2018/02/02 22:21

こんにちは!本日の活動報告は、ファンクラブ担当のJがお届けします! 

今回は特別インタビュー。テーマはずばり・・・!

「大樹町が宇宙教育の最先端地域になる未来」。
 

ISTの工場を何度も訪れロケットづくりを手伝っている、ある一人の地元の高校生のお話です。

 

中村祐太くんは大樹高校2年生。宇宙やロケットのことが大好きで、夏休みや冬休みなどの長期休暇を活用して、ISTを手伝いにきています。

 

まだ知識もない高校生を、エンジニアが不足している状況の中で、あえて受け入れて作業を教えているIST。それは一見、ISTにとっては面倒なことのようにも思えるのですが、時間をかけてでも中村くんにロケットづくりを教えることには理由がありました。

 

冬休みの4日間を利用してISTを手伝いにきていた中村くんと、指導係のIST社員・堀尾くんのインタビューをお届けします。

 

 

(左:社員の堀尾くん、右:大樹高校2年生の中村祐太くん)

 

【宇宙好きの高校生が、ロケットづくりを手伝いはじめるまで】
 

--- こんにちは!今日はよろしくお願いします。

 

堀尾・中村 よろしくお願いします。

 

--- 中村くんは何年生ですか?

 

中村 大樹高校の2年生です。

 

--- 大樹生まれ、大樹育ち?

 

中村 はい、そうです。

 

--- 宇宙とかロケットのことは、いつごろから好きだったんですか?

 

中村 うーん・・・小学校中学年くらいです。そのときは、流星群が見たいと思って。それで、パソコンとか本で調べ始めて。いろいろ調べていくうちに、興味をもつようになりました。

 

--- じゃあ、大樹町が宇宙の取り組みをしているのがきっかけではなかったんだ?

 

中村 きっかけは流星群でしたけど、大樹町の宇宙に関する教育を通しても、だんだん好きになっていった感じです。

 

堀尾 大樹町主催の見学ツアーとかイベントは積極的にでてるもんね。

 

 

 

--- インターステラテクノロジズ(以下、IST)を手伝うようになったきっかけは、なんだったんですか?

 

中村 高校に入学する前の春休みで、堀江さんの講演会が大樹町であって。そこで堀尾さんと出会って。

 

堀尾 あぁ、あの時がはじめてか。会場でロケットを展示してたんですよね。それで、中村くんが話しかけてくれて。

 

--- そのときは、どんなことを話したの?

 

堀尾 宇宙が好きですっていうこととか、今はどんなことやってるのかとか、どんな部品ですか?っていうのを細かく聞かれて。それで、どんどん聞いてくるので、「興味あるんだったら見に来たら?」って言ったんです。

 

中村 即答で「見に行きます!」って言って、それから2〜3週間後にはじめて工場見学に行きました。

 

---それから何回も来てる感じだ。

 

中村 はい。最初は実験を見学するだけだったんですけど、せっかく来てるならということで、だんだん作業を手伝うようになりました。

 

--- 見てるだけよりも、手伝えるのは楽しい?

 

中村 そうですね。(ロケットに)関われるなら・・・、手伝えるなら手伝いたいなと。

 

 

 

【雑用係ではなく、深い学びの提供への方向転換】
 

--- いまは冬休み期間だよね?

 

中村 はい。今回は4日間お世話になってます。

 

--- この4日間の目標とかはあるの?

 

堀尾 はい、今回は自分の中にテーマをもって、作業を体系的に覚えてほしいなと思っています。これまでのお手伝いは雑用ばかりで。タンクの断熱材を貼るとか、配管の整理してとか。でもそれだと中村くんにとってのメリットってあんまりないんです。お金を払っているわけでもないし。家の雪かきとかとやってることは変わらないというか。

 

--- 言われたことをただやってた感じだ。

 

堀尾 それってすごくもったいないなって。来る以上は、ISTに来たからこそできた勉強があったり、ISTに来たことがない高校生や、他の同級生に自慢できることを持って帰ってもらいたいんです。実際に、中村くんたちの世代って、ロケットや宇宙って言ったときに、調べるものってJAXAとかしかないんですよ。

 

 

 

--- というと?

 

堀尾 学ぶのにちょうどいい教材がないというか。ロケットのことをもっと知りたいと思っても、JAXAやNASAは内容が難しすぎるし、漫画の宇宙兄弟なんかはわかりやすいけど簡単すぎる、みたいな。

 

--- そうなんだ。じゃあ、航空宇宙系の大学とかに行かずして学びたいと思っても、手段がないってこと?

