はじめに


私は、青森県十和田市で「レトロゲーム秘密基地」というゲームセンターを運営しておりました、店主の鳥居秀憲と申します。


今から約10年前、最初のゲーム機「スーパーハングオン」を購入したのを機に古いゲーム機や基板を集め始め、2019年4月、この町で小さなゲームセンターをオープンしました。


2台の体感ゲームと3台のアストロシティ、4台のテーブル筐体という構成で80~90年代中心のラインナップを毎月入れ替えて色んなゲームが楽しめるレトロゲーセンでした。


その年末には2階にレトロゲームバーをつくり、小さいながらも地元のゲーム好きなお客さんたちとの交流の場になりはじめていました。


そんな矢先コロナ禍となり、オープン2年目にして存続の危機に直面しましたが、変わっていく状況の中で自分ならどんな店を作るだろうかという考えのもとクラウドファンディングを行い、移転先で新たなゲーセンづくりに挑戦しました。


空間の実現性や法的な問題をクリアするため、やっとの思いで見つけた物件は20年以上放置されていた廃墟同然の状態でした。

ツタを払い、床や壁、天井を直し1年半かけてDIYでリフォームを行い、2022年12月に再オープンを果たしました。



おかげさまで、ゆったりとしたスペースに30台のゲーム機、バーや会員制スペースなども含めた理想的な空間を実現。

格ゲー対戦会など交流の場もつくり少しずつなじみのお客さんが増えていき、1年と数か月が過ぎた頃でした。




火災により店舗消失

2024年2月24日、その日は3連休の中日でした。


前日の閉店後に店の掃除を済ませていたので、朝ゆっくり過ごしていると、どこからか焦げ臭い匂いが漂ってきました。

最初は町のどこかでで火事かな?と思っていましたが、匂いが強く店内のどこかで出火しているのではないかと疑い、2階や倉庫スペースなど隅々見回しましたが、どこからも火の気配はありませんでした。

そのうちパチパチと近くで音が聞こえた気がしたので洗面所の窓から顔を出すと、隣接する建物がかなりの勢いで燃えていました。

家の方はみんな裏のほうに避難されていたのを見て私もあわててシャッターを開けて外に出ると、消防車が到着しており放水の準備にとりかかっていました。

消防員の方と「他に誰もいないか」というやり取りの後、もう中には入らないようにと言われ、入口すぐにあるブレーカーを落としてから外に出ました。

それから間もなく、当店の屋根と壁の隙間からも煙が出始めると瞬く間に燃え広がり、ものの数時間で全て焼失してしまいました。



私はその間、燃え崩れていく自分の店をだたずっと見ているしかありませんでした。




あとに残ったもの

店のアーケードゲーム機をはじめ、130タイトル以上あった基板のストック、2階スペースに飾っていたゲーム機やソフト、予備の部品やゲーム書籍に至るまで10年かけて集めてきたものはすべて焼失。

中には常連さんから預かっていた基板や、寄贈いただいたゲームソフトやCD、関連グッズなど大切なものが多数ありました。

店は自宅も兼ねていたので家族との思い出の物もたくさんあり、日常の生活の場でもありました。



仕事場、お客さんや友達との交流の場、日々の生活、大切な思い出・・・


人間、死んだらあの世へは何も持っていけないといいますが、この世にいるうちに突然何もかも失ってしまい、どうやって生きていったらいいのか本当にわからなくなりました。


喪失感でこの世への未練さえ失くしかけていたある日、常連さんからラインが来ました。



それはゲーム仲間の人たちとお金を出し合って1枚のゲーム基板を買ってくれたという連絡でした。



そのゲームは昔、祖母と過ごした実家の駄菓子屋で、弟や友達とよく遊んでいた思い出のタイトルでした。


思えば、ひとつのゲームに皆で群がって夢中になっていたあの楽しさが私の原点でした。






私はこの数年の間に2度もゲームセンターを作りました。

ゲーム機が1台あれば、それを置くちょっとしたスペースさえあれば、楽しい空間をつくることは十分に可能です。


また、そこからゲーセンを始めたいと思っております。




店舗の再建に向けて(資金の使い道)


