全米で最も急成長中のスタートアップシーン「ニューヨーク」の真相を探りたい

こんにちは、江原理恵です。皆さんは、シリコンバレーに次ぐスタートアップシーンがニューヨークであることをご存知ですか?

3年前、turntableという音楽サービスとの出会いがありました。機能性よりカルチャーに重点が置かれた斬新なサービス設計に衝撃を受け、誰が作ったのか興味を持ちました。開発していたのは、アーティストでエンジニアという二つの顔を持つ創業者と、クリエイティブな側面とビジネス的な側面を兼ね備えた個性的で魅力的なチームでした。彼らがニューヨークをベースに活動していることを知り、他にもニューヨークを拠点にするスタートアップがたくさんあることを知ったのです。「ニューヨークで何かが起きている!」そう思った私は、ネット上でニューヨークのスタートアップについてリサーチをはじめました。

過去5年でニューヨークのスタートアップに投資された金額は8000億円

ニューヨークを代表するスタートアップには、Foursquare、Kickstarter、Tumblr、Fab、Etsy、Gilt、Meetup、SkillShare、HuffingtonPost、BuzzFeedなどがあり、メディアやファッションといったクリエイティブなプラットフォームが多いのが特徴です。また、投資マネーはシリコンバレーに次ぐ規模でニューヨークのスタートアップに投資が実行されていて、過去5年でニューヨークのスタートアップに投資された金額は8000億円にものぼります。Union Square Venturesというニューヨーク最高峰のVCは、アメリカ全体のVCの中でも上位3位内にランクインし、高いパフォーマンスを出しています。

ウォールストリートが経済の中心だったニューヨークにおけるスタートアップの歴史はまだ浅く、本格的に環境が整ってきたのはリーマンショック後の2009年頃からです。その後、何人かの起業家が会社を売却して投資側にまわったことで、より起業する環境が整いました。私は、今まさに急速に成長しているニューヨークのスタートアップの現場に行って、その理由を探ってみたいと強く思うようになりました。

クラウドファンディングによるニューヨーク・スタートアップ取材への挑戦

それから昨年の10月に、「シリコンバレーに次ぐNYで今最もホットなスタートアップへの1ヶ月単独突撃取材」というプロジェクトに挑戦し、いつか行ってみたいと思っていた初めてのニューヨークで、数多くのスタートアップに取材をさせていただくことができました。

初めてのクラウドファンディングで不安がいっぱいでしたが、想像以上の多くの皆さんからご支援をいただくことができ、ニューヨークで様々な出会いに恵まれ、1人では到底達成できなかったであろう大きな収穫を得て帰国することができました。また、帰国後のリターンの際には、ご支援いただいた皆さんと交流させていただき、多くの方とニューヨークを起点とした繋がりが生まれました。

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ニューヨークで出会ったスタートアップの中心人物たち

ニューヨークには、素晴らしいスタートアップのエコシステムがあり、その環境はますます良くなってきています。起業家、投資家、コミュニティはどれを取っても層が厚く多様性に富んでいて、様々な分野で新しいビジネスが数多くひしめき合っていました。西海岸からも多くの投資家やスタートアップが、ビジネスをスケールさせるために拠点を持ったり、出張で来たりしていました。皆オープンマインドで、人を紹介したり話を聞かせてくれることに積極的で、誰でも参加できる素晴らしいイベントも日々開催されていました。スタートアップの創業者たちは魅力的で、皆大きなビジョンを胸に、文字通りすごいスビードで事業に取り組んでいました。実際にその場に行って、交流することの重要さを改めて実感しました。

一方で、自分が以前からリサーチしていた分野は全体のほんの一部にすぎず、現地で様々な人達と交流する中で、もっと幅広く取材する必要性を感じました。特に、ニューヨークにホームグラウンドがある分野はニューヨークのスタートアップのエコシステムで重要な存在です。金融や不動産、広告、ファッションやヘルスケア関連などのスタートアップが他の地域に比べて多く集まっています。こういった分野への取材と共に、ある程度バランスよく各分野へ取材を実行して、もっと全容を掴んで紹介したいと思うようになりました。

今回のプロジェクトに挑戦するにあたって、ニューヨークのスタートアップに関するスライドをアップデートし、コンシューマー向けのスタートアップだけでなく、各分野の著名スタートアップなどを大幅に追加しました。改めて調べてみると、その数やバリエーションの多さに驚きます。また、投資サイドもそれぞれに特徴があり、その投資方針などもより深く探ってみたいと思っています。

なぜもう一度クラウドファンディングするのか

前回は、初めてのプロジェクトということで、やり方が分からず試行錯誤の連続でした。プロジェクトの投稿も、取材も、宿泊先探しも、ニューヨークという場所も、帰国してからの取材報告も、全て自分にとって初めての体験でした。特に取材は、行ったことのない場所でインターネット上でしか知らない人達に対して行うということで、日々手探りでした。ニューヨークのスタートアップ業界にはほとんど日本人がいないので、現地の様々な人に助けてもらいながら進めました。

実際にやってみて分かったのは、形式的に取材をお願いするより、いろんな人に会って相手ときちんと対話し、深くその人を知っていくことが最も重要だと思いました。インタビューを行うより、特定の話題について議論したり、一緒に仕事したり遊びに行ったりすることで、文化や思想がより理解できるのだと分かりました。

クラウドファンディングによるジャーナリズムのプロジェクトは一度限りのプロジェクトではなく、継続的なものにしていく必要があると思います。今年の2月に再度渡米した際、一度目の時と情景が変わって見えました。実際スピードの早いスタートアップ業界ではトレンドや主要プレーヤーもどんどん変化します。また、このクラウドファンディングで実行する取材にかかる全てのプロセスを、どうやったらもっと良くできるかについても模索したいと感じるようになりました。今後私のように、どこかに強い情熱を持って取材に向かう日本の人達はもっともっと増えてくると思います。貴重な機会をさせてもらった私は、そういう人たちに自分の体験を伝えて、挑戦する人達の少しでも役に立てたらと思っています。