 

堀尾 まぁ、手段はあるんですよ。中村くんみたいに行動力があれば、JAXAを調べて、実際に行ってみるとか。行ってみて質問したら、どんなふうにやっているのかとかわかるじゃないですか。

 

--- 自分から情報を取りに行くっていうことか。

 

堀尾 そういう行動力があれば、大学行かなくてもできるわっていう人もいるかもしれませんよね。ただ、そんな人はすごく少ないと思います。

 

--- ロケットの現場が近くにないと、行くのも難しいしね。そういう意味でも、中村くんは大樹に生まれ育ってラッキーだったのかな?

 

中村 はい、それは本当に思ってます。

 

--- 今回のお手伝い期間では、具体的にどんなことをやったの?

 

中村 今までは言われたことをやっていただけだったんですけど、今回は具体的に学ぶことが多かったです。MOMOに使っている材料を教えてもらって、他の素材とどう違うのかを調べたりして。

 

堀尾 教科書に載っている「こういう技術があります」っていう説明を、実際にロケットの部品を見ながら、「ISTの場合はこれを使ってるんだよ」って教えてる感じですね。教科書で技術のことを読んでもらいつつ、実物を見てもらいながらっていうのは意識してます。

 

--- なるほど。じゃあ、理論と現場をどんどんマッチングさせていくんだ。

 

堀尾 以前お願いした配管の整理とかの作業も、今回はその作業の後に配管の系統図を渡して。あの配管はここだったんだよ、で、この配管がこうタンクにつながって、その先にエンジンがくるんだよって。

 

--- 自分のする作業とロケットの中での役割が見えるということだね。ロケットができるイメージはわいた?

 

中村 はい。断片的な作業だけやるよりも、わかりやすかったです。

 

 

(ISTの実験場で、コードの整理をする中村くん)

  

【大樹町が宇宙教育の先進地になる未来】
 

--- 今回の期間ではすごくお勉強の要素も強いことはわかったんだけど、それってISTとしては手間じゃないですか。それをやる理由ってなんでしょう?

 

堀尾 正直、手間ですね。なぜやるかというと、まず長期的にみたメリットとしては、中村くんのように行動力がある人が、仲間になること自体が価値なんです。

 

--- というと?

 

堀尾 IST内では、「自ら手を動かす人」とかも言いますね。展示会のときなんかに話す若い人の中には、ロケット好きですとか作りたいですっていう人は多いんですけど、実際に何かしていますか?って聞いても、特になにもしてない人が多いんです。

 

--- 具体的な行動は起こしていないと。

 

堀尾 知識はあったり、勉強はしてきてるんですけど、「ロケットやりたいんです!」ってことのために行動してるかっていうと、実はしてなくて。ロケットに興味がある人には、割とみんなに「来てみたら」って言ってるんです。でもだいたいの人は誘っても来ません。だけど中村くんはすぐに来てくれて。僕らが中村くんを何度も受け入れているのは、その行動力を知識よりも何よりも評価しているからです。この行動力があるんだったら、知識も経験も後付けでいくらでもはいりますから。

 

--- 行動できる素質が大事ってことか。中村くんは、他のことに関してもすぐ行動しちゃうタイプ?

 

中村 うーん。・・・宇宙に関しては、頑張って行動してます(笑)。

 

 

 

---短期的なメリットとはなんでしょう?

 

堀尾 中村くんの地元は大樹なわけだし、この先もしどこかに進学しても、帰省のたびに手伝いにはきてくれると思っています。宇宙に興味がある以上は。で、手伝いにきてくれたときに、やっぱり単発で来る大学生よりも、高校生からやってるから経験値が違うじゃないですか。帰省の時限定でも、なかゆう(中村くんのあだ名)に任せるかっていうのは、うちとしても十分戦力になるので。

 

--- なるほど。大樹町の高校生を育成するのはそういうメリットもあるのか。

 

堀尾 今も本当は来られるなら毎週末来てほしいくらいで。土曜日だけ来るバイトとかでもいいんですけど。

 

--- それ、よく考えたらすごいよね。宇宙好きの人は大樹高校に入学したら、週末とか夏休みは手伝えるってことでしょ?そんな場所、他にはないんじゃないかな。

 

