■なぜ防災対策をしないのだろうか

「ピンと来ないんでしょうね」。非常食の定期宅配サービスyamory ( http://yamory.com/ )のユーザインタビューでの一幕です。彼は非常食の定期宅配サービスのことを知ってから、3時間で購入を決めたといいます。家族や親戚にも何度も薦めたが、いまいちピンとこないのだそうです。「色々考えて良いサービスだなと思ったが、そこまで考える人があまりいないのかもしれない」

はじめまして。非常食の定期宅配サービスyamory代表の古川由己(twitter:https://ja.twitter.com/frkwyk)です。2011年5月に宮城でボランティアをした経験を元に、2012年2月から、非常食の定期宅配サービスをはじめました。(詳しくは:http://camp-fire.jp/projects/view/161

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これから発生が危惧されている首都直下地震にしろ、東南海地震にしろ、大都市で、しかも広い地域で起きることが想定されます。被災人口が多い、自給自足的な生活をしている人は殆どいない、物流拠点が被災する、スーパーやコンビニにはほとんど在庫はない。。。物流の混乱が東日本大震災の時よりもひどくなるのはほとんど確定的といっても良いのです。

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(東日本大震災後、陳列商品がなくなった都内のスーパー)

それでも防災対策はなかなか進みません。耐震工事は高価で、非常食の備蓄は面倒、だからなかなかできない、というのは想定していました。非常食の定期宅配サービスは比較的安価でしかも定期点検なども不要にしており、それで非常食の備蓄という課題は解決できると思っていました。しかしそれでもそもそも「ピンと来ない」人のほうが多い。これには困りました。


■家具の固定も要らない防災対策万全の家

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非常食の定期宅配サービスyamoryのユーザの中には、かなり徹底した防災対策をされている方もいらっしゃいました。ある人の家にはなんと棚などの家具はなく、全部収納機能は備え付けなのだそうです。収納機能が家の構造に組み込まれていればそもそも家具の固定さえ必要ありません。

なぜそのような設計にしたのか。それは、彼には阪神淡路大震災の際に2日後から現地入りして復興支援をした経験があったからでした。生々しい光景を見て、街が焦げている臭いもかいで、現地の人の話を聞いたので、家の設計をするときはきちんとした防災対策をしておこうと思ったのだそうです。

震災を、リアリティを持って考えられている、というのが大きいのでしょう。


■着想・プロジェクト立ち上げ

具体的に災害が起きるとどうなるか、自分でイメージできるような仕掛けを作れば実際の行動に少しでも結びつけてもらえるのではないだろうか。それがこの企画のはじまりです。

どのような仕掛けでも、実際にやってもらわなければ意味がなく、実際にやってもらえるようにするためには、手軽であることが必要です。まずは既存の防災ゲームを幾つか調べてみました。良い物があればそれを普及させればよいだけですから。

しかし、満足の行くものは見つかりませんでした。大雑把に言ってクイズ形式のものが多く、非常に想定が固定的と言わざるを得ません。実際にどのような状況になるかを自分の頭で考えることを促すものではないのです。

次に自分の好きなアナログゲームの中から使えそうなものはないか色々探してみました。(アナログゲーム超楽しいのでオススメです。ごきぶりポーカー、カタン、パンデミック、人狼、などなど。。。)そうした中で見つけたのが、お伽話をみんなで作っていくFabulaというゲームです。この形式を参考にすることで、災害が起きた時の状況を自ら考える、ということが可能になりました。

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(目黒研究室ウェブサイトhttp://risk-mg.iis.u-tokyo.ac.jp/meguromaki/meguromaki.htmlより)

そうしていくつかルールを考える中で、東京大学の防災系研究室である目黒研究室で開発された目黒巻というツールを発見しました。目黒巻とは、「災害時の状況を自分自身の問題としてイメージするトレーニングツール」です。目黒巻を開発した時の(元)学生の方や、現在目黒巻をテーマに研究をされている方にもお話をきけました。

目黒巻に取り組むことで、防災対策のために何をしなければならないかが見えてくるということはよくあることだが、取り組む事自体が結構手間なのが課題なのだそうです。ゲーム形式であれば、目黒巻と同様の効果が、より手軽に得られるのではないかと考えられます。


失敗学で著名な畑村洋太郎さんが、東日本大震災後に多くの取材を重ねた上で出版した『「想定外」を想定せよ』という本があります。そこには、「マニュアルがあると、それに従っている人は考えなくなってしまうということが起こる」とあります。マニュアルの内容を知っていますか、というクイズをやっていても、想定外には対処できないのです。「マニュアルにのっとった「どうやればいいか」だけでなく、自分の頭で「どうしてか」をも理解し、全体像を把握できるようになる。そうすれば、想定外の事態が起きた時にも、全体を見ながら、どうすればよいか、何が必要かを的確に理解し実現することができます」。これがまさにこのゲームで実現したいことです。


