2017/01/19 23:29

こんにちは。ウィメンズアイの栗林です。

 

今日は、私たちがパン・菓子工房ouiプロジェクトを立ち上げる過程で、
欠かすことはできなかった女性を紹介したいと思います。


その女性は、南三陸町の隣にある石巻市でパン工房ficelleを経営する高橋清美さんです。

 

2014年秋、
食のしごと勉強会の企画を担当していた私は、地域の女性たちがどんなことを学
びたいのかヒアリングを行っていました。


「天然酵母のパンが食べたい。」
「カンパーニュが作れるようになりたい。」

パンづくりに興味がある女性たちに出会い、教室を開こうと講師と場所を探していました。

そこに、隣町でパンを焼いている女性がいること、さらに南三陸町出身という情報を聞きつけ、共通の友人を通じて清美さんが石巻で主催されるパン教室にお邪魔したのが出会いでした。

 

それが今からちょうど2年前、2015年1月のことです。

震災後、縁あって石巻ではたらくことになった清美さん。生まれ育った南三陸町
への思いが強く、ウィメンズアイの南三陸町での取り組みに賛同してくれ、パン
教室の講師を快く引き受けて下さいました。


町内にある立派なオーブンがある厨房を一緒に下見し、パン教室の準備を
進めようとした矢先、この場所では教室利用はできないということがわかりました。
やっと講師が見つかったのに... この企画は暗礁に乗り上げます。


受講したい女性と講師がいるにも関わらず、場所がない!!!

 

そこに突然、パンを習いたいという女性から電話が入ります。

「自宅にオーブンがあるから場所を貸してもいいですよ」

「本当ですか?!!!ぜひお願いします」

(今でもはっきりと覚えていますが、電話越しでも嬉しさを隠せなかったこと。)

その家に暮らすご夫妻は、その後私たちが小麦を作るきっかけを下さった、このプロジェクトに欠かせない重要なお二人でもあります。この話はまた後日したいと思います。

 


さて、構想から約半年たった2015年5月ついに!
女性たちが待ち望んでいたパンのスキルアップ教室がスタートしました。

教室を横から眺めている私には、参加している女性たちの純粋に学びたいという意志がその教室を充たしているように見えました。それはとても綺麗な光景でした。


清美さんはその意志に応えようと、長い間苦労して積み重ねてきた技術をほぼ素人であっ
た彼女たちに丁寧に、丁寧に、時に厳しさをもって教えてくれました。

(手にまとわりつく生地、何回も練習を重ねるうちにきれいにまとまるようになりました。)

清美さんが教えてくれたことは、パンをつくる技術だけでなく、食を仕事にする心構え、商いの難しさ、自分が育った町がもつ豊富な食材とパンの可能性、それだけでなく、お昼にはパンの楽しみ方、食し方を紹介してくれました。

 

写真は、初回ランチに特別に用意して下さったパン。そこにいる全員がパン好きということで、テーブルに並んだこのパンに視線が釘付けになりました。これを読んでくれている人の思わず「わぁ~」という声が聞こえてきそうですが、美味しい食には人を幸せにする力があると強く思わせてくれます。私たちはその食を創りだす清美さんの才能に毎回関心させられていました。


でも、清美さんはこのころご自身のお店を開業するという一番大変な時期でもあったのです。そんな忙しい日々の貴重なお休みの日に教室のため南三陸まで通って来てくださいました。そのことを全員が心から感謝しています。工房ouiを今後利用してくれる一部の女性たちは、清美さんから学んだことを活かしながら、自分のパンづくりに挑戦しようとしています。それは決して簡単なことではないけれど、何よりの恩返しになると信じて。

 

パン・菓子工房ouiプロジェクトがスタートするまでに沢山の人と出会い、つながりを太くしてきました。このプロジェクトに欠かせなかった人々を紹介することで、このプロジェクトにあつまっている熱量のようなものをお伝えできたらと思っています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。


WE栗林