高橋です。『Cu-Bop』日本公開に向けて猪突猛進するなか、ジャズミュージシャンの菊地成孔さんに映画を観ていただき、実に感動的なメッセージをいただきました!
菊地さんには映画パンフレット掲載用に、作品への評論文をお願いしていました。が、原稿を依頼した僕自身、少々不安があったのも事実です。よく知られている通り、ジャズサックス奏者であり、また文筆家でもある菊地さんは、映画の『質』が悪ければ容赦なく厳しい批評を執筆する方です。
菊地さんに原稿を依頼するということは、ときに手加減の無い批評をもらっても、それを受け入れるとハラをくくらなければならない。僕は菊地さんへ「思ったことを存分に執筆していただいて結構です。もし僕の映画に批判があるようでしたら、そこを指摘してください」と申し添えて批評文を依頼しました。
それから2週間…一昨日の真夜中に菊地さんから映画への批評文が送られてきました。「存分に批評して」とは言ったものの、根はハートの弱い僕はやはり不安になりました。メールに添付されたワードテキストをビクビクしながら開くと、大書きされたリード文が出て来て、そこにはこう書かれていました。
「‘ブエナビスタ’以降のキューバを、ジャズというアザーサイドから捉えた音楽ドキュメンタリーの傑作」
と。このリード文を読んで、僕の心はカンカンと早鐘が鳴り出し、あとはむさぼるように全文を一気に読みました。本当に、感動的な素晴らしい批評でした。以下、少し引用させていただきます。
作中登場する演奏シーンは、プロアマ問わず全てが感動的で、実質上の主人公である、対照的な2人の天才肌のそれは言うまでもないが、白眉は、現在のブエナビスタソシアルクラブのピアニストであり、モントルー・ジャズフェスティヴァルのピアノソロ・コンペティションで優勝経験のある若手ピアニストによる「ムーンリヴァー」で、その素晴らしさは映画史に残るだろう。
「映画史に残る」この一文を読んだとき、僕は真夜中の自室でパソコンを眺めながら一人泣きました。
あの菊地成孔さんが、僕の映画を「傑作」と評し、「映画史に残る」名場面があると指摘してくれた…。ロサンゼルスの映画祭でも、プログラムディレクターから「映画史が記録した最高のジャズシーン」と言われ男泣きに泣いたのですが、今度は、日本でもっとも先鋭的なジャズをクリエイトするアーティストから、最大限の賛辞をいただきました。
忙しいスケジュールを縫って、『Cu-Bop』と真摯に対峙してくれた菊地さんには感謝の気持ちで一杯です。菊地さんの『Cu-Bop』批評文は、後ほどこのBlog等で、全文掲載させていただきます!ご期待ください。