◼樫邑をもう一度「三椏の郷に」
はじめまして!私たちは岡山県真庭市樫邑(かしむら)地域で活動する
「きらきら計画」実行委員会です!
私たちは、昔からの地域の特産品である三椏(みつまた)、樫西和紙などの、地元の資源を活用し、全ての世代が一緒になって、住み続けられる地域を作っていくことを目標にしています。
■このプロジェクトの目的
かつて日本一の三椏(みつまた)生産量を誇った樫邑地域。
今回のクラウドファンディングでいただいた支援で栽培を再興し、新たな利活用の可能性も探っていきたいと考えています。
■真庭市と樫邑(かしむら)
真庭市は、岡山県北中部の中山間地に位置し、面積は県内最大で、津山市の西に隣接し、観光地として有名な蒜山高原、湯原温泉のある市です。
樫邑地域は、真庭市の中ほど、旧久世町内にあって、樫西と樫東に分かれています。
人口は約500人。谷あいに集落が点在し、県道沿いに樫西の端から樫東の端まで8kmほどに及ぶ広い地域です。
◼三椏(みつまた)ってなあに?
みなさん、お札をポケットに入れ、うっかり洗濯してしまったことはありませんか?
日本の紙幣は、五千円札、一万円札の材料に三椏を含んでいるため、丈夫で、洗濯しても破れないんです。
三椏は枝が三つ又に分かれていることからみつまたと呼ばれています。ジンチョウゲ科の植物で春にキレイな花を咲かせます。
私たちの暮らす樫邑地域を含む旧美和村は、かつて、紙幣原料の三椏生産量日本一を誇り、「一万円札の里」と呼ばれていました。
樫邑地域でも、多くの家に「こが」と呼ばれる、三椏を蒸す装置が有り、栽培・加工を行っていましたが、栽培から出荷までの作業に大変手間がかかり、若い人たちは勤めに出るなど、就労者は高齢化、後継者難で現在では、加工施設があるのは1軒のみに衰退しています。
生産量が全く追いついていないため、紙幣や和紙の原料として外国産の輸入三椏が増え、品質の高い国産三椏の需要は大変高くなっています。
更に、三椏は、その花や、皮を剥いた後の「おがら」と呼ばれる幹も美しく、花卉としての需要や観光資源、化粧品の原料、炭に加工しての利用等様々に利活用が期待されています。
私たちは、地域をあげて三椏栽培を再興し、もう一度「三椏の郷」として樫邑地域を盛り上げ、伝統産業の復活とともに、地域への愛着・誇りを持って暮らしていくきっかけにしたいと考えています。
■樫西和紙を次代へ
樫邑地域には、三椏(みつまた)を主原料とした和紙を漉く、樫西和紙工房があります。
昭和62年から、特産の三椏で和紙を作って地域の活性化を目指そうと、試行錯誤を繰り返して和紙作りを続けてきました。
三椏を主原料に、様々な配合の和紙を漉いていますが、中でも三椏100%の和紙は、墨のにじみがなく、丈夫で美しい光沢がある、質の高い製品となっています。
平成14年頃からは、絵を描いたように和紙を染める、創作染和紙の制作に取り組み、他にないデザイン性の高い作品が生み出されています。
創作染和紙デザイナーの星野詩穂さんと、きらきら計画実行委員会の代表も務める紙漉き職人の小川秀雄さんのお二人です。
現在、和紙は大量生産ができる安価な洋紙に押され、生活の洋式化で住宅の障子紙等としての使用も少なくなり、需要が減退しています。
しかし、日本の伝統工芸である手漉き和紙は、ユネスコの無形文化遺産に指定され、保存・継承が世界から求められています。
樫邑小学校の子どもたちは、樫西和紙工房で3年かけて紙漉きを練習し、自分で漉いた和紙を使って、世界で1枚だけの卒業証書を作ります。
紙漉きだけでなく、その原料である三椏の加工も毎年体験します。
私たちは、きらきら計画の取り組みや、今回のクラウドファンディングを通して、樫西和紙について多くの方に知ってもらい、子どもたちにも伝えていくことで、日本の伝統文化である和紙作りをこの地で守っていきたいと考えています。
また、今回のクラウドファンディングを準備する中で、新しい商品のアイデアが生まれ、返礼の品の中にも含めることができました。
今後も、新しい取り組みにチャレンジし、樫西和紙を次代に向けて発展させていきたいと、意欲を燃やしています。
◼子どもたちとともに
地域にある樫邑小学校は、全校児童数8人。人数は少ないながらも、豊かな自然の中で全校児童が兄弟姉妹のように、仲良くのびのびと成長しています。
私達は、未来を担う子どもたちに、樫邑の魅力、地域の自然や伝統的な産業、歴史について知ってもらい、また、地域の大人たちと一緒に地域作り活動の一端を担うことで、地域に貢献しているという実感を持ち、地域に対する愛着と誇りを持って成長してほしいと考えています。
