹漆に関して言えば、漆器と言えど、漆を使っていないものが多くあります。伝統的手法で下地から丁寧に仕上げた全面艶仕上げの漆器は、スキのない美しさがありますが、職人さんの確かな技術が必要なのは言うまでもなく、製作に手間がかかり、価格も高額となるためなのか、あまり販売されていません。例えば、このシリーズのMiyabiやOfukuwakeには、縁を欠けにくくしたり、絶えず液体が溜まる場所を強化したりすることを目的として、「布着せ」が施されています。数ヶ所に米粉などを使って布が貼られているのです。ここでは画像でしかご覧いただけませんが、見た目からは布が貼ってあることなど想像がつかないほど綺麗な仕上げになっていることがおわかりいただけると思います。
 漆塗りの全面艶仕上げで、価格も比較的安価なものは、一見、同じように見えても、よく見ると細かなところに乱れがあり、下地に何か秘密があるのだろうと思うものもあります。
 漆を使っていない漆器や天然木ではない漆器を否定するつもりはありません。生活に合わせた工夫が凝らされており、むしろ、そのような漆器がなければ、漆器を目にする機会が減少し、漆器の存在そのものがこれまで以上に影の薄いものになってしまうかもしれません。ただ、このシリーズのような、一見単純とも思える条件、天然素材を使用し、伝統的手法を用いて製作された漆器が欲しいと思った時に、価格を度外視したとしても選択の幅が少ないのは残念なことです。

 塗りの漆器については、「艶消し」仕上げの場合、使用年数を経て艶を増し、それが味わいとされています。一方、艶仕上げは傷がつくことがデメリットとされます。けれども、下地をしっかりと施した艶仕上げ、特に溜塗りの場合は、ゆっくりと時間をかけて漆が透明度を増すため、色の変化を楽しむ醍醐味も増します。その漆器が気に入り、長年愛用すれば、傷も個性と受けとめられるのではないでしょうか。そして、程度と料金の兼ね合いで必ずしも最善策とはされませんが、漆器は使い捨てではなく、修理ができます。

 様々な漆器がある中、伝統的な手法を用い、丁寧に作られた格式ある漆器を海外に出しておられる歴史ある企業や個人の方はいらっしゃいます。もちろん、私などは足元にも及びません(そもそも別次元でしょう)。これほどまでに漆器に取り憑かれた理由は自分でも謎です。ただ、プロデュースを通して自覚するようになったのは、自分の思ったものを自分の手で世の中に出していくという行為を通して、これまでの人生で押し殺してきたものを発揮したいという思いがあり、そこから尽きないエネルギーが生まれてくるということです。

 不思議なことを書くようですが、そのような思いでデザインした漆器は、形をとり始めてから、いつの間にか私の前を行くようになりました。プロデュースの過程で迷いが生じた時、考えるまでもなく、自ずと答えが見えてきます。今では私が漆器の後からついて行っている感覚です。

 今回のクラウドファンディングでは、支援していただく漆器の魅力を一人でも多くの方に実際に知っていただけたらと思い、作品をリターンとさせていただきます。それぞれ天然ウコン染布、北米産の高級桐箱で梱包されています。

 サイトや動画などは全て自分で撮影・作成しています(MiyabiとOfukuwakeの全体写真各2枚については撮影していただいていますが、権利は所有しています)。

 この漆器の海外進出を応援してくださる方、この漆器の行く末を、それは私の行く末でもありますが、応援してくださる方のご支援をお待ちしております。
 何卒よろしくお願い申し上げます。

このプロジェクトで実現したいこと

 将来的にAuthentic Japan Shunme: Original Seriesを海外の見本市に出展したいと思っています。その資金づくりのため、まずは販売にかなう数の在庫を確保したいと考えています。今回のプロジェクトでは、販売を前提とした在庫数の確保をさせていただくと同時に、知名度を高める一手段として、国内の公募展応募のための新作の開発をさせていただきたいと思っています。また、支援者の方々をはじめとして、ひとりでも多くの日本の皆様にこの漆器を知っていただけることを願っています。

プロジェクトをやろうと思った理由

 Authentic Japan Shunme: Original Seriesは、天然素材を使用し、伝統的手法で製作された全面艶仕上げの漆器です。見た目だけでなく、布着せを施すなど、強度の面も考慮しており、実際に手にとった感触にも独特のよさがあります。控えめながら存在感があり、どのような場所にも調和するため、さりげないオブジェとしてもお使いいただけます。漆器は日本の美を代表するものの一つですが、伝統的手法で製作できる職人さんの数も多いわけではなく、伝統的手法で全面艶仕上げとしているものもあまり多くはありません。

