学校以外の育ちの場ドリーム・フィールド

2003年、僕(大山)はそれまで20年間勤めた高校教員の職を辞してNPOを立ち上げ、
翌2004年4月、フリースクールドリーム・フィールドを立ち上げました。

長年、たくさんの子どもたちと接してきて、
学校は「すべての子どもたちにとって理想的な場」というわけではないと実感し、
不登校生や発達障がいの特徴を持った子どもたちが伸び伸びと育つことのできる
学校以外の育ちの場が必要だと考えたためです。

40代に入ったばかりの年令で
安定した仕事を捨ててフリースクールを立ち上げたのは、
それを必要としている子どもたちがいるはずだという確信を持っていたためでした。

そして開校当初7人から始めたスクール生は一年間で20人以上に増えました。

(ドリーム・フィールドのクリスマス会)

そんな中で一番悩んでいたのは、いかに保護者の経済的負担を減らすかです。
不登校だから保護者に負担がかかってしまうというのは
どう考えても理不尽な話です。

文科省など教育の管轄からフリースクールへの財政的支援はほとんどありません。

そこで、当時の浜松市役所障害福祉課長さんから提案していただいたのは、
「福祉事業所」として、厚労省など福祉の側面から支援していただくことです。

フリースクールを「児童デイサービス」(現在呼称は「放課後等デイサービス」)として
福祉サービスの枠組みで利用できるようになれば、
保護者の経済的負担も、月々0円~5,000円で済むとのこと。

そしてその際に
「18歳を超え児童福祉サービスを使えない年齢になったらどうしよう?」
という問題に対して課長さんと相談して出した答えは
「就労系の福祉サービスをつくる」というものでした。

それが最初につくった就労継続支援事業所「雑貨カフェいもねこ」でした。

(雑貨カフェいもねこ)


やさしい社会を願う場所いもねこ

不登校の子どもたち、発達障がいを持った子どもたちの多くは
とても繊細な心を持っています。

そのため、成長して働くことができるようになっても、
ちょっとしたきっかけで傷ついてしまったり自信を失ってしまったりして
就労への気持ちが萎えてしまったり、再び引きこもってしまうことにもなりかねません。
そうならないためにお店を優しく温かな雰囲気にしたい。

そこで、女性や子どもたちを中心とした心の優しいお客さんに来てもらえるように、
キーワードを「お芋」と「猫ちゃん」としたのです。

「お芋」は女性や子どもたちが大好きなもの。
そして「猫ちゃん」は、
スクールで子どもたちと一緒に暮らしていた猫ちゃんが
傷ついた子どもたちの心を癒してくれてきた姿を毎日見ながら、
猫ちゃんが優しい気持ちをシェアしてくれる存在だと感じたからです。

お店の名前はそのまま「いもねこ」としました。
ちょっと間の抜けた響きで、”いかつい”おっちゃんは
「いもねこ行こうぜ!」なんて言わないでしょう 笑 

優しくのんびりとした雰囲気をつくれると思ったからです。

(スクールのみんなを支えてくれた”トムリン”)


いもねこの想い① 労働対価もバリアフリーに 

当初いもねこは、就労継続支援A型事業所「雑貨カフェいもねこ」として始めました。

ドリーム・フィールドで育った子ばかりではなく、
自分の居場所を求める人や生きることにつまずき立ち上がろうとしている人が
少しずつ集まってきました。

「就労継続支援A型」というのは利用者と雇用契約を結び、
一般就労をめざして支援するものです。

そのため、福祉制度上では
「最低賃金以上で雇用」「平均労働時間4時間以上を目標に」という縛りがあります。
そのため事業所によっては、利用者に規定通り働かせようと
プレッシャーをかけて過ぎてしまうケースも少なくありません。

しかしいもねこでは最低賃金以上をお支払いしながらも、利用者のペースを最優先し、
決して無理をしないよう配慮しています。

そして仕事だけでなく、
仕事前後のスタッフとのお話を通してさまざまな悩みを聞いたり、
家庭や生活のサポートなども丁寧に行っています。
日々の生活の中での「喜び」を大切に考えています。