■現状

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card
(プロトタイプの一部。東南海地震の画像は静岡市のホームページhttp://www.city.shizuoka.jp/deps/bosai/words_45to.htmlより)

ルールと、カードの種類は9割方出来上がりました。
あとは、カードの種類の精査と、イラストの作成、および解説書の作成が出来れば、印刷して皆様にお届けすることができます。


■ルール説明

プレイ人数:1人~6人程度
対象年齢:中学生以上
プレイ時間:10分程度から(調整可)

1. 主人公プレイヤーと進行役プレイヤーを決めます。それ以外は観客となりストーリーに不自然な所(大地震発生中に普通に歩いて逃げている、大災害直後に普通に電話できている、など)がないかチェックします。1人の時は自分で兼任して下さい。

2. 進行役は「状況カード」のうち、「いつ」「どこで」「誰が」カードをめくり、シチュエーションを決めます。(カードの組合せだけでこの時点で1000以上の想定が実現されます)

3. 主人公プレイヤーは、その状況でどのようなことをしているのかのストーリーをつくり発表します(「夏」の「午後」、「カフェ」に「自分」がいる、というシチュエーションの場合、「外回りで営業を終えて新宿駅のスタバでアイスコーヒーを飲みながら資料をまとめている」など)

4. 進行役は「災害」カードをめくり、参考資料を見ながらどんな災害が起きるのか説明します。(「首都直下型地震」の場合、「都内では震度7の地震が起きます。直下型なので、いきなりど~んと突き上げるような揺れです。耐震性の低い建物は崩壊し、高い建物でもヒビが入るものもあります。揺れがひどく、這いつくばるのが精一杯です。」など)

5. 主人公プレイヤーは「どうなりそうか」(スタバの窓ガラスが割れそうだ。コーヒーはこぼしてしまうだろう、など)「自分はどうするか」(とりあえず這いつくばって頭を手で覆う。できれば机の下に潜りたい、など)を説明する。主人公プレイヤーは基本的に自分がいつも持ち歩いているものなどを前提にストーリーを作らなければならない。例えば、iPhoneの外付け充電池を持っていないのに、それがあるというストーリーを作ってはならないし、非常食がないのにあるかのうようなストーリーを作ってはならない。

6. 進行役、観客は適宜主人公プレイヤーの行動にコメントをする。

7. 進行役は災害発生から1時間後の様子を、参考資料を見つつ想像しながら説明する

8. 主人公プレイヤーはそれをうけて「どうなりそうか」「どうするか」を説明する

9. なんとか日常生活に戻れるところまでストーリーができたら上がり(あがるまで、上記のやり取りを半日後、1日後、3日後、1週間後、1か月後。。。と続ける)

特別ルール(通称「三枚の御札」ルール):主人公プレイヤーは3回まで、防災対策などができていないのにできていると仮定してストーリーを作って良い(家具の固定できていないが、できていたとする、など)。ただし、あとで実際にそれをやって置かなければならない。


■必要経費など

集まった資金は、以下の用途に使わせて頂きます。

●イラスト(カード、ケース等)外注  180,000-
●カード等印刷 150,000-
●ルールブック等資料編集(資料代、人件費等) 100,000-
●広告・宣伝費(サイト・ビラ作成、印刷など) 120,000-
●その他ゲームの制作に必要な諸経費 50,000-
上記合計 600,000-


■リターンについて

patron

¥500
お礼メール、パトロンバナー

stickers

¥3,000
お礼メール、パトロンバナーに加え、yamoryステッカー付きお礼状

ゲームセットの内容は、被災状況を設定するカード40枚程度とルールブック、および、設定された被災状況ごとに想定される被害などを記載した資料集が含まれます。

¥6,000
お礼メール、パトロンバナー、yamoryステッカー付きお礼状に加え、ゲーム1セット

¥12,000
お礼メール、パトロンバナー、yamoryステッカー付きお礼状に加え、ゲーム2セット

¥30,000
お礼メール、パトロンバナー、yamoryステッカー付きお礼状に加え、ゲーム5セット

¥100,000
お礼メール、パトロンバナー、yamoryステッカー付きお礼、ゲーム5セットに加え、災害シミュレーションゲームの半日ファシリテーション(国内限定。日程など要調整。交通費別途)(東京大学i.school KOMABAやiSB公共未来塾等でファシリテーション経験あり)

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