 海外でも古くから漆器の存在は知られていますが、自分のプロデュースした漆器を海外に出し、この漆器の可能性を試したいと思いました。いずれ日本の漆器の素晴らしさを海外に広める一助となればと願っています。一方、生まれたばかりのブランドであるため、知名度がありません。まずは在庫数を確保させていただき、販売の機会を得て、この漆器の存在自体を多くの方に知っていただくと同時に、将来的に海外の見本市に出展するための資金につなげたいと思いました。

これまでの活動

 研究者を目指して大学院で学び、約20年間、大学非常勤講師をする傍ら、折に触れて翻訳・通訳をしていました。二人の子供の海外留学に付き添い、カナダで1年間を過ごして帰国し、翻訳・通訳を軸として個人事業を始めました。開業当時は手段もわからず、海外に漆器を紹介したいとぼんやりと思っていただけでしたが、姉の知人をたどり、伝統工芸の世界に足を踏み入れることができました。ものづくりに携わる方々とのやり取りの中で、漆器の知識もさることながら、人間としての自分の未熟さを痛感しています。

 初めて完成したのはKo-Tsuzumi-Vで、シリーズ唯一の拭き漆(艶)の箸置きです。2020年度第45回全国伝統的工芸品公募展で入選しました。箸置きとしてメッセージカードなどを立てて使用することができるほか、1個または複数個でカードスタンドとしても使用できます。また、箸置きとしてカードを立てずに使用する場合は、90度回転させることにより、切り込みが目立たなくなります。転がらないように、用途に合わせて二箇所、わずかに縁を平らに削ってあります。

 翌年、第46回全国伝統的工芸品公募展では、ブランドの原点とも言えるTsuzumiが入選しました。

メッセージカード立て付き箸置き Ko-Tsuzumi-V





こちらは塗りの箸置きKo-Tsuzumiです。




資金の使い道

支援金は以下の目的で活用させていただきます。

・Authentic Japan Shunme: Original Seriesのリターン及び販売用在庫確保のための製作費 約2,645,500円
・リターンに関わる費用(送料・人件費など) 約100,000円
・新作の開発費(打ち合わせ時の交通費なども含みます)約100,000円
・CAMPFIRE掲載手数料・決算手数料・消費税 約654,500円


リターンについて

リターンは以下のようになります。1点ずつ、天然ウコン染布と北米産の高級桐箱で梱包されています。

Tsuzumi Black Tame 参考価格(税込)110,000円
素材:ミズメザクラ、地の粉、漆 *形状、用途の観点から布着せはしておりません。
寸法:杯の直径最大6.5cm、高さ10cm
仕様:胴は黒(呂色)、杯は片方が黒朱合の溜塗り、もう一方が朱(艶)

Tsuzumiは、気分や場面に合わせて使い分けることのできる両面使いの馬上杯ですが、珍味入れやオブジェとしてもお使いいただけます。


*上の Tsuzumi の動画は最初の8秒が Black Tame、その後は蒔絵(打ち出の小槌と鶴)入りの Black Tame です。



Tsuzumi Red Tame 参考価格(税込)110,000円 
素材:ミズメザクラ、地の粉、漆 *形状、用途の観点から布着せはしておりません。
寸法:杯の直径最大6.5cm、高さ10cm
仕様:胴は黒(呂色)、杯は片方が朱合の溜塗り、もう一方が朱(艶)



Tsuzumi Black Tame 蒔絵入り(黒朱合側:打ち出の小槌、椿、軍配のいずれか、朱側:鶴、亀のいずれか)参考価格(税込)110,000円 
素材:ミズメザクラ、地の粉、漆、金粉 *形状、用途の観点から布着せはしておりません。
寸法:杯の直径最大6.5cm、高さ10cm
仕様:胴は黒(呂色)、杯は片方が黒朱合の溜塗り、もう一方が朱(艶)


Tsuzumi Red Tame 蒔絵入り(朱合側:打ち出の小槌、椿、軍配のいずれか、朱側:鶴、亀のいずれか)参考価格(税込)110,000円 
素材:ミズメザクラ、地の粉、漆、金粉 *形状、用途の観点から布着せはしておりません。
寸法:杯の直径最大6.5cm、高さ10cm
仕様:胴は黒(呂色)、杯は片方が朱合の溜塗り、もう一方が朱(艶)