・ゲーム筐体、基板の再購入 約300~500万円

今回プロジェクトを立ち上げるにあたり非常に悩んだのは、あの空間を再現するために必要なゲーム機たちを再び手に入れることができるのかということでした。

ゲーム筐体や基板の入手難易度は以前に比べて高くなっており、もう私が集めていた頃のようにはいかないでしょう。

それでも常連さんたちが買ってくれた基板を見て、小さい規模でもまた一からゲーセンを作る過程を楽しんでいきたいと思いました。

また、今回の火災を知った何人かのコレクターの方からもお声がけいただいていており、以前とはまた違った面白いラインナップになる可能性も出てきております。

ゲーセン再建に動くことに踏み切った理由は、そのことが非常に大きいです。


・メンテナンス機材の購入 30~50万円

古いゲーム機や基板は故障しやすく、何もしなくても壊れていることはざらにあり、定期的な動作確認、メンテナンスを欠かすことはできません。

必要な道具類もすべて失ってしまいましたので、また一から機材をそろえていきたいと思っております。


・物件取得費用、開店準備金 200~300万円

焼失したあの店舗は、自分がゲーセンを作るときにやりたかったことが全て実現できた理想的な空間でした。

このような場所に巡り合うのはかなりの困難を伴いますが、小さくても楽しい空間を実現できる場所を時間をかけて見つけたいと思います。

できれば愛着のある十和田市でやりたいですが、条件に合う場所がなければ他の町への移転も考えています。


・クラファンのリターン 約30万円

冊子の印刷代、郵送費などになります。


・手数料(17%+税)



リターンについて

今回のクラウドファンディングでは、店のPCが消失しており、皆様にお返しできるようなものをご用意できないと思っています。

幸い3年前リターンとして制作した冊子データが印刷屋さんに残っていましたので、今回もこちらをバックナンバーとしてご用意させていただきます。

それに加えて1冊だけですが、新たにクラウドファンディング特別号を製作いたします。


前回のリターン

前回のクラウドファンディングで5万、10万円という高額な支援をしていただいた方には、店のラインナップをリクエストしてご自身のゲーセンを作るという、一生の思い出にしていただきたいリターンがありましたが、あと6名の方にまだお返しできておりません。

もし店舗再建を実現できたなら、できる限りのラインナップで今度こそお返ししたいと思っております。



スケジュール

筐体や基板を集めて整備をする時間が約1年。
目途が立ってきたら並行して店の規模などを考慮した物件探しも行います。

1年半~3年、もっとかかるかもしれませんが、必ず再建して新たなレトロゲーム秘密基地をお見せしたいと思います。



ゲーセンへの想い

近所の子供たちの憩いの場所だった祖母の駄菓子屋は、ファミコンの登場によって少しずつ廃れていきました。

それでも街のゲーセンはもっと高性能な最新ゲームで私たちを惹きつけ、活気に満ちていました。


あれから数十年、かつてのアーケードゲームの名作は高スペックな最新ゲーム機によって完全な形で移植され、手軽に遊べる時代になりました。

対戦ゲームも今ではネットが主流になり、アーケードゲームが楽しかったころのようなゲーセンの風景はどんどん姿を消しています。


店を再開して1年が経過したとき、私は商売としてのゲームセンターを諦めました。

ですが同時に、ずっとこのまま店を続けていきたいとも思いました。


ゲーセンで遊んだ楽しい思い出を持っている人は、そのときの風景を忘れないと思うからです。


そんな誰かの思い出に残るような空間を、また一から作ってみたいです。





最後に

実家の駄菓子屋時代からビデオゲームと過ごしてきた私にとって、ゲーセンを作ることは一生かけてやっていく命がけの遊びのようなもので、あの場所がないと寂しくて生きていけない気がします。


焼失したショックからはまだ立ち直れていませんし、費やしてきた時間や失ったものへの心の整理は簡単につくものではありません。

それでも、駆け付けてくれたお客さんや友人、沢山いただいた励ましの言葉で、私は再び希望を取り戻しました。

希望はもう二度と失いませんので、きっとまたあの憩いの場所にたどり着けると思っています。



そこでまた、皆様とお会いできる日を楽しみにしております♪






最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



青森県十和田市稲生町14-43

レトロゲーム秘密基地
店主 鳥居秀憲





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