2018/05/17 10:33

ご支援いただいたみなさま、本当にありがとうございます。

皆様のご協力、ご支援でフォント制作も順調に進んでいます。

今日は、何を考えてこのフォントを作り始めたか?という、マニアックな内容について書いていきたいと思います。実際の所、いつも結果は説明しても、頭の中のはじまりは説明することはないというか、難しいんです。

なので、理解できないというか…同意できない点もあると思うのですが、とりあえず、ザックリと覚え書きの感じで書いていきたいと思います。

明朝体ってなんだろうね

明朝体は普段一番目にする書体で、フォントの主役のような存在です。つまり「普通」で「水のように」目立たない存在。上記のようなフォントをよく使っていますよね。でも、筆で書いた風に見えて、先人が苦労してデザインしてきた積み重ねの文字なんです。人が筆記用具で書くことが難しい文字で、書き方や形状も独特な文字が多い。書く文字では無く、読むに特化した素晴らしいデザイン文字と言えるんです。なので「明朝体」以外に「教科書体」というものもあって、こちらは筆記用具で書いた感じのデザインになっています。

筆記用具とフォントの話

つまり何が言いたいのか言うと「明朝体」は筆のような文字と思っている人が多いのですがけっこう違って、むしろ教科書体の方が筆っぽいということです。ここで「筆」といいましたが、実は今の人は筆で文字を書くことは少ないですよね。ボールペンや細いペン、鉛筆など均一の太さのものを使っていると思います。なので文部省も教科書のフォントをもっとペンや鉛筆っぽいフォントに変えても良いと思っているんです。例えば「クレー」とかが候補にあがりそうです。そうなると、明朝体を鉛筆で書いたようなフォントはできるのかなと考えちゃいますよね。

鉛筆で明朝体を書いてみた

鉛筆で明朝体のフォントを書いてみました。普通に人が書くように一筆で一気に書く方式なので、かなり難しかったです。本当に難しい。なんでこんなことやったり、書いたりしているかというと、私がなんとなく、自分の作るフォントは、人が手で書いたような感じを取り入れていきたいと思っているからです。なんとなくなので訳が分からないと思いますが。私は過去のフォントの知識を参考にするよりも、今書かれている文字・流行を先生にしたいと思っていて、今まで作っているフォントも、そのような文字が多いんです。この辺は意味の分からない、本能的なこだわりかもしれません。

今求められる太さの明朝体

 

ということで私らしい手書きの要素が残りつつ、今人に求められているテイスト、用途の明朝体を作りたいと思って考え始めました。本文向けか、見出し(ディスプレイ)か悩みましたが、思い切って見出し(ディスプレイ)のフォントにしました。太さはR(レギュラー)かM(ミディアム)か悩みましたが、ちょっと太めの「M」を始めに作りことにしました。実は明朝体の使用例見ると「R」を太らせていることがほとんどで、フォントを作っている側から言わせて貰うと「少し醜い」と思うこともしばしばなんです。本来は「M」や「B(ボールド)」など始めから太い書体を使うべきなのですが、本能的に避けているのではと思っています。つまり「明朝体」の雰囲気は欲しいけど、横線が細くて、縦線がかなり太い雰囲気は好きじゃない。(※Rしか持っていないけど、目立たせたいという理由もあると思いますが)なので、私が作るのは、きっちり「明朝体」だけど、少しぽってりした味の書体。それでいて、今の私の能力で作る事の出来る、1人でも完成させることが可能な書体。向かう方法はこんな感じ。


すご〜く長い文章になってしまいましたが、フォントの作り始めのぼんやりとした、頭の中はこんな感じでした。なにか面白い部分があったら幸いです。Vol.3に続きます。