2020/07/18 13:25

こんにちは。デメテルハーブティー代表の西口三千恵です。今日は、今回の予約販売のメイン、6種類のブレンドハーブティーのティーバッグタイプが生まれたエピソードについてご紹介します。

2015年にデメテルハーブティーを創業して以来、実はつい最近までティーバッグタイプはなく、茶葉タイプのみで販売をしていました。理由はふたつあります。ひとつは、茶葉タイプのほうがお茶の味をより良く出せるという思いから。もうひとつは、カンボジアでティーバッグ素材が手に入らなかった事です。

茶葉タイプのハーブティーティーバッグ素材に限らず、カンボジアは製造業がまだまだ未発達で、多くのものが輸入に頼っています。創業当時は、今ほど資材の探し方も分かっておらず、試行錯誤を繰り返していました。首都プノンペンからバスで7時間かけて隣国ベトナムのホーチミン市まで行き、「これがティーバッグにも使える不織布だ」と紹介された巨大な不織布1巻を、バスに乗せて持ち帰ってきたものの、どうやってもお湯に沈まず、プカプカと浮かぶだけのティーバッグしか作れなかった事もありました。いまだにこの不織布1巻、事務所の片隅で鎮座しています。

お客さまからは度々、「ティーバッグタイプがあれば、職場でも飲めるのに」といったコメントを頂き、3年目くらいにもう一度ティーバッグの試作にチャレンジしました。この時は別の素材が手に入り、ちゃんとお湯に沈むティーバッグにはなったのですが、お茶の味がまったくいまひとつで、納得できませんでした。ティーバッグに対する需要の声は年を追うごとに高くなり、とりあえずレモングラスやハイビスカスなど、ベーシックなハーブのシングルハーブティーのみ、ティーバッグの形で売り出し始めました。

この頃になると私の中で、「ブレンドハーブティーはティーバッグでは味がうまく出ないから無理」という固定観念が出来上がってきました。「ブレンドハーブティーもティーバッグタイプも作ればいいのに」と言われるたびに、「味がうまく出ないんですよ」とお返事していました。

そんな時に、新製品の高級ギフト「Blue Butterfly」のプロジェクトが始まり、これまでとは違うタイプのティーバッグ素材が入手可能になりました。それでも私はまだ、「ブレンドハーブティーはティーバッグに向かない」という固定観念が拭い去れず、試してみる事すらしていませんでした。

ティーバッグタイプのブレンドハーブティーに再チャレンジするきっかけとなった「Blue Butterfly」そんな時、短い期間に続けて3人の人から「ブレンドハーブティーのティーバッグタイプを作ってほしい」というコメントを頂きました。こんなに短期間に同じ事を言われるという事は、やってみたほうが良いのかな?と考えを改め、もう一度チャレンジすることにしました。そうしたら、できたんです!ティーバッグの素材が違うだけで、こんなに味の出方が違うなんて!!驚ろいたと同時に、意固地なこだわりから柔軟性が無くなっていた私にアドバイスをくれた方々に、本当に感謝しました。

試飲を繰り返し、味を調えるそこからは、カップ1杯分のサイズで美味しく安定した味が出せるように、連日試飲の繰り返しです。ハーブの量だけでなく、ハーブの切り方も工夫を凝らしました。同じ素材を2種類の違うサイズにカットし、それを混ぜることで、最初から後のほうまで味が安定して出るように、という工夫もしています。

デメテルハーブティーのハーブは、地方の農家さんや学校で天日乾燥されたハーブがプノンペンの工房に届き、ここで一つずつ、全て手作業で検品、クリーニング、裁断、袋詰め作業を行っています。小さな会社なので、機械が導入できないというのもありますが、電力が安定せず停電を繰り返すカンボジアでは、電化製品の寿命がとても短くなります。そんな背景もあり、デメテル工房では全てを手作業で行います。手作業だからこそ、繊細なサイズの変更も対応できる強みもあります。


ティーバッグタイプが出来上がったときは、きっかけとなるアドバイスを下さった3人に真っ先に飲んで頂きました。「ティーバッグタイプ、できました!」とご連絡した時、皆さんそれぞれが喜んで下さり、この製品ができて本当に良かったととても幸せな気分になりました。

ハーブティーの売り買いだけではなく、そこにある学校ハーブ園プログラムを通じた4,000人の活動というストーリーを応援して下さっている皆さんだからこそ、私たちも「もっと良いもの、美味しいものを、あの方に飲んで欲しい」とお顔を思い浮かべながら日々の製造を行っています。これからカンボジアを飛び出し、日本やそれ以外の国でデメテルハーブティーを販売するときも同じように、買って下さる皆さまとの交流が続くような会社でありたいと思っています。