そのために、三椏(みつまた)の定植、栽培、収穫、加工、種取り、苗作りなどの全ての行程、また三椏を様々な形で販売して収入に充てながら事業を続けるという、産業としての行程を、体験学習として子どもたちと一緒になって行いたいと考えています。
また、地元の資源を活用しながら、世代を超えて交流し、伝統文化を継承できるイベントを行って、地域のつながりを作っていきたいと考えています。
◼活動の経緯
私たちの暮らす樫邑地域のある真庭市は、豊かな自然を活かしたバイオマス事業で全国的にも注目を集め、中山間地域で唯一平成30年度SDGs未来都市(全国29都市)に選定されています。
昨年10月に、市民提案型の事業の募集があり、樫邑で活動している団体が共同で「樫邑地域産学共同プロジェクトきらきら計画実行委員会」を立ち上げ、事業を始めることになりました。
これまで樫邑の地域作りのために様々な団体がしてきた活動を、協力し合って継続しながら、新しい取り組みを加え、全ての世代が一緒になって、地域を盛り上げていきたいと考えています。
三椏(みつまた)の栽培振興以外に、特産品である樫西和紙、地域で栽培している菜種から作ったなたね油、地元の木材や竹などの資源を活用して、子ども達の体験学習や、市内外の方たちとの交流イベントなどを行っており、これらの活動を通して、SDGsの目標でもある、住み続けられる地域作りを目指しています。
これまでの取り組みとして、地元の竹を使った昔ながらの竹馬作り、樫西和紙と竹を使った和凧作り、作った竹馬や凧を使った、竹馬・凧あげ大会などのイベントを開催しています。
◼栽培にかかる負担を軽減させたい!
きらきら計画では、今後三椏(みつまた)の栽培面積を増やしていき、観光資源や新商品開発等、様々な利活用をしながら三椏栽培を通して地域の発展につなげていきます。
市の公募したSDGsの事業では、平成30年度11月~3月分の活動経費が補助対象となるため、今後は、三椏の販売代金を事業継続の資金に充てる予定です。
しかし、三椏の収穫までには3~5年かかり、その間の栽培管理などに充てる資金が問題となるため、今回エイチケイ商会さんと共同で、クラウドファンディングを行うことになりました。
また、三椏生産の方法には、原野・畑地での密植栽培と林間作物として樹木の間に栽培する方法があり、樫邑地域は谷あいの立地で平地が少ないため、樹間栽培として昔から栽培されてきました。そのため、新たに植栽する場合、木の伐採などが必要になります。
新規植栽にかかる土地代や伐採のための機材などを調達し、少しでも栽培工程における負担を減らすことができればと思います。
真庭市のキャラクターの「まにぞう」も三椏に大注目です!
◼ 地元企業と二人三脚で!
エイチケイ商会は、昭和31年から、真庭市でガソリンスタンドを経営している会社です。
米穀部門、食販部もあり、平成25年にギフト商品を発売する際、地域の伝統産業の復活・維持を応援したいという思いで、パッケージに樫西和紙を活用することにしました。
~世界初の三椏化粧品「結の香(yunoka)」誕生~
和紙工房を訪ねたところ、紙漉職人の手が、厳寒の中での水仕事にも関わらず、手荒れするどころか、むしろきれいなことに驚かされ、三椏(みつまた)が化粧品の原料として使えるのではないかと着想しました。
岡山理科大学との共同研究で、“ミツマタエキス”にはメラニン色素の生成を抑える優れた作用があり、「しみ予防剤(美白剤)」としての機能があることが判明。
そして誕生したのが世界初の“ミツマタエキス”を配合した化粧品「結の香ホワイトセラム」(美容液)。
★平成29年度「むらおこし特産品コンテスト」(全国商工会連合会主催)で、中小企業長官賞
★平成30年度「こんなのあるんだ!大賞2018」(通販サイト47CLUB主催)では、大賞を受賞しています。
結の香HP(https://bihadanoshinzui.jp/yunoka/)
「結の香(yunoka)」の開発にあたり、エイチケイ商会は、原料の三椏は全て樫邑産のものを使いたいと考えています。
原料の地産地消は、供給面の不安を解消できることも一つの理由ですが、やはり、信頼面、安心面の要素も非常に大きいためです。
また、SDGsの視点からも、三椏の活用により、樫邑の豊かな自然環境の維持、経済的側面からの持続性の確保にも役立てたいという想いを持っています。
更に、パッケージに樫西和紙を使用し、和紙文化を次代につなぐきっかけにもしたいと考えています。
そのような想いが私たち「きらきら計画」の想いと合致して、共に今回のクラウドファンディングを進めていくことになりました。