インサイダーとして挑む”突撃”ではなく”潜入” 取材への挑戦

今回のプロジェクトでは、現在まだ日本で紹介されていない、ニューヨークをホームグラウンドとする主要スタートアップと、そのスタートアップを支えるインキュベーターやVC、コミュニティなどをできるだけ訪問し、その全容と今後伸びそうな分野や注目のスタートアップを探り、幅広くご紹介します。

前回のプロジェクトとの違いは、私自身が3ヶ月間ニューヨークで注目されているファッション系のスタートアップで実際インターンシップ(無給)しながら、具体的にどのようにスタートアップがサービスの設計と育成に取り組んでいるのか、積極的に様々な役割やイベントに参加しながら仕事を通じて取材活動を行うところにあります。

自らスタートアップに参加し、スタートアップの開発環境で必要なこと、マーケティングのトレンド、採用方法など、アメリカでビジネスをする上で必要なことを学び、様々な場でより多くの人と接点を持ちながら、より深くニューヨークスタートアップのコミュニティと繋がりを作ることを目標としています。

前回のプロジェクトについては、日経ビジネスオンラインで概要を連載しておりますので、取材がどのようなものだったか知りたい方はぜひ参考にしてください。

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http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20131217/257181/

今回の取材では、具体的に以下のようなトピックについての詳しいリサーチを目指しています。

・ニューヨークのスタートアップエコシステムの全体像とキーパーソン
・特にニューヨークに多いスタートアップ分野と今急成長しているスタートアップ
・ユーザーテスト、ネットリサーチ、解析ツール、マーケティングなどプロダクトの開発環境
・採用、マネジメント、勤務形態、オフィス、福利厚生などのカンパニーカルチャー
・VCやインキュベーター、コワーキングスペースなど、サポートサイドの特徴と分類
・参加すべき活発なコミュニティやイベントなどの発掘
・オピニオンリーダー、インフルエンサーなど、SNSでフォロースすべき人と情報収集法

ニューヨークと日本をつなぎたい

今回CAMPFIREにプロジェクトを出してご支援をお願いしたいと考えたのは、より広く深く最新のニューヨークのスタートアップ事情について紹介し、もっと多くの人とニューヨークをつないでいくきっかけを作りたいと思ったからです。また、同じテーマで前回を大きく上回るプロジェクトのアウトプットを出したいと思っています。

この取材は、7月30日前後から3ヶ月かけて単独で実行します。このプロジェクトを支援していただいた皆さまには、渡航中の現地での活動をCAMPFIREの「活動報告」という項目の中で、随時報告させていただきます。

皆さまから、ご支援いただいたお金は、自費でカバーしきれない渡航費、及び滞在費の一部及びとリターンの制作費に使わせていただきます。

リターンについて

・NY完全取材レポート
NYでの取材内容に補足資料やデータを加えて、NYのスタートアップエコシステムの全容と最新のトレンドなどをまとめた完全取材レポートを制作します。(2014年11月末までにデータのダウンロードリンクをお知らせ予定。)

・帰国後の報告会
NYから帰国後、写真と共に取材内容を振り返る報告会を開催します。(2014年12月〜2015年2月末までの間に開催。100名以下で渋谷、または六本木のスタートアップの会議スペースを借りて開催を予定。)

・帰国直後の先行報告会
NYから帰国後、写真と共に取材内容を振り返る報告会を開催します。帰国直後の小規模先行取材報告会にご招待します。(帰国直後の2014年11月中。50名以下で渋谷、または六本木のスタートアップの会議スペースを借りて開催を予定。)

・コーヒーミーティング
個別にお会いして1時間半以内でご質問にお応えします。(2014年12月〜2015年2月末までの間に実行。日時予約制。都内渋谷近郊の指定場所で開催予定。)

・講演会
ご希望の場所に訪問してご希望の取材内容にフォーカスした講演を行います。参加していただく方は何名でも構いません。(2014年12月〜2015年2月末までの間に実行。詳細な日時についてはメッセージでやり取りの上決定。東京都23区外の場合は交通費をご負担いただければどこでも伺います。)

さいごにみなさんへ

昨年の10月にニューヨークに行った後、いただいたご縁や活動を無駄にしないためにも、時間を見つけて自分でやれることを続けてきました。プロジェクトを実行してから、ニューヨークで行くべき場所を聞かれたり、クラウドファンディングを使ってジャーナリズムに挑戦したいという人から相談を受けたり、日本に来る起業家たちをホストしたりと、自分の日常はすっかり変化しました。日本からもアメリカからもこの活動を応援してくださる人ができました。改めてこの場を借りて、お礼を言わせてください。今回のプロジェクトで、よりニューヨークのスタートアップについて深く知っていただけると思いますし、皆さんも一緒に楽しんでいただければと思います。

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ソーシャルメディアを通じて知り合い、ニューヨークスタートアップについて学ばせてもらったRRE VenturesのSteve Schlafmanと念願の対面

プロフィール

江原理恵(えはら・りえ)
ボタニカルデザイナー。1977年生まれ。広島県出身。証券会社、ベンチャーキャピタルを経て、花のデザインとギフト通販を行うREを2005年に設立。数年前からインキュベーターであるインスプラウトやサルガッソーの支援先などを通じてネットベンチャーに関わるようになり、現在はspice life、dividualにてサービスの開発支援も行っている。

日経ビジネスオンライン連載
http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20131217/257181/
ブログ http://corp.reflower.jp/rieview/

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