しかし「雑貨カフェいもねこ」はどうしても接客や調理が仕事の中心となってしまいます。

そのため、人と接することが苦手な子たちの特徴や得意不得意を生かして
クッキーやスイーツの製造や包装などのお仕事ができるように、
2014年に就労継続支援B型事業所「工房いもねこ」を設立しました。

就労継続支援B型はA型とは違って
雇用関係を結ばず最低賃金もなく、
「賃金」ではなく「工賃」を支払う福祉サービスです。
従来型の「作業所」のようなものです。

確かに仕事に関する負荷が少なく、のんびりと働けるという点では
A型よりも安心して働けるとは思います。

しかし、障害があるからといって100円や200円などといった
安価な労働対価を渡すのにはとても抵抗がありました。

「私は能力が低いから賃金が低い。」などという
間違ったコンプレックスを与えたくなかったからです。

しかも彼らが生きづらさを感じるのは本人の問題ではなく
社会全体、ひいては私たち一人ひとりの責任でもあり、
だからこそ彼らを含め、生きづらさを感じている人を支えるのは
私たちにとって当然の務めだと思うからです。

そのため私たちいもねこでは、B型でも時給は最低賃金以上支払ってきました。
「障がいのあるないを理由に労働対価に差をつけることはしない」
そう心がけてきたからです。

(雑貨カフェいもねこで)

いもねこの想い② こころの中もバリアフリーに

もう一つ心がけてきたことがあります。
それは、「”福祉事業所らしく”しないこと」です。

私たちはとかく「障がい」と「健常」というように人を峻別しがちです。
しかし本来、私たちはみんな障がい者です。
つまり個性、特徴、発達障がいの特性というものが誰の中にも多かれ少なかれあります。

しかし私たちはしばしば
「あの人たちは障がい者」「私は健常者」というように峻別してしまいがちです。

本当は誰もが生きる上でつまづくことがあり、
そんな時に互いに支え合うことが必要なだけなのに
「あの人は障がい者だから助けてあげる」
「あの人は健常者なのだから自分で何とかすべきだ」などと峻別して考えてしまい、
人を支えるということを「”かわいそうな人たち”に手を差しのべる」「特別なこと」
というイメージで考えがちなのです。

でも真の意味で「バリアフリーな社会」とは、相手が誰であろうと
「つまづいたり生きづらさを感じているときに自然と支え合う」
そういう社会だと思います。

ですから逆に「いもねこは福祉事業所だから助けてあげよう」
というイメージで捉えられるのは避けたいと思ったのです。
いもねこは、働くみんなが自信をもって働ける場所にしたいと願っています。

そこで、「福祉事業所」と感じさせないように見た目もかわいらしく工夫しました。
お客様が一般的なお店と思い足を踏み入れると、店内には小さなメッセージが。
「いもねこはバリアフリーな社会をめざす福祉事業所です」
これを見た時、
「あれ?ここは福祉事業所?」
「障がいって何だろう?福祉って何だろう?」
「障がい」「福祉」というものの意味を今一度考えていただいて
誰もが自然と互いに支え合える社会となってゆくことを心から願ってきました。

(いもねこクッキーとホッピー神山さんたち)

いもねこが直面している現実

スクール開校から18年間、いもねこ開店から13年間、
たくさんの方に支えられながらたくさんの子どもたちは成長し、
たくさんの人が癒されて歩みを続けてきました。

ところがここ数年、私たちを取り囲む環境は年々厳しくなってきて
最近では運営そのものが難しくなってきています。

その理由として最大の理由はやはりコロナの影響です。
一昨年来、カフェやいもねこショップへのお客様は激減しました。
コロナが始まった一昨年は持続化給付金で何とか持ちこたえたものの、
昨年、今年と売り上げは下がり続けています。

就労支援事業所いもねこで働きたいと願ってきてくれる人たちは後を絶たず
そういうみんなが働く場所を増やす必要に迫られて
昨年(2021年11月)には浜松市南区に「ちびねこ」を出店しました。