朱側 鶴
*フラッシュの関係で色味が明るく出ておりますが、実際は「朱側 亀」の写真に近くなります。

朱側 亀

Miyabi Black Tame 参考価格(税込)36,300円
素材:ミズメザクラ、地の粉、布地、漆
寸法:直径最大12cm、高さ7cm
仕様:胴は黒(艶)、見込みは黒朱合の溜塗り

全面艶仕上げですが、艶消しのスクリーンの上で撮影しているため、
艶消しが反射した状態となっています。


 



Miyabi Red Tame 参考価格(税込)36,300円
素材:ミズメザクラ、地の粉、布地、漆
寸法:直径最大12cm、高さ7cm
仕様:胴は黒(艶)、見込みは朱合の溜塗り

全面艶仕上げですが、艶消しのスクリーンの上で撮影しているため、
艶消しが反射した状態となっています。

 

Miyabi Black Tame 蒔絵入り(打ち出の小槌、椿、軍配のいずれか)参考価格(税込)70,400円
素材:ミズメザクラ、地の粉、布地、漆、金粉
寸法:直径最大12cm、高さ7cm
仕様:胴は黒(艶)、見込みは黒朱合の溜塗り


Miyabi Red Tame 蒔絵入り(打ち出の小槌、椿、軍配のいずれか)参考価格(税込)70,400円
素材:ミズメザクラ、地の粉、布地、漆、金粉
寸法:直径最大12cm、高さ7cm
仕様:胴は黒(艶)、見込みは朱合の溜塗り

Ofukuwake Black Tame 参考価格(税込)69,300円
素材:ケヤキ、地の粉、布地、漆
寸法:直径最大21cm、高さ3cm
仕様:高台側は黒(艶)、見込みは黒朱合の溜塗り

*Ofukuwakeの動画は前半が Black Tame、最後の約10秒は Red Tame です。

Ofukuwake Red Tame 参考価格(税込)69,300円
素材:ケヤキ、地の粉、布地、漆
寸法:直径最大21cm、高さ3cm
仕様:高台側は黒(艶)、見込みは朱合の溜塗り


Ofukuwake Black Tame 蒔絵入り(打ち出の小槌、椿、軍配のいずれか)参考価格(税込)132,000円
素材:ケヤキ、地の粉、布地、漆、金粉
寸法:直径最大21cm、高さ3cm
仕様:高台側は黒(艶)、見込みは黒朱合の溜塗り



Ofukuwake Red Tame 蒔絵入り(打ち出の小槌、椿、軍配のいずれか)参考価格(税込)132,000円
素材:ケヤキ、地の粉、布地、漆、金粉
寸法:直径最大21cm、高さ3cm
仕様:高台側は黒(艶)、見込みは朱合の溜塗り






 全て職人による手作業であるだけでなく、全ての工程において高度な技術が必要であるため、一度に大量に生産することができません。そのため、ご支援いただいた皆様へのリターンのお届けに関しましても、ある程度の数量ごとに段階的に進めさせていただくことになります。
 また、漆の性質上、色味の個体差は避けられませんことをご理解くださいますよう、お願い申し上げます。
*Tsuzumiの朱側につきましては、実物は漆を生かした色味になりますため、「朱側 鶴」は写真のものよりも色味が暗くなります。年数をかけて少しずつ明るく変化していきますが、写真の色味とは異なります。

実施スケジュール

2022年9月 木地挽きの発注(通常、発注後の木地挽き用木材の準備だけでも半年から1年を要します。)→ 完了
2022年9月以降 次年度の全国伝統的工芸品公募展に向けて新作の開発を開始し、その後、サンプル制作と公募用作品製作(時期の確定が難しいため、このような表記にさせていただきます。)
2023年9月 髹漆の発注(下地を含む)*作業状況によって髹漆に入る時期に数ヶ月の誤差が生じる可能性がありますことをご了承ください。
2023年10月 全国伝統的工芸品公募展への応募
2024年6月以降、順次リターンのお届け *蒔絵入りのリターンに関しましては蒔絵なしのものより1〜2ヶ月程度遅くなります。


最後に


 これまでの人生とは全く違う世界に足を踏み入れました。漆器のプロデュースを通して改めて自分の人生を見つめ直すと同時に、手探り状態ではあっても、可能性を信じて精一杯努力したいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

<募集方式について>
 本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合もリターンをお届けします。

このプロジェクトの問題報告はこちらよりお問い合わせください