●今回クラウドファンディングの返礼品の提供にご協力いただいた方々
■創作染和紙デザイナー 星野詩穂
広島県出身。現代舞踊家として活躍後、和紙の世界で新たな表現を目指している。
創作染和紙は、漉いた直後の濡れている状態で和紙を染めるため、物の形を鮮明に表現することが難しく、3 年の年月をかけて制作方法を編み出した。
全国各地で個展の開催や展覧会への出展を行っており、2003 年ロンドンで行われた、日本の伝統工芸展にも出展。
独自の手法で生み出される作品の数々は、様々なメディアにも取り上げられ、高い評価を受けている。
■御前酒蔵元「辻本店」
文化元年(1804年)、現在地に酒造業を創業。美作勝山藩御用達の献上酒として「御前酒」の銘(現在の銘柄の由来)を受けた。
古来、「うまさけの国」と言われたこの「美作(みまさか)」の地(岡山県北の旧国名)で、寒冷な気候、良質の酒米と水という、酒造りの好条件に恵まれた環境にある。
酒質の特徴としては、県南の瀬戸内の酒が甘口であるのに対して、すっきりとした辛口が持ち味で、冬の寒さの厳しいこの地の人々が求めた味でもある。
また、平成19年より岡山県初の女性杜氏 辻 麻衣子が酒造りを行っている。
蔵人も若返り、杜氏を盛り立てている。
■毎来寺住職、版画作家 岩垣正道
住職不在で無住となっていた真庭市目木の毎来寺に、昭和51年に入山。
独学で始めた版画で摺った写経を、寺の襖に貼ったことをきっかけに、今では300点以上の作品で寺の襖や天井が埋め尽くされ、版画の寺として全国的に有名になっている。
禅語や和歌、俳句の文句を題材に、感じたままに作られた作品は、身近な動植物をモチーフに、生命力にあふれた温かな作風で観る者を和ませ、広く愛されている。
国内のみならず、海外からの参拝者も増え、ニューヨークで個展も開催。
樫西和紙工房、御前酒蔵元辻本店を始め、市内の様々な企業や団体に作品を提供している。
■真庭・食べる薬草振興協議会
2011年、富原婦人林研クラブ(1981年設立)が薬学博士・村上光太郎氏と出会い、真庭市富原エリアを拠点とした食べる薬草活動を開始した。
2017年、市内の林業関係者が中心となり『第6回全国薬草シンポジウム2017inまにわ』を開催。
薬草を美味しく普段から食べる取組みを真庭全体で推進していくため、2018年に『真庭・食べる薬草振興協議会』設立。
薬草関連品の販売(茶、レトルトカレー、加工品)、イベント開催や料理教室、フィールドワークを実施し、市内外で食べる薬草について取り組んでいる。
また、真庭市のSDGs普及啓発事業にも採択されギフトの開発を行った。
● 支援金の使いみち
・三椏(みつまた)の植栽・管理費用・・・35万円
・体験学習、イベント等の開催費用・・・5万円
・三椏事業に関する広告・宣伝費・・・10万円
・リターン品調達・配送費用・・・30万円
・プラットフォーム手数料20%
● 実行スケジュール
5月 クラウドファンディング募集開始
6月 募集終了
6月下旬~7月末 リターン品発送(返礼品の種類によっては更にお時間をいただく場合がございます)
三椏栽培工程の体験イベント開催(草刈り、種の採取、刈り取り等)を毎年行います。
1~2月 しじり・紙漉き体験
※その他きらきら計画の目的に沿ったイベント・体験学習を随時行います。
最後に
今回のプロジェクトを準備中、新しいお札のデザインが発表されました。
新しい1万円札の顔となる、渋澤栄一氏は、実は真庭市ともご縁のある方です。
栄一氏の曾孫である、農学者の澁澤寿一氏が、「真庭なりわい塾」の塾長を務めるなど、真庭市の地域作りに長年尽力してくださっており、今回、一万円札の原料である三椏(みつまた)を作るプロジェクトを進める中でのタイムリーなニュースに、私達も一層励みに感じています。
今回、きらきら計画実行委員会として活動する中で、地域の、今まであまり話したことがなかった方々とも交流ができ、声をかけて下さるようになりました。「三椏、懐かしいなぁ」「昔はうちでも作りょうた」という声も多く聞かれ、「ええことじゃなぁ」とみなさん協力して参加してくださっています。
年配の方から子どもたちまで、世代を超えて一緒に三椏を植える今回の取り組みが、地域の絆を強め、みんなを元気にしてくれると感じています。
過疎化、高齢化する地域の中で、もう一度地元の産業を見つめ直し、みんなの力を合わせて、希望を持って住み続けられる地域にしていきたいと思っています。ぜひ、皆様もお力を貸していただき、一緒に樫邑を元気にしていきましょう!
● お問い合わせ先
樫邑地域産学共同プロジェクトきらきら計画実行委員会