2016/08/28 23:42
参加俳優紹介: 松林慎司

運営スタッフの木川です。

いよいよ泣いても笑ってもあと数日です。現在、249,000円。49%です。奇跡が起きない限り、Successにはいたらないような状況です。しかし、3週間前、35000円の状態で悲壮な気持ちになっていたときに比べれば、本当にみんなも明るい気持ちになりつつあります。どうやって、ムービーハッカソンを運営するのか、そのことに気持ちはシフトしつつあります。

このプロジェクト、ムービーハッカソンを応援してくれる方々。本当にありがとうございます。

実は僕たちはクラウドファンディングは初めてではありません。

映画「カタラズのまちで」。この映画は、フクイ夢アートで、津田寛治さんに監督をお願いしてつくったものです。市の補助金は60万。しかし、津田寛治さんが執筆された脚本は、どう見ても撮影は一週間近くかかる。セリフが一切ない映画だったので、俳優さんも必要。また舞台設定もあったので、美術も必要。いろいろなシーンがでてくるので、そことの折衝もある。このままの脚本だと絶対に、60万ではできない。

そのときの僕は、予算があって、その中でできることを探すのは好きではありませんでした。やりたいことがある、その意義がある、そしてそれが福井のためになる。でもそれを予算がこれぐらいだから、これぐらいしかできないよね、という思考がいやだったのです。自分が監督する映画なら、僕は予算の中でやります。しかし、津田寛治が福井を撮る。この映画は僕だけじゃなく、みんなも見たいはず。だから、その見たい方々に声をかけました。クラウドファンディングです。

津田寛治が撮る映画へのクラウドファンディング。この噂は瞬く間に福井で広がっていきました。新聞も取り上げてくれて、人づてにもいろいろ広がって、大野の山奥から、おじいさんがしわくちゃになった一万円札を、わざわざ福井市役所までもってきてくれた。そんな逸話も聞きました。

結果、映画予算300万となるまで集まりました。長編映画には足りない金額です。でも短編映画なら十分に撮れる金額があつまったのです。

この映画は、主演や主要な役者以外は福井にゆかりのある人からオーディションで選ぼう。いろいろな高校にも行きました。劇団にも声をかけました。そんな中、津田さんの脚本を見て、どうしてもこの映画に出たい!という俳優さんが現れました

それが松林慎司さんです。

津田寛治さんの事務所の後輩。若手俳優です。しかし、彼の出身地は山口県。そこで津田さんは、「いや、この映画は福井の人か福井出身の人にでてもらうから」。それに対して松林さんは「じゃあ、住民票を福井にうつします!」。こうまでして、彼はカタラズのまちで、に出演していただきました。

カタラズのまちでの予算は300万になったと書きました。しかし、それは映画にすべて使える300万ではありません。ファンドの方へのお礼のイベント、試写会、それらもこの費用から捻出しました。そのため、贅沢な予算を使える現場ではありません。松林さんはプロデューサーの家の一室で寝泊まりをしてもらいました。そして、自分の出演シーン以外は、制作班として道路誘導や現場補助など、いっぱい働いてくださいました。もちろん、俳優としてのギャラは少ないものでしたがお支払いしましたが、それ以外のお手伝いはボランティアでした。そして、僕も福井の人たちも、松林慎司さんを「しんちゃん」といつしか呼ぶようになっていました。僕は松林さんの明るさが大好きです。みんなを楽しくする方。しかし、一旦現場にはいると表情は自然と俳優のものへと変わり、作り出す空気が映画を生み出している。

そして、またいつか、松林さんといつか一緒に仕事をしたい、とそう思うようになっていました。

福井に住民票を移したから松林さんは福井の人になったのではありません。僕たちと一緒に笑って、僕たちと一緒に苦労して、僕たちと一緒に映画をつくった仲間になったからこそ、彼は福井の人になり、「カタラズのまちで」に出演することができたのです。

今年の二月。プロデューサーと、北海道は夕張市に向かいました。ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016に参加するためにです。今年は津田寛治ナイトが開催され、津田さんのこれまでの作品が上映されました。「カタラズのまちで」が上映されたのです。津田さん、松林さん、そしてカタラズに出演はなかったのですが一緒に制作にはいってくれた黒岩さん、そしてマネージャーの星さん。カタラズのまちで、を一緒につくった仲間たちと夕張の地で再会しました。

宮田プロデューサーと私は、松林さんにまた福井に来てほしいといいました。松林さんもまた福井に行くよ、と言ってくださいました。

だから、私たちはムービーハッカソンに松林さんに参加してほしかったのです。

右から三人目が津田寛治さん、二人目が松林慎司さん、一番右が木川。そして左から二人目が宮田プロデューサー。

カタラズで学んだことは、映画は結果ではなくプロセスだ、ということでした。そして、クラウドファンディングは資金集めではなく、仲間を見つけることでした。一緒に映画を作る仲間を見つけることです。

上にある写真は、ショートショートフィルムフェスティバルにノミネートし、レッドカーペットを歩いたときの写真です。「カタラズのまちで」を見ると、感極まるシーンがあります。もちろん、劇中にも好きなシーンがいっぱいありますが、エンドロールで、クラウドファンディングに協力してくださった方々の名前で、スクリーンがいっぱいになるところがあります。あのときに、みんなで何かをつくれた、その感動が甦ってくるのです。

今回のムービーハッカソン、元々は津田寛治さんがおっしゃった、みんなで映画をヨーイドンで競争で作りたい、という思い。それを福井の人間が受け止めて企画にし、そしてまたカタラズで培った仲間と一緒に何かをつくることになりました。ムービーハッカソンの3日間、いろんな人がきます。だから、絶対にそこには人との出会いがあるのです。出会いがあれば、何かが起こる。それが明日の福井をつくる重要な何かかも知れません。

泣いても笑ってもあと数日。この間にできる限り、僕も自分の思いを書きます。

みなさん。僕たちの仲間になってください。そして、今しかできない、このイベントでしかできない経験を一緒にしましょう。お願いします!