(”ちびねこ”に遊びに来たブルーハーツ梶原さん)

子どもたちが集まれる場所をと考えた駄菓子をメインの一つとしたお店なので、
高い売り上げを見込めるはずはありません。

でもその一方で利用者のみんなはどんどん元気になって
長時間働けるようになっていきます。

スクールで育った子たちも就労支援を利用するようになり、
サポートするスタッフも多く必要になってゆき、当然人件費は膨れ上がっています。

また「就労継続支援A型」には、
「収益で利用者の賃金を賄いなさい」という目標設定があり、
それを満たさない場合は補助金が減らされてしまいます。
利用者のみんなへのサポートを手厚くしても、
売り上げが減れば補助金が減らされることにも繋がり、
相乗的に運営が厳しくなっていってしまうのです。

そしてさらに追い打ちをかけるように物価の高騰。
いもねこでつくっているクッキー、ケーキ、お食事などの原材料や食材は
できる限り添加物を避けているため、どうしても原価率が高くなります。

しかし、円高で物価が上がっているからといって、
粗悪な原材料にしてコストを下げることは避けたい。

原材料の質を維持するならば値上げをせざるを得なくなりますが、
そうすると裕福な方を対象とした高級志向の店になってしまい、
裕福でない方は近寄りがたくなってしまいます。
もちろんお客さんはさらに減るでしょう。
そうなれば働くみんなのモチベーションも下がってしまいます。

こうして考えてゆけば、
利益率を下げてでもお客さんに来てもらえる努力をするしか選択肢はないのです。
いもねこは社会的弱者の側に立ち続けているがゆえに
こうした厳しい現実に直面しています。

(一番人気のちびねこクッキー)

いもねこを安心安全な場所にするために

さらに、工房がこれまでお借りしていた部屋のある建物は
とても古くて福祉施設としての耐震基準を満たしていないことがわかり
移転先を探さなければなりませんでした。

(現在の工房いもねこ)

いろいろな場所が候補にあがりましたが、
10月、いもねこショップがある建物の並びの数区画が空き、
管理者であるマックスバリュと賃貸交渉に入りました。

その結果、
1月から内部の改装工事を始め、2月中には完成。
遅くとも3月にはこの場所で開業できる予定となりました。

ここに移転できた時には、このエリアを”いもねこ”色に染めたいと願っています。

決して大きな建物ではありませんが
いもねこショップの並びにあるので、クッキーやケーキの直売もできます。

これまでの工房の場所とも遠く離れてはいないので、
利用者のみんなにとっても移転のストレスは少なくて済むでしょう。

普段いもねこショップには近所の子どもたちが遊びに来ますが、
子どもたちが優しい気持ちになれるようなエリアにしたいと思います。

いもねこのつくりあげてきたゆるく優しい雰囲気に満ちた
「いもねこタウン」にしてゆきたいのです。

そしてこの場所から、バリアフリーで優しい社会へと変えてゆきたい、
いもねこの想いを少しでも現実のものとしてゆきたいと願っています。

(現在のいもねこショップと工房いもねこ移転予定テナント)

(工房移転後「いもねこタウン」イメージ)

移転・改装費用が必要です。。。

ところが前述の通り、現在いもねこ、ドリーム・フィールドは
存続の危機に立たされています。

かといって、いもねこで働いている利用者のみんな、スタッフ
そしてドリーム・フィールドに通う子どもたちの生活を守るためには
何としても生き残ってゆかなければなりません。

この激しい逆風の中であっても、工房を移転し存続させ、
自分たちが生き残るだけでなく
ここを「いもねこタウン」とし、
優しくバリアフリーな社会をつくってゆくための
大切な場所にしてゆくためには、やはり費用がかかってしまいます。

具体的には

壁面資材 500,000円程度
内装工事費 500,000円程度
配管設備費 400,000円程度
電気工事費 400,000円程度
建具、パーテーション等 400,000円程度
塗装費 200,000円程度
その他、設計費、ガス工事費用等 300,000円程度
引越し費用(大型厨機など)等 300,000円程度