堀尾 はい、まさに。実は、僕は京都出身なんですけど、進学先に北海道の室蘭工大を選んだのはそういう理由もあるんです。当時から堀江さんの会社が北海道で実験をやってることは知ってて、東京の大学もいっぱいあるんですけど、北海道に行ったら土日にロケットできそうだなって思ったんです。

 

 

 

--- すごいよね、それでいま入社してるんだもんね。

 

堀尾 はい。でもよく思うのは、実際にその当時から今に至るまでに自分がやったことって、中村くんとやってることは変わらなくて。勇気だして現場に行ってみて、稲川さんと話して。じゃあどんどん来てみたらいいよって言われて。そのうち通うようになって、一緒に遊ぶようになって、手伝うようになって、アルバイトになってっていう過程があったんです。だから、中村くんが将来うちで働くようになるかもしれないことは、ぜんぜん夢じゃないです。

 

--- なるほど。じゃあISTからしたら、有力な人材に対する時間的な投資なんだね。

 

堀尾 そうなんですけど、いまの実情は、大樹高校には(宇宙が好きなのは)中村くん一人しかいないわけで。それってすごくもったいないですよね。

 

 

 

--- まわりの友達はどんな感じなの?宇宙について。

 

中村 友達とかは別に宇宙とか、ロケットとかは・・・町として取り組んでるのは知ってるけど、あまり興味ないというかなんというか。

 

--- じゃあ、あまり友達同士では宇宙とかロケットの話はしないんだ?

 

中村 そうですね。

 

--- 中村くんが先駆け的な存在なんだね。

 

堀尾 今回の中村くんのケースが一つのモデルになったら、次から後輩たちが宇宙やりたいってなるかもしれないですよね。先生とかまわりの人が、「そういえば昔、中村ってやつがいてISTよく行ってたぞ」って。そしたら今度は大学生の中村くんが手伝いにきてて、後輩たちに指示をだしたり。

 

--- 裾野が広がっていくね。

 

堀尾 そのうち自然と大樹高校の中にロケット部ができたりとか、もっとロケットの活動を中学や高校からやろうっていうふうになるかもしれない。そんな環境があったら、誰でもある程度まではできるようになるじゃないですか。ちょっとにわか宇宙ファンの人も、そんな環境ならどんどん好きになっちゃって、大樹から専門家が生まれるかもしれません。

 

--- 実際、ISTもエンジニアの獲得には苦労しているもんね。だって、絶対的に少ないわけじゃない?ロケットの技術者って。今までは国の事業しかなかったから。

 

堀尾 リクルートでは即戦力でほしい人はもちろんいて。それとはまた別に、層が厚くなりますよね。大樹とか北海道でロケットとか宇宙やってた奴らは経験値やばいってなったら、最高ですよね。

 

--- わくわくするよね。宇宙やりたい中学生は、みんな大樹高校に行こう(笑)。ところで、中村くんは進路は決まってるの?

 

中村 いまは室蘭工大に行きたいなと思ってます。

 

 

 

--- この4日間で、進路についての心境の変化とかあった?

 

中村 うーん・・・。最初は「今→室蘭工大→IST」っていう進路のイメージだったんですけど、今はロケットの「推進系」とか「構造系」とかそういう具体的な仕事があって、それと室蘭工大の各研究室でやってることが結びつきました。

 

--- あぁ。宇宙工学を理論的に学ぶ大学の研究室と実務的な仕事が結びついたってことだね。具体的にどんなことを学びたいの?

 

中村 いま思ってるのは、推進系の研究室に行きたいと思っています。

 

--- すばらしい。じゃあ最後に、将来の目標はありますか?

 

中村 将来の目標はISTに入社することです。

 

--- おぉ〜!

 

堀尾 (パチパチパチ)※拍手

 

--- 最短で5年後かな・・・?じゃあ5年後、楽しみにしています!今日はありがとうございました。

 

堀尾・中村 ありがとうございました。

 

 

(大好きなロケットに関われている中村くんの笑顔は、とっても眩しかったです。)

 

——

いかがでしたでしょうか。

大樹町や北海道が、宇宙教育の最先端の地域になる未来。

宇宙が夢じゃない進路になる日は、そう遠くないかもしれませんね!

 

 MOMO2号機のクラウドファンディングも、残り10日をきりました!

たくさんの支援をいただき、本当にありがとうございます!

 

まだまだご支援受け付けております。

みんなの力で、ロケットを宇宙に飛ばしましょう!