活動は美術展あっせん業にみえますが、重要な作業に日欧アートの内外差への対処があります。日本とドイツで美術が多く売れるのは、圧倒的にドイツです。日本だと美術は概して特殊な分野で、高尚さで気後れが生じやすいものです。逆にドイツでは美術は一般化して身近で、つまり現代アートを所有する人が多い傾向です。

それなら日本で売れない作品をドイツへ送って済むかといえば、実は一方が一方を包括する関係とは違うようです。日本で好評の作品と、ドイツで好評の作品は異なります。日本で売れずにいる美術家をドイツで売り込むのは、比較的やりやすい面があります。むしろ日本で売れている美術家を売り込む方が、案外苦労があります。

これはポピュラー音楽と少し似ています。日本と欧米とで、売れる曲が異なります。日本人の心にしみるヒット曲は、欧米でヒットする曲と一致しません。向こうに合わせて作り変えるわけにもいかないから、個別に作戦を用意します。(20180531)

外国の美術ギャラリーを借りるだけでなく、現地にギャラリーを持つ希望がこちらにあります。定例化して、定点観測できるメリットです。ところがネット時代がすすみ、少し流れが変わった感触があります。本業のアートギャラリーとは異なる、副業ギャラリーが各地に増えているようなのです。

NYのニュースにありましたが、レストランやファッションショップなどの空いた壁を使うギャラリーが、少しずつ力をつけています。副業だから運営経費が小さくて済み、低廉に展示できる利点があります。そのタイプを行きつけのホームにしようと考えました。少し前に場所がみつかり、でも利用料金を下げる協業には至りませんでした。

ベルリン市の意外な特徴に、街が若く新陳代謝が速い点があります。ビルテナントの入れ替わりも速く、結果的に展示場所を探し直しする時間が増えます。ジャパン・フェスティバルだけは出展が定例化できていて、定点観測もできます。ただ、場所探しは今も続けています。(20180429)

この活動は「日本がんばれ」の一種ですが、日本の美術家を外国で伸ばすと同時に、外国のよいところを日本へ持ち帰る意識もあります。日本にいると気づかない点はやはりあるからです。

ひとつのキーワードは「アートフェア」です。「美術見本市」の意味です。欧米の美術展覧会は、アートフェア形式が大半です。作品を見て感じて心豊かになるのはオマケで、主目的は買って家に持ち帰る作品選びです。見て済ませず、所有するのです。

日本の美術展覧会は作品売買禁止が多いのに対して、欧米ではほぼ全ての展覧会で作品を売ります。その違いが市場規模の差になり、美術への親近感の差にもなっています。日本の作品をドイツへ送ると、まずは芸術へのリスペクトと親近感で迎えられます。(20180410)