などなど、業者さんにざっくりと見積もっていただいただけで
300万円くらいは必要になります。

今の私たちの財力ではとても難しい金額です。
そこで今回、このクラウドファンディングを通して
皆さんへSOSの声を上げさせていただきました。

そしてせっかくご支援いただけるならば、
みなさんにいもねことドリーム・フィールドの思いや願い、
みんなの誠実な仕事ぶりなどを知っていただきたいと考え、
いもねこ、ドリーム・フィールドならではのリターン品を
とっても豪華にご用意させていただきました。

わずかでもかまいません。
どうか私たちに力を貸していただけませんでしょうか?

(スケジュールは以下の通りです)

2022年
12月下旬 物件契約完了

2023年
1月上旬 障害福祉課等市役所と打ち合わせ
中旬 工事開始

2月上旬 工事完了・移転開始
中旬 障害福祉課、建築行政課、消防署、保健所等審査
下旬 クラウドファンディング終了

3月上旬 工房いもねこ(いもねこタウン)オープン
下旬 リターン発送開始

想いは伝わり繋がってゆくものだと信じたい

コロナが蔓延し、さまざまな飲食店やライブハウス、映画館、音楽関係の皆さんなどが
厳しい状況に追い込まれている中、
私たちはさまざまな形でチャリティや寄付、ご協力をさせていただきました。

経済というものは、貯め込んだり立ち止まったりしたら
必ず小売店や中小企業から破綻してしまうものだからです。

私たち自身も運営が苦しい状況でありながらも経済を回しながら
支え合いながら社会を維持してゆかなければいけないと信じています。

そして今回は、私たちも皆さんに支えていただきながら
これからも周りのみんなを支えてゆきたいと願っています。

どうか皆様のお力をどうかよろしくお願い申し上げます。

【フリースクール ドリーム・フィールド】
(放課後等デイサービス/日中一時支援)    
営業時間:9:00~18:00   
住所:静岡県浜松市東区天龍川町201 
TEL:053-422-5203

【雑貨カフェいもねこ】
(就労継続支援A型事業所)
営業時間:10:00~18:00 無休(年末年始を除く)  
住所:静岡県浜松市南区芳川町320(芳川交番となり) 
TEL:053-570-3877
Twitter:@imoneco  
Instagram:imoneco.cafe

【いもねこショップ】
営業時間:11:00~18:00 無休(年末年始を除く)
住所:静岡県浜松市東区天龍川町1044-1 053-589-3080
TEL:053-589-3080
Twitter:@shopimoneco
Instagram:@imoneco.shop
Facebook:いもねこショップ

【お菓子と絵本 ちびねこ】
営業時間:10:30~18:00 無休(年末年始を除く)
住所:静岡県浜松市南区若林町375 
TEL:090-6223-5203
Twitter:@chibineco375  
Instagram:imoneco.chibi

【工房いもねこ】
(就労継続支援B型事業所)
営業時間:9:00~18:00
住所:静岡県浜松市東区薬師町170 
TEL:053-545-5687


<募集方式、その他>

・本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。
・CDの著作権に関しましては、製作者が所有するものと致します。
・リターン品の成分表示につきましては、以下をご覧ください。


  • 2023/04/04 05:09

    支援してくださった皆さま、先日お伝えさせていただいたように、予定よりも相当遅れてしまっており本当に申し訳ありません!!改めて会計報告はさせていただきますが、現時点での工房移転に関わるざっくりとした収支についてお知らせさせていただきます。【収入】 クラウドファンディング(CAMPFIREからの入...

  • 2023/03/01 14:59

    おかげさまで、昨日、無事クラウドファンディングが終わりました!寄せられた金額は、¥2,486,000。運営サイトへの手数料(¥422,620)と消費税(¥42,262)を差し引いても¥2,021,118さらに直接のご支援¥423,000を加えれば合計 ¥2,444,118もの額になります。あり...

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