2017/12/04 09:43

こんにちは。ちゃぶ台返し女子アクション、共同発起人の鎌田華乃子と申します。現在、ハーバード大学ウェザーヘッドセンター日米関係プログラムで研究員をしています。


アメリカでは1970年代に女性運動などの成果で、大きく性暴力に関する法律が変わりました。しかし、法律だけでなかなか無くならないのが性暴力の難しさです。2011年頃に、大学内での性暴力、いわゆるキャンパスレイプ問題が米国中で明らかになりました。

ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)は学校内でも性暴力の問題が2012年頃に明らかになりました。飲み会の場で女子学生の胸を触ったりという行為だけでなく、あるゲームが普通に行われていました。男子学生が女子学生1人1人に対し「殺すか、セックスするか、結婚するか」とランク付けするゲーム。日常的にこのような事があったのに誰も声を上げず、ある女子学生がスタッフに報告した際、驚きが校内に広がったそうです。(引用元 http://www.harbus.org/2012/sexual-assault-at-hbs-spurs-dialogue-on-student-culture/


アメリカもまだまだ男性優位社会。意思決定者に男性が多数を占める場所で、セクハラに対して声を上げるのは、自己主張が必要なアメリカでさえ容易なことではないのです。それが最近のハリウッド映画プロデューサーによる性暴力を明らかにした#Me tooのムーブメントからもわかります。

私自身も職場での性暴力を経験し、とても傷つき自尊心を失いました。刑法性犯罪のキャンペーンのお陰で自尊心を回復できました。自分が経験したことを他の人に経験してもらいたくなく、ビジネス界に戻っていく学生にどのような性暴力に対する教育が行われているのか関心があり、先日HBSを訪問しました。驚いたのは特に3つの点です。


● 性暴力予防と対応について専門的に学んだスクールカウンセラーがいる

● 学生自治会のリーダー、クラス代表、全生徒に対するトレーニングがある

● 第三者介入トレーニングを全生徒に対して提供し、コミュニティ全員が性暴力を無くす取り組みができるコミュニティアプローチを採用している

私が訪問した日はちょうど学生自治会のリーダー、クラス代表に対するトレーニングが行われ、ハーバード大学のセクシャルハラスメント対応方針やリーダーとして性暴力を目撃、報告された際にどう報告、対処すべきか説明を受けていました。

第三者介入トレーニングというのは危ない状況、例えば「飲みの場でお尻を触っている」、「酔った女性を家に送ると言っている」を目撃した際、どう安全に第三者として介入するか、考えます。また女性蔑視の会話が性暴力を生み出すカルチャーを作るので、「女性は数値的な分析が得意ではない」といった普段の会話も受け流さずにどう介入するかも考えます。また、とても共感したのがパワーについても考える点です。職場ではヒエラルキーとピア・プレッシャー(同僚からの圧力)があります。つまりセクハラを報告することで「あいつが貶めた」みたいになり報告しない。そして上司の行為を報告すると昇進できないかも、と思いしない。それらのパワーの問題をどう考えて、行動するかも話し合います。


学校だけでなく実社会に入っていっても適用できる内容だと思いました。ちゃぶ女でも第三者介入トレーニングを開発しています。ご関心のある方はぜひ御連絡ください。

そして、ぜひクラウドファンディング応援をお願いいたします!

 

▼鎌田華乃子プロフィール

1年間の会社員生活の中で社会問題解決のためには市民社会が重要であることを痛感しハーバード大学ケネディスクールに留学。卒業後ニューヨークの地域組織にて市民参加の様々な形を現場で学んだ後、2013年9月に帰国。コミュニティ・オーガナイジング・ジャパンを2014年に立ち上げ、ワークショップやコーチングで、COの実践を広める活動を全国で行った。

留学を機に日本の女性が妻や母親という役割に縛られ、生きづらさを抱えていることに気づき「ちゃぶ台返し女子アクション」を2015年に立ち上げる。女性が共に声を上げることで、政策を変える力にまで結びつける活動をしている。明治時代から変わっていない刑法性犯罪条項を改正するキャンペーンを実施。2017年6月通常国会にて改正が実現した。

現在はハーバード大学ウェザーヘッド国際関係センター日米プログラム研究員として市民運動の国際比較研